集中力

寝不足の翌日、集中力をどう立て直す? 睡眠不足と眠気対策の研究でわかったこと

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テーブルの上のコーヒーカップ
Photo: Ssu / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

昨夜はよく眠れなかった。それでも今日は仕事や勉強がある。そんな日は、気合いで乗り切ろうとしてもぼんやりしがちです。研究では、寝不足でいちばん落ちるのは「単純な注意」で、自分の眠気の感覚はその落ち方を正しく教えてくれないことがわかっています。寝不足の日は、ミスの起きやすい作業に確認を足し、カフェインと短い仮眠を組み合わせると立て直しやすくなります。

3行でわかる

  1. 寝不足の影響を70本の論文でまとめた分析では、いちばん大きく落ちたのは単純な注意の「抜け」で、推論の正確さはほとんど落ちなかった。
  2. 14日間の実験では、睡眠を6時間以下に削ると作業の成績は落ち続けたのに、本人の眠気の感じ方はあまり変わらなかった。
  3. カフェイン200mgのあとに15分未満の仮眠をとると、運転中の居眠りによるミスが、何もしない条件(偽薬)の9%まで減った。

01 悩みの正体寝不足の日に集中できないのはなぜ?

寝不足になると、ぼんやりして反応が抜け落ちる「注意の抜け」が増えるからです。考える力そのものより、単調な作業で注意を保ち続ける力のほうが大きく落ちます。

寝不足の日は、頭が回らないというより「気づいたら同じ行を読んでいた」「メールの宛先を見落とした」という形で困ることが多いはずです。

これは研究で見られる落ち方と重なります。睡眠が足りないと、反応がすっと抜け落ちる瞬間(研究では「ラプス」と呼びます)が増えます。一方で、じっくり考えて正解を出す力は、思ったほど落ちません。

つまり寝不足の日にまず崩れるのは、ずっと注意を向け続ける作業です。確認、見直し、入力、運転のような、単調でミスが目立たない作業ほど危なくなります。

02 科学的にわかっていること寝不足で落ちる力と、落ちにくい力は?

寝不足で最も大きく落ちたのは単純な注意の抜けで、推論の正確さはほとんど落ちませんでした。眠気の自覚は当てにならず、カフェインと短い仮眠の組み合わせが眠気をよく抑えました。

Lim・Dinges(2010)[1]

48時間未満の徹夜が考える力に与える影響を、70本の論文(147の課題)でまとめたメタ分析です。いちばん大きく落ちたのは単純な注意の「抜け」(効果量 g = −0.776)でした。推論の正確さの低下は小さく、統計的にはっきりした差になりませんでした(g = −0.125)。

対象: 健康な成人を徹夜させた実験のまとめ / 限界: 主に一晩の徹夜の研究で、「少し眠りが短かった」程度の寝不足とは条件が違います。

Van Dongenら(2003)[2]

健康な成人48人が参加し、1晩の睡眠を4時間・6時間・8時間に分けて14日間すごす実験と、3晩眠らない実験が行われました。4時間と6時間の人は、注意などの成績が日ごとに落ち続け、6時間以下の睡眠は最大で2晩の徹夜に相当する低下になりました。一方、本人の眠気の評価は最初に上がったあと少ししか増えず、6時間と4時間の違いも見分けられませんでした。

対象: 21〜38歳の健康な成人48人(2つの実験の合計、実験室で管理) / 限界: 毎晩の睡眠を厳密に決めた実験で、日常の寝不足とは条件が違います。

Reyner・Horne(1997)[3]

眠気のある12人に、30分の休憩で次のどれかをしてもらい、その後2時間の単調な運転シミュレーターを午後に行いました。カフェイン200mgと15分未満の仮眠を組み合わせると、居眠りによる運転ミスは偽薬の9%まで減りました。カフェインだけでは34%でした。眠り込めずにうとうとしただけの仮眠でも効果がありました。

対象: 眠気のある12人 / 限界: 人数が少ない実験室での研究です。

Hayashiら(2003)[4]

10人の若い成人が、12時40分に20分の昼寝をとる条件などを比べました。カフェイン200mgをとってから昼寝をする組み合わせが、眠気と作業の成績の両方で最もよく、効果は昼寝の後1時間続きました。昼寝の直後に明るい光を浴びる方法も眠気には同じくらい効きましたが、成績では及びませんでした。顔を洗う方法の効果は軽く、短時間でした。

対象: 健康な若い成人10人 / 限界: 小規模な実験で、昼食後の眠気を調べたものです。前の晩に寝不足だった人を対象にしたものではありません。

McLellanら(2016)[5]

カフェインの研究をまとめたレビューです。低い量(約40mg)から中くらいの量(約300mg)で、覚醒度、注意、反応の速さが改善しました。一方、記憶や判断のような複雑な働きへの効果は一貫していませんでした。睡眠が削られる状況では、カフェインをくり返しとることが力を保つ方法として有効だとしています。

対象: カフェインと認知・身体能力の研究のまとめ / 限界: 軍や交代勤務など、仕事の場面の研究が多く含まれます。

効果量(g)は、差の大きさを表す数字です。0.8前後なら「大きい」、0.2前後なら「小さい」と読むのが目安です。

03 今日からできる小さな一歩寝不足の翌日、集中を立て直すには?

