早く寝ると決めたのに、また夜ふかし。寝る時間の先延ばしが何度もくり返すときは? 研究でわかった立て直し方

今夜こそ早く寝ようと決めたのに、気づけばまた深夜。翌朝は眠くて自己嫌悪、そして夜になるとまた同じことをくり返す。寝る時間を先延ばしするのは、意志が弱いからだけではありません。研究では、先延ばしする「理由」が人によって違い、理由に合った手を打つことが立て直しの手がかりになると考えられています。
3行でわかる
- 決めた時刻より遅く寝ることは珍しくありません。大学生104人の2週間の記録では、全体の54%の夜で予定より遅く寝ていました。
- 遅く寝た分は翌朝の寝坊で取り戻されず、睡眠が約0.9時間短くなり、翌朝の気分と眠気も悪くなっていました。
- 理由は「時間を忘れる」「自分の時間がほしい」「どうせ眠れない」などに分かれます。理由を1週間メモし、毎晩寝る時刻を決めるところから立て直します。
01 悩みの正体寝るのを先延ばしするのは、意志が弱いから?
意志の強さとの関係はありますが、それだけではありません。同じ「夜ふかし」でも、時間を忘れる、自分の時間を取り戻したい、どうせ眠れない、と理由が分かれます。
決めた時刻に寝られず、特に外せない用事もないのに夜ふかししてしまう。この行動は「就寝の先延ばし(ベッドタイム・プロクラスティネーション)」と名づけられています。Kroeseら(2014)が177人の調査で初めて研究の対象にし、自己管理の力が弱い人ほど起きやすく、睡眠不足と結びついていたと報告しました[1]。
ただ、理由は一つではありません。Nautsら(2019)は、夜ふかしをくり返す17人に詳しく話を聞き、理由を3つに分けました[5]。下の表は、その3つと、それぞれに合いそうな最初の一歩を整理したものです。
| タイプ[5] | よくある気持ち | 最初の一歩(この記事の整理) |
|---|---|---|
| わざと先延ばし | 一日がんばったのだから、自分の時間がほしい | 「自分の時間」を夜の早い時間に予定として入れる |
| うっかり先延ばし | 動画やスマホに夢中で、時間を忘れていた | 寝る準備を始める時刻にアラームをかける |
| 眠れないから遅らせる | 早く布団に入っても眠れないので、眠くなるまで起きている | 不眠のサインかもしれません。睡眠の相談先や、眠れないときの対処を確かめる |
3つ目は、本人は「先延ばし」と思っていても、実は不眠と関係している可能性があると研究者は指摘しています[5]。
02 科学的にわかっていること夜ふかしの翌朝、寝坊で取り戻せる?
取り戻せないことが多いです。予定より遅く寝た夜は、起きる時刻がほとんど遅くならず、その分だけ睡眠が短くなっていました。
Kokら(2026)[3]
大学生104人の睡眠を、腕につける計測器で2週間はかりました。全体の54%の夜で、予定より遅く寝ていました。そうした夜は起きる時刻が遅くならず、睡眠が授業のある日で0.91時間、休みの前日でも0.86時間短くなりました。翌朝の気分と日中の眠気も、遅く寝なかった夜の後より悪くなっていました。
対象: 寮で暮らす大学生104人 / 限界: 観察研究のため、気分の悪化が夜ふかしだけによるとは言い切れません。
この研究を紹介した論説では、遅く寝た理由で最も多かったのが「時間を忘れていた」(32.6%)、次が「自分の時間がほしかった」(20%)だったと紹介されています[4]。夜ふかしの多くは、強い意志で決めたものではなく、気づいたら過ぎていたものだとわかります。
Hillら(2022・メタ分析)[2]
43本の研究をまとめると、就寝の先延ばしが多い人ほど、睡眠時間が短く、睡眠の質が低く、日中に疲れやすい傾向がありました(いずれも中程度の関連)。自己管理の力が弱いこと、夜型であることとも中程度に関連していました。
対象: 43本の研究 / 限界: 多くが一時点の調査で、研究の質の評価は「低い」でした。どちらが原因かはまだわかっていません。
03 今日からできる小さな一歩何度も失敗した夜ふかし、どう立て直す?
まず1週間、遅くなった理由を一言メモします。そのうえで毎晩「今日は何時に寝るか」を決めます。計画した日は寝る時刻が早く、睡眠が長くなっていました。
遅くなった理由を一言メモする
翌朝、「動画で時間を忘れた」「自分の時間がほしかった」「眠れなかった」のように一言だけ書きます。理由がわかると、上の表のどのタイプに近いかが見えてきます。夜ふかしの理由(働き)を調べてから対策を選ぶ方法は、効果を確かめた試験でも使われていました[6]。
所要 1日30秒・1週間
毎晩「何時に寝るか」を決める
大学生119人を2〜4週間追った研究では、寝る時刻を計画したのは1週間に1日ほど(中央値0.93日)でした。計画した日は、しなかった日より約12分早く寝て、睡眠も約12分長くなっていました[7]。夕方に一度、今夜の就寝時刻を決めておきます。
所要 1分
タイプに合わせて一つだけ変える
「時間を忘れる」なら、寝る準備を始める時刻にアラームをかけます。「自分の時間がほしい」なら、好きなことをする時間を夜の早い時間に予定として入れます。寝る前のスマホとの付き合い方は寝る前のスマホと睡眠の研究も参考になります。
所要 5分
「計画より遅れる」前提で、少し早めに決める
同じ研究では、計画した日でも平均で46分ほど計画より遅く寝ていました[7]。遅れる理由で多かったのは、勉強や仕事と、スマホなどでの娯楽でした。目標の時刻より少し早めに準備を始めるくらいがちょうどよいかもしれません。
所要 0分(決め方を変えるだけ)
04 続けるためのコツそれでもくり返すときはどうする?
