集中力

「ながら作業」は集中力を本当に下げるのか。研究でわかった切り替えのコスト

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Photo: www.Pixel.la Free Stock Photos / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

音楽を聴きながら勉強する、テレビを見ながら仕事のメールを返す。ながら作業は効率がよさそうに見えて、気づくと時間ばかりかかっていることもあります。研究では、頭を使う作業を2つ同時にすると成績が落ちることがはっきりしている一方、「ながら」の種類によって影響が大きく違うこともわかってきました。

3行でわかる

  1. 運転シミュレーターの実験では、携帯電話で会話しながら運転すると、信号の見落としが2倍に増えた。ハンズフリーでも同じだった。
  2. 一方、ラジオや朗読を聞くだけでは、運転は乱れなかった。
  3. 「ふだんながら作業をよくする人ほど気が散りやすい」という説は、39の結果をまとめた分析で、はっきりした関係が確認できなかった。

01脳は2つのことを、同時ではなく交互にこなしている

「同時にやっている」ように見えても、頭を使う作業どうしは、実際には切り替えながらこなしています。その切り替えに時間と注意が使われます。

作業Aから作業Bに移るとき、脳は「何をするか」という目標を切り替え、その作業のやり方を呼び出し直す必要があると考えられています。

この切り替えには毎回少しずつ時間がかかります。作業のルールが複雑なほど、切り替えにかかる時間は長くなりました。

ただし、どんな「ながら」でも同じように集中を下げるわけではありません。聞き流すだけのものと、考えて応える必要があるものでは、影響が大きく違いました。

02科学的にわかっていること

考えて応える作業を2つ同時にすると成績は落ちます。一方、聞き流すだけの「ながら」は影響が小さく、ながら癖そのものと集中力の関係ははっきりしません。

Rubinsteinら(2001)[1]

4つの実験で、図形の分類や計算問題を、同じ作業を続ける場合と、別の作業と交互に行う場合で比べた。作業を切り替えると時間のロスが生じ、ルールが複雑なほどロスは大きくなった。次にやる作業の手がかりがあると、ロスは小さくなった。

対象: 4つの実験の参加者 / 限界: 実験室での単純な課題で、仕事や勉強そのものではない。

Strayer & Johnston(2001)[2]

運転シミュレーターで、運転しながらいろいろなことをしてもらった。ラジオや朗読を聞くだけでは運転は乱れなかった。一方、携帯電話で自由に会話すると、手に持っていてもハンズフリーでも、信号の見落としが2倍に増え、反応も遅くなった。

対象: 運転シミュレーターの実験参加者 / 限界: 実際の道路ではなく、シミュレーター上の結果。

Wiradhany & Nieuwenstein(2017)[3]

「ふだん複数のメディアを同時に使う人ほど、気が散りやすい」という先行研究を再現しようとした。14の検証のうち、気が散りやすさとの関連が見られたのは5つだけだった。39の結果をまとめた分析でも関連は弱く、偏りを補正すると統計的にはっきりしなくなった。

対象: 2つの再現研究とメタ分析 / 限界: 実験室での課題で、日常の集中の続きやすさとは異なる可能性がある。

Uncapher & Wagner(2018)[4]

メディアのながら使用と認知の研究を整理したレビュー。ながら使用が多い人の方がいくつかの課題で成績が低い傾向はあるが、差が見られない研究も多く、因果の向きはまだわかっていないとまとめている。

対象: これまでの研究のレビュー / 限界: 研究ごとに測り方がばらばらで、結論はまだ固まっていない。

03今日からできる小さな一歩

考える作業は1つずつ片付けます。どうしても「ながら」にするなら、聞き流せるものだけにします。

1

頭を使う作業は1つに絞る

メールを書く、資料を読むなど、考える作業をしているときは、別の考える作業(チャットの返信など)を同時にしないようにします。

所要 作業中

2

切り替えはまとめて行う

通知が来るたびに対応するのではなく、「30分ごとにまとめて返す」など、切り替える回数を減らします。研究では、切り替えるたびに時間のロスが生まれていました。

所要 1分

3

「ながら」は聞き流せるものだけにする

家事や単純作業をしながら音楽やラジオを聞くのは問題が小さめです。会話や調べものなど、考えて応えるものを重ねないようにします。

所要 数秒

04続けるためのコツ

「ながら作業をする自分はダメだ」と考える必要はありません。何と何を重ねるかを選べば十分です。

05よくある質問

ながら作業について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。

ながら作業は効率が悪いの?

頭を使う作業どうしを重ねると、切り替えのたびに時間のロスが生まれます。一方、ラジオを聞きながら単純な作業をするなど、聞き流すだけの「ながら」は影響が小さいことが実験で示されています。

音楽を聴きながら勉強してもいい?

聞き流すだけの「ながら」は影響が小さめです。運転の実験でも、ラジオを聞くだけでは運転は乱れませんでした。歌詞の有無による違いは、関連記事「音楽を聴きながら勉強していいのか」で詳しく紹介しています。

ハンズフリーなら運転中に電話してもいい?

おすすめできません。実験では、ハンズフリーでも会話をすると信号の見落としが2倍に増えていました。手がふさがることより、注意が会話に向くことが問題でした。

ながら作業ばかりしていると、集中力が落ちるの?

はっきりしていません。39の結果をまとめた分析では、ながら作業の多さと気の散りやすさの関係は弱く、偏りを補正すると統計的にはっきりしなくなりました。

出典

  1. Rubinstein, J. S., Meyer, D. E., & Evans, J. E. (2001). Executive control of cognitive processes in task switching. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 27(4), 763-797. https://doi.org/10.1037/0096-1523.27.4.763
  2. Strayer, D. L., & Johnston, W. A. (2001). Driven to distraction: Dual-task studies of simulated driving and conversing on a cellular telephone. Psychological Science, 12(6), 462-466. https://doi.org/10.1111/1467-9280.00386
  3. Wiradhany, W., & Nieuwenstein, M. R. (2017). Cognitive control in media multitaskers: Two replication studies and a meta-analysis. Attention, Perception, & Psychophysics, 79(8), 2620-2641. https://doi.org/10.3758/s13414-017-1408-4
  4. Uncapher, M. R., & Wagner, A. D. (2018). Minds and brains of media multitaskers: Current findings and future directions. PNAS, 115(40), 9889-9896. https://doi.org/10.1073/pnas.1611612115