習慣

連休や引っ越しのあと、習慣が崩れるのはなぜ?「きっかけ」が消える仕組みを研究で調べた

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引っ越し用のトラック
Photo: Dwight Burdette / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

毎朝のジョギングも、寝る前の読書も、ずっと続いていたのに。長い休みや引っ越し、転職をきっかけに、ぱたりと止まってしまうことがあります。これは意志が弱くなったからではありません。習慣は「いつもの場所・いつもの時間」に支えられていて、環境が変わるとその支えごと消えてしまうからです。

3行でわかる

  1. 習慣は、場所や時間、一緒にいる人などの「きっかけ」で自動的に動く。環境が変わると、きっかけが消えて習慣が止まりやすい。
  2. デンマークのジム会員1,210人の入館記録では、イースター休暇明けに通う回数が週0.24回(約12%)落ち、その後も戻らなかった。
  3. 反対に、環境が変わった直後は古い習慣がゆるむため、自分の考えに沿った新しい行動を始めやすい時期にもなる。

01 悩みの正体環境が変わると、なぜ習慣が止まるのか?

習慣は「やろう」という意志ではなく、いつもの場所や時間などのきっかけで動いている。環境が変わると、そのきっかけがなくなるため止まりやすい。

習慣の研究では、習慣を「同じ状況で同じ行動をくり返すうちに、状況そのものが行動の合図になったもの」と考えます。玄関に置いたシューズや、朝食のあとの時間が、考えるより先に体を動かしてくれるのです。

この仕組みは習慣が自動で動いてしまう理由でもあります。ふだんは便利な仕組みですが、弱点もあります。合図になっていた場所や時間が変わると、行動を起こすスイッチそのものがなくなります。そうなると、行動は「やろう」と決める意志に頼ることになり、忙しさや疲れに負けやすくなります。

02 科学的にわかっていること連休や引っ越しは、習慣をどのくらい崩す?

転校、連休、引っ越し、パンデミックなど、生活の場面が変わった時期に習慣が崩れやすいことは、複数の研究で確認されている。

Woodら(2005)[1]

別の大学へ移った学生の、運動・新聞を読む・テレビを見る習慣を、移る前と後で調べた。習慣は、行う場面の特徴が変わらなかったとき(例: 移った後も誰かと一緒に新聞を読んでいた)だけ続いていた。場面が変わると習慣は崩れ、行動はそのときの「やるつもり」に左右されるようになった。

対象: 大学を移った学生 / 限界: 大学生の3種類の行動に限った研究で、気持ちの変化だけでは習慣の崩れを説明できなかったとされる。

Fredslund・Leppin(2019)[3]

ジムの入館記録を、イースター休暇の前後10週ずつ調べた。休暇明けの週から、通う回数が週0.24回(休暇前の週と比べて12.25%)落ちていた。落ちた分はその後の週でも取り戻されず、ゆるやかな減少が続いた。落ち込みは定年前(65歳未満)の人と、休暇前の6週間に週2回以上通っていた人で特に大きかった。

対象: デンマークのフィットネスチェーンの会員1,210人(平均42.4歳、女性63%)、入館時に自動で記録されたデータ / 限界: 調査への参加は自分の意思によるため会員全体の代表とはいえず、習慣の強さそのものは測っていない。

Thomasら(2016)[4]

英国の大規模調査のデータで、今の家に住んでいる期間と通勤手段の関係を調べた。車で通勤する確率は、住んで1か月の人で0.54、12か月で0.60、10年で0.64と、引っ越し直後がいちばん低かった。環境を大切にしたいと考える人ほど車を使わない傾向は、引っ越して間もない人ではっきり見られ、住む年数がたつにつれて弱まっていた。

対象: 英国の働く成人18,053人 / 限界: 一時点の調査のため、引っ越し前の通勤手段は分からず、因果関係までは確かめられていない。

Andradeら(2023)[5]

2020年4月、新型コロナの流行で暮らしが大きく変わった時期に、生活の乱れと行動の変化を調べた。生活の乱れは、多くの人が意識して行動を立て直せる力を上回っていた。自分を律する力が高い人ほど、新しい習慣を作れていたが、健康に関わる行動の多くとはほとんど関係がなかった。

