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食べものがのどに詰まって、せきで取れないときは? 背中をたたく・お腹を突き上げる効果を研究で調べた

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茶わんに盛った白いご飯
Photo: LP3567 886023 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

食べものがのどに詰まって、せきをしても取れない。目の前の家族が苦しそうなのに、何をすればいいのかわからない。そんなときは、背中を強くたたき、取れなければお腹を突き上げて、取れるまでくり返します。日本の救急患者を調べた研究では、まわりの人がこのどちらかをした場合のほうが、後遺症なく回復した割合が高めでした。

3行でわかる

  1. せきで取れないときは、背中を5回強くたたき、だめならお腹を5回突き上げます。取れるまで、この2つをくり返します。
  2. 日本の25病院の研究(407人)では、最初の方法1つで取れたのは3割ほどでした。1回で取れなくても、あきらめずに続けることが大切です。
  3. 詰まっている時間が1分のびるごとに、助かる見込みは下がっていました。「少し様子を見る」より、すぐに手を動かすほうがよいと考えられます。

01 悩みの正体のどに詰まった食べもの、なぜせきで取れない?

食べものが空気の通り道をふさぐと、せきに必要な空気を吸えなくなります。声もせきも出ない状態は、自分の力では出せない重い詰まりのサインです。

せきは、肺の空気をいきおいよく吐き出して、異物を押し出す仕組みです。ところが食べものが気道(空気の通り道)をふさぐと、肺に空気が入りません。押し出す力が足りなくなります。

日本では、気道に物が詰まって亡くなる人が年に8,000人を超えます。不慮の事故による死亡の2番目に多い原因です [1]。日本の研究で詰まった食べものは、ご飯が24%、肉が17%、お餅が16%の順でした [1]。お餅だけでなく、ふだんの食事でも起きています。お餅で詰まった例は、ふだん自立して暮らしている人が多く、正月に家で起きることが目立ちました [5]。

救急車が着くまでには、ふつう数分かかります。その間にまわりの人が取り除けるかどうかが、その後を大きく左右します [1]。

02 科学的にわかっていること背中をたたく・お腹の突き上げは本当に効く?

日本の救急患者407人の研究では、背中をたたいた人、お腹を突き上げた人のどちらも、何もしなかった場合より後遺症なく回復した割合が高めでした。

まわりの人が最初にしたこと30日後に後遺症なく回復した割合(調整後)
背中をたたく(76人)31%(何もしないと16%)。生存率も高め [1]
お腹を突き上げる(24人)38%(何もしないと15%)。生存率の差ははっきりせず [1]
何もしなかった(175人)15〜16% [1]

後遺症なく回復: 30日後に、ひとりで日常生活を送れる程度に回復していたこと。最初の1つの方法だけで比べています。

Igarashiら(2025)[1]

日本の25病院に救急車で運ばれた、18歳以上の窒息の患者を調べました。背中をたたいた場合は、後遺症なく回復した割合が31%、お腹を突き上げた場合は38%でした。何もしなかった場合は15〜16%です。ただし、最初の方法1つで詰まりが取れたのは、お腹の突き上げで30%、背中たたきで27%でした。

対象: 2020〜2023年の407人、年齢の中央値81歳 / 限界: 観察研究で、条件のちがいを統計で調整しても、すべては消せません。救急車を呼ばずに済んだ軽い例は含まれていません。

Noriiら(2024)[2]

同じ登録データで、まわりの人が何か手当てをしたかどうかを比べました。手当てをした場合は、1か月後に生きている見込みが高く(ハザード比0.55)、後遺症なく回復する見込みも高くなっていました(オッズ比2.18)。それでも、目撃された窒息のうち手当てがされたのは54.5%だけでした。

対象: 407人、年齢の中央値82歳 / 限界: 観察研究で、因果関係は断定できません。

Igarashiら(2026)[3]

気道が詰まっていた時間と、その後の経過を調べました。詰まった時間が1分のびるごとに、30日後に生きている見込みは下がっていました(オッズ比0.86)。「この時間までなら安全」という区切りは見つかりませんでした。

対象: 詰まっていた時間が0〜25分だった229人 / 限界: 時間は救急隊などの記録にもとづく推定です。

Couperら(2020)[6]

世界の研究69本をまとめた、国際蘇生連絡委員会(ILCOR)の系統的レビューです。背中をたたく、お腹の突き上げ、口の中から取り出すなどの方法には、詰まりを取る効果が報告されていました。一方で、どの方法にも体を傷めた報告がありました。見えないまま指を口に入れてかき出す方法も、その1つです。

限界: ほとんどが症例報告や小さな調査で、証拠の確かさはすべて「非常に低い」と評価されています。

03 今日からできる小さな一歩せきで取れないとき、何をどの順番でする?

