睡眠

夜中に何度も目が覚めるのはなぜ? 中途覚醒の仕組みを研究で調べた

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枕もとにランプが灯るベッド
Photo: PattayaPatrol / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

夜中にふと目が覚めて、時計を見るとまだ3時。そんな夜が続くと、体のどこかがおかしいのではと不安になります。研究を見ると、夜中に目が覚めること自体は珍しくなく、大人では年齢とともに増えていくものでした。つらさを大きくするのは、目覚めた後に頭が冴えて眠りに戻れないことです。その背景には、脳と体が「覚醒しすぎ」の状態になることや、時計を見て焦ることが関わっていました。

3行でわかる

  1. 夜中に週3日以上目が覚める人は、アメリカの約8900人の調査で35.5%でした。3人に1人ほどの、よくある悩みです。
  2. 健康な人を調べた65件の研究のまとめでは、大人は年齢が上がるほど、眠った後に起きている時間が長くなっていました。
  3. 眠りに戻れない背景には、ストレスや心配で脳と体が冴えすぎる状態(過覚醒)があると考えられています。時計を見ると心配が増え、寝つきが遅れた実験もあります。

01 悩みの正体夜中に目が覚めるのは、おかしいこと?

おかしいことではありません。夜中に週3日以上目が覚める人は、アメリカの調査で35.5%いました。眠った後に目が覚めることを「中途覚醒」と呼び、大人では年齢とともに増えます。

眠りは、ひと晩じゅう同じ深さではありません。浅い眠り、深い眠り、夢をよく見る眠り(レム睡眠)が入れ替わりながら続きます。

眠りが浅いときは、物音や体の感覚で目が覚めやすくなります。大人は年齢が上がるにつれて、深い眠りの割合が減り、浅い眠りの割合が増えていきます [2]。夜中に目が覚めやすくなるのは、この変化とも関係しています。

問題になるのは、目が覚めることそのものより、そこから眠りに戻れないことです。目が覚めた後に何が起きているのかを、研究から見ていきます。

02 科学的にわかっていること中途覚醒が増える原因は何?

年齢による眠りの変化に、ストレスや心配で脳と体が冴えすぎる状態、時計を見て焦ることなどが重なって起きると考えられています。毎晩のように続く場合は、体や心の病気が関わることもあります。

関わる要因どう影響するか根拠
年齢浅い眠りが増え、夜中に起きている時間が長くなる65件の研究のまとめ [2]
ストレス・心配脳と体が昼も夜も冴えすぎた状態になる不眠の研究のレビュー [3]
時計を見ること心配が増え、眠るまでの時間が延びる2つの実験 [4]
体や心の病気毎晩の中途覚醒と一緒に見られることが多い約8900人の調査 [1]

Ohayon(2008)[1]

アメリカの18歳以上8937人に電話で聞き取ったところ、35.5%が週3日以上夜中に目が覚めると答えました。23%は毎晩でした。その90%以上は、この状態が6か月より長く続いていました。毎晩目が覚める人では、体の病気や肥満、心の病気が多く見られました。

対象: テキサス・ニューヨーク・カリフォルニアの3州に住む8937人 / 限界: 本人の申告による調査で、病気が中途覚醒の原因か結果かはわからない。

Ohayonら(2004)[2]

健康な5歳から102歳までの3577人分、65件の研究をまとめたメタ分析です。大人では、年齢が上がるほど深い眠りの割合が減り、浅い眠りの割合と、眠った後に起きている時間が増えていました。

対象: 65件の研究・3577人(脳波などで一晩の眠りを測定) / 限界: 参加者の病気や薬、お酒の有無をどれだけ厳しく確かめたかで、年齢による差の大きさが大きく変わった。年齢そのものの影響は、思われているより小さい可能性がある。

Riemannら(2010)[3]

不眠の研究をまとめたレビューです。不眠に悩む人では、自律神経、ホルモン、脳波、脳画像などのさまざまな指標で、夜だけでなく昼間も覚醒の度合いが高いことが示されていました。これを「過覚醒」と呼びます。心配や考えごとをくり返すくせなどが、不眠を長引かせる要因として挙げられています。

対象: 多数の研究を整理したレビュー / 限界: 病気などの原因がはっきりしない不眠(原発性不眠)を対象にした整理で、夜中に目が覚める人すべてに当てはまるとは限らない。

Tangら(2007)[4]

眠ろうとしているときに時計を見るよう指示された人は、見なかった人より寝る前の心配が多く、寝つくまでの時間が長くなりました。よく眠れる人とそうでない人の両方で同じ結果でした。不眠症の38人では、時計を見た夜に寝つくまでの時間を実際より長く見積もりやすくなりました。

対象: よく眠れる人30人と眠れない人30人、不眠症と診断された38人 / 限界: 調べたのは寝つきで、夜中に目が覚めた後の時計を直接調べた実験ではない。

「昔の人は夜中に一度起きるのが普通だった」という話もあります。夜の暗い時間を14時間に延ばした実験では、眠りが2つに分かれ、間に1〜3時間起きている時間が現れました [5]。ただし、電気のない赤道近くの3つの伝統的な社会で眠りを測った研究では、夜中に長く起きていることはまれでした [6]。夜中の長い目覚めが「人間本来の眠り」だとまでは言えません。

03 今日からできる小さな一歩夜中に目が覚めたとき、何をすればいい?

