SNSをやめると幸福度は上がるのか。「やめる期間」で変わった研究

気づけば何時間もSNSを見ていて、なんだか疲れてしまう。いっそやめてしまおうか、と考えたことがある人もいるでしょう。研究を見ると、SNSを一定期間やめたり減らしたりすると、気分が良くなることがわかっています。ただし、やめる期間が短すぎると、かえって逆効果になることもありました。
3行でわかる
- 154人の実験では、1週間SNSをやめた人は、ふだんどおり使った人より、幸福感が上がり、うつや不安が下がった。
- 大学生143人の実験では、SNSを1つにつき1日10分、合計1日約30分に制限した人は、3週間で孤独感とうつが減った。
- SNSを減らす実験をまとめた再分析では、1週間未満のSNS断ちは気分をかえって悪くし(d=-0.175)、1週間以上で改善していた(d=0.156)。
01SNSと気分の関係は、「使い方」と「期間」で変わる
SNSを減らすと気分が良くなることを示した実験は複数あります。ただし、効果は大きくはなく、やめる期間によって結果が逆になることもあります。
SNSをよく使う人ほど気分が落ち込みやすい、という関係はよく知られています。ただ、それだけでは「SNSが原因で落ち込む」のか、「落ち込んでいる人がSNSを多く使う」のかはわかりません。
そこで研究者は、参加者をランダムに分けて、片方にだけSNSをやめたり減らしたりしてもらう実験を行ってきました。
これらの実験を合わせて見ると、全体の効果は小さく、はっきりしないという分析もあります。一方、やめる期間に注目すると、1週間以上やめたときに効果が見られるという結果が出てきました。
02科学的にわかっていること
1週間以上SNSをやめたり減らしたりすると、幸福感が上がり、うつや不安、孤独感が減っていました。1週間未満では、かえって悪化していました。
Lambertら(2022)[1]
154人(平均29.6歳)を、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、TikTokを1週間やめるグループと、ふだんどおり使うグループに分けた。1週間後、やめたグループは幸福感が上がり、うつと不安が下がっていた。効果の一部は、SNSを使う時間が減ったことで説明された。
対象: 154人 / 限界: 1週間の効果で、長期的な影響はわからない。
Huntら(2018)[2]
大学生143人を、Facebook、Instagram、Snapchatを1つにつき1日10分に制限するグループと、ふだんどおり使うグループに分け、3週間調べた。制限したグループは、孤独感とうつが減った。両グループとも、不安と取り残される不安(FOMO)は減っていた。
対象: アメリカの大学生143人 / 限界: 大学生に限られる。
Allcottら(2020)[3]
Facebookを4週間止めてもらうランダム化実験。止めた人は、オンラインの活動が減り、家族や友人と過ごすなどオフラインの活動が増え、主観的な幸福感が上がった。実験が終わった後も、Facebookの利用は大きく減ったままだった。
対象: アメリカのFacebook利用者 / 限界: 2018年の選挙前の時期に行われた実験。
Thrulら(2025)[4]
SNSを減らす実験27件をまとめ「効果はゼロと区別できない」とした先行のメタ分析(Ferguson, 2024)を、やめる期間に注目して再分析した。1週間未満のSNS断ちでは気分がかえって悪くなり(d=-0.175)、1週間以上では改善していた(d=0.156)。理想的な期間は3週間ほどの可能性があるとしている。
対象: SNSを減らす・やめる実験19〜20件 / 限界: 効果は小さく、最適な期間はまだ確定していない。
03今日からできる小さな一歩
SNSをやめるなら、少なくとも1週間は続けます。完全にやめるのが難しければ、1日30分程度に減らすのも一つの方法です。
期間を決めて、1週間以上やめる
「まず1週間」と期間を決めて、SNSアプリを削除するか、ログアウトします。研究では、1週間未満だとかえって気分が悪くなっていました。
所要 1週間〜3週間
やめられないなら、1日30分に制限する
スマホの利用時間の制限機能で、SNSアプリを1つにつき10分、合計30分程度に設定します。
所要 設定5分
空いた時間の使い方を決めておく
散歩、読書、人と会うなど、SNSの代わりにやることを先に決めておきます。
所要 5分
04続けるためのコツ
SNSを悪者にする必要はありません。期間を決めて距離をとってみて、自分の気分がどう変わるかを確かめてみてください。
- 最初の数日は落ち着かなかったり、取り残される不安を感じたりすることがあります。1週間は様子を見ます。
- 連絡手段として必要な場合は、メッセージ機能だけ残すなど、使い方を分ける方法もあります。
- SNSを見る時間帯を決めておくと、だらだら見を防げます。
- 気分の落ち込みや不安が強く続くときは、SNSを減らすだけで抱え込まず、医師や専門の医療機関に相談してください。
05よくある質問
SNSと気分について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。
SNSをやめると本当に気分が良くなる?
1週間以上やめると、幸福感が上がり、うつや不安が下がったという実験があります。ただし効果は大きくはなく、研究をまとめた分析では効果がはっきりしないという結果もあります。
何日くらいやめればいい?
少なくとも1週間が目安です。再分析では、1週間未満ではかえって気分が悪くなり、1週間以上で改善していました。3週間ほどが理想的な可能性も示されています。
完全にやめないといけない?
いいえ。大学生143人の実験では、SNSを1日約30分に制限しただけで、3週間で孤独感とうつが減っていました。
SNSをやめると何が変わるの?
Facebookを4週間止めた実験では、家族や友人と過ごすなどオフラインの活動が増え、幸福感が上がりました。実験後もSNSの利用は減ったままでした。
出典
- Lambert, J., Barnstable, G., Minter, E., Cooper, J., & McEwan, D. (2022). Taking a One-Week Break from Social Media Improves Well-Being, Depression, and Anxiety: A Randomized Controlled Trial. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 25(5), 287-293. https://doi.org/10.1089/cyber.2021.0324
- Hunt, M. G., Marx, R., Lipson, C., & Young, J. (2018). No More FOMO: Limiting Social Media Decreases Loneliness and Depression. Journal of Social and Clinical Psychology, 37(10), 751-768. https://doi.org/10.1521/jscp.2018.37.10.751
- Allcott, H., Braghieri, L., Eichmeyer, S., & Gentzkow, M. (2020). The Welfare Effects of Social Media. American Economic Review, 110(3), 629-676.(NBER Working Paper 25514) https://www.nber.org/papers/w25514
- Thrul, J., Devkota, J., AlJuboori, D., Regan, T., Alomairah, S., & Vidal, C. (2025). Social Media Reduction or Abstinence Interventions Are Providing Mental Health Benefits—Reanalysis of a Published Meta-Analysis. Psychology of Popular Media, 14(2), 207-209. https://scholar.usuhs.edu/en/publications/social-media-reduction-or-abstinence-interventions-are-providing-/