習慣

出張や旅行で習慣が崩れたら? いつもの場所がない日と、帰ってからの立て直し方を研究で調べた

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ブラシや小びんが入った旅行用のスーツケース
Photo: Berthold Werner / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

出張や旅行から帰ったら、毎朝の運動や夜の勉強がぱったり止まっていた。そんな経験は珍しくありません。研究では、習慣は「いつもの場所・時間・前の行動」に支えられていて、それが変わると強い習慣ほど崩れやすいことがわかっています。意志が弱いせいではありません。旅先では小さく続け、帰ったら最初の数日に、元のきっかけで同じことを繰り返すのが立て直しの近道です。

3行でわかる

  1. 転校した大学生の研究では、運動などの習慣は、行う場所や一緒にする人など、まわりの状況が変わらなかった人でだけ続いていた。
  2. 283人を追った研究では、生活が大きく変わると習慣は弱まり、もともと強い習慣だった人ほど大きく下がった。新しい状況でも体を動かし続けた人は、崩れを抑えられていた。
  3. 立て直しは、元のきっかけ(同じ場所・同じ前の行動)で毎日繰り返すこと。完全に習慣になるまでの目安は中央値で約2か月で、数日の中断で全部が消えるわけではない。

01 悩みの正体旅行や出張で習慣が崩れるのはなぜ?

習慣は「やる気」ではなく、いつもの場所や前の行動を合図に自動で始まる行動だからです。旅先では合図そのものが消えるため、強い習慣ほど止まりやすくなります。

歯みがきをするとき、「よし、やるぞ」と気合いを入れる人はいません。洗面所に立つ、夕食が終わる、といった合図で、体が勝手に動きます。これが習慣の正体です。

出張先のホテルや旅行先には、いつもの洗面所も、いつものジムへの道もありません。合図がなければ、習慣は始まりません。習慣が自動で動く仕組みは生活が変わると習慣が崩れる理由で詳しく紹介しています。

つまり、旅行で習慣が止まるのは、あなたがだらしないからではありません。習慣がうまく働いていた証拠でもあります。

02 科学的にわかっていること崩れた習慣は、どうすれば戻る?

状況が変わっても行動を続けた人や、元と同じ合図で繰り返した人ほど、習慣が保たれていました。新しい状況で繰り返した行動が、次の習慣になっていきます。

Woodら(2005)[1]

別の大学へ移った学生の、運動・新聞を読む・テレビを見る習慣を、移る前と後で比べました。習慣が新しい大学でも続いたのは、行う状況の一部が変わらなかった人だけでした。たとえば、前と同じように誰かと一緒に新聞を読んでいた人です。状況が変わって習慣が崩れた人は、そのときの「やりたい気持ち」に沿って行動するようになっていました。

対象: 別の大学へ移った学生 / 限界: 大学の転校という長い変化で、数日の旅行とは長さが違います。

Maltagliatiら(2021)[2]

2020年春の外出制限の前・途中・終わりで、運動の習慣の強さを調べました。習慣は制限の途中で弱まり、もともと強い習慣を持っていた人ほど大きく下がりました。制限前の習慣の強さは、制限中に運動したかどうかとつながっていませんでした。一方、制限中に新しくできた習慣は、制限の終わりの運動とつながっていました。

対象: フランスとスイスの283人 / 限界: 思い出して答える調査で、外出制限という特別な変化の結果です。

283人

生活が大きく変わった時期に、運動の習慣がどう変わったかを、制限の前・途中・終わりの3つの時点について答えた人の数。強い習慣を持っていた人ほど、習慣が大きく弱まっていた[2]

Stojanovicら(2022)[3]

大学生に6週間、新しい勉強の習慣を作ってもらいました。片方の組は毎回同じ場所・同じ時間に、もう片方は毎回場所と時間を変えて行いました。同じ状況で続けた組のほうが、「考えなくても始められる」感じが強くなり、決めた量もこなせていました。アプリの利用者のデータでも同じ結果で、1日以上あいてから行った回は全体の約3分の1ありました。

対象: 大学生95人と、習慣アプリの利用者218人 / 限界: 研究者がアプリの開発者で、結果は自分で答えた感覚です。

Kellerら(2021)[4]

食事に関する新しい行動を、「朝食の後に」のような毎日の行動を合図にする組と、「午前9時に」のような時刻を合図にする組に分けました。84日間で、どちらの組も同じくらい習慣になっていきました。習慣になった人で、自動で動ける感覚が頭打ちになるまでの日数は、中央値で59日でした。習慣を強めた一番の要因は、決めた合図で繰り返し実行したことでした。

対象: 18〜77歳の192人(無作為に2組に分けた) / 限界: 食事の行動を対象にした試験で、運動などでも同じかはわかりません。

Singhら(2024)[5]

健康のための習慣づくりの研究をまとめました。習慣になるまでの日数は、中央値で59〜66日でした。ただし人による差がとても大きく、4日から335日まで開きがありました。

