気分・ストレス

暑い日にイライラしやすいのはなぜ? 暑さと気分の研究で調べた

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夏の青空とひまわり
Photo: ExclusiveRelief17 / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

暑い日に、ささいなことでカチンときてしまう。あとで「なんであんなに怒ったんだろう」と落ち込む。そんな経験はありませんか。暑い日にイライラしやすいのは、性格のせいではありません。体を冷やす働きに負担がかかり、疲れや不快感、寝苦しさによる寝不足が重なるためと考えられています。一方で、気分が下がっても、人への態度まで変わるとは限らないこともわかってきました。

3行でわかる

  1. 5か国の大学生1,636人の実験では、部屋が30℃を超えると、いら立ち・疲れ・不満の気持ちが強まった。
  2. ただし同じ実験で、人にお金を分ける判断や競争を選ぶかどうかは、暑さで変わらなかった。気分の変化が、すぐ行動に出るわけではない。
  3. 暑さは、体温の調節の負担、心臓や血管の負担、睡眠の乱れなどを通じて気分に影響すると考えられている。とくに夜の暑さによる寝不足が重要とされる。

01 悩みの正体暑いとイライラしやすいのはなぜ?

暑いと、体は汗をかいたり血液を皮膚に集めたりして熱を逃がします。この働きが体の負担になり、疲れや不快感、寝不足が重なって、イライラしやすくなると考えられています。

人の体は、体温をほぼ一定に保つ仕組みを持っています。暑くなると、汗をかき、皮膚の血管を広げて熱を外に逃がします。心臓の動きも速くなります。

こうした調節は、体にとって小さくない仕事です。Toralesら(2026)のレビューは、暑さが気分に影響する道すじを整理しています。そのうち、人での研究の裏づけが比較的強いとされたのは、次の3つです[3]。

道すじ何が起きる?
体温の調節の負担熱を逃がす働きが続き、疲れや不快感、イライラが増え、頭の働きも落ちやすくなる[3]
心臓や血管の負担心拍が上がり、汗や皮膚の血流が増えて、体の水分も多く必要になる[3]
睡眠のリズムの乱れ夜の暑さで熱が逃げにくく、寝つきが遅れ、眠りが短く浅くなる。寝不足は気持ちの調整を難しくする[3]

このほか、脱水やストレスに反応するホルモンの働きなども挙げられています。ただしレビューは、こうした道すじの多くは動物実験や重い症状の人の研究にもとづいていて、まだ確かめる段階だとしています[3]。

暑い夜に眠れない仕組みは寝苦しさの研究で、寝不足でイライラする仕組みは寝不足と怒りの研究で紹介しています。

02 科学的にわかっていること暑さで気分はどのくらい変わる?

部屋が30℃を超えると、いら立ちや疲れが強まることが実験で示されています。SNSの大規模な分析でも、暑い日は前向きな言葉が減っていました。ただし、気分の変化がそのまま行動を変えるとは限りません。

Cassarら(2026)[1]

アメリカ、メキシコ、コロンビア、インド、ケニアの大学生1,636人が参加した実験です。見えない場所に置いたヒーターで、部屋の温度を18℃から34℃のあいだで変えました。30℃を超える部屋にいた人は、いら立ち・疲れ・不満の気持ちが強まりました。ところが、ほかの人にお金をどう分けるか、競争を選ぶかといった判断は、暑さで変わりませんでした。判断の違いは、暑さよりも性別や国の違いのほうがずっと大きかったのです。

対象: 5か国の大学生1,636人 / 限界: 暑さにさらされたのは約1時間です。何日も続く暑さや、いつ終わるかわからない暑さの影響は調べていません。気分の変化は、標準偏差で0.13〜0.17ほどの小さめの差でした。

20℃→30℃

最高気温20℃までは前向きな投稿が増え、30℃を超えると減っていた(アメリカのSNS投稿35億件以上を調べた研究のうち、Facebookの分析)[2]

Baylisら(2018)[2]

2009年から2016年に、アメリカの数千万人が投稿したFacebookとTwitterの投稿35億件以上を、その日の天気と照らし合わせました。Facebookの投稿では、前向きな言葉を使った投稿が、最高気温20℃までは増え、30℃を超えると減っていました。寒すぎる日、雨の日、湿度の高い日、くもりの日も、投稿の気分は下がっていました。天気について書いた投稿を除いても、同じ傾向でした。

対象: アメリカのSNS利用者の投稿 / 限界: 投稿の言葉から気分を推定した観察研究です。投稿する人の気分を直接測ったわけではありません。

Chauhanら(2025)[4]

