睡眠

眠れなかった夜のあと、どう立て直す? 次の夜に「取り返そう」としなくていい理由を研究で調べた

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ランプが灯る夜のベッドサイドテーブル
Photo: elPadawan / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

一晩ほとんど眠れなかった。次の夜も眠れなかったらどうしよう。そう考えて、早めに布団に入ったり、朝寝坊して取り返そうとしたりする人は少なくありません。研究では、眠れない時期が来ても多くの人は自然に元の眠りに戻り、長引くかどうかには「眠れないことへの心配」の強さが関わっていました。次の夜は、取り返そうと頑張るより、いつもどおりの時刻で過ごすのが基本です。

3行でわかる

  1. もともとよく眠れていた1,248人を1年追うと、27.0%が一時的な不眠を経験した。そのうち72.4%は自然に元の眠りに戻り、長く続く不眠になったのは全体の1.8%だった。
  2. 一時的な不眠が1か月後も続くかどうかを予測したのは、過去の不眠、落ち込みの強さ、そして眠れないことへの心配や考え込みの強さだった。
  3. 不眠が数週間続くなら、1回60〜70分の睡眠の指導だけで、1か月後に60%が回復した試験がある(何もしない組は15%)。

01 悩みの正体一晩眠れないと、なぜこんなに不安になる?

眠れなかった翌日は疲れを強く感じ、「このまま眠れなくなるのでは」と心配になりやすいからです。ただ研究では、一時的な不眠は珍しくなく、多くは数日から数週間で治まっていました。

眠れない夜は、誰にでも起こります。仕事の締め切り、人間関係の悩み、旅行や体調の変化など、きっかけはさまざまです。

困るのは、眠れなかった翌日です。頭がぼんやりして、「今夜こそ眠らないと」と考え始めます。この「眠らなければ」という気持ちは、かえって目を覚ます方向に働くことがわかっています(眠ろうと頑張るほど眠れない仕組みの研究)。

不眠の研究では、不眠が長引く流れを3つの要素で説明する考え方がよく使われます。もともとの眠りやすさ(なりやすさ)、ストレスなどのきっかけ、そして不眠を長引かせる習慣や考え方です。きっかけが去っても、3つ目の要素が残ると不眠が続く、という見方です[2]。

02 科学的にわかっていること一時的な不眠は、放っておいても治る?

多くは治ります。1年間毎日の睡眠日記をつけた研究では、一時的な不眠になった人の72.4%が元の眠りに戻りました。長引くかどうかには、眠れないことへの心配の強さが関わっていました。

Perlisら(2020)[1]

もともとよく眠れていた35歳以上の1,248人に、1年間毎日、睡眠日記をつけてもらいました。1年のうちに、週3日以上の不眠が2〜12週間続く「一時的な不眠」になった人は27.0%(337人)でした。そのうち72.4%(244人)は、元のよい眠りに戻りました。長く続く不眠になったのは、全体の1.8%(23人)でした。

対象: 全国から募集した1,248人(67%が女性) / 限界: 35歳以上が対象で、若い人にそのまま当てはまるかはわかりません。日記は自己申告です。

Ellisら(2021)[2]

一時的な不眠の140人と、よく眠れている737人を比べ、1か月後にどうなったかを調べました。1か月後に答えた129人のうち、60.5%(78人)は自然に回復していました。不眠が続くことを予測したのは、過去にも不眠になったことがあること、落ち込みの強さ、そして「眠れないことへの心配や考え込み」の強さでした。

対象: イギリス北部の一般の大人 / 限界: 1か月後の追跡だけで、人数も多くありません。性格やストレスの多さは、不眠が続くかどうかを予測しませんでした。

Boyleら(2026)[3]

「眠れなかった分、次の夜に長く布団に入る」ことが不眠を長引かせる、という説を、1,243人の最長1年分の日記で確かめました。平日に眠れなかった翌晩、布団にいる時間はほとんど増えていませんでした(平均の差は5分未満)。週末はむしろ、どの組でも減っていました。著者らは、この説だけでは不眠が長引く理由を説明しにくいと結論づけています。

対象: Perlisら(2020)と同じ研究の参加者(平均53.2歳) / 限界: 昼寝や、布団に入ってから眠ろうとするまでの時間は数えていません。数晩続いた後の変化は見落としている可能性があります。

Ellisら(2015)[4]

3か月未満の不眠に悩む40人を2組に分けました。片方は、睡眠の仕組みの説明と、布団にいる時間を実際に眠れている時間に合わせる方法などを、1回60〜70分で教わり、冊子を受け取りました。1か月後、不眠の点数が回復の目安を下回った人は、この組で60%(20人中12人)、何もしない組で15%(20人中3人)でした。

対象: 平均32.9歳の大人40人 / 限界: 小さな試験で、追跡は1か月です。著者らは、ほかの研究で確かめ直す必要があるとしています。

72.4%

1年間の研究で、一時的な不眠になった後、自然に元の眠りに戻った人の割合[1]

よく言われる対処を、研究に照らすと次のようになります。

よくある対処研究でわかっていること
次の夜に早く寝て取り返す実際には、眠れなかった翌晩に布団の時間はほとんど増えていなかった。不眠を長引かせる主な原因とは言いにくい[3]
眠れないことを心配し続ける心配や考え込みが強い人ほど、1か月後も不眠が続いていた[2]
布団の時間を眠れる時間に合わせる1回の指導で回復が増えた試験の中身の1つ[4]。長く続く不眠の治療でも勧められている[5]

03 今日からできる小さな一歩眠れなかった翌日と次の夜は、どう過ごす?