見落としが起きやすい単純作業に確認を足し、考える作業を先に回します。午後の眠気が来る前に、カフェインをとってから15〜20分の短い仮眠をとるのが、研究で最も効いた組み合わせです。

1

「平気」と感じても、確認を1回足す

眠気の自覚は、成績の落ち方を正しく映しませんでした[2]。送信前の見直し、数字の入力、提出物のチェックには、読み上げや指差しなど確認の手順を1つ足します。

所要 1回30秒

2

考える作業と単調な作業の順番を入れ替える

推論の正確さは寝不足でもあまり落ちませんでした[1]。企画を考える、問題を解くといった作業は比較的進めやすいので先に回し、長時間の確認作業は短く区切るか、眠気の弱い時間に回します。

所要 予定の見直し5分

3

コーヒーを飲んでから、15〜20分だけ仮眠する

研究で使われたカフェイン200mgをとってからすぐ横になり、15〜20分で起きます[3][4]。眠れずにうとうとするだけでも効果が見られました。昼寝の長さについては昼寝は何分がいいかの研究も参考になります。

所要 20〜30分

4

仮眠のあとは明るい場所に出る

昼寝の直後に明るい光を浴びると、眠気がカフェインと同じくらい抑えられました[4]。窓ぎわや屋外に1分出るだけでも試せます。

所要 1分

04 続けるためのコツ寝不足の日を、くり返さないためには?

その日を乗り切る工夫は、睡眠の代わりにはなりません。カフェインは早めの時間に切り上げ、今夜の睡眠を守ることが、翌日の集中力をいちばん確実に取り戻す方法です。

05よくある質問

寝不足の日は、コーヒーを何杯も飲めば大丈夫ですか?

カフェインは注意力や反応の速さを高めますが、記憶や判断のような複雑な働きへの効果ははっきりしません。研究で効果が見られたのは低い量から中くらいの量(約40〜300mg)でした。夕方以降に飲むと今夜の睡眠を削り、寝不足が続く原因になるので、飲むなら午後の早い時間までにします。

寝不足でも、自分では平気だと感じるのはなぜですか?

睡眠を4〜6時間に削った14日間の実験では、作業の成績は日ごとに落ち続けたのに、本人の眠気の評価は最初に上がったあとほとんど変わりませんでした。眠気の感覚は、集中力の落ち方を正しく教えてくれないことがあります。平気だと感じても、ミスが出やすい作業には確認を足すのが安全です。

仮眠をとる時間がないときは、どうすればいいですか?

仮眠のあとに明るい光を浴びたり顔を洗ったりする方法も調べられていますが、どれも仮眠と組み合わせた実験です。仮眠がとれない日は、カフェインを早めの時間にとり、見落としが起きやすい単純な確認作業を眠気の強い時間帯から外すのが現実的です。運転中に眠気を感じたら、無理をせず安全な場所で休んでください。

出典

  1. Lim, J., & Dinges, D. F. (2010). A meta-analysis of the impact of short-term sleep deprivation on cognitive variables. Psychological Bulletin, 136(3), 375-389. https://doi.org/10.1037/a0018883
  2. Van Dongen, H. P. A., Maislin, G., Mullington, J. M., & Dinges, D. F. (2003). The cumulative cost of additional wakefulness: Dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep, 26(2), 117-126. https://doi.org/10.1093/sleep/26.2.117
  3. Reyner, L. A., & Horne, J. A. (1997). Suppression of sleepiness in drivers: Combination of caffeine with a short nap. Psychophysiology, 34(6), 721-725. https://doi.org/10.1111/j.1469-8986.1997.tb02148.x
  4. Hayashi, M., Masuda, A., & Hori, T. (2003). The alerting effects of caffeine, bright light and face washing after a short daytime nap. Clinical Neurophysiology, 114(12), 2268-2278. https://doi.org/10.1016/S1388-2457(03)00255-4
  5. McLellan, T. M., Caldwell, J. A., & Lieberman, H. R. (2016). A review of caffeine's effects on cognitive, physical and occupational performance. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 71, 294-312. https://doi.org/10.1016/j.neubiorev.2016.09.001