気分・ストレス

冬になると気分が落ち込むのはなぜ? 日の短さと体内時計、「冬季うつ」の研究で調べた

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冬の朝の日の出
Photo: Dietmar Rabich / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

日が短くなると、朝起きるのがつらく、なんとなく気分が重い。毎年この季節になると調子が落ちる気がする。そんな人は少なくありません。研究では、日の光が減る季節に、脳の気分に関わる物質の働きや体内時計が変わることがわかっています。一方で、「冬はみんな気分が落ちる」とまでは言えないこともわかってきました。冬の落ち込みの仕組みを、研究から整理します。

3行でわかる

  1. 脳のセロトニン(気分に関わる物質)の働きは、冬に低く、日照時間が長いほど高いことが、健康な人の研究で示されました。
  2. 冬季うつ(季節性感情障害)の人では、体内時計と睡眠の時間のずれが大きいほど、気分の落ち込みが強い傾向がありました。
  3. 24の研究・3万2866人のまとめでは、冬季うつにあてはまる人は約5%で、緯度が高い地域ほど多くなりました。ただし、一般の人の気分が冬にそろって下がるかは、研究で結果が分かれています。

01 悩みの正体冬に気分が落ち込むのはなぜ?

冬に気分が落ち込むのは、日の光が減ることで、脳のセロトニンの働きが下がり、体内時計がずれるためと考えられています。毎年くり返し、生活に支障が出るほどなら冬季うつと呼ばれます。

朝の光は、体内時計を毎日合わせ直す合図です。冬は日の出が遅く、外で浴びる光も少なくなります。すると体内時計が後ろへずれ、起きる時刻とかみ合わなくなります。

光は、脳のセロトニンの働きにも関わります。セロトニンは気分や意欲、睡眠に関わる物質です。冬に光が減ると、この働きが下がると考えられています。

冬に起きる変化研究で見られたこと
脳のセロトニン働きが下がる冬に最も低く、日照時間が長いほど高い [1][2]
体内時計起きる時刻とずれるずれが大きいほど落ち込みが強い(冬季うつの人) [3]
どのくらいの人に人によって大きく違う冬季うつは約5%、緯度が高いほど多い [4]

02 科学的にわかっていること日の短さは気分にどう影響する?

日の光が少ない季節には、脳のセロトニンの働きが下がり、体内時計がずれやすくなることが示されています。ただし冬季うつになる人は一部で、一般の人の気分が冬に下がるかは研究で結果が分かれます。

Lambertら(2002)[1]

健康な男性101人の、脳から出てくる血液を調べ、セロトニンがどれだけ使われているかを季節ごとに比べました。脳のセロトニンの入れ替わりは冬に最も低くなりました。また、脳がセロトニンを作る量は、その日の明るい日差しの時間が長いほど多くなりました(r = 0.294)。

対象: 健康な男性101人 / 限界: 男性だけの研究で、気分そのものは測っていない。

Praschak-Riederら(2008)[2]

薬を使ったことのない健康な88人の脳を、PET(脳の画像検査)で調べました。セロトニンを回収する「セロトニントランスポーター」は、秋と冬に調べた人で、春と夏に調べた人より、脳のすべての調べた部分で多くなっていました。日照時間が短い時期ほど多い関係もありました。著者らは、これがセロトニンの働きが冬に弱くなる仕組みの1つだと考えています。

対象: 薬を使ったことのない健康な88人 / 限界: 同じ人を1年追ったのではなく、季節ごとに別の人を比べている。

Lewyら(2006)[3]

冬季うつの患者に、少量のメラトニン(眠りの時刻に関わるホルモン)を朝か夕方に飲んでもらい、体内時計を少しずつ動かしました。体内時計と睡眠の時間のずれと、うつの強さを比べると、ずれが大きいほど落ち込みが強いという関係が見られました。著者らは、体内時計のずれが冬季うつに関わるという説(位相ずれ仮説)を支持する結果だとしています。

対象: 冬季うつの患者 / 限界: 冬季うつと診断された人の研究で、ふつうの冬の気分の落ち込みに当てはまるかはわからない。

Kimら(2025)[4]

質問紙で冬季うつを調べた24の研究、合計3万2866人をまとめたメタ分析です。冬季うつにあてはまる人は5.01%、そこまでではない軽い季節の落ち込みは9.37%、夏に落ち込む夏型は0.57%でした。緯度が高い地域ほど、冬季うつと軽い落ち込みが多くなりました。

対象: 24の研究の3万2866人 / 限界: 自分で答える質問紙での判定で、医師の診断ではない。

Øverlandら(2019)[5]

季節と気分の関係を調べた41の研究をまとめた、系統的レビューです。冬にうつが多いと示したのは13の研究でした。残りは、季節の差がない、冬以外の季節に多い、結論が出ない、という結果でした。著者らは、病気としてのうつには季節の差がある程度あるとしつつ、一般の人の気分が冬にそろって下がるという考えには疑問があるとまとめています。

対象: 41の研究 / 限界: 研究ごとに季節の区切り方や測り方がばらばらで、数字をまとめる分析はできなかった。

質問紙だけで判定すると、季節の落ち込みは多めに出ることがあります。アイスランドで1384人を調べた研究では、質問紙で季節の影響が強いと出た人は17.86%でしたが、面接で冬季うつと診断できたのは2.24%でした [6]。冬に調子が落ちる感じと、治療が必要な冬季うつは分けて考えます。光を使う治療の効果は、19の試験のまとめで確認されています [7]。

03 今日からできる小さな一歩冬の落ち込みを軽くするには?

