気分・ストレス

嫌なことが頭から離れないとき、どう立て直す?「反芻」から抜け出す方法を研究で調べた

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湖のほとりの静かな風景
Photo: Julian Herzog (Website) / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

嫌なことがあった日、その場面が何度も頭の中で再生されて止まらない。考えるのをやめようとするほど、かえって浮かんでくる。こうした「反芻(はんすう)」は、多くの人が経験するものです。研究では、気分をいったん別のことに移すことと、少し離れた視点から振り返ることが、立て直しの助けになると報告されています。

3行でわかる

  1. くよくよ考え続けると、その場で気分も考え方も悪くなりやすい。60人の実験では、気晴らしをした人のほうが落ち込みが早く和らいだ。
  2. 自分を外から見るように振り返ると、同じ出来事を考えてもつらさが増えにくい。25件の実験をまとめた結果、効果は小さめだが一貫していた。
  3. 考えるのを「やめる」より「時間と場所を決めて後で考える」。53人の試験で、1日30分の心配タイムは、比べた方法より心配や不眠を減らした。

01 悩みの正体嫌なことを何度も考えてしまうのはなぜ?

反芻は、気になる問題に心が引っかかったまま、同じことを抽象的にくり返し考えてしまう状態です。研究者は、くり返すうちに一種の「くせ」になって続くと考えています。

「なんであんなことを言ったんだろう」「自分はいつもこうだ」。反芻の特徴は、具体的な解決策ではなく、ぼんやりした大きな問いをぐるぐる回ることです。

WatkinsとRobertsのレビューは、反芻が落ち込んだ気分を強めて長引かせ、問題解決のじゃまをすると整理しています。そして、うまくいかない目標にこだわる考え方が、抽象的に考える「くせ」として身についていくというモデルを提案しました[1]。

つまり、考え続けてしまうのは性格が弱いからではありません。脳が問題を片付けようとして空回りしている状態に近いのです。

02 科学的にわかっていること反芻から抜け出すのに、何が効くと確かめられている?

短期的には、別のことに注意を移す「気晴らし」と、自分を少し離れた視点から見る「自己距離化」に効果が報告されています。ただしどちらも効果は小さめで、長く続くかはまだはっきりしていません。

Kuehnerら(2009)[2]

大学生60人に落ち込んだ気分を引き起こしたあと、「反芻する」「気晴らしをする」「マインドフルに自分に注意を向ける」の3つに分けました。反芻に比べて、気晴らしは落ち込んだ気分の回復をはっきり早めました。マインドフルな注意には、この差が見られませんでした。反芻した人だけ、「自分はだめだ」のような否定的な思い込みが強まりました。

対象: 大学生60人、実験室での1回の実験 / 限界: 短い時間の気分の変化を測ったもので、長期の効果はわかりません。

Kuehnerら(2023)[3]

うつ病から回復した人32人と健康な人32人に、4日間の日常生活の中で、短い反芻とマインドフルな注意を何度か行ってもらいました。反芻のほうが、その直後の気分と考え方を悪くしました(すべて p<.001)。ただし、その影響がその日のうちに長く続く様子は見られませんでした。

対象: 64人(回復した人19〜55歳、健康な人21〜54歳) / 限界: 唾液のストレスホルモン(コルチゾール)には差がありませんでした。

Krossら(2005)[4]、Murdochら(2023)[5]

怒りを感じた出来事を思い出すとき、自分を少し離れた場所から眺めるようにして「なぜ」を考えると、つらい気持ちをよみがえらせずに振り返れました(2つの実験)。その後の25件の実験(2,397人)をまとめたメタ分析でも、離れた視点で振り返るほうが有利で、効果量は g=0.19と小〜中程度でした。

対象: 18〜65歳の大人の実験 / 限界: メタ分析の著者らは、研究の質や偏りから「効果にはまだ不確かさがある」と述べています。

Wiscoら(2015)[6]

PTSDのある退役軍人48人では、離れた視点でトラウマを振り返ると心拍や汗の反応の上昇は防げましたが、本人が感じるつらさには差がありませんでした。著者らは、深い心の傷では、この方法の主観的な効果は届かないかもしれないとしています。

対象: PTSDと診断された48人 / 限界: 日常の嫌な出来事とは重さが違う、特定の集団での結果です。

03 今日からできる小さな一歩頭から離れない夜、具体的に何をすればいい?

