睡眠

暑い夜に眠れないのはなぜ?「体の熱が逃げない」寝苦しさの仕組みを研究で調べた

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扇風機
Photo: Curpharar / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

暑い夜、布団に入ってもなかなか寝つけず、夜中に何度も目が覚める。寝苦しさは気のせいではありません。人は眠るとき、手足から熱を逃がして体の内側の温度(深部体温)を下げます。部屋が暑く湿っていると熱が逃げにくく、この温度の下がり方がじゃまされることが、実験でも大規模な調査でも示されています。仕組みと、研究からわかる対策を整理します。

3行でわかる

  1. 人は眠るとき、手足の皮膚から熱を逃がして深部体温を下げる。暑く湿った部屋では熱が逃げにくく、目が覚めている時間が増え、深い眠りとレム睡眠が減る。
  2. 32℃・湿度80%の部屋で寝る実験では、暑さが寝始めの約4時間に重なると、前半の深い眠りが減り、目覚めは夜の後半にも増えた。
  3. アメリカの約76万人の調査では、夜の気温が平年より1℃高いと、眠りが足りない夜が100人あたり月に約3夜増えた。夏と高齢の人、収入の低い人で影響が大きかった。

01 悩みの正体暑い夜に寝苦しいのはなぜ?

眠るには体の内側の温度が下がる必要があるのに、暑い部屋では熱を外へ逃がしにくいからです。湿度が高いと汗も乾かず、熱がさらに体にこもります。

体の内側の温度(深部体温)は、1日のリズムに合わせて上下し、夜に下がっていきます。眠りは、深部体温が下がっていくときに起こりやすいことがわかっています[1]。

寝る前になると、手足の血管が広がり、皮膚から熱を外へ逃がします。手足から熱が逃げることが、すばやい寝つきにつながると考えられています[1][3]。寝る前の入浴が寝つきに関わるのも、この仕組みと関係しています(入浴と寝つきの記事)。

ところが部屋が暑いと、皮膚から熱が逃げにくくなり、深部体温が下がりにくくなります[1]。湿度が高いと汗が蒸発しないため、汗で熱を逃がすこともできません。総説の著者らは、体温を保つために、深い眠りやレム睡眠の代わりに目覚めている時間が増えると説明しています[1]。

02 科学的にわかっていること暑さは、眠りのどこに影響する?

目が覚めている時間が増え、深い眠りとレム睡眠が減ります。影響は寝始めの数時間に出やすく、高齢の人ほど受けやすいことが、実験と大規模な調査の両方で示されています。

Okamoto-MizunoとMizuno(2012)[1]

暑さ・寒さと睡眠の研究をまとめた総説です。布団や寝間着を使うふだんの状態では、寒さより暑さのほうが眠りを乱しました。暑さで目覚めが増え、深い眠りとレム睡眠が減る影響は、寝始めの時間帯に集中していました。5日続けて暑さにさらされても、眠りの乱れは慣れで軽くなりませんでした。高齢の人では、軽い暑さでも目覚めが増え、汗の量は2倍になりました。

対象: 著者ら自身の実験を中心にした研究の整理 / 限界: 多くは少人数の実験室での研究です。

Okamoto-Mizunoら(2005)[2]

26℃・湿度50%の部屋と比べ、夜の一部だけを32℃・湿度80%にしました。寝始めの3時間45分を暑くすると、前半4時間の深い眠りが減り、目覚めは前半にも後半にも増えました。体の内側の温度は、寝始めから5時間ほど高いままでした。夜の後半だけ暑くした場合は、後半の目覚めが増えました。著者らは、寝始めの暑さのほうが眠りを乱しやすいと結論しています。

対象: 健康な男性8人ずつの2つの実験 / 限界: 人数が少なく、女性や高齢の人は含まれていません。

Obradovichら(2017)[3]

2002〜2011年に「過去30日で、眠りが足りなかった日は何日あったか」に答えたアメリカの約76万人のデータと、住む町の夜の気温を照らし合わせました。夜の最低気温が平年より1℃高いと、眠りが足りない夜は100人あたり月に約3夜増えました。夏の影響はほかの季節のほぼ3倍で、65歳以上の人では65歳未満の人のほぼ2倍、年収5万ドル未満の人では5万ドル以上の人の3倍以上でした。

対象: アメリカの約76万6千件の回答 / 限界: 睡眠は本人の答えで、睡眠を機械で測ってはいません。

約3夜

夜の気温が平年より1℃高いときに増えた、眠りが足りない夜の数(100人あたり1か月。約76万人の調査)[3]

Baniassadiら(2023)[4]

自宅の寝室に温度計を置き、指輪型の機器で眠りを記録しました。眠っている時間の割合(睡眠効率)がいちばん高く、寝返りなどの落ち着かなさが少なかったのは、夜の室温が20〜25℃のときでした。室温が25℃から30℃に上がると、睡眠効率は5〜10%下がりました。温度と眠りの関係は、人によってかなり違いました。

対象: アメリカ・ボストンの65歳以上の50人(平均79歳)、合計10,903夜 / 限界: 比較的暮らしに余裕のある人が多い1つの町の研究で、機器は深い眠りと浅い眠りを区別できません。

Krčumら(2026)[5]