種類: システマティックレビューとメタ分析(20の研究・2,601人) / 限界: 20の研究のうち11で、偏りのリスクが高いと評価されています。

研究を、旅行や出張の場面に当てはめて整理します。

場面研究でわかったこと立て直しのヒント
旅先で習慣が止まった合図が変わると、強い習慣ほど崩れる[1][2]意志のせいにしない
旅先でもできることがある状況が変わっても行動を続けた人は、崩れを抑えられた[2]量を減らしてでも続ける
帰ってきた後同じ場所・同じ時間で繰り返すほど、自動で動けるようになる[3]元の合図に戻して毎日やる
時刻か、行動か「〜の後に」も「〜時に」も、同じくらい効いた[4]旅先でも残る合図を選ぶ

03 今日からできる小さな一歩旅行や出張のあと、習慣をどう立て直す?

旅先では「旅先でも残る合図」で小さく続け、帰った翌日からは元の場所・元の前の行動で同じことを毎日繰り返します。最初の数日は量より回数を優先します。

1

出発前に「旅先版」を決めておく

「ホテルで歯をみがいた後に、スクワット10回」のように、どこにでもある行動を合図にした小さな版を決めます。時刻を合図にしても効果は同じでした[4]。

所要 3分

2

帰った翌日に、元の合図で1回だけやる

いつもの場所、いつもの前の行動のあとに、ふだんの半分の量でかまわないので1回やります。荷ほどきが終わる前でも、合図を取り戻すことを先にします。

所要 5〜10分

3

最初の1週間は、毎日同じ状況で繰り返す

量を戻すのは後回しにして、同じ場所・同じ時間でやることを優先します。カレンダーに印をつけて、回数だけを数えます。

所要 1日5〜10分

04 続けるためのコツ旅行のたびに習慣が途切れるのを防ぐには?

旅行は習慣が崩れる場面として前もって予定に入れ、旅先版と戻る日を決めておきます。途切れても、元の合図で繰り返せば習慣はまた育ちます。

05よくある質問

旅行で1週間休んだら、習慣はゼロに戻りますか?

研究からは、ゼロに戻るとは言えません。アプリの利用者のデータでは、1日以上あいてから行った回が全体の約3分の1あり、休んだ日数が長いほど自動で動ける感覚はわずかに下がる程度でした。元の合図で繰り返せば、また強くなっていきます。

旅先でも習慣を続けたほうがいいですか?

量を減らしてでも続けられるなら、そのほうが崩れにくいと考えられます。外出制限の時期を調べた研究では、生活が変わっても運動を続けた人は、習慣の崩れを抑えられていました。旅先では「歯みがきの後に1分」のような小さな版で十分です。

強い習慣を持っている人なら、旅行でも崩れませんか?

むしろ逆の結果が出ています。283人を追った研究では、もともと強い運動の習慣を持っていた人ほど、生活が変わったときに習慣が大きく弱まっていました。強い習慣ほど、いつもの合図に頼っているためだと考えられます。

帰ってから、何日くらいで元に戻りますか?

決まった日数はわかっていません。新しく習慣を作る研究では、習慣になるまでの中央値は59〜66日でしたが、人によって4日から335日まで差がありました。日数より、毎日同じ合図で繰り返せているかを目安にします。

出典

  1. Wood, W., Tam, L., & Witt, M. G. (2005). Changing circumstances, disrupting habits. Journal of Personality and Social Psychology, 88(6), 918-933. https://doi.org/10.1037/0022-3514.88.6.918
  2. Maltagliati, S., Rebar, A., Fessler, L., Forestier, C., Sarrazin, P., Chalabaev, A., Sander, D., Sivaramakrishnan, H., Orsholits, D., Boisgontier, M. P., Ntoumanis, N., Gardner, B., & Cheval, B. (2021). Evolution of physical activity habits after a context change: The case of COVID-19 lockdown. British Journal of Health Psychology, 26(4), 1135-1154. https://doi.org/10.1111/bjhp.12524
  3. Stojanovic, M., Grund, A., & Fries, S. (2022). Context Stability in Habit Building Increases Automaticity and Goal Attainment. Frontiers in Psychology, 13, 883795. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.883795
  4. Keller, J., Kwasnicka, D., Klaiber, P., Sichert, L., Lally, P., & Fleig, L. (2021). Habit formation following routine-based versus time-based cue planning: A randomized controlled trial. British Journal of Health Psychology, 26(3), 807-824. https://doi.org/10.1111/bjhp.12504
  5. Singh, B., Murphy, A., Maher, C., & Smith, A. E. (2024). Time to Form a Habit: A Systematic Review and Meta-Analysis of Health Behaviour Habit Formation and Its Determinants. Healthcare, 12(23), 2488. https://doi.org/10.3390/healthcare12232488