休んだのに疲れやストレスが抜けないのはなぜ? 休み方の立て直し方を研究で調べた

週末にたっぷり寝たのに、月曜の朝にはもう疲れている。連休明けなのに、ストレスが戻ってきている。休み方が下手なのでは、と自分を責めなくて大丈夫です。研究では、体を休めた時間の長さよりも、休みのあいだに仕事や課題から頭が離れていたかどうかが、疲れの残り方と結びついていました。頭の切り離し方は、練習で身につけられることも確かめられています。
3行でわかる
- 休みのあいだに仕事から頭を切り離せている人ほど、疲れが少なく、よく眠れている傾向がある(91の調査・3万8,124人分のメタ分析)。
- 長い休暇の効果は、仕事に戻るとまもなく薄れる(7件の研究のメタ分析)。休暇1回より、毎日の小さな回復が大切になる。
- 頭を切り離す力は練習で伸ばせる。30件・3,725人分のメタ分析で、練習のプログラムには小〜中くらいの効果(0.36)があった。
01 悩みの正体休んだのにストレスが抜けないのはなぜ?
体は休んでいても、頭が仕事や課題のことを考え続けていると、回復が進みにくいと考えられています。研究では「休んだ時間」より「休みの中身」が問題になっていました。
休みの回復を研究してきたSonnentagとFritz(2007)は、休みの中身を4つに分けました。930人のデータで、この4つが別々のものとして測れることを確かめています[1]。
- 頭を切り離す: 休みのあいだ、仕事のことを考えないでいられる
- ゆるめる: 体と心の力を抜いて、のんびり過ごす
- 新しいことに挑む: 仕事と関係のない趣味や学びで、小さな達成感を得る
- 自分で決める: 何をしてどう過ごすかを、自分で選べている
ベッドでスマホを見ながら仕事の連絡を気にしていた休日は、時間としては休んでいても、この4つのどれも満たしていないことがあります。それが「休んだのに抜けない」の正体の1つです。
02 科学的にわかっていることどんな休み方なら、疲れやストレスが抜けやすい?
仕事から頭を切り離せている人ほど、疲れが少なく、よく眠れている傾向がありました。長い休暇の効果は長続きしにくく、頭を切り離す力は練習で伸ばせることがわかっています。
Wendsche・Lohmann-Haislah(2017)[3]
86本の論文(91の調査・3万8,124人)をまとめると、休みに仕事から頭を切り離せている人ほど、疲れが少なく(相関-0.42)、燃え尽きの疲れも少なく(-0.36)、よく眠れていた(0.30)。休み中に仕事をしている人ほど、頭を切り離せていなかった(-0.31)。
対象: 働く人、平均39.9歳 / 限界: 多くは調査で関係を見たもので、因果は言い切れない。血圧やストレスホルモンなど体の指標との関係は、3件しかなく確認できなかった。
de Bloomら(2009)[2]
7件の研究をまとめると、休暇で健康や幸福感は上がった(効果の大きさ0.43)。しかし仕事に戻るとまもなく、その効果は薄れていた(-0.38)。
対象: 厳しい基準で選んだ7件の研究 / 限界: 研究の数が少なく、休暇中に何をすると効果が長持ちするかは、まだよくわかっていない。
Karabinskiら(2021)[4]
頭を切り離す力を伸ばすプログラムを調べた30件の研究(34のプログラム、3,725人)をまとめると、平均して効果があった(効果の大きさ0.36)。期間が長く、量が多いプログラムほど効果が大きかった。
対象: 働く人 / 限界: もともと回復がうまくいっていない人や、年齢の高い人でより効いた。誰にでも同じだけ効くわけではない。
Hahnら(2011)[5]
1週間あけて2回、回復の取り方を学ぶ講習を受けた48人は、受けなかった47人より、3週間後に睡眠の質がよくなり、ストレスと嫌な気分が減っていた。
対象: 95人 / 限界: くじ引きで分けていない準実験。燃え尽きの疲れ(情緒的消耗)には効果が見られなかった。
つまり、休み方がうまくいかなかったのは、能力の問題ではありません。休みの中身を少し変えて、くり返し練習すれば、立て直せる余地があります。
03 今日からできる小さな一歩休んでも疲れが抜けなかった後、何から変える?