自分を責めるより、次の夜の作戦を変えます。くり返す場合は、専門家と取り組むプログラムで先延ばしが減った試験があります。眠れないから遅らせている人は、不眠の相談も検討してください。
- 1回の失敗で計画を捨てない: 失敗した夜の後の気持ちの立て直し方は先延ばしの後、自分を許す研究にまとめています。
- 悪い夜の翌日の過ごし方: 寝坊や長い昼寝で取り戻そうとすると、次の夜に響くことがあります。翌日の整え方は眠れなかった翌日の立て直し方を参考にしてください。
- 人と一緒に取り組む方法もある: 不眠のない若い大人60人の試験では、夜ふかしの理由を調べてから行動を変えるプログラムで、先延ばしの尺度が35.56%下がり、予定より遅く寝る時間が約46分短くなりました(待機した人たちとの比較)[6]。イランの大学生32人の小さな試験でも、気持ちの扱い方を学ぶ20回の認知行動療法で、3か月後まで改善が続きました[9]。
- 効果がはっきりしない方法もある: 寝る前の画面時間を減らすオンラインプログラムを、社会人になったばかりの55人で試した試験では、対照群も含めてすべての群で画面時間が1日約23分減り、睡眠が約13分増えました[8]。プログラムそのものの効果は、この試験では切り分けられていません。
05よくある質問
「リベンジ夜ふかし」とは?
一日の忙しさの埋め合わせに、わざと寝る時間を遅らせて自分の時間を取り戻そうとする夜ふかしのことです。研究では「わざと先延ばし」と呼ばれ、17人への聞き取り調査で、時間を忘れるタイプや、眠れないから遅らせるタイプと区別されています。
夜ふかしした分は、次の朝に寝坊すれば取り戻せる?
取り戻せないことが多いです。大学生104人を2週間はかった研究では、予定より遅く寝た夜は起きる時刻がほとんど遅くならず、睡眠が約0.9時間短くなり、翌朝の気分と眠気も悪くなっていました。
寝る時間を決めても守れません。決める意味はある?
あります。大学生119人の研究では、寝る時刻を計画した日は、しなかった日より約12分早く寝て、睡眠も約12分長くなっていました。ただし計画しても平均46分ほど遅れていたので、目標より早めに準備を始めるのがおすすめです。
早く布団に入っても眠れないから、遅くまで起きてしまいます。
その場合は「先延ばし」より不眠と関係している可能性があると研究者は指摘しています。眠れない日が続くなら、医療機関や睡眠の専門家に相談してください。
出典
- Kroese, F. M., De Ridder, D. T. D., Evers, C., & Adriaanse, M. A. (2014). Bedtime procrastination: introducing a new area of procrastination. Frontiers in Psychology, 5, 611. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2014.00611
- Hill, V. M., Rebar, A. L., Ferguson, S. A., Shriane, A. E., & Vincent, G. E. (2022). Go to bed! A systematic review and meta-analysis of bedtime procrastination correlates and sleep outcomes. Sleep Medicine Reviews, 66, 101697. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2022.101697
- Kok, V. J., Chua, S., Yabuki, H., Rukmini, A. V., Sreenivasulu, B., & Gooley, J. J. (2026). Going to bed later than intended is associated with shorter sleep and poorer next-day mood and sleepiness in residential college students. SLEEP, 49(5), zsaf414. https://doi.org/10.1093/sleep/zsaf414
- Suh, S. (2026). Why we postpone sleep: bedtime procrastination beyond self-control failure. SLEEP, 49(5), zsag061. https://doi.org/10.1093/sleep/zsag061
- Nauts, S., Kamphorst, B. A., Stut, W., De Ridder, D. T. D., & Anderson, J. H. (2019). The explanations people give for going to bed late: a qualitative study of the varieties of bedtime procrastination. Behavioral Sleep Medicine, 17(6), 753-762. https://doi.org/10.1080/15402002.2018.1491850
- Jeoung, S., Jeon, H., Yang, H.-C., An, H., & Suh, S. (2023). A randomized controlled trial of a behavioral intervention for decreasing bedtime procrastination using a wait-list control group in a non-clinical sample of young adults. Sleep Medicine, 108, 114-123. https://doi.org/10.1016/j.sleep.2023.06.001
- Pu, Z., Ng, A. S. C., Suh, S., Chee, M. W. L., & Massar, S. A. A. (2025). Failing to plan: Bedtime planning, bedtime procrastination, and objective sleep in university students. Sleep Medicine, 132, 106556. https://doi.org/10.1016/j.sleep.2025.106556
- Hill, V. M., Ferguson, S. A., Rebar, A. L., Meaklim, H., & Vincent, G. E. (2025). A randomised pilot trial for bedtime procrastination: Examining the efficacy and feasibility of the Reducing Evening Screen Time online intervention (REST-O). Sleep Medicine, 129. https://doi.org/10.1016/j.sleep.2025.02.043
- Rasouli, A., Soumee, Z. N.-E., Pourali, H., Jam, M. M., & Saed, O. (2025). Transdiagnostic CBT for bedtime procrastination: a pilot randomized controlled trial targeting behavioral, cognitive, and emotional dimensions. BMC Psychology, 13, 787. https://doi.org/10.1186/s40359-025-03131-y


