気分・ストレス

ストレスで体がこわばるときは? 力を入れて抜く「漸進的筋弛緩法」のやり方と時間を研究で調べた

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ベッドの上の枕とシーツ
Photo: Soap / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

締め切りや人間関係で気が張った日、気づくと肩が上がり、歯を食いしばっている。「力を抜いて」と言われても、どこをどう抜けばいいのかわかりません。研究では、先にわざと力を入れてから抜くほうが、力の抜けた感覚をつかみやすいとされます。この方法を「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」といいます。大学生60人の実験では、1回20分でリラックス感が高まりました。46件の研究のまとめでも、ストレスと不安が下がる結果が多く報告されています。

3行でわかる

  1. 漸進的筋弛緩法は、体の部位ごとに約5秒力を入れ、10秒ほどかけて抜くことをくり返す方法。1920年代にジェイコブソンが考えた。
  2. 大学生60人の実験では、20分の筋弛緩法・深呼吸・イメージ法のどれも、雑誌を読むだけの人よりリラックス感が高まった。46件・3,402人以上の研究のまとめでも、ストレスと不安の軽減が多く報告された。
  3. 1回5分の短い版でも試せる。長さや回数で効果ははっきり変わらなかった。ただし一般の大人を対象にした研究では、差が出なかったものもある。

01 悩みの正体ストレスがあると、なぜ体に力が入る?

ストレスを感じると、体は身構えて筋肉が固くなります。力が入っていること自体に気づきにくいため、「抜こう」と思っても抜けません。先に力を入れると、抜けた状態との違いがわかりやすくなります。

緊張した場面では、心臓が速く打ち、筋肉にも力が入ります。体が「いつでも動ける」状態になるからです。この状態が長く続くと、肩や首のこわばりとして残ります。

漸進的筋弛緩法は、エドモンド・ジェイコブソンが1920年代に考えた方法です[1]。手や肩などの部位ごとに、わざと力を入れてから一気にゆるめます。力を入れたときと抜いたときの違いを感じることで、「抜けた状態」を体で覚えていきます。

Toussaintら(2021)の論文は、この方法が二つの道すじで働くと説明しています。頭から筋肉に「力を入れる・抜く」と指示する道と、ゆるんだ筋肉の感覚が頭に返ってくる道です[1]。

02 科学的にわかっていること力を入れて抜く方法で、ストレスは本当に下がる?

下がるという結果が多く出ています。1回20分でリラックス感と体の落ち着きが高まった実験があり、46件の研究のまとめでもストレスと不安の軽減が多く報告されました。ただし差が出なかった研究もあります。

Toussaintら(2021)[1]

大学生60人を、筋弛緩法・深呼吸・イメージ法・雑誌を読むだけ(比較用)の4グループに分けました。音声の案内で20分行うと、3つの方法はどれも、雑誌を読んだ人よりリラックス感が高くなりました。3つの方法どうしに差はありませんでした。手の汗で測る体の興奮は、筋弛緩法で20分のあいだ下がり続けました。

対象: アメリカの大学生60人(平均19.6歳、女性71%)、夜7〜9時に1回だけ / 限界: 1回だけの実験で、効果がどれだけ続くかは調べていません。心拍数には、はっきりした差が出ませんでした。

Muhammad Khirら(2024)[2]

16か国・46件・3,402人以上の研究をまとめると、ストレスの軽減を示した研究が24件、不安が21件、気分の落ち込みが11件ありました(ほかの方法と組み合わせたものを含む)。1回の長さは5分から28分までで、長さや頻度の違いで結果ははっきり変わりませんでした。

対象: 医療者を対象にした研究が多い。気分の落ち込みの研究は高齢者や介護をする人が中心 / 限界: 効果の大きさを合算したメタ分析ではありません。不安で5件、ストレスで1件は差が出ず、特定の条件のない一般の大人で差が出にくい傾向がありました。

Bustamante-Sánchezら(2026)[3]

20代の男性63人が、あおむけで目を閉じ、20分の筋弛緩法を行いました。最中に心拍数が下がり、体が休むときに働く神経の指標(心拍のゆらぎ)が上がりました。終わったあとのストレスの感じ方も下がりました。

対象: スペインで運動を習慣にしている男性63人(平均23.8歳)。全員がヨガなどのリラックス法を半年以上経験 / 限界: 比べるグループがないため、変化がこの方法だけによるとは言い切れません。

Liら(2026)[4]

14件・957人のランダム化比較試験をまとめると、筋弛緩法で本人が感じる眠りの質が大きく改善しました(効果の大きさg=-1.24)。行った回数の多さと、効果の大きさには関係が見られませんでした。

対象: がん患者を含む大人 / 限界: 研究ごとのばらつきが大きく、結果が良い研究ほど公表されやすい偏りも見られました。補正すると効果は小さくなりました。55歳以上でははっきりした効果がありませんでした。

4つの研究で使われたやり方を並べると、次のとおりです。

研究1回の長さやり方結果
大学生60人[1]20分・1回音声の案内つきリラックス感が上がった。深呼吸・イメージ法と同程度
46件のまとめ[2]5〜28分毎日〜週数回ストレス・不安の軽減が多い。長さ・頻度で差なし
男性63人[3]20分・1回約5秒入れて10秒抜く、足から顔へ心拍が下がり、ストレス感も下がった
14件のまとめ[4]研究ごとに異なる回数は研究ごとに異なる眠りの質が改善。回数との関係なし

03 今日からできる小さな一歩漸進的筋弛緩法は、どんな手順でやればいい?

