眠くて集中できない昼間、明るい光はどう使う? 照明の明るさと使いどころを研究で調べた

昼すぎになると頭がぼんやりして、画面の文字が入ってこない。そんなとき、部屋の明るさを見直すのは手軽な方法です。研究では、寝不足の日に1,000ルクスの明るい光を浴びると、薄暗い部屋より眠気が減り、注意力のテストの成績も保たれました。ただし、よく眠れている人では効果がはっきりせず、2,000ルクスまで上げても差が出なかった実験もあります。明るい光が役に立ちやすい場面と、使い方を整理します。
3行でわかる
- 2晩続けて5時間しか寝ていない16人の実験では、昼から夕方まで1,000ルクスの明るい光を浴びた人のほうが、薄暗い部屋の人より眠気が少なく、注意力のテストの成績もよかった。
- よく眠れている人では、昼間の明るい光の効果ははっきりしない。50人の実験では、24〜2,000ルクスのどの明るさでも、眠気や注意力にはっきりした差は出なかった。
- 68件の研究をまとめると、明るくすると「目がさえた」という感覚は多くの研究で高まったが、反応の速さなどの成績まで上がった研究は少なかった。眠い日の補助として使うのがよい。
01 悩みの正体昼間なのに眠くて集中できないのはなぜ?
昼間の眠気は、寝不足による「眠りたい圧力」と、午後に覚醒度が下がる体内時計の波が重なって起こります。光は目から脳に届き、覚醒度を上げる働きがあると考えられています。
眠気には2つの理由があります。ひとつは、起きている時間が長いほど、また寝不足が続くほどたまる「眠りたい圧力」です。もうひとつは、体内時計(1日のリズム)による波で、午後に一度、目がさえにくい時間帯があります。昼食後に眠くなる仕組みは昼食後の眠気の記事で詳しく調べています。
光は、ものを見るためだけのものではありません。目には明るさを感じて脳の覚醒にかかわる仕組みもあり、明るい光を浴びると目がさえると考えられています[4]。夜の光で目がさえることはよく知られていますが、昼間の効果については研究の結果が分かれています[4][5]。
02 科学的にわかっていること明るい部屋にいると、昼間の集中力は上がる?
寝不足で眠い日には上がりやすく、よく眠れている日にははっきりしません。明るさで変わりやすいのは「目がさえた感覚」で、作業の成績まで上がるかは研究によって違います。
寝不足の人の眠気を減らした、昼間の明るい光の強さ(薄暗い部屋は5ルクス未満)[1]
Phipps-Nelsonら(2003)[1]
2晩続けて睡眠を5時間に減らした翌日、正午から17時まで1,000ルクスの光を浴びた人は、5ルクス未満の薄暗い部屋にいた人より眠気が少なく、注意力のテスト(合図にすばやく反応する課題)の成績もよくなりました。
対象: 18〜35歳の健康な大人16人(各群8人) / 限界: 比べた相手がとても暗い部屋で、人数も少ない実験です。
Smoldersら(2012)[2]
ふつうに眠れている人で、目の高さの明るさを200ルクスと1,000ルクスで比べました。1,000ルクスのほうが眠気が少なく元気に感じ、注意力のテストの反応も速くなりました。成績の差は午前中と、光を浴び始めて1時間の後半に大きく出ました。
対象: 32人、1時間の光(午前か午後) / 限界: 1回だけの実験室での研究です。
Lokら(2018)[3]
よく眠れている50人が、朝から夕方まで、薄暗い光と実験の光(24〜2,000ルクス)を交互に浴びました。明るさによる差はごく一部で見られただけで、統計の補正をするとどれも残りませんでした。著者らは、寝不足でない人には2,000ルクスまでの昼間の光ではっきりした効果は出ないと結論しています。
対象: 健康な50人(1つの明るさに10人ずつ) / 限界: 1つの明るさあたりの人数が少ない実験です。
Soumanら(2018)、Lokら(2018)のまとめ[5][4]
68件の研究をまとめた分析では、白い光を明るくすると「目がさえた」と感じる研究が多かった一方、はっきりした差が出なかった研究もかなりありました。反応の速さで効果を確かめた研究は少なく、差が出たものはさらに少数でした。昼間に限った19件の研究のまとめでも、注意を保つ課題で効果が出たのは10件中5件でした。
限界: どちらのまとめも、研究ごとの人数が少なく、やり方がばらばらな点を指摘しています。
Violaら(2008)[6]
オフィスの照明を4週間ずつ入れ替えた研究では、青みの強い白い光(17,000K)のほうが、ふつうの白い光(4,000K)より、目がさえる・集中できるという評価がよくなり、日中の眠気も少なくなりました。
対象: 会社員94人(平均36.4歳) / 限界: 本人の答えだけで測っており、照明が変わったことを本人も知っていました。
| 場面 | 明るい光の効果(研究) |
|---|---|
| 寝不足の日の昼〜夕方 | 眠気が減り、注意力の成績も保たれた[1] |
| よく眠れた日の午前 | 1,000ルクスで反応が速くなった実験がある[2] |
| よく眠れた日の昼間全般 | 2,000ルクスまで、はっきりした差なし[3] |
| 目がさえた感覚 | 多くの研究で高まった[4][5] |
| 作業の成績(反応の速さなど) | 効果が出た研究は少なめ[4][5] |
03 今日からできる小さな一歩眠い時間帯に、光をどう使えばいい?