中年以降の人を対象に、熱波や暑い夜と睡眠を調べた31の研究をまとめました。暑さのもとでは、眠る時間が1晩あたり約10〜45分短くなり、睡眠効率は約5〜15%下がっていました。夜中に目が覚める時間が増え、レム睡眠と深い眠りが減る結果も多く報告されていました。

対象: 31の研究 / 限界: 研究を集めて整理する方法で、結果を統計的に1つにまとめたものではありません。研究ごとに暑さの定義や睡眠の測り方が違います。

暑さの条件眠りへの影響(研究)
寝始めの約4時間が32℃・湿度80%前半の深い眠りが減り、目覚めは前半も後半も増えた[2]
夜の後半だけ32℃・湿度80%後半の目覚めが増えた[2]
夜の気温が平年より1℃高い(特に夏)眠りが足りない夜が100人あたり月約3夜増えた[3]
寝室が25℃から30℃に(65歳以上)睡眠効率が5〜10%下がった[4]

03 今日からできる小さな一歩暑い夜に眠りやすくするには?

寝始めの数時間を涼しく保つことを優先します。エアコンは寝る前から使い、温度だけでなく湿度も下げます。明け方に冷えたら、汗をふいて着替えます。

1

エアコンは、寝る前から寝始めの数時間を優先する

寝始めの暑さのほうが眠りを乱しやすいことがわかっています[2]。タイマーを使うなら、寝始めの3〜4時間が涼しくなるようにします。著者らも、エアコンの使用を限るなら寝始めに使うよう勧めています[1]。

所要 1分

2

温度だけでなく、湿度も下げる

湿度が高いと汗が乾かず、熱が逃げにくくなります[1]。除湿の機能も使います。

所要 1分

3

寝室に温度計を置いて、目安を知る

高齢の人の研究では、夜の室温が20〜25℃のときに眠りがいちばん安定していました[4]。快適な温度には個人差があるので、自分が眠りやすかった温度をメモしておきます。

所要 1分

4

夜中や明け方に冷えたら、汗をふいて着替える

汗でぬれた服のまま部屋が冷えると、体が冷えて目が覚めやすくなります。夜の後半にエアコンを使うときは、汗をふき、着替えることが大切だと著者らは述べています[1]。

所要 3分

04 続けるためのコツ暑い季節の寝苦しさで、気をつけることは?

暑さには何日続いても慣れにくいので、我慢せずに部屋を整えます。高齢の家族は暑さの影響を受けやすく、寝ている間に汗で水分も失われることに注意します。

涼しい部屋でも眠れない日が続く、日中の生活に支障が出ている、という場合は、医師に相談してください。暑い夜に体調の異変を感じたときは、無理に眠ろうとせず、涼しい場所で水分をとってください。

05よくある質問

暑いと眠れないのはなぜですか?

眠るときには、手足から熱を逃がして体の内側の温度を下げる必要があります。暑く湿った部屋では熱が逃げにくく、温度が下がりにくくなるため、目が覚めている時間が増え、深い眠りが減ると考えられています。

寝室は何度くらいにすればいいですか?

65歳以上の50人の自宅を調べた研究では、夜の室温が20〜25℃のときに眠りがいちばん安定し、25℃から30℃に上がると睡眠効率が5〜10%下がりました。ただし快適な温度には個人差があり、若い人のデータではありません。

エアコンのタイマーは、何時間にすればいいですか?

決まった時間を示した研究はありません。ただ、寝始めの約4時間が暑いと、夜の後半だけ暑い場合より眠りが乱れた実験があります。タイマーを使うなら、寝始めの3〜4時間が涼しくなるようにするのが研究の結果と合っています。

暑さに慣れれば、眠れるようになりますか?

慣れにくいことがわかっています。昼も夜も暑い状態が5日続いた研究でも、眠りの乱れは軽くなりませんでした。我慢するより、部屋の温度と湿度を整えるほうが確実です。

出典

  1. Okamoto-Mizuno, K., & Mizuno, K. (2012). Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm. Journal of Physiological Anthropology, 31, 14. https://doi.org/10.1186/1880-6805-31-14
  2. Okamoto-Mizuno, K., Tsuzuki, K., Mizuno, K., & Iwaki, T. (2005). Effects of partial humid heat exposure during different segments of sleep on human sleep stages and body temperature. Physiology & Behavior, 83(5), 759–765. https://doi.org/10.1016/j.physbeh.2004.09.009
  3. Obradovich, N., Migliorini, R., Mednick, S. C., & Fowler, J. H. (2017). Nighttime temperature and human sleep loss in a changing climate. Science Advances, 3(5), e1601555. https://doi.org/10.1126/sciadv.1601555
  4. Baniassadi, A., Manor, B., Yu, W., Travison, T., & Lipsitz, L. (2023). Nighttime ambient temperature and sleep in community-dwelling older adults. Science of the Total Environment, 899, 165623. https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2023.165623
  5. Krčum, J., Ezgin, N., Šutulović, N., Rajković, N., Djurić, E., Mladenović, D., Vesković, M., Cetin, A. E., Rašić-Marković, A., Stanojlović, O., & Hrnčić, D. (2026). Effects of heatwaves and tropical nights on sleep in middle-aged and older adults: A scoping review. Clocks & Sleep, 8(3), 37. https://doi.org/10.3390/clockssleep8030037