せきが出るうちはせきを続けてもらい、出なければ背中を5回、だめならお腹を5回。取れるまでくり返し、反応がなくなったら心臓マッサージに切りかえます。

1

「詰まった?」と聞き、せきを続けてもらう

声やせきが出るなら、できるだけ強くせきをするよう声をかけます。声もせきも出ず、うなずくだけなら重い詰まりです。まわりの人に119番を頼みます。

所要 数秒

2

前かがみにして、背中を5回強くたたく

後ろに立ち、片手で胸かお腹を支えて前かがみにさせます。もう片方の手のひらの付け根で、左右の肩甲骨の間を5回、すばやく強くたたきます [7]。

所要 10秒ほど

3

取れなければ、お腹を5回突き上げる

後ろから腕を回し、握りこぶしをおへそより少し上、みぞおちより下に当てます。もう片方の手でこぶしを包み、内側・上向きにすばやく引き上げます。妊娠中の人や、腕が回らない人は、胸の真ん中を押す方法にします [7]。

所要 10秒ほど

4

取れるまで「背中5回・お腹5回」をくり返す

1回で取れなくても、それがふつうです。反応がなくなったら床に寝かせ、心臓マッサージを始めます [7]。救急車が着くまで続けます。

所要 救急隊が着くまで

1歳未満の赤ちゃんの手順には、お腹の突き上げが入っていません。うつぶせにして背中をたたく方法と、胸を押す方法をくり返します [7]。年齢に合った手順を、地域の救命講習などで確かめておくと安心です。

04 続けるためのコツうまくできなかったとき、次にどう備える?

日本の研究では、手当てがされなかった例は、家の外や、目撃した人が高齢のときに多めでした。手順を一度声に出して練習しておくと、いざというときに手が動きやすくなります。

05よくある質問

背中を何回たたいても取れないときは、どうする?

5回たたいても取れなければ、お腹の突き上げを5回します。それでも取れなければ、背中5回とお腹5回をくり返します。日本の研究では、最初の方法1つで取れたのは3割ほどでした。1回で取れなくても、くり返すのがふつうです。

お腹を突き上げたあと、病院に行ったほうがいい?

行ったほうが安心です。お腹の突き上げや背中をたたく方法では、体を傷めた報告がまれにあります。日本の研究では、お腹を突き上げた24人のうち1人に肺の空気もれ(気胸)が起きていました。取れたあとも、したことを救急隊や医師に伝えてください。

詰まった人がせきをできているときは、背中をたたく?

せきや声が出ているうちは、まず強くせきをするよう声をかけます。シンガポールの蘇生ガイドラインでも、せきや会話ができるならせきを続けてもらい、声もせきも出ないときに背中をたたく手順になっています。

お餅だけが特別に危ない?

日本の研究では、お餅で詰まった人は全体の約16%でした。ほかの食べものと比べて、1か月後に生きていた割合に統計的な差は見られませんでした。ただし推定の幅は広く、お餅は正月に家で詰まる例が多いと報告されています。

出典

  1. Igarashi Y, Norii T, Nakae R, Tagami T, Sklar DP, Yokobori S (2025). Efficacy of abdominal thrusts and back blows for patients with foreign body airway obstruction: MOCHI registry analysis. Resuscitation Plus, 25, 101016. https://doi.org/10.1016/j.resplu.2025.101016
  2. Norii T, Igarashi Y, Yoshino Y, et al. (2024). The effects of bystander interventions for foreign body airway obstruction on survival and neurological outcomes: Findings of the MOCHI registry. Resuscitation, 199, 110198. https://doi.org/10.1016/j.resuscitation.2024.110198
  3. Igarashi Y, Norii T, Nakanishi H, et al. (2026). Airway obstruction time and outcomes after foreign body airway obstruction: a nationwide prospective cohort study from the MOCHI registry. Resuscitation, 220, 111002. https://doi.org/10.1016/j.resuscitation.2026.111002
  4. Igarashi Y, et al. (2026). Determinants of bystander removal attempts in witnessed foreign body airway obstruction: a prospective nationwide multicenter observational study from the MOCHI registry. Resuscitation Plus, 29, 101342. https://doi.org/10.1016/j.resplu.2026.101342
  5. Igarashi Y, Norii T, Nakanishi H, et al. (2026). Mochi-related vs other food-related foreign body airway obstruction: outcomes from the MOCHI registry. Resuscitation Plus, 28, 101257. https://doi.org/10.1016/j.resplu.2026.101257
  6. Couper K, Abu Hassan A, Ohri V, et al. (2020). Removal of foreign body airway obstruction: A systematic review of interventions. Resuscitation, 156, 174-181. https://doi.org/10.1016/j.resuscitation.2020.09.007
  7. Lim SH, Leong BSH, et al. (2026). Singapore Basic Cardiac Life Support and Automated External Defibrillation Guidelines 2026. Singapore Medical Journal, 67(7), 406-413. https://doi.org/10.4103/singaporemedj.SMJ-2026-319