気温と暴力の関係を調べた37の研究をまとめたシステマティックレビューです。気温が高い日ほど、暴行などの暴力が多い傾向が多くの研究で見られました。8つの研究をまとめたメタ分析では、気温が1℃上がるごとに暴力が1.64%増えていました。一方、暴力をともなわない犯罪とは関係が見られませんでした。

対象: 11か国などの37研究 / 限界: 社会全体の統計での関係で、暑さが一人ひとりを攻撃的にすると示したものではありません。上の実験のように、個人の行動では暑さの影響が見られなかった研究もあります。

まとめると、「暑いと気分が下がる」ことは、実験でも大規模なデータでも示されています。一方で、「暑いと人に冷たくなる」かどうかは、研究によって結果が分かれています。暑い日のイライラは、行動に出る前に気づいて手を打てる余地がある、と考えることもできます。

03 今日からできる小さな一歩暑い日のイライラを減らすには?

まず「暑さで気分が下がっている」と気づくことが一歩です。そのうえで、体を冷やす、水分をとる、夜の寝室を涼しくするなど、体の負担を減らす工夫をします。

1

イライラしたら「今は暑さのせい」と言葉にする

暑さで気分が下がっても、判断までは変わらなかった実験があります[1]。言い返す前に、心の中で一度言葉にしてみます(研究の結果をもとにした目安です)。

所要 10秒

2

室温を下げてから、話し合いや大事な作業をする

実験では30℃を超える部屋で気分が下がりました[1]。言い争いになりそうな話や集中が必要な作業は、エアコンや扇風機で涼しくしてから始めます。部屋の温度と集中の関係は室温と集中力の研究で紹介しています。

所要 5〜10分

3

のどが渇く前に、水を一口飲む

暑い日は汗で水分が失われ、体は多くの水分を必要とします[3]。軽い脱水と集中の関係はのどの渇きと集中の研究で紹介しています。

所要 1分

4

寝る前に寝室を涼しくしておく

夜の暑さによる寝不足は、翌日の気分を下げる大きな理由の1つとされています[3]。寝る30分ほど前からエアコンで寝室を冷やしておきます。

所要 1分(タイマーを入れる)

04 続けるためのコツ暑い季節を通して気分を保つコツは?

暑い日の予定は、涼しい時間帯に大事なことを入れるように組みます。イライラしてしまった日も、自分を責めすぎないことが大切です。

05よくある質問

暑いとイライラするのは、気のせいではないのですか?

気のせいではないと考えられます。5か国の大学生1,636人の実験では、部屋が30℃を超えると、いら立ち・疲れ・不満の気持ちがはっきり強まりました。暑さで体を冷やす働きに負担がかかり、疲れや不快感が増えることが理由として挙げられています。

暑い日は、人に冷たい態度をとりやすくなりますか?

同じ実験では、30℃を超える部屋にいても、人にお金を分ける判断や競争を選ぶかどうかは変わりませんでした。気分は下がっても、それがすぐ行動に出るとは限らないようです。ただし実験は約1時間の暑さで、長く続く暑さは調べていません。

何度くらいから気分が下がりやすいのですか?

アメリカのSNS投稿35億件以上を調べた研究では、Facebookの投稿で、最高気温20℃までは前向きな投稿が増え、30℃を超えると減っていました。個人差があり、この数字がそのまま誰にでも当てはまるわけではありません。

出典

  1. Cassar, A., Hobbs, A., Anttila-Hughes, J., Bogliacino, F., Lybbert, T. J., Rojas, I., et al., & Wydick, B. (2026). Gender and culture shape prosociality more than heat stress in a five-country experiment. PNAS Nexus, 5(3), pgag017. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgag017
  2. Baylis, P., Obradovich, N., Kryvasheyeu, Y., Chen, H., Coviello, L., Moro, E., Cebrian, M., & Fowler, J. H. (2018). Weather impacts expressed sentiment. PLOS ONE, 13(4), e0195750. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0195750
  3. Torales, J., Barrios, I., O'Higgins, M., Caycho-Rodríguez, T., Ventriglio, A., & Castaldelli-Maia, J. M. (2026). Heat, brain, and mental health: biological mechanisms underlying climate-related psychiatric outcomes. Biology, 15(14), 1165. https://doi.org/10.3390/biology15141165
  4. Chauhan, V., Thakur, S., Galwankar, S., & Temple, S. (2025). Association of rising ambient temperatures with increased violence worldwide: systematic review and meta-analysis. Western Journal of Emergency Medicine, 26(5), 1328-1337. https://doi.org/10.5811/westjem.42055