深呼吸や瞑想などの「心のケア」を毎日の習慣にするには? 20秒の練習に「習慣づくりの計画」を足した研究でわかったやり方

深呼吸、短い瞑想、自分をいたわる言葉。心に良いと聞いて始めても、数日たつと忘れてしまう。そんな経験は多くの人にあります。アメリカの大人497人の実験では、20秒ほどの小さな練習に、「いつ・どこで・何をきっかけに・つまずいたらどうするか」を決める15分の計画を足すと、6か月後も実践回数が多く、習慣になりやすくなりました。研究で使われた計画の中身と、自分で立てるやり方を紹介します。
3行でわかる
- 心のケアの効果は、続けた人にしか出にくい。大学生135人の実験では、全体では差がなく、1か月に28回より多く練習した人にだけ効果が見られた。
- 大人497人の実験で、習慣づくりの計画を足した組は、3か月後の練習が週6.5回で、計画なしの組(週4.8回)より多かった。6か月後も多く、考えずにできる度合いも高かった。
- 計画では、きっかけ・時刻・場所・通知・つまずいたときの対処・ごほうびを決め、週2日までの休みを認め、最後に手順を目を閉じて思い浮かべた。
01 悩みの正体心のケアが続かないのは、やる気のせい?
やる気だけの問題ではありません。習慣は、同じ状況で同じ行動をくり返すうちに、考えなくても始まるようになるものです。始めるきっかけが決まっていないと、思い出すこと自体が難しくなります。
研究者は、習慣を「くり返しによって、決まった状況が来ると自動的に始まる行動」と説明しています[1]。やる気がある日でも、思い出すきっかけがなければ、忙しさに流されてしまいます。
そして心のケアは、続けてはじめて効果が見えやすくなります。大学生135人に、自分を思いやる気持ちで自分の体にそっと触れる20秒の練習を1か月続けてもらった実験があります[2]。参加者全体では、比べた組との差は出ませんでした。ところが、1か月に28回より多く練習した人だけで比べると、自分への思いやりが高まり、ストレスが下がっていました。
02 科学的にわかっていること「習慣づくりの計画」を足すと、どれくらい続く?
大人497人の実験では、計画を足した組のほうが、6か月後まで練習の回数が多く、考えずにできる度合いも高くなりました。ただし差は小〜中くらいで、ストレスの量には差が出ませんでした。
週6.5回
習慣づくりの計画を足した組の、3か月後の練習回数の平均。計画なしの組は週4.8回だった[1]
Susmanら(2026)[1]
自分を思いやる気持ちで体に触れる、1日20秒以内の練習を、2つの組で始めてもらいました。どちらの組も、練習のやり方を学び、「歯を磨き終えたら」のようなきっかけを1つ決めました。片方の組だけ、15分のオンライン講座で習慣づくりの考え方を学び、詳しい計画を書きました。計画を足した組は、3か月後も6か月後も練習の回数が多く、考えずにできる度合いも高くなりました。自分への思いやりも高まり、6か月後には心の不調の症状も軽くなっていました。
対象: アメリカの大人497人(平均44歳) / 限界: 差の大きさは小〜中くらいで、ストレスの量には差が出ませんでした。練習の回数は自己申告です。計画のどの部分が効いたのかは切り分けていません。
| 結果 | 計画あり | 計画なし |
|---|---|---|
| 練習の回数(3か月後) | 週6.48回 | 週4.84回 |
| 練習の回数(6か月後) | 週6.73回 | 週5.04回 |
| ストレス(6か月後) | はっきりした差なし | |
| 心の不調の症状(6か月後) | 計画ありの組のほうが軽くなった | |
数字はSusmanら(2026)の表の平均値です[1]。
Maら(2023)[3]
運動を習慣にするための介入を調べた10件のランダム化比較試験をまとめました。習慣づくりの介入で、運動の習慣の強さは小さく高まりました(SMD=0.31)。中身のうち「問題の解決(つまずきへの対処を考えること)」を含む介入ほど、効果が大きい関係が見られました。
対象: 運動の習慣を調べた10件の試験 / 限界: 研究の数が少なく、「問題の解決」を含む試験は4件だけでした。
Barettaら(2025)[5]
決めたきっかけのあとに15分の早歩きをする習慣を、105日間アプリで追いました。その日ごとに、決意を書く課題と通知を、それぞれ半々の確率で届けました。2つが一緒に届いた日に、習慣の強さが高まる傾向がありました。一方、最後まで習慣が弱いままだった人も、24人中17人(71%)いました。
対象: 運動不足のスイスの大人24人 / 限界: 人数が少なく、著者ら自身も「暫定的な結果」としています。
03 今日からできる小さな一歩心のケアを習慣にする計画は、どう立てる?
