1日何歩歩けばいいのか。「1万歩」の根拠を研究で調べた

健康のために1日1万歩。そう聞いて歩数計を見ながら、届かない日に落ち込んでいないでしょうか。研究を見ると、「1万歩」という数字にはっきりした根拠はなく、もっと少ない歩数でも健康への効果が十分に見られることがわかってきました。
3行でわかる
- 15の研究・4万7,471人のデータをまとめた分析では、歩数が増えるほど死亡リスクは下がったが、60歳以上は1日6,000〜8,000歩、60歳未満は8,000〜1万歩で頭打ちになった。
- 2025年の57研究のレビューでは、1日2,000歩と比べて7,000歩の人は、死亡リスクが47%、認知症のリスクが38%、うつ症状のリスクが22%低かった。
- 厚生労働省は、成人は1日8,000歩以上、高齢者は1日約6,000歩以上を目安としている。
01「1日1万歩」には、はっきりした根拠がなかった
「1日1万歩」は広く知られていますが、それを裏付ける研究は少ないとされてきました。最近の大規模な研究から、より現実的な目安が見えてきています。
15の研究をまとめた2022年の分析は、冒頭で「1日1万歩は広く勧められているが、それを支える証拠はほとんどない」と指摘しています。
その分析や、2025年の大規模なレビューでは、歩数が少ない人から少し増やすだけでも、健康への効果が大きいことがわかってきました。
一方で、ある歩数を超えると、それ以上歩いても効果の増え方はゆるやかになります。完璧を目指すより、今より少し増やすことが大切だと考えられます。
02科学的にわかっていること
歩数が増えるほど死亡などのリスクは下がりましたが、その効果は年齢に応じた歩数で頭打ちになりました。1日7,000歩でも十分な効果が見られています。
Paluchら(2022)[1]
15の研究・4万7,471人の歩数データを、中央値7.1年追跡した。歩数が最も少ないグループ(中央値3,553歩)と比べ、5,801歩のグループで死亡リスクが40%、7,842歩で45%、10,901歩で53%低かった。リスクが下がり続けたのは、60歳以上では1日6,000〜8,000歩まで、60歳未満では8,000〜1万歩までだった。
対象: 15の研究、成人4万7,471人 / 限界: 観察研究で、歩くこと自体が原因とは断定できない。
Dingら(2025)[2]
機器で測った歩数と健康の関係を調べた57の研究をまとめた。1日2,000歩と比べて7,000歩の人は、死亡リスクが47%、心血管病の発症が25%、認知症が38%、うつ症状が22%、転倒が28%低かった。死亡や認知症、転倒では、1日5,000〜7,000歩あたりで効果の増え方がゆるやかになった。
対象: 35のコホート、57の研究 / 限界: 研究によって確かさが異なる。
Saint-Mauriceら(2020)[3]
40歳以上のアメリカ人4,840人に歩数計をつけてもらい、平均10.1年追跡した。歩数が多い人ほど死亡リスクが低かった。参加者の平均歩数は1日9,124歩だった。
対象: 40歳以上のアメリカの成人4,840人 / 限界: 歩数の測定は最初の1週間だけ。
厚生労働省(身体活動・運動ガイド2023)[4]
成人には、歩行やそれ以上の強さの身体活動を1日60分以上、1日8,000歩以上を勧めている。高齢者には、1日40分以上、1日約6,000歩以上を勧めている。今より少しでも多く体を動かすことを基本としている。
対象: 国の身体活動の指針 / 限界: 一般向けの目安で、持病がある人は医師と相談が必要。
03今日からできる小さな一歩
まずは今の歩数を知り、1日1,000歩(約10分)ずつ増やすことから始めます。1万歩にこだわる必要はありません。
今の歩数を1週間記録する
スマホの歩数計で、ふだんの1日の歩数を確認します。まず現状を知ることが出発点です。
所要 確認するだけ
今より1,000歩増やす
1,000歩はおよそ10分の歩行です。1駅分歩く、遠回りして帰るなど、生活の中で増やせる場所を1つ決めます。
所要 10分
目安は7,000〜8,000歩
60歳未満なら8,000歩前後、60歳以上なら6,000〜8,000歩を目安にします。届かない日があっても気にしすぎません。
所要 日々
04続けるためのコツ
毎日目標に届かなくても大丈夫です。週単位で見て、少しずつ増えていれば十分です。
- 歩数が少ない人ほど、少し増やすだけで効果が大きいことがわかっています。
- 雨の日は、家の中や駅の階段で歩数を増やします。
- 歩くペースを少し上げることも、健康への効果と関わっていました。
- 持病がある人や、体調に不安がある人は、運動量を増やす前に医師に相談してください。
05よくある質問
歩数について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。
1日1万歩は歩かないといけないの?
いいえ。4万7,471人の研究では、60歳以上は6,000〜8,000歩、60歳未満は8,000〜1万歩で、死亡リスクの下がり方が頭打ちになりました。1万歩にこだわる必要はありません。
1日何歩くらいが目安?
2025年のレビューでは、1日7,000歩で、2,000歩の人より死亡リスクが47%低くなっていました。厚生労働省は、成人は8,000歩以上、高齢者は約6,000歩以上を目安としています。
少しの歩数でも意味はある?
あります。歩数が最も少ないグループと比べて、1日約5,800歩のグループでも死亡リスクが40%低くなっていました。
歩くとうつや認知症の予防になるの?
関連が見られています。7,000歩の人は2,000歩の人より、認知症のリスクが38%、うつ症状のリスクが22%低くなっていました。ただし観察研究で、因果関係は確定していません。
出典
- Paluch, A. E., Bajpai, S., Bassett, D. R., et al. (2022). Daily steps and all-cause mortality: a meta-analysis of 15 international cohorts. The Lancet Public Health, 7(3), e219-e228. https://doi.org/10.1016/S2468-2667(21)00302-9
- Ding, D., Nguyen, B., Nau, T., et al. (2025). Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis. The Lancet Public Health, 10(8), e668-e681. https://doi.org/10.1016/S2468-2667(25)00164-1
- Saint-Maurice, P. F., Troiano, R. P., Bassett, D. R., et al. (2020). Association of Daily Step Count and Step Intensity With Mortality Among US Adults. JAMA, 323(12), 1151-1160. https://doi.org/10.1001/jama.2020.1382
- 厚生労働省 (2024). 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf