集中力

緑の植物を置くと集中力は上がるのか。
4つの研究でわかったこと

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Photo: fotokoci / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

デスクに観葉植物を置くと、仕事や勉強に集中できるようになる。そんな話を聞いたことがあるかもしれません。実際に植物とそばで過ごす実験はいくつも行われていますが、結果は「集中力がはっきり上がった」と言えるほど単純ではありません。42件の研究をまとめた分析と、3つの実験から、わかっていることとわかっていないことを整理します。

3行でわかる

  1. 42件の研究をまとめた分析では、注意力への効果は統計的にはっきりしませんでした(効果量はほぼゼロ)。一方で学業成績には有意な効果がありました。
  2. 植物の壁の前で負担の大きい課題をした実験では、副交感神経の活動が高まりストレスは下がったものの、課題の成績自体は変わりませんでした。
  3. 植物への水やりでは血圧と不安感が下がった実験もあります。緑が見える窓の眺めでは、注意力のテストの点数が上がった実験もありました。

01悩みの正体を、やさしい言葉で

「植物を置けば集中力が上がる」というのは、研究全体で見るとやや言い過ぎです。効果が出ている対象と、出ていない対象が分かれています。

観葉植物をオフィスや教室に置く研究は、2000年代から数多く行われてきました。背景にあるのは「自然を見ると心が休まり、注意力が回復する」という考え方(注意回復理論)です。この理論自体は広く知られていますが、「植物を1つ置けば、その場で集中力が数値として上がる」かどうかは、実は研究によって結果が割れています。

効果が出やすいのは「ストレスが減る」「気分が良くなる」という面で、「テストの点数や作業の速さが上がる」という面では、効果がはっきりしない研究も少なくありません。両方を分けて見ていく必要があります。

02科学的にわかっていること

注意力そのものへの効果は、研究全体をまとめると統計的にはっきりしません。ストレスを下げる効果や、学業成績への効果は複数の研究で確認されています。

Han・Ruan・Liao(2022年)[1]

室内植物に関する42件の研究をまとめた系統的レビューとメタ分析。注意力への効果を調べた3論文(4つの比較)をまとめると、効果量はほぼゼロで統計的な差はなかった(SMD=−0.005、p=0.988)。一方、学業成績を調べた2論文をまとめると、有意な効果があった(SMD=0.534、95%信頼区間0.167〜0.901)。拡張期血圧を下げる効果も有意だった。

対象: 42件の研究(多くは大学生が対象) / 限界: 各項目のメタ分析に使えた研究は2〜3件と少なく、対象の多くが大学生で、一般化には注意が必要

Serra ら(2025年)[2]

27個の鉢植えを並べた「植物の壁」の前で、数字を逆順に答える記憶課題(最大14点)を行う実験。植物の壁がある条件では、課題中の副交感神経の活動が、壁がない条件より有意に高かった(p=0.02)。気分の評価も植物の壁がある条件で有意に良かった(p=0.04)。ただし課題の点数そのものには、条件による有意な差はなかった。

対象: 実環境21人・バーチャル環境20人の成人 / 限界: 屋外の騒音や光など外的要因の統制が不十分で、空っぽの部屋との比較条件がない

Hassan・Deshun(2023年)[3]

中国の大学生50人を対象に、室内植物への水やり(15分)と、パソコンでの精神的な作業(15分)を比べた実験。水やりの後は収縮期血圧(p=0.01)・拡張期血圧(p=0.04)・不安を測るSTAIスコア(40.9点 対 44.1点、p=0.02)が、精神作業の後より有意に下がった。脳波の高ベータ波は水やりの後に有意に高くなった(p<0.01)。

対象: 健康な中国人大学生50人(平均21.2歳) / 限界: 植物の種類を1種類しか使っておらず、健康な大学生だけが対象

Chandra Mouli ら(2026年)[4]

256人を4グループに分け、窓から緑地が見える条件・香りがする条件・両方・どちらもない条件を比較した実験。緑地が見える条件では、注意力を測る課題の平均点が、何もない条件より有意に高かった(1.89点 対 2.27点、p<0.001)。抽象的な推理課題の点数も高かった(2.94点 対 3.34点)。

対象: 大学生中心の成人256人 / 限界: 窓からの緑地の眺めを調べた実験で、鉢植えそのものを置いた実験ではない。香りは市販の芳香剤で、自然の香りそのものではない

4つの研究を並べると、効果がはっきり出たのは「ストレス・血圧・気分」と「学業成績」でした。「注意力テストの点数」は、窓からの緑地の眺めでは上がった一方、植物をまとめた分析全体では差が出ていません。実験の条件(植物の量、課題の種類、本物か眺めか)によって結果が変わりやすい分野だとわかります。

03今日からできる小さな一歩

集中力が確実に上がる保証はありませんが、ストレスを下げる効果は複数の研究で確認されています。負担をかけずに試せる範囲で置いてみるのが現実的です。

1

デスクか視界の中に、小さな鉢植えを1つ置く

今回調べた研究はいずれも本物の植物を使っています。大きさや種類より、まず1つ置いて数日様子を見ましょう。

所要 準備5分

2

作業に詰まったら、水やりや葉の手入れを挟む

水やりの実験では血圧と不安の指標が下がりました。数分の小さな休憩として使えます。

所要 2〜3分

3

窓があるなら、緑が見える位置に机を向ける

窓から緑地が見える条件で注意力テストの点数が上がった実験があります。植物を置けない環境でも試せます。

所要 入れ替え5分

04続けるためのコツ

植物だけに集中力アップを期待せず、ストレスを減らす一つの手段として、他の工夫と組み合わせて使うのがコツです。

05よくある質問

植物を置けば、すぐに集中力が上がりますか?

そう言い切れる根拠はまだありません。42件の研究をまとめた分析では、注意力そのものへの効果は統計的にはっきりしませんでした。一方で学業成績への効果や、ストレスを下げる効果は複数の研究で確認されています。

植物はどんな効果がいちばん確かですか?

いまのところ最も確認されているのは、ストレスを和らげる効果です。植物の壁の前で作業した実験では、負担の大きい課題中でも副交感神経の活動が高まりました。植物への水やりでは血圧と不安感が下がりました。

造花や植物の写真でも同じ効果がありますか?

今回確認した研究はいずれも本物の植物を使っていました。造花や写真で同じ効果が出るかどうかは、ここで調べた出典の範囲では確認できませんでした。

出典

  1. Han KT, Ruan LW, Liao LS. (2022). Effects of Indoor Plants on Human Functions: A Systematic Review with Meta-Analyses. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(12), 7454. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9224521/
  2. Serra H, Zavattaro C, et al. (2025). Biophilic interventions in real and virtual environments reduce stress during cognitively demanding tasks. Scientific Reports. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12612148/
  3. Hassan A, Deshun Z. (2023). Promoting adult health: the neurophysiological benefits of watering plants and engaging in mental tasks within designed environments. BMC Psychology. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10557185/
  4. Chandra Mouli S, Palma M, Katabattuni S, Maddock JE. (2026). An experimental study of the acute effects of visual and olfactory nature stimuli on task performance. Frontiers in Psychology. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13402151/