練習を20秒ほどに小さくし、毎日必ずある行動をきっかけにします。時刻・場所・通知・つまずいたときの対処・ごほうびを書き出し、最後に手順を思い浮かべます。研究では15分の講座と計画で行われました。
練習を「20秒」まで小さくする
研究で習慣にしたのは、1日20秒以内の練習でした[1]。深呼吸なら3回、自分への言葉なら1文など、すぐ終わる形にします。
所要 1分
毎日必ずある行動を、きっかけに決める
研究の例は「歯を磨き終えたら、練習をする」でした[1]。ほかにも「コーヒーを入れたら」など、1日1回は必ずある行動を選びます。
所要 2分
時刻と場所を決め、スマホの通知を入れる
計画の組は、毎日の時刻と場所を決め、その時刻にスマホの通知を設定しました[1]。早歩きの研究でも、通知と決意の課題が一緒に届いた日に習慣が強まる傾向がありました[5]。
所要 3分
つまずきそうな場面と、その対処を書く
「出張の日」「寝坊した朝」など、できなくなりそうな場面と対処を書きます。計画の組もこれを書いていました[1]。運動のまとめでも、つまずきへの対処を含む介入ほど効果が大きい関係がありました[3]。
所要 5分
やって良かった感覚を書き、週2日の休みを認める
計画の組は、練習で得られる良い感覚(ごほうび)を書き出しました。どうしても無理な日のために、週2日までの「休みの日」も認められていました[1]。
所要 2分
目を閉じて、計画の手順を思い浮かべる
計画を書き終えた参加者は、目を閉じて、計画の各ステップを実行する場面を思い浮かべました[1]。
所要 1分
04 続けるためのコツ続けているのに、まだ習慣になった気がしないときは?
習慣になるまでの期間は、人によって大きく違います。研究のまとめでは中央値で約2か月でしたが、数日の人も1年近い人もいました。休んだ日があっても、決めたきっかけに戻れば十分です。
- 20件の研究、2,601人のまとめでは、習慣になるまでの日数の中央値は59〜66日、平均は106〜154日で、個人差は4〜335日と大きくありました[4]。2か月を一つの目安にします。
- 同じまとめでは、朝に行う習慣や、自分で選んだ習慣のほうが強くなりやすい傾向がありました[4]。
- 105日間続けても習慣が弱いままの人は珍しくありませんでした[5]。「自分だけ遅い」と考えず、きっかけと通知を見直します。
- きっかけを決めても忘れる日が続くなら習慣をうっかり忘れるときの研究、連続記録が途切れたら記録が途切れたあとの立て直し方を参考に。
- 習慣にする中身は、ゆっくりした呼吸の研究や自分への思いやり(セルフ・コンパッション)の研究で紹介しています。「もし〇〇したら」の決め方はif-thenプランの研究に詳しく書いています。
- 気分の落ち込みや不安が2週間以上続く、眠れないなどのときは、医療機関や専門家に相談してください。
05よくある質問
深呼吸や瞑想など、どんな心のケアでも同じやり方で習慣にできますか?
まだわかっていません。497人の実験で習慣にしたのは、自分を思いやる気持ちで体に触れる20秒の練習でした(Susmanら、2026)。著者らは、この計画は短くて簡単で、毎日のきっかけと組み合わせやすい練習に特に向いているのではないかと考えており、ほかの練習で効くかは今後の研究が必要だとしています。
できない日があったら、習慣にはならないのですか?
そうとは限りません。497人の実験の計画では、どうしても無理な日のために、週2日までの「休みの日」を認めていました。それでも計画を足した組は、計画なしの組より練習の回数が多くなりました(Susmanら、2026)。休んだ翌日に、決めたきっかけに戻ることを優先します。
計画のどの部分がいちばん効いたのですか?
この実験では切り分けていません。きっかけ・時刻・場所・通知・つまずきへの対処・ごほうび・思い浮かべることを、まとめて足しています(Susmanら、2026)。運動の習慣の研究のまとめでは、つまずきへの対処を含む介入ほど効果が大きい関係が見られました(Maら、2023)。
出典
- Susman, E. S., Chen, S., Keltner, D., & Harvey, A. G. (2026). Habit-formation strategies enhance long-term outcomes of a self-compassionate touch micropractice: A randomized controlled trial. Scientific Reports, 16. https://doi.org/10.1038/s41598-026-63457-4
- Susman, E. S., Chen, S., Kring, A. M., & Harvey, A. G. (2024). Daily micropractice can augment single-session interventions: A randomized controlled trial of self-compassionate touch and examining their associations with habit formation in US college students. Behaviour Research and Therapy, 175, 104498. https://doi.org/10.1016/j.brat.2024.104498
- Ma, H., Wang, A., Pei, R., & Piao, M. (2023). Effects of habit formation interventions on physical activity habit strength: Meta-analysis and meta-regression. International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity, 20, 109. https://doi.org/10.1186/s12966-023-01493-3
- Singh, B., Murphy, A., Maher, C., & Smith, A. E. (2024). Time to form a habit: A systematic review and meta-analysis of health behaviour habit formation and its determinants. Healthcare, 12(23), 2488. https://doi.org/10.3390/healthcare12232488
- Baretta, D., Gillmann, N., Edgren, R., & Inauen, J. (2025). HabitWalk: A micro-randomized trial to understand and promote habit formation in physical activity. Applied Psychology: Health and Well-Being, 17(1), e12605. https://doi.org/10.1111/aphw.12605