まず休み中に仕事や課題の連絡を見る時間を決め、それ以外は通知を切ります。そのうえで「ゆるめる」「新しいことに挑む」時間を、毎日少しずつ入れます。
連絡を見る時間を、1日1回に決める
休み中に仕事をしている人ほど、頭を切り離せていませんでした。休日や夜は「確認は夜8時に1回だけ」のように決め、それ以外は通知を切ります。
所要 設定に5分
仕事の終わりに「残りメモ」を書く
やり残したことと、次にやる1手を紙に書いてから終えます。頭の中に置いたままにしないための区切りです。嫌なことが頭から離れない夜は、反芻から抜け出す方法も役立ちます。
所要 3分
次の休みの過ごし方を、自分で決めておく
「誘われたから」「なんとなく」ではなく、自分で選んだ過ごし方にします。自然の中で過ごす、ひとりの時間をとるなど、選択肢は自然とストレスの記事やひとりの時間の記事にもあります。
所要 5分
04 続けるためのコツまた休み明けに疲れが戻ったら、どうすればいい?
戻ってくるのは自然なことです。休暇の効果は研究でも長続きしませんでした。大きな休みを待つより、毎日の終わりに小さく頭を切り離す習慣を続けるほうが、立て直しやすくなります。
- 失敗した日を数えない: 練習のプログラムは、期間が長いほど効果が大きかった[4]。1日できなくても、翌日また区切ればよい。
- よかったことは考えてもいい: 仕事のよかったことを考えるかどうかは、気分とほとんど関係していなかった(相関-0.02)[3]。避けたいのは、嫌なことを考え続けること。
- 4つのうち1つでいい: 頭を切り離す・ゆるめる・挑む・自分で決める。毎日すべてそろえなくても、どれか1つを意識する。
- つらさが続くなら相談を: 眠れない、何も楽しめない状態が長く続くときは、医師やカウンセラーに相談する。
05よくある質問
休みの日にしっかり寝たのに、疲れが取れないのはなぜですか?
体を休めても、頭が仕事や課題から離れていないと、疲れが残りやすいと考えられています。働く人の研究をまとめたメタ分析(疲れについては17件・1万2,510人分)では、休み中に仕事から頭を切り離せている人ほど、疲れが少ない傾向がありました(相関はマイナス0.42)。
長い休暇をとれば、ストレスはリセットされますか?
休暇の効果はありますが、長くは続きにくいとされています。7件の研究をまとめたメタ分析では、休暇で健康や幸福感は上がったものの、仕事に戻るとまもなく薄れていました。休暇だけに頼らず、毎日の小さな回復を重ねるほうが現実的です。
休みの日に仕事のことを考えるのは、すべて悪いことですか?
すべてではありません。メタ分析では、嫌なことを考えないでいられることは気分のよさと関係していましたが、仕事のよかったことを考えるかどうかは、気分とほとんど関係していませんでした(相関マイナス0.02)。問題になりやすいのは、嫌な仕事のことを考え続けることです。
休み方を工夫しても、ずっとつらい状態が続くときは?
眠れない、何をしても楽しめない、といった状態が長く続くときは、休み方の工夫だけで抱え込まず、医師やカウンセラーなどの専門家に相談してください。
出典
- Sonnentag, S., & Fritz, C. (2007). The Recovery Experience Questionnaire: development and validation of a measure for assessing recuperation and unwinding from work. Journal of Occupational Health Psychology, 12(3), 204-221. https://doi.org/10.1037/1076-8998.12.3.204
- de Bloom, J., Kompier, M., Geurts, S., de Weerth, C., Taris, T., & Sonnentag, S. (2009). Do we recover from vacation? Meta-analysis of vacation effects on health and well-being. Journal of Occupational Health, 51(1), 13-25. https://doi.org/10.1539/joh.k8004
- Wendsche, J., & Lohmann-Haislah, A. (2017). A meta-analysis on antecedents and outcomes of detachment from work. Frontiers in Psychology, 7, 2072. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2016.02072
- Karabinski, T., Haun, V. C., Nübold, A., Wendsche, J., & Wegge, J. (2021). Interventions for improving psychological detachment from work: A meta-analysis. Journal of Occupational Health Psychology, 26(3), 224-242. https://doi.org/10.1037/ocp0000280
- Hahn, V. C., Binnewies, C., Sonnentag, S., & Mojza, E. J. (2011). Learning how to recover from job stress: effects of a recovery training program on recovery, recovery-related self-efficacy, and well-being. Journal of Occupational Health Psychology, 16(2), 202-216. https://doi.org/10.1037/a0022169


