睡眠

ホワイトノイズや雨の音を流すと、よく眠れる? 38件のレビューと睡眠実験でわかったこと

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扇風機
Photo: Reuben Strayer / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

静かすぎて落ち着かない夜や、外の車の音が気になる夜に、ホワイトノイズや雨の音を流して眠る人は少なくありません。研究を見ると、寝つきが早くなった実験はあります。ただ、38件の研究をまとめたレビューでは、眠りが良くなるという根拠の質は「非常に低い」と判定されました。一晩中流すとレム睡眠が減った実験もあり、外の騒音対策としては耳栓のほうが効いていました。

3行でわかる

  1. 38件の研究をまとめたレビュー(Riedyら、2021)では、一定の音を流すと眠りが良くなるという根拠の質は「非常に低い」と判定された。
  2. 18人の実験では、音を流した夜は安定した眠りに入るまでの時間が中央値で38%短くなった。ただし、いつもより90分早く寝る条件での1晩ずつの比較だった。
  3. 25人が7晩を過ごした2026年の実験では、50デシベルのピンクノイズを一晩中流すとレム睡眠が18.6分減った。騒音による眠りの乱れは、耳栓のほうがよく防いだ。

01 悩みの正体ホワイトノイズで眠りやすくなると言われるのはなぜ?

背景に一定の音があると、外から急に入る音との差が小さくなり、気づきにくくなる。この「音のマスキング」が、眠りに役立つと考えられている理由だ。

ホワイトノイズは、低い音から高い音までを同じ強さで混ぜた「ザー」という音です。高い音を少し弱めたものはピンクノイズと呼ばれます。扇風機や空気清浄機の音も、似た性質の音として研究で扱われています。

静かな部屋で車やドアの音がすると、音の大きさが急に変わるので目が覚めやすくなります。背景に一定の音を流すと、その差が小さくなります。これを「マスキング」といいます。

アメリカの2012年の調査では、5%の人が扇風機やホワイトノイズの機械などを眠るために使っていました(Messineoらの論文での紹介による)。では、実際に眠りは良くなるのでしょうか。

02 科学的にわかっていることホワイトノイズで眠りは本当に良くなる?

寝つきが早くなった実験はあるが、38件の研究をまとめると根拠の質は非常に低い。一晩中流すとレム睡眠が減った実験もあり、「効く」とは言い切れない。

音の使い方研究でわかったこと判定
寝つくために流す18人の実験で、安定した眠りに入るまでの時間が中央値で38%短縮。ただし1晩ずつの比較条件しだい
一晩中流し続ける50デシベルのピンクノイズで、レム睡眠が18.6分減少おすすめしにくい
外の騒音を隠すために流す騒音による目覚めは少し減ったが、レム睡眠も減った耳栓に劣る
耳栓をする騒音による深い睡眠の減少を、ほぼ防いだ試す価値あり

Riedyら(2021)[1]

一定の音(ホワイトノイズなど)と睡眠の関係を調べた38件の研究を集めたシステマティックレビュー。音の種類や大きさ、眠りの測り方は研究ごとにばらばらだった。結果も「眠りが良くなる」から「眠りを妨げる」まで分かれた。GRADEという基準で評価すると、一定の音が眠りを良くするという根拠の質は「非常に低い」とされた。著者らは、広く使われている現状と食い違うと指摘している。

対象: 38件の研究(動物実験と、眠りを妨げる目的で断続的に音を流した研究は除外) / 限界: 個々の研究が小さく方法もそろっていない。「効かない」と証明されたわけでもない。

Messineoら(2017)[2]

健康な18人が、睡眠検査室で2晩眠った実験。1晩は部屋の環境音(約40デシベル)のまま、もう1晩は2つのスピーカーから広い周波数の音(約46デシベル)を流した。寝つきにくい状態を作るため、いつもより90分早く消灯した。音を流した夜は、安定した眠り(睡眠段階2)に入るまでの時間が19分から13分に縮んだ(中央値で38%短縮)。ただし本人が感じた眠りの質は、全体では変わらなかった。改善したのは、ふだんから寝つきが悪い人のグループだけだった。

対象: 健康な成人18人(20〜65歳で募集)、各条件1晩ずつ / 限界: 人数が少なく1晩だけの比較。研究は音響機器メーカーの資金提供を受け、著者の一部はその会社から相談料を受け取っている。

Basnerら(2026)[3]

夜に音を流す習慣のない健康な25人が、検査室で7晩を過ごした実験。飛行機や車などの騒音、ピンクノイズ、耳栓、その組み合わせを夜ごとに変えた。ピンクノイズ(50デシベル)だけを流した夜は、静かな夜よりレム睡眠が18.6分短かった。騒音だけの夜は深い睡眠が23.4分減ったが、耳栓をするとこの減少はほぼ防げた。騒音に50デシベルのピンクノイズを重ねた夜は、静かな夜より起きている時間が15.4分長かった。

