チョコは虫歯になりやすい? 砂糖・食べる回数・歯への残りやすさの研究で調べた

チョコを食べた後、なんとなく歯が気になる。子どもにあげるたびに虫歯が心配になる。そんな人は多いはずです。結論から言うと、チョコで虫歯ができるかどうかを左右するのは、チョコそのものより中の砂糖と、食べる回数です。チョコだけが特別に虫歯になりやすいという研究はありません。一方で「カカオは虫歯を防ぐ」と言えるほどの研究もありません。
3行でわかる
- 虫歯は、歯の表面の菌が砂糖から酸を作り、歯を溶かすことで起きます。WHOは、砂糖などの遊離糖を1日のエネルギーの10%未満にすることを強くすすめています。
- 厚生労働省のe-ヘルスネットは、砂糖の総量と、食べる回数の両方を減らすことが大切だとしています。間食をくり返すと、歯が溶けるpH5.5を下回る時間が何度も来ます。
- 虫歯を左右するのは、チョコかどうかより砂糖の量と食べる回数です。歯への残りやすさは、1991年の1本の研究(21種類の食べ物で、歯に残った量だけを測ったもの)で、ミルクチョコがクッキーやポテトチップスより残りにくい側だった、という結果があるだけです。カカオの殻のエキスで菌が減った研究はありますが、チョコを食べて虫歯が減るという人の研究はありません。
01 悩みの正体甘いものを食べると、なぜ虫歯になる?
甘いものを食べると虫歯になるのは、歯の表面の菌が砂糖から酸を作り、その酸が歯の表面を溶かすからです。溶ける時間が長く、回数が多いほど、虫歯は進みます。
歯の表面(エナメル質)は、口の中のpH(酸っぱさの度合い)が5.5より低くなると急に溶け始めます。この値を「臨界pH」と呼びます [3]。食事をすると一時的にpHが下がりますが、だ液が酸を中和し、溶けた部分を元に戻します(再石灰化)。
ところが、砂糖を含む間食をくり返すと、元に戻る前にまたpHが下がります。そうして溶ける時間が戻る時間に勝つと、歯が欠け始めます。これが虫歯です [3]。
| 食べ方 | 歯の中で起きること |
|---|---|
| 食事のときにまとめて食べる | pHが下がっても、次の食事までに元に戻りやすい [3] |
| 少しずつ何回も食べる | pH5.5を下回る時間が何度も来て、戻る時間が足りない [3] |
02 科学的にわかっていることチョコはほかのお菓子より虫歯になりやすい?
チョコがほかのお菓子より虫歯になりやすいという人の研究はありません。効いているのは砂糖の量と食べる回数で、ミルクチョコはむしろ歯に残りにくい側でした。
Moynihan と Kelly(2014)[4]
WHOのガイドラインのために、砂糖と虫歯の関係を調べた55の研究をまとめました。子どもの研究50件のうち42件、大人の研究5件のうち5件で、砂糖が多いほど虫歯が多い関係が見られました。砂糖を1日のエネルギーの10%未満にすると虫歯が少ないことは、中くらいの確かさの証拠で示されました。
対象: 人を調べた55の研究 / 限界: 研究ごとのデータのばらつきが大きく、数字をまとめる分析は限られた。
e-ヘルスネット(厚生労働省)[2]
1940年代後半からスウェーデンで436人を調べた「ビペホルム研究」を紹介しています。歯につきやすい砂糖菓子を食事のときだけ食べた時期より、食事と間食に分けて回数を増やした時期のほうが、虫歯が増えました。砂糖の総量と食べる回数の両方が大切だとまとめています。
種類: 国の健康情報サイト / 限界: もとの研究は施設に入っていた人を対象にしたもので、倫理面の問題も指摘されている。
Kashketら(1991)[5]
市販の食べ物21種類を食べてもらい、歯にどれだけ残るかを測りました。いちばん残ったのはクッキー、クラッカー、ポテトチップスで、キャラメル、ゼリービーンズ、レーズン、ミルクチョコの板は残りにくい側でした。人が「べたつく」と感じる度合いと、実際に残る量は関係がありませんでした。
対象: 市販の食べ物21種類 / 限界: 歯に残った量を測ったもので、虫歯ができたかは調べていない。
Grenby と Mistry(1995)[6]
ラットに、同じ量の砂糖を、細かい砂糖のままか、チョコに入れた形で与えました。餌の18.75%の砂糖は、どちらの形でも同じくらい虫歯を作りました。チョコに入っていても、砂糖は砂糖として働くということです。
対象: ラット / 限界: 動物の実験で、人に当てはまるかはわからない。
Ooshimaら(2000)[7]
カカオ豆の殻から取ったエキスが、試験管の中で虫歯菌の増え方と酸の量を抑え、飲み水に入れたラットでは虫歯と歯垢が減りました。ただしこれはチョコではなく「殻のエキス」の研究です。人での研究も、数日〜2か月のうがいの小さな試験にとどまります。
対象: 試験管とラット / 限界: チョコを食べて虫歯が減るかは調べていない。
03 今日からできる小さな一歩チョコを食べても虫歯を防ぐには?
