習慣

スマートウォッチや活動量計をつけると、運動習慣は続く? 増える歩数と、手放す時期を研究で調べた

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手首につける活動量計
Photo: PamD / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

スマートウォッチを買えば、毎日歩く習慣がつくかもしれない。そう期待して、数か月後には引き出しにしまっている。そんな経験がある人は少なくありません。研究をまとめると、活動量計は運動量を「少し」増やします。ただ、端末だけで効果が出なかった試験もあり、1年後まで使い続ける人は少数でした。つけるだけで習慣になるわけではなく、使い方しだいで差が出ます。

3行でわかる

  1. 39件のシステマティックレビュー(約16万人分)をまとめた研究では、活動量計で運動量が増え、1日あたり約1800歩の増加に当たった。
  2. 一方で、端末を渡すだけの試験では6か月後に差が出なかった例や、減量の試験で端末を足した組のほうが体重が減らなかった例もある。
  3. フランスの711人の調査では、100日後に使っていた人は73.9%、320日後は16.0%。やめた理由で最も多かったのは電池切れ・故障・紛失だった。

01 悩みの正体活動量計で運動が続くと期待されるのはなぜ?

活動量計は、歩数や運動した時間を自動で記録して見せてくれます。自分の行動を記録して確かめることは、目標に近づく助けになると知られているからです。

運動が続かない理由の1つは、自分がどれだけ動いたかが見えないことです。活動量計は、手で書かなくても毎日の歩数を残してくれます。目標の歩数に届くと知らせてくれる機種もあります。

記録そのものの効果は、習慣を記録するだけで続けやすくなる研究で紹介しています。では、それを端末に任せたら、本当に運動は増えて、続くのでしょうか。ここでは、端末を使った組と使わない組を比べた研究を見ていきます。

02 科学的にわかっていること活動量計で運動量は本当に増える?

増えます。ただし効果は小さめから中くらいです。端末を渡すだけでは差が出なかった試験もあり、支えや目標と組み合わせたときのほうが効果ははっきりしていました。

Fergusonら(2022)[1]

活動量計の効果を調べたシステマティックレビューとメタ分析を、さらに39件集めて整理しました。まとめると、活動量計を使った人は運動量が増えていました。量にすると、1日あたり約1800歩、歩く時間は1日40分ほど多く、体重は約1kg減っていました。血圧や生活の質など、ほかの健康の指標への効果は小さく、はっきりしないことが多い結果でした。

対象: 39件のレビューに含まれた計163,992人(全年齢、健康な人と持病のある人の両方) / 限界: レビューをまとめたレビューのため、元の試験の質や条件はばらばらです。

約1800歩

活動量計を使った人で増えた、1日あたりの歩数の目安(39件のレビューのまとめ)[1]

Brickwoodら(2019)[2]

市販の活動量計を使った組と使わない組を比べた、28件のランダム化比較試験をまとめました。活動量計の組は歩数が増え、中くらい以上の強さの運動の時間も増えていました。端末が中心の方法では1日約475歩、カウンセリングなどと組み合わせた方法では約685歩の増加に当たりました。座っている時間には、はっきりした差がありませんでした。

対象: 9か国の大人3,646人(平均年齢は試験ごとに17.9〜79.5歳) / 限界: 12か月以上続いた2件の試験では、端末をつける割合がほかより低めでした。

Finkelsteinら(2016)[3]

シンガポールの会社員800人を、何もしない組、活動量計(Fitbit Zip)だけの組、活動量計に寄付や現金のごほうびを足した組に分けました。6か月後、活動量計だけの組は何もしない組と比べて、はっきりした差がありませんでした。12か月後には差が出ましたが、活動量計の組が増えたのではなく、何もしない組の運動が減ったためでした。体重や血圧などの健康の指標は、どの組も改善しませんでした。

対象: 13の組織で働く21〜65歳の800人 / 限界: 現金のごほうびは6か月の時点で最も効きましたが、ごほうびをやめた後は効果が続きませんでした。

Jakicicら(2016)[4]

減量プログラムに参加した若い大人を2つの組に分け、6か月目から、一方はウェブでの記録、もう一方は身につける端末での記録に切り替えました。24か月後の体重の減り方は、端末の組が平均3.5kg、ウェブの組が5.9kgでした。端末を足したほうが、減量は小さかったのです。運動量や体力の改善には、組の間で差がありませんでした。

対象: アメリカの18〜35歳、BMI25以上40未満の471人 / 限界: 目的は減量で、運動習慣そのものを調べた試験ではありません。

02 科学的にわかっていること(続き)活動量計は、いつまで使い続けられる?