対象: 健康な成人25人(平均28.5歳) / 限界: 短期間の実験。ふだんから音を流して寝ている人や、高齢者・子どもにそのまま当てはまるとは限らない。

Vincensら(2026)[4]

健康な12人が防音の寝室で5晩眠った予備的な実験。車・電車・飛行機の騒音を流した夜は、眠りが細切れになった。45デシベルのピンクノイズを一晩中重ねると、その乱れや血液中の代謝の変化は小さくなった。著者ら自身が、人数が少ないので慎重に解釈すべきだと述べている。

対象: 健康な若い成人12人(平均23.6歳) / 限界: 予備的な研究で、人数が少なく、対象も似た人に偏っている。

03 今日からできる小さな一歩ホワイトノイズを試すなら、どう使えばいい?

外の騒音が気になるなら、まず耳栓を試すのが研究に沿った順番だ。音を流すなら小さめの音量にして、寝つくまでで止まるタイマーを使う。

1

騒音が気になるなら、まず耳栓を試す

Basnerらの実験では、市販のスポンジ耳栓で音が平均25.5デシベル小さくなり、騒音による深い睡眠の減少をほぼ防げた。数晩続けて、つけ心地を確かめる。

所要 数晩

2

音を流すならタイマーで止める

寝つきが早くなった実験は、眠り始めの効果を見たもの。一晩中流すとレム睡眠が減ったので、寝つくころに止まる設定(たとえば30分)にする。

所要 設定に1分

3

音量は小さめ、耳元から離す

研究で使われた音は40〜50デシベルほど。スピーカーやスマホは枕元に置かず、少し離れた場所から小さめの音で流す。

所要 1分

4

2週間、寝つきと朝の感じをメモする

効果は人によって分かれる。音ありの夜と音なしの夜で、寝つくまでの感覚と朝の眠気を比べ、合わなければやめる。

所要 毎朝1分

04 続けるためのコツホワイトノイズを使うとき、気をつけることは?

毎晩長く使ったときの影響は、まだ研究されていない。赤ちゃんに使うときは、音量と置き場所に特に注意したい。

05よくある質問

ホワイトノイズを一晩中流しても大丈夫?

健康な25人の実験では、50デシベルのピンクノイズを一晩中流すと、静かな夜よりレム睡眠が18.6分短くなりました。長く使ったときの影響はまだわかっていないため、使うなら寝つくまでのタイマーにするのが無難です。

ホワイトノイズとピンクノイズ、どちらが眠りにいい?

どちらがいいとは言えません。38件の研究をまとめたレビューでも、音の種類や大きさは研究ごとにばらばらで、眠りが良くなるという根拠の質は非常に低いと評価されています。

外の騒音で眠れないときは、何を試せばいい?

騒音、ピンクノイズ、耳栓を比べた実験では、耳栓のほうが騒音による眠りの乱れをよく防いでいました。ピンクノイズは目覚めを少し減らしたものの、レム睡眠を減らしていました。

雨の音や波の音でも、同じ効果がある?

雨や波の音だけを取り出して効果を確かめた質の高い研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。一定の音として扱うなら、ホワイトノイズと同じく小さめの音量で短く使うのが無難です。

出典

  1. Riedy SM, Smith MG, Rocha S, Basner M (2021). Noise as a sleep aid: A systematic review. Sleep Medicine Reviews, 55, 101385. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2020.101385
  2. Messineo L, Taranto-Montemurro L, Sands SA, Oliveira Marques MD, Azabarzin A, Wellman DA (2017). Broadband Sound Administration Improves Sleep Onset Latency in Healthy Subjects in a Model of Transient Insomnia. Frontiers in Neurology, 8, 718. https://doi.org/10.3389/fneur.2017.00718
  3. Basner M, Smith MG, Cordoza M, et al. (2026). Efficacy of pink noise and earplugs for mitigating the effects of intermittent environmental noise exposure on sleep. Sleep, 49(5), zsag001. https://doi.org/10.1093/sleep/zsag001
  4. Vincens N, Nause A, Basner M, et al. (2026). Pink noise reduces impact of traffic noise on sleep and the blood metabolome: a cross-over pilot study. Communications Medicine, 6, 114. https://doi.org/10.1038/s43856-026-01380-5
  5. Hugh SC, Wolter NE, Propst EJ, Gordon KA, Cushing SL, Papsin BC (2014). Infant sleep machines and hazardous sound pressure levels. Pediatrics, 133(4), 677-681. https://doi.org/10.1542/peds.2013-3617