朝の光をしっかり浴び、起きる時刻をそろえて体内時計のずれを小さくするのが基本です。気分の落ち込みが2週間以上続き、生活に支障が出るときは、医療機関に相談してください。

1

起きたら1時間以内に外の光を浴びる

体内時計のずれが、冬季うつの落ち込みと関わっていました [3]。カーテンを開け、通勤や散歩で朝の光に当たります。光の浴び方は昼間の光と夜の眠りの研究にまとめています。

所要 15〜30分

2

休日も起きる時刻をそろえる

冬季うつでは、体内時計のずれが落ち込みと関わっていました [3]。休日の朝寝坊を1時間以内にとどめます。詳しくは毎日同じ時刻に寝起きする研究で書いています。

所要 毎朝

3

気分を1日1行メモする

冬の落ち込みは人によって大きく違います [4][5]。気分を5段階でつけておくと、毎年同じ時期に落ちるのか、ほかの理由なのかが見えてきます。

所要 1日1分

04 続けるためのコツ冬の気分の落ち込みとどうつきあう?

冬に調子が落ちるのは、日の光の変化に体が反応する自然な面があると考え、自分を責めすぎないことです。小さく体を動かし、人と会う予定を減らしすぎないようにします。

05よくある質問

冬季うつ(季節性感情障害)はどのくらいの人がなる?

質問紙で調べた24の研究・3万2866人のまとめでは、冬季うつにあてはまる人は約5%、軽い季節の落ち込みは約9%でした。ただし質問紙だけの判定は多めに出やすく、アイスランドの研究では面接で診断できたのは2.24%でした。

冬に気分が落ちるのは、日照時間のせい?

日照時間は大きく関わると考えられています。健康な人の研究で、脳のセロトニンの働きは冬に低く、明るい日差しの時間が長いほど高くなりました。緯度が高く冬の日が短い地域ほど、冬季うつが多いこともわかっています。

冬はだれでも気分が落ち込むもの?

そうとは言い切れません。41の研究をまとめたレビューでは、冬にうつが多いと示したのは13の研究で、残りは季節の差がないなどの結果でした。冬に強く影響を受ける人と、ほとんど受けない人がいると考えられます。

出典

  1. Lambert, G. W., Reid, C., Kaye, D. M., Jennings, G. L., & Esler, M. D. (2002). Effect of sunlight and season on serotonin turnover in the brain. The Lancet, 360(9348), 1840-1842. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(02)11737-5
  2. Praschak-Rieder, N., Willeit, M., Wilson, A. A., Houle, S., & Meyer, J. H. (2008). Seasonal variation in human brain serotonin transporter binding. Archives of General Psychiatry, 65(9), 1072-1078. https://doi.org/10.1001/archpsyc.65.9.1072
  3. Lewy, A. J., Lefler, B. J., Emens, J. S., & Bauer, V. K. (2006). The circadian basis of winter depression. Proceedings of the National Academy of Sciences, 103(19), 7414-7419. https://doi.org/10.1073/pnas.0602425103
  4. Kim, K., Kim, J., Jung, S., et al. (2025). Global prevalence of seasonal affective disorder by latitude: A systematic review and meta-analysis. Journal of Affective Disorders, 390, 119807. https://doi.org/10.1016/j.jad.2025.119807
  5. Øverland, S., Woicik, W., Sikora, L., Whittaker, K., Heli, H., Skjelkvåle, F. S., Sivertsen, B., & Colman, I. (2019). Seasonality and symptoms of depression: A systematic review of the literature. Epidemiology and Psychiatric Sciences, 29, e31. https://doi.org/10.1017/S2045796019000209
  6. Zelinski, L., Pálmadóttir, A. D., Birgisdóttir, Á. G., et al. (2026). Prevalence of seasonal affective disorder and seasonality of mood and behaviour in Iceland: Methodological implications for revisiting the latitude hypothesis. Journal of Affective Disorders, 398, 121057. https://doi.org/10.1016/j.jad.2025.121057
  7. Pjrek, E., Friedrich, M.-E., Cambioli, L., et al. (2020). The efficacy of light therapy in the treatment of seasonal affective disorder: A meta-analysis of randomized controlled trials. Psychotherapy and Psychosomatics, 89(1), 17-24. https://doi.org/10.1159/000502891