時計を見ない、目覚めを「よくあること」と受け止める、寝る前のお酒を控える、の3つが研究から考えられる対策です。毎晩続き昼間もつらいときは、医師に相談してください。

1

目が覚めても時計を見ない

時計は寝床から見えない向きに置き、スマホも手の届かない所に置きます。時刻を知ると「あと何時間しか眠れない」という心配が増えやすくなります。

所要 寝る前に1分

2

「よくあること」と心の中で言う

夜中の目覚めは3人に1人ほどにある、ありふれたことです。「また起きてしまった」と焦るほど頭は冴えます。眠ろうと頑張りすぎない考え方は眠ろうとするほど眠れない理由で詳しく書いています。

所要 10秒

3

寝る前のお酒を控える

お酒は寝つきを早めても、夜の後半の眠りを乱すことがわかっています(寝酒の研究)。夜中に目が覚めやすい日が続くなら、まず1週間やめてみます。

所要 1週間試す

4

心配ごとは寝る前に紙に出す

頭の中の「明日やること」を寝る前に書き出すと、寝つきが早くなった実験があります(寝る前のToDoリストの研究)。夜中に考えごとが止まらない人に向く方法です。

所要 5分

04 続けるためのコツ中途覚醒で病院に行ったほうがいいのはどんなとき?

毎晩のように目が覚め、昼間の眠気やだるさ、気分の落ち込みが続くときは、医師に相談してください。毎晩の中途覚醒は、体や心の病気と一緒に見られることが多いと報告されています。

05よくある質問

昔の人は夜中に一度起きて、2回に分けて眠っていたって本当?

夜の暗い時間を14時間にした実験では、眠りが2つに分かれ、間に1〜3時間起きている時間が現れました。一方、電気のない赤道近くの3つの伝統的な社会では、夜中に長く起きていることはまれでした。2回に分けて眠るのが人間本来の姿だとは、まだ言い切れません。

年をとると夜中に目が覚めるのは仕方ないこと?

65件の研究のまとめでは、大人は年齢が上がるほど夜中に起きている時間が長くなっていました。ただ、参加者の病気や薬、お酒の有無を厳しく確かめた研究ほど、年齢による差は小さくなりました。年齢だけでなく、体調や生活の影響も大きいと考えられます。

夜中に目が覚めても、すぐまた眠れるなら問題ない?

すぐ眠りに戻れて、昼間に困っていなければ、心配しすぎなくてよいと考えられます。夜中の目覚めは3人に1人ほどにある、よくあることです。昼間の眠気やだるさが続くときは、医師に相談してください。

出典

  1. Ohayon, M. M. (2008). Nocturnal awakenings and comorbid disorders in the American general population. Journal of Psychiatric Research, 43(1), 48-54. https://doi.org/10.1016/j.jpsychires.2008.02.001
  2. Ohayon, M. M., Carskadon, M. A., Guilleminault, C., & Vitiello, M. V. (2004). Meta-analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals: Developing normative sleep values across the human lifespan. Sleep, 27(7), 1255-1273. https://doi.org/10.1093/sleep/27.7.1255
  3. Riemann, D., Spiegelhalder, K., Feige, B., Voderholzer, U., Berger, M., Perlis, M., & Nissen, C. (2010). The hyperarousal model of insomnia: A review of the concept and its evidence. Sleep Medicine Reviews, 14(1), 19-31. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2009.04.002
  4. Tang, N. K. Y., Schmidt, D. A., & Harvey, A. G. (2007). Sleeping with the enemy: Clock monitoring in the maintenance of insomnia. Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry, 38(1), 40-55. https://doi.org/10.1016/j.jbtep.2005.07.004
  5. Wehr, T. A. (1992). In short photoperiods, human sleep is biphasic. Journal of Sleep Research, 1(2), 103-107. https://doi.org/10.1111/j.1365-2869.1992.tb00019.x
  6. Yetish, G., Kaplan, H., Gurven, M., Wood, B., Pontzer, H., Manger, P. R., Wilson, C., McGregor, R., & Siegel, J. M. (2015). Natural sleep and its seasonal variations in three pre-industrial societies. Current Biology, 25(21), 2862-2868. https://doi.org/10.1016/j.cub.2015.09.046