眠くなりやすい時間帯に、窓際や明るい照明の下へ移り、目に光が入る状態で1時間ほど作業します。寝不足の日ほど試す価値があります。夜は明るい光を控えます。
眠くなりやすい時間の前に、明るい場所へ移る
昼食後や午後の会議のあとなど、眠くなりやすい時間の前に、窓際の席や照明の明るい部屋へ移ります。研究で効果が出たのは、1,000ルクスほどの明るさでした[1][2]。
所要 1分
机の上でなく「目に入る光」を明るくする
研究では、目の高さでの明るさを測っています[2]。顔のほうにも光が届くよう、デスクライトの向きや席の位置を調整します。まぶしすぎて目がつらいときは、光源を直接見ない位置にします。スマホの照度計アプリで目の位置の明るさを測ると、目安がわかります。
所要 2分
1時間ほど続けてみる
1時間の実験では、成績の差は後半に大きくなりました[2]。数分で判断せず、1つの作業のあいだ明るい場所で続けます。
所要 約1時間
04 続けるためのコツ明るい光を使うとき、気をつけることは?
夕方以降は明るい光を控え、寝不足の根本は睡眠で取り戻すことです。光は眠い日の補助と考え、効き方には個人差があると知っておきます。
- 夜は明るい光を浴びすぎない。夜の光は体内時計を遅らせ、寝つきを悪くします。昼の光と夜の睡眠の関係は昼間の光の記事で調べています。
- 寝不足そのものは光では消えない。眠い日が続くなら、まず睡眠時間を見直します。寝不足の翌日の立て直し方は寝不足の翌日の記事にまとめています。
- 「さえた感じ」と成績は別もの。明るくすると目がさえた感覚は高まりやすいですが、作業の成績までは上がらないことがあります[4][5]。大事な作業の出来は、時間を区切って確かめましょう。
- 青白い光が特に効くとは言い切れない。色の違いによる効果は、研究によって結果が分かれています[5]。
05よくある質問
昼間に明るい光を浴びると、集中力は上がりますか?
寝不足で眠い日には、上がりやすいことがわかっています。2晩続けて5時間しか寝ていない人の実験では、1,000ルクスの光で眠気が減り、注意力のテストの成績もよくなりました。よく眠れている日は、効果がはっきりしない研究もあります。
何ルクスくらいの明るさがあればいいですか?
効果が見られた実験では、目の高さで1,000ルクスほどの明るさが使われました。200ルクスより1,000ルクスのほうが眠気が少なかった実験があります。ただ、よく眠れている人では2,000ルクスまで上げても差が出なかった実験もあり、最適な明るさはまだわかっていません。
青白い光(昼光色)のほうが目がさえますか?
オフィスで青みの強い照明に変えると、目がさえる・集中できると答える人が増えた研究があります。ただ、68件の研究のまとめでは、光の色による効果ははっきりしませんでした。色より、まず明るさを見直すのがよさそうです。
出典
- Phipps-Nelson, J., Redman, J. R., Dijk, D.-J., & Rajaratnam, S. M. W. (2003). Daytime exposure to bright light, as compared to dim light, decreases sleepiness and improves psychomotor vigilance performance. Sleep, 26(6), 695–700. https://doi.org/10.1093/sleep/26.6.695
- Smolders, K. C. H. J., de Kort, Y. A. W., & Cluitmans, P. J. M. (2012). A higher illuminance induces alertness even during office hours: Findings on subjective measures, task performance and heart rate measures. Physiology & Behavior, 107(1), 7–16. https://doi.org/10.1016/j.physbeh.2012.04.028
- Lok, R., Woelders, T., Gordijn, M. C. M., Hut, R. A., & Beersma, D. G. M. (2018). White light during daytime does not improve alertness in well-rested individuals. Journal of Biological Rhythms, 33(6), 637–648. https://doi.org/10.1177/0748730418796036
- Lok, R., Smolders, K. C. H. J., Beersma, D. G. M., & de Kort, Y. A. W. (2018). Light, alertness, and alerting effects of white light: A literature overview. Journal of Biological Rhythms, 33(6), 589–601. https://doi.org/10.1177/0748730418796443
- Souman, J. L., Tinga, A. M., te Pas, S. F., van Ee, R., & Vlaskamp, B. N. S. (2018). Acute alerting effects of light: A systematic literature review. Behavioural Brain Research, 337, 228–239. https://doi.org/10.1016/j.bbr.2017.09.016
- Viola, A. U., James, L. M., Schlangen, L. J. M., & Dijk, D.-J. (2008). Blue-enriched white light in the workplace improves self-reported alertness, performance and sleep quality. Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 34(4), 297–306. https://doi.org/10.5271/sjweh.1268