まず10分ほど没頭できる別の作業に移り、それでも浮かぶなら自分を名前で呼んで外から眺めます。残った心配は、翌日の決まった時間に回します。

1

手と頭を使う作業に10分だけ移る

皿洗い、パズル、短い散歩など、注意が自然に向く作業を選びます。気晴らしは反芻よりも気分の回復を早めました[2]。体を動かすのも一つの手です(短い運動と気分の研究)。

所要 10分

2

自分を名前で呼んで振り返る

「私はなぜ」ではなく、「〇〇さんは、なぜあのとき腹が立ったんだろう」と、少し離れた場所から自分を眺めるつもりで考えます。出来事を思い出しても、つらさが増えにくくなります[4][5]。

所要 3〜5分

3

「心配タイム」を明日に予約する

毎日同じ時間・同じ場所で30分だけ考える時間を決め、それ以外の時間に浮かんだら「その時間に考える」とメモして先送りします。心配しやすい53人の試験では、2週間でこの方法が、比べた方法(心配を避けないよう促すだけ)より心配・不安・不眠を減らしました(落ち込みには差がありませんでした)[7]。寝る前に書き出すのも有効です(寝る前のToDoリストの研究)。

所要 1日30分まで

04 続けるためのコツそれでも考えてしまう日は、どう向き合えばいい?

考えてしまった自分を責めないことです。反芻は誰にでも起きるくせで、1回で止められなくても失敗ではありません。続くようなら専門家に相談する選択肢もあります。

05よくある質問

嫌なことを何度も思い出してしまうのは病気ですか?

嫌な出来事を何度か思い出すのは、多くの人に起きることです。ただし反芻は、落ち込みや不安、不眠を強めることがわかっています。何週間も続いて生活に支障が出ているときは、専門家に相談するのがよいでしょう。

考えないようにすれば、反芻は止まりますか?

「考えるな」と自分に言い聞かせるより、注意を別の作業に移すほうが現実的です。60人の実験では、気晴らしをした人のほうが落ち込みが早く和らぎました。考える時間を後に決めて先送りする方法も、53人の試験で心配を減らしました。

気晴らしは問題から逃げているだけでは?

気晴らしは、問題を解決する方法ではなく、気分が落ち着くまでの時間かせぎです。気分が戻ってから、離れた視点で振り返ったり、決めた時間に具体的な対策を考えたりすると、空回りしにくくなります。

出典

  1. Watkins, E. R., & Roberts, H. (2020). Reflecting on rumination: Consequences, causes, mechanisms and treatment of rumination. Behaviour Research and Therapy, 127, 103573. https://doi.org/10.1016/j.brat.2020.103573
  2. Kuehner, C., Huffziger, S., & Liebsch, K. (2009). Rumination, distraction and mindful self-focus: Effects on mood, dysfunctional attitudes and cortisol stress response. Psychological Medicine, 39(2), 219-228. https://doi.org/10.1017/S0033291708003553
  3. Kuehner, C., Schricker, I. F., Nayman, S., Reinhard, I., Zamoscik, V., Kirsch, P., & Huffziger, S. (2023). Effects of rumination and mindful self-focus inductions during daily life in patients with remitted depression: An experimental ambulatory assessment study. Behavior Therapy, 54(5), 902-915. https://doi.org/10.1016/j.beth.2023.04.002
  4. Kross, E., Ayduk, O., & Mischel, W. (2005). When asking "why" does not hurt: Distinguishing rumination from reflective processing of negative emotions. Psychological Science, 16(9), 709-715. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2005.01600.x
  5. Murdoch, E. M., Chapman, M. T., Crane, M., & Gucciardi, D. F. (2023). The effectiveness of self-distanced versus self-immersed reflections among adults: Systematic review and meta-analysis of experimental studies. Stress and Health, 39(2), 255-271. https://doi.org/10.1002/smi.3199
  6. Wisco, B. E., Marx, B. P., Sloan, D. M., Gorman, K. R., Kulish, A. L., & Pineles, S. L. (2015). Self-distancing from trauma memories reduces physiological but not subjective emotional reactivity among Veterans with posttraumatic stress disorder. Clinical Psychological Science, 3(6), 956-963. https://doi.org/10.1177/2167702614560745
  7. McGowan, S. K., & Behar, E. (2013). A preliminary investigation of stimulus control training for worry: Effects on anxiety and insomnia. Behavior Modification, 37(1), 90-112. https://doi.org/10.1177/0145445512455661
  8. Querstret, D., & Cropley, M. (2013). Assessing treatments used to reduce rumination and/or worry: A systematic review. Clinical Psychology Review, 33(8), 996-1009. https://doi.org/10.1016/j.cpr.2013.08.004