座るか横になり、部位ごとに約5秒、痛くない程度に力を入れ、10秒ほどかけて抜きます。足から顔まで順に進めると20分ほどです。時間がない日は、手・肩・顔だけの5分版で十分です。

1

楽な姿勢になり、目を閉じる

いすに深く座るか、あおむけに寝ます。研究ではあおむけで目を閉じて行いました[3]。呼吸はゆっくりで、特に意識しなくてかまいません。

所要 30秒

2

1か所に約5秒、力を入れる

たとえば両手をぎゅっと握ります。研究では「最大の8割くらいの力」で、痛みが出ないように注意していました[3]。力が入っている感覚に注意を向けます。

所要 5秒

3

10秒ほどかけて抜き、違いを感じる

ふっと力をゆるめ、じんわり温かい・重いといった感覚を味わいます。力を入れていたときとの違いに気づくことが、この方法の中心です[1][3]。

所要 10〜15秒

4

足から顔へ、部位を移していく

足とふくらはぎ、太もも、おなか、手と腕、肩、首、顔の順に進めます。研究では7つの部位を下から上へ順に行い、案内を含めて20分でした[3]。時間がない日は、手・肩・顔の3か所だけでもかまいません。研究で使われた最短の長さは5分でした[2]。

所要 5〜20分

04 続けるためのコツ筋弛緩法を続けるには、どう工夫する?

長さや頻度にこだわらず、5分でよいので「力が入っているな」と気づいたときに行います。合わないと感じたら、深呼吸など別のリラックス法に切り替えて大丈夫です。

筋弛緩法は、病気の治療に代わるものではありません。眠れない日や強い不安が何週間も続くとき、体の痛みがあるときは、医師やカウンセラーに相談してください。

05よくある質問

漸進的筋弛緩法は何分やれば効きますか?

46件の研究のまとめでは、ひとりで行う1回の長さは5分から28分まででした。長さや回数の違いで効果ははっきり変わりませんでした。大学生の実験では、音声の案内にそって1回20分行い、リラックス感が高まりました。まずは5分の短い版から始めて大丈夫です。

深呼吸とどちらがリラックスできますか?

大学生60人の比較では、本人が感じるリラックス感に差はありませんでした。ただ、手の汗で測った体の興奮は、筋弛緩法では20分のあいだ下がり続けたのに対し、深呼吸では前半にいったん上がってから下がりました。息を吸うことを意識しすぎると落ち着きにくい人は、筋弛緩法を試す価値があります。

寝る前にやると眠りやすくなりますか?

14件・957人のランダム化比較試験のまとめでは、筋弛緩法で本人が感じる眠りの質が良くなりました。ただし研究ごとの結果のばらつきが大きく、公表されやすい結果に偏っている可能性も指摘されています。55歳以上では、はっきりした効果は確かめられませんでした。

力を入れると、かえって痛くなったり不安になったりします。

力は「痛くない程度」で十分です。研究では最大の8割ほどの力で約5秒でした。けがや痛みのある部位は飛ばします。リラックスしようとして逆に落ち着かなくなる人もいます。そのときはやめて、別の方法に切り替えてください。

出典

  1. Toussaint, L., Nguyen, Q. A., Roettger, C., Dixon, K., Offenbächer, M., Kohls, N., Hirsch, J., & Sirois, F. (2021). Effectiveness of Progressive Muscle Relaxation, Deep Breathing, and Guided Imagery in Promoting Psychological and Physiological States of Relaxation. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2021, 5924040. https://doi.org/10.1155/2021/5924040
  2. Muhammad Khir, S., Wan Mohd Yunus, W. M. A., Mahmud, N., Wang, R., Panatik, S. A., Mohd Sukor, M. S., & Nordin, N. A. (2024). Efficacy of Progressive Muscle Relaxation in Adults for Stress, Anxiety, and Depression: A Systematic Review. Psychology Research and Behavior Management, 17, 345-365. https://doi.org/10.2147/PRBM.S437277
  3. Bustamante-Sánchez, Á., de la Torre-Gómez, S., & Clemente-Suárez, V. J. (2026). Acute autonomic modulation during Jacobson's progressive muscle relaxation in normal-weight vs. overweight male recreational athletes. Scientific Reports, 16, 4732. https://doi.org/10.1038/s41598-026-35237-7
  4. Li, K., Chen, S., Liu, Y., & Yu, N. (2026). The effects of progressive muscle relaxation on sleep quality in adults: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Frontiers in Public Health, 14, 1906525. https://doi.org/10.3389/fpubh.2026.1906525