朝はいつもの時刻に起き、夜は眠くなってから布団に入ります。眠れなかった分を取り返そうとせず、「一晩くらいは多くの人が経験する」と考えて、心配を大きくしないことが基本です。

1

朝はいつもの時刻に起きる

寝坊して取り返したくなりますが、起きる時刻をそろえると、次の夜に眠気がたまりやすくなります。1回の指導の試験でも、布団を出る時刻を決めて守ることが指導に含まれていました[4]。

所要 0分(目覚ましをいつもの時刻のままにする)

2

日中の眠気は、短い仮眠でしのぐ

眠くて仕事にならないときは、長く寝込まず短い仮眠にとどめます。寝不足の翌日の立て直し方は寝不足の翌日の集中の研究にまとめています。

所要 15〜20分

3

次の夜は、眠くなってから布団に入る

「早く寝なきゃ」と眠くないうちに布団に入ると、眠れない時間が長くなります。いつもの寝る時刻を目安に、まぶたが重くなってから入ります。

所要 いつもの就寝時刻まで

4

眠れなければ、いったん布団を出る

15分ほどたっても眠れないときは、布団の外で静かに過ごし、眠くなったら戻ります(布団から出る「刺激制御法」の研究)。

所要 眠くなるまで

5

眠れたかどうかを、毎朝1行だけ書く

寝た時刻、起きた時刻、眠れた感じを書きます。1回の指導の試験でも、日記で自分の眠りをつかむことが最初の一歩でした[4]。記録すると、不眠が「たまに」なのか「続いている」のかが見えます。

所要 1分

04 続けるためのコツ眠れない夜が続くときは、どうすればいい?

週3日以上の不眠が何週間も続くなら、睡眠の専門の医療機関に相談する目安です。長く続く不眠には、睡眠の専門家による認知行動療法が最初の治療として強く勧められています。

不眠に加えて、気分の落ち込みが続く、日中の生活に大きく差し支えるといったときは、早めに医師に相談してください。過去に不眠になったことがある人や落ち込みが強い人は、不眠が続きやすい傾向がありました[2]。

05よくある質問

眠れなかった次の日は、早く寝たほうがいいですか?

眠くないうちに早く布団に入る必要はありません。眠くないまま布団にいる時間が長くなると、眠れない時間が増えてしまいます。いつもの就寝時刻を目安に、眠くなってから入るのが基本です。なお1,243人の日記の研究では、眠れなかった翌晩に布団の時間はほとんど増えておらず、「早寝で取り返す」ことが不眠を長引かせる主な原因とは言いにくい結果でした。

一晩眠れないと、不眠症になってしまいますか?

多くの場合はなりません。よく眠れていた1,248人を1年追った研究では、一時的な不眠になった人のうち72.4%が自然に元の眠りに戻り、長く続く不眠になったのは全体の1.8%でした。一晩の不眠は多くの人が経験することです。

どのくらい続いたら病院に行くべきですか?

目安の1つは、週3日以上の不眠が数週間以上続くことです。不眠症の診断では、週3日以上の不眠が3か月以上続くと長く続く不眠とされます。それより前でも、日中の生活に差し支えるとき、気分の落ち込みが続くときは、早めに相談してかまいません。3か月未満の不眠でも、1回の指導で回復が増えた試験があります。

出典

  1. Perlis ML, Vargas I, Ellis JG, et al. (2020). The Natural History of Insomnia: the incidence of acute insomnia and subsequent progression to chronic insomnia or recovery in good sleeper subjects. Sleep, 43(6). https://doi.org/10.1093/sleep/zsz299
  2. Ellis JG, Perlis ML, Espie CA, et al. (2021). The natural history of insomnia: predisposing, precipitating, coping, and perpetuating factors over the early developmental course of insomnia. Sleep, 44(9). https://doi.org/10.1093/sleep/zsab095
  3. Boyle JT, Morales KH, Vargas I, et al. (2026). The Natural History of Insomnia: Sleep Opportunity Extension Following a Poor Night of Sleep Is Not Related to the Transition From Acute to Chronic Insomnia. Journal of Sleep Research, 35(4), e70304. https://doi.org/10.1111/jsr.70304
  4. Ellis JG, Cushing T, Germain A. (2015). Treating Acute Insomnia: A Randomized Controlled Trial of a "Single-Shot" of Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia. Sleep, 38(6), 971-978. https://doi.org/10.5665/sleep.4752
  5. Edinger JD, Arnedt JT, Bertisch SM, et al. (2021). Behavioral and psychological treatments for chronic insomnia disorder in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. Journal of Clinical Sleep Medicine, 17(2), 255-262. https://doi.org/10.5664/jcsm.8986