チョコを食べるなら、時間を決めてまとめて食べ、だらだら食べ続けないことです。そのうえで、寝る前を含めて1日2回、フッ素入りの歯みがき粉で歯をみがきます。
食べる時間を決めて、まとめて食べる
e-ヘルスネットは、砂糖は食事のときにとり、食後に歯をみがくことをすすめています [3]。机に置いて少しずつつまむのをやめるだけで、pHが下がる回数が減ります。
所要 0分
寝る前を含めて、1日2回フッ素入りの歯みがき粉でみがく
4つの歯科の学会は、6歳以上は歯ブラシ全体(1.5〜2cm)の量の、1400〜1500ppmのフッ素入り歯みがき粉を、寝る前を含めて1日2回使うことをすすめています [8]。
所要 1回3分
みがいた後は、軽くはき出すだけにする
同じ推奨では、3歳以上はみがいた後に歯みがき粉を軽くはき出し、うがいをするなら少しの水で1回だけにするとしています [8]。フッ素が歯に残りやすくなります。
所要 10秒
04 続けるためのコツ甘いものと歯の情報をどう受け取る?
「チョコは虫歯になりにくい」「カカオは虫歯を防ぐ」という話は、研究の範囲を超えています。チョコも砂糖を含むお菓子の1つとして、回数と歯みがきで付き合うのが確かな方法です。
- 「防ぐ」とは言えない: カカオの殻のエキスやテオブロミン(カカオの苦み成分)の研究は、試験管・ラット・短いうがいの試験です [7]。チョコを食べて虫歯が減るという人の研究はありません。
- 子どもの年齢に合わせる: フッ素入り歯みがき粉の量は、2歳までは米粒くらい、3〜5歳はグリーンピースくらいです [8]。
- 間食がやめにくいとき: 決まった時間や場所で欲しくなる理由は間食が欲しくなる「きっかけ」の記事にまとめました。疲れたときの甘いものの話は甘いもので集中力は戻るのかにあります。
- ほかのチョコの悩みも: チョコを食べるとニキビができる?もあわせてどうぞ。砂糖を減らしたチョコの研究は、姉妹メディア「チョコの研究」の砂糖を減らしたチョコはまた食べたくなる?にあります。
05よくある質問
チョコは虫歯になりやすいお菓子?
チョコだけが特別に虫歯になりやすいという人の研究はありません。虫歯に関わるのは、中に含まれる砂糖の量と、食べる回数です。歯への残りやすさでは、21種類の食べ物を調べた1本の研究(1991年)で、ミルクチョコはクッキーやポテトチップスより残りにくい側でしたが、虫歯ができたかまでは調べていません。
カカオやダークチョコは虫歯を防ぐ?
そう言える研究はありません。カカオ豆の殻のエキスで虫歯菌が減った研究はありますが、試験管やラット、数日〜2か月のうがいの試験です。チョコを食べて虫歯が減るかを人で確かめた研究はありません。
チョコを食べた後はすぐ歯をみがいたほうがいい?
e-ヘルスネットは、砂糖は食事のときにとり、食後に歯をみがくことをすすめています。すぐにみがけないときも、だらだら食べ続けないことで、歯が溶ける時間を減らせます。
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出典
- World Health Organization (2015). Guideline: sugars intake for adults and children. https://www.who.int/publications/i/item/9789241549028
- 福田英輝. 甘味(砂糖)の適正摂取方法. 厚生労働省 e-ヘルスネット. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-012.html
- 髙橋信博. う蝕の原因とならない代用甘味料の利用法. 厚生労働省 e-ヘルスネット. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-013.html
- Moynihan PJ, Kelly SA (2014). Effect on caries of restricting sugars intake: systematic review to inform WHO guidelines. Journal of Dental Research, 93(1), 8-18. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3872848/
- Kashket S, et al. (1991). Lack of correlation between food retention on the human dentition and consumer perception of food stickiness. Journal of Dental Research. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1939824/
- Grenby TH, Mistry M (1995). Caries Research(ラットでのチョコの虫歯のできやすさの評価). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8521446/
- Ooshima T, et al. (2000). Caries inhibitory activity of cacao bean husk extract in in-vitro and animal experiments. Archives of Oral Biology. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10869475/
- 日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会 (2023). う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法【普及版】. https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/news/2023/news_230303.pdf