多くの人は1年もたずに使わなくなります。フランスの調査では、320日後も記録していた人は16.0%でした。やめた理由で多かったのは、意欲よりも電池切れや故障でした。

Hermsenら(2017)[5]

活動量計(Fitbit Zip)を受け取った711人の記録を320日分調べました。使い続ける人は少しずつ減り、100日後は73.9%、320日後は16.0%でした。平均すると129日使っていました。やめた理由で最も多かったのは、電池切れ・故障・紛失などの機械の問題で、回答者の21.5%でした。長く使った人ほど、1日の平均歩数も多い傾向がありました。

対象: フランスの4つの都市部の711人 / 限界: 端末をもらった人の観察で、比べる組はありません。長く使ったから歩いたのか、よく歩く人が長く使ったのかは区別できません。

ここまでを判定表にまとめます。

よく言われること研究でわかったこと判定
活動量計をつけると運動量が増える多くのレビューで増えた。1日約1800歩の目安[1][2]効く(効果は小〜中)
端末を渡すだけで十分6か月後に差が出なかった試験がある[3]それだけでは弱い
つければ痩せる・健康になる健康の指標の改善は小さい。減量が小さかった試験もある[1][3][4]当てにならない
一度買えばずっと使い続ける320日後も使っていたのは16.0%[5]多くは手放す

03 今日からできる小さな一歩活動量計を習慣づくりに生かすには?

数字を見るだけで終わらせず、ふだんの歩数を知り、少し上の目標を決め、見直す日を作ることです。電池と置き場所の決まりも先に作ります。

1

最初の1週間は、目標を決めずにふだんの歩数を知る

いきなり1万歩を目指さず、自分の平均を確かめます。歩数の目安は1日何歩歩けばいいかの研究にまとめています。

所要 1週間(記録は自動)

2

平均より少し上を、1日の目標にする

端末が中心の方法より、カウンセリングなどほかの支えと組み合わせた方法のほうが、歩数の増え方は大きめでした[2]。たとえば平均より1000歩多い数を目標にします。

所要 1分

3

週に1回、記録を見返す日を決める

日曜の夜など、決まった時間に1週間の歩数を見返します。届かない週があれば、目標を下げて続けます。

所要 5分

4

充電の時間と場所を決めておく

やめた理由で多かったのは電池切れや故障でした[5]。「お風呂の間に充電」のように、毎日の行動にくっつけます。

所要 1分

04 続けるためのコツ活動量計を使わなくなったら、運動もやめるべき?

やめる必要はありません。端末はきっかけにすぎず、運動を続ける方法はほかにもあります。スマホの歩数計や紙の記録でも代わりになります。

持病があって運動量を大きく増やしたいときは、主治医に相談しながら進めると安心です。

05よくある質問

スマートウォッチをつけるだけで運動量は増えますか?

増えることが多いですが、効果は小さめから中くらいです。39件のレビューをまとめた研究では、1日あたり約1800歩の増加に当たりました。ただ、端末を渡すだけの試験では、6か月後に何もしない組と差が出なかった例もあります。

活動量計で痩せられますか?

大きな期待はしにくいです。レビューのまとめでは体重の減少は約1kgでした。減量プログラムに端末を足した試験では、端末の組のほうが24か月後の減量が小さい結果でした(3.5kgと5.9kg)。

活動量計はどれくらいでやめる人が多いですか?

フランスで711人を調べた研究では、100日後に使っていた人は73.9%、320日後は16.0%で、平均は129日でした。やめた理由で最も多かったのは、電池切れ・故障・紛失でした。

高い機種のほうが効果はありますか?

機種による差は、ここで紹介した研究では比べられていません。シンガポールの試験とフランスの調査で使われたのは、服に留めるクリップ型の簡単な歩数計(Fitbit Zip)でした。

出典

  1. Ferguson, T., Olds, T., Curtis, R., Blake, H., Crozier, A. J., Dankiw, K., Dumuid, D., Kasai, D., O'Connor, E., Virgara, R., & Maher, C. (2022). Effectiveness of wearable activity trackers to increase physical activity and improve health: a systematic review of systematic reviews and meta-analyses. The Lancet Digital Health, 4(8), e615-e626. https://doi.org/10.1016/S2589-7500(22)00111-X
  2. Brickwood, K.-J., Watson, G., O'Brien, J., & Williams, A. D. (2019). Consumer-Based Wearable Activity Trackers Increase Physical Activity Participation: Systematic Review and Meta-Analysis. JMIR mHealth and uHealth, 7(4), e11819. https://doi.org/10.2196/11819
  3. Finkelstein, E. A., Haaland, B. A., Bilger, M., Sahasranaman, A., Sloan, R. A., Nang, E. E. K., & Evenson, K. R. (2016). Effectiveness of activity trackers with and without incentives to increase physical activity (TRIPPA): a randomised controlled trial. The Lancet Diabetes & Endocrinology, 4(12), 983-995. https://doi.org/10.1016/S2213-8587(16)30284-4
  4. Jakicic, J. M., Davis, K. K., Rogers, R. J., King, W. C., Marcus, M. D., Helsel, D., Rickman, A. D., Wahed, A. S., & Belle, S. H. (2016). Effect of Wearable Technology Combined With a Lifestyle Intervention on Long-term Weight Loss: The IDEA Randomized Clinical Trial. JAMA, 316(11), 1161-1171. https://doi.org/10.1001/jama.2016.12858
  5. Hermsen, S., Moons, J., Kerkhof, P., Wiekens, C., & De Groot, M. (2017). Determinants for Sustained Use of an Activity Tracker: Observational Study. JMIR mHealth and uHealth, 5(10), e164. https://doi.org/10.2196/mhealth.7311