気分・ストレス

怒りを紙に書いて捨てると、気持ちは収まるのか。研究でわかった「捨てる」効果

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This is a photo of crumpled or wrinkled olive green colored paper.
Photo: Photos Public Domain / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

理不尽なことを言われて、怒りがおさまらない。誰かにぶつけるわけにもいかず、頭の中で何度も思い出してしまう。そんなときにどうすればいいのでしょうか。研究では、怒りを発散させる方法は逆効果になりやすい一方、紙に書いて捨てるというシンプルな方法で、怒りが元の水準まで下がることがわかってきました。

3行でわかる

  1. 名古屋大学の実験では、侮辱されて怒った後、その出来事と気持ちを紙に書いてゴミ箱に捨てた人は、怒りが侮辱される前と同じ水準まで下がった。書いた紙を手元に残した人は、怒りがそれほど下がらなかった。
  2. サンドバッグを叩きながら相手のことを考えた人は、何もしなかった人より怒りも攻撃性も強かった。
  3. 154件・1万人以上の研究をまとめた分析では、深呼吸など興奮を下げる方法は怒りを減らし、叩く・走るなど興奮を高める方法は効果がなかった。

01怒りは「発散」すると、かえって強まりやすい

怒りを外に「出せば」すっきりするという考え方は、研究では支持されていません。大切なのは、興奮を下げ、怒りと距離をとることです。

怒りをぶつけたり発散したりすると気持ちが晴れる、という考え方は「カタルシス説」と呼ばれます。しかし研究では、発散するとかえって怒りが強まることが示されてきました。

怒りを感じた出来事を何度も思い返すことも、怒りを長引かせます。

そこで注目されているのが、怒りを感じた状況を客観的に書き出し、その紙を物理的に「捨てる」方法です。書くことで状況を整理し、捨てることで気持ちと距離をとると考えられています。

02科学的にわかっていること

怒りを書いた紙を捨てると、怒りは元の水準まで下がりました。一方、叩く・走るなど興奮を高める発散には、怒りを減らす効果がありませんでした。

Kanaya & Kawai(2024)[1]

大学生に社会問題についての意見を書いてもらい、わざと低い評価と侮辱的なコメントを返して怒らせた。その後、怒った出来事とその時の気持ちを紙に書いてもらった。紙をゴミ箱に捨てた人やシュレッダーにかけた人は、怒りが侮辱される前と同じ水準まで下がった。紙を手元のファイルに残した人は、怒りがまだ高いままだった。

対象: 実験1は大学生57人(分析は50人)、実験2も別の参加者 / 限界: 実験室で起こした怒りで、長く続く怒りにも効くかはわからない。

名古屋大学(2024)[2]

研究グループは、怒りを感じた状況を客観的に紙に書かせ、それを丸めて捨てると「怒り得点」が侮辱される前と同程度まで下がったと発表した。書いた紙を捨てずに保持した参加者の怒りはそれほど下がらなかった。

対象: 上の研究の大学による発表 / 限界: 研究者自身による紹介。

Bushman(2002)[3]

怒らせた参加者に、相手のことを考えながらサンドバッグを叩いてもらった群、体を鍛えることを考えながら叩いた群、何もしない群を比べた。相手のことを考えて叩いた群は最も怒りが強く、相手への攻撃も最も多かった。何もしない方が、発散するより効果的だった。

対象: 怒らせる実験の参加者 / 限界: 実験室での短時間の結果。

Kjærvik & Bushman(2024)[4]

154件の研究(1万189人分)をまとめた分析。深呼吸、マインドフルネス、瞑想など興奮を下げる方法は、怒りと攻撃性をはっきり減らしていた(効果量 g=-0.63)。一方、叩く、ジョギング、サイクリングなど興奮を高める方法には、全体として効果がなかった(g=-0.02)。

対象: 154件の研究、1万189人 / 限界: 研究ごとに方法や対象がさまざま。

03今日からできる小さな一歩

怒りを感じたら、まず出来事と気持ちを短く紙に書き、丸めて捨てます。そのあと深呼吸で体の興奮も下げます。

1

怒った出来事を、事実として紙に書く

「何があったか」「そのときどう感じたか」を、できるだけ落ち着いて書きます。相手を罵る言葉を並べるより、状況を客観的に書くことがポイントです。

所要 3〜5分

2

書いた紙を丸めて、ゴミ箱に捨てる

手元に残さず、ゴミ箱に捨てるかシュレッダーにかけます。実験では、紙を残した人は怒りがあまり下がりませんでした。

所要 10秒

3

ゆっくり深呼吸をする

捨てた後、数回ゆっくり息を吐きます。興奮を下げる方法は、怒りを減らす効果がはっきりしていました。

所要 1分

04続けるためのコツ

怒りを感じること自体は自然なことです。発散するより「冷ます」ことを意識すると、怒りに振り回されにくくなります。

05よくある質問

怒りを書いて捨てる方法について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。

怒りを紙に書いて捨てると、本当に収まるの?

名古屋大学の実験では、怒った出来事を紙に書いてゴミ箱に捨てた人は、怒りが侮辱される前と同じ水準まで下がりました。紙を手元に残した人は、怒りがあまり下がりませんでした。

怒りは発散した方がいいのでは?

研究では逆の結果が出ています。相手のことを考えながらサンドバッグを叩いた人は、何もしなかった人より怒りも攻撃性も強くなりました。

イライラしたときに走るのはどう?

154件の研究をまとめた分析では、ジョギングなど興奮を高める活動には、怒りを減らす効果は全体として見られませんでした。運動自体は体に良いものですが、怒りを鎮める目的なら深呼吸などの方が向いています。

どんな方法が怒りに効くの?

深呼吸、マインドフルネス、瞑想など、体の興奮を下げる方法が、怒りと攻撃性をはっきり減らしていました。

出典

  1. Kanaya, Y., & Kawai, N. (2024). Anger is eliminated with the disposal of a paper written because of provocation. Scientific Reports, 14, 7490. https://doi.org/10.1038/s41598-024-57916-z
  2. 名古屋大学 (2024). 紙とともに去りぬ ~怒りを「書いて捨てる」と気持ちが鎮まることを実証~(プレスリリース) https://digitalpr.jp/r/86503
  3. Bushman, B. J. (2002). Does Venting Anger Feed or Extinguish the Flame? Catharsis, Rumination, Distraction, Anger, and Aggressive Responding. Personality and Social Psychology Bulletin, 28(6), 724-731. https://doi.org/10.1177/0146167202289002
  4. Kjærvik, S. L., & Bushman, B. J. (2024). A meta-analytic review of anger management activities that increase or decrease arousal: What fuels or douses rage? Clinical Psychology Review, 109, 102414. https://doi.org/10.1016/j.cpr.2024.102414