対象: 米国のオンライン調査の参加者416人(平均34.6歳) / 限界: 一時点の自己回答による調査で、因果関係は分からない。

習慣の研究をまとめたレビュー[2]でも、習慣は同じ状況で同じ行動をくり返すうちにでき、ふだんはこの省エネな仕組みが行動の初期設定になると整理されています。だからこそ、状況が変わると初期設定が働かなくなるのです。

変わったこと研究で見られたこと
大学を移る場面が変わった習慣だけ崩れた [1]
連休(イースター)ジム通いが約12%減り、戻らなかった [3]
引っ越し直後は車通勤が少なく、自分の考えが行動に表れやすい [4]
パンデミック生活の乱れが、意識して立て直せる力を上回った [5]

03 今日からできる小さな一歩環境が変わる前後に、何をしておけばいい?

休みや引っ越しの前に「戻る日」と「新しい場所でのきっかけ」を決めておくと、消えたきっかけを自分で作り直せる。

1

休みの前に「再開する日」を予定に入れる

ジムの研究では、休み明けの落ち込みは自然には戻りませんでした。休み明けの最初の1回を、日時まで決めてカレンダーに書いておきます。

所要 1分

2

新しい場所で「いつ・どこで」を決め直す

引っ越しや転職のあとは、前のきっかけが使えません。「新しい部屋で朝食のあと、窓ぎわで5分」のように、新しい場面に合わせて合図を決め直します。

所要 3分

3

変化の直後に、始めたかったことを1つだけ始める

環境が変わった直後は、古い習慣がゆるんでいる時期です。引っ越しや新年度に合わせて、前からやりたかった行動を1つだけ組み込みます。

所要 5分

04 続けるためのコツ崩れてしまった習慣は、どう立て直す?

崩れたのは意志ではなくきっかけの問題と捉え、責めるより先に新しい環境でのきっかけを作り直すのが近道になる。

05よくある質問

旅行から帰ったら運動の習慣が止まりました。意志が弱いからですか?

意志だけの問題ではありません。習慣はいつもの場所や時間をきっかけに動くため、旅行や連休でそのきっかけが途切れると止まりやすくなります。デンマークのジム会員1,210人の記録でも、イースター休暇明けに通う回数が約12%落ちていました。

引っ越しは、新しい習慣を始めるチャンスになりますか?

その可能性はあります。英国の約1万8千人のデータでは、引っ越して間もない人ほど、環境を大切にする考えが通勤手段に表れやすく、その結びつきは住む年数とともに弱まっていました。ただし調査は一時点のもので、因果関係までは確かめられていません。

一度崩れた習慣は、もう元に戻らないのですか?

戻せます。崩れたのはきっかけが消えたためなので、新しい環境の中で、いつ・どこでやるかを決め直すのが近道です。ジムの研究では休み明けの落ち込みが自然には戻らなかったため、待つより休み明けすぐに予定を入れるほうがよいと考えられます。

出典

  1. Wood, W., Tam, L., & Witt, M. G. (2005). Changing circumstances, disrupting habits. Journal of Personality and Social Psychology, 88(6), 918-933. https://doi.org/10.1037/0022-3514.88.6.918
  2. Wood, W., & Rünger, D. (2016). Psychology of Habit. Annual Review of Psychology, 67, 289-314. https://doi.org/10.1146/annurev-psych-122414-033417
  3. Fredslund, E. K., & Leppin, A. (2019). Can the Easter break induce a long-term break of exercise routines? An analysis of Danish gym data using a regression discontinuity design. BMJ Open, 9(2), e024043. https://doi.org/10.1136/bmjopen-2018-024043
  4. Thomas, G. O., Poortinga, W., & Sautkina, E. (2016). Habit Discontinuity, Self-Activation, and the Diminishing Influence of Context Change: Evidence from the UK Understanding Society Survey. PLoS ONE, 11(4), e0153490. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0153490
  5. Andrade, F. C., Hoyle, R. H., & Burnell, K. (2023). Adjusting to the COVID-19 outbreak in the United States: The impact of disruptions on habits and changes in health behaviors. Journal of Health Psychology, 28(14), 1307-1319. https://doi.org/10.1177/13591053221144440