習慣

習慣ができない日が続いたら、目標は下げるべき? 目標の調整の研究でわかった立て直し方

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林の奥へ下りる石の階段と鷲の像
Photo: TudorTulok / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「毎日30分」と決めた習慣が、気づけば3日、1週間とできていない。目標を下げたら負けのような気がして、そのまま全部やめてしまう人は少なくありません。研究では、届かない目標を掲げ続けるより、直近の実績に合わせて目標を決め直すほうが、行動が途切れにくいことが示されています。下げすぎない決め方もあわせて紹介します。

3行でわかる

  1. 高い目標に届かないと、気分と自信が下がり、次の挑戦を避けやすくなる。実験では、目標に届かなかった人の88.9%が次に易しい課題を選んだ。
  2. 直近9日の実績から毎日の目標を上げ下げする方法は、固定の目標より、運動する日を多く保ち、運動量の落ち込みも緩やかにした(512人・1年間の試験など)。
  3. 目標を柔軟に調整できる人ほど、心の健康が良く、目標も前に進みやすい傾向がある(235研究のまとめ)。ただし多くは相関を見た研究。

01 悩みの正体できない日が続くと、なぜやる気までなくなる?

届かない目標は、毎日「また失敗した」という知らせになるからです。実験では、高い目標に届かなかった人は気分と自尊心が下がり、次はより易しい課題を選ぶようになりました。

目標は、ふつう「高く具体的なほど成果が上がる」と言われます。ただし、高い目標には、届かない危険も大きいという裏側があります[1]。

たとえば「毎日30分走る」と決めたのに、仕事が忙しくて10分しか走れない日が続いたとします。10分でも体は動かしているのに、目標と比べると毎日が「失敗」です。こうした失敗の知らせが重なると、気分が沈み、「自分には無理だ」と感じやすくなります。

このとき多くの人は、目標を下げるのを「負け」だと感じます。しかし研究で見ると、問題は目標を下げることより、届かない目標をそのまま置いておくことのほうにありそうです。

02 科学的にわかっていること目標を実績に合わせて下げると、続きやすい?

2つのランダム化比較試験で、直近の実績から目標を上げ下げする方法は、固定の目標より、運動の落ち込みを抑えました。ただし平均の運動量そのものは、固定の目標と差がない結果もありました。

HöpfnerとKeith(2021)[1]

2つの実験で、高い目標に届かなかった人は、届いた人より気分と自尊心が下がり、やる気も落ちました。2つ目の実験では、課題の難しさで失敗を作り、次に解く課題を選ばせました。届かなかった45人のうち40人(88.9%)は、ふつうの難しさの課題を選びました。届いた41人では、難しい課題を選んだ人が26人(63.4%)でした。

対象: 185人(実験1)と86人(実験2)の大人 / 限界: 1回きりのパズル課題での結果です。実験1は93.5%が女性でした。

Adamsら(2017)[2]

運動不足の96人を、毎日1万歩(週5日以上)の固定の目標と、直近9日の歩数から目標を決め直す方法に分け、4か月追いました。平均の歩数の伸びは、固定の目標が1日2,630歩、調整する目標が2,149歩で、はっきりした差はありませんでした。一方、期間中の歩数の落ち込みは、調整する目標のほうが半分以下(1日あたり7.7歩減と18.3歩減)でした。

対象: 平均41歳、77%が女性、体重が多めの大人 / 限界: 4か月の小さな試験です。少額のごほうびの条件も同時に比べています。

Adamsら(2022)[3]

18〜60歳の運動不足の512人を1年間追いました。固定の目標は「1日30分の運動を週5日以上」です。調整する目標は、直近9日の記録から1日3〜60分の範囲で毎日変わります。調整する目標の組は、少しでも運動した日の増え方が固定の組より大きくなりました(オッズ比2.34と1.66)。運動の分数の伸びは、両方の組で差がありませんでした。

対象: アメリカ・アリゾナ州の512人 / 限界: 1つの地域の研究で、多くは体重が多めの人です。ごほうびの出し方の条件も組み合わせています。

Riddellら(2026・メタ分析)[4]

目標がうまく進まないときの「目標の調整」を調べた235の研究、1,421の結果をまとめました。目標を柔軟に調整できる人ほど、心の健康が良く(r=0.33)、目標も前に進みやすい傾向がありました(r=0.16)。新しい目標に切り替える力も、心の健康と結びついていました(r=0.26)。

対象: さまざまな年代と生活場面の研究 / 限界: 多くが1時点の調査で、原因と結果は決められません。著者は、証拠の質を「低〜中程度」と評価しています。

9日

2つの試験で、毎日の目標を決め直すのに使った直近の記録の日数[2][3]

3つのやり方を比べると、次のとおりです。

やり方研究でわかったこと
届かない高い目標を続ける失敗が続くと気分と自信が下がり、易しい課題を選びやすくなる[1]
直近の実績に合わせて上げ下げする運動する日を多く保ち、落ち込みを緩やかにした。平均の量は固定の目標と同じくらい[2][3]
目標を手放す落ち込みの少なさとは小さく結びつくが、目標の前進とは逆向きの関係(r=−0.13)[4]

03 今日からできる小さな一歩下げ直す目標は、どう決めればいい?

直近9日の記録を少ない順に並べ、6番目の数字を今日の目標にします。これは研究で使われた「真ん中より少し上」の決め方で、届く日と届かない日が両方ある高さになります。

1

直近9日の記録を書き出す

運動の分数、勉強のページ数など、数えられるものなら何でも使えます。できなかった日は「0」と書きます。

所要 3分

2

少ない順に並べて、6番目を今日の目標にする

研究の例では、9日の記録が5、5、6、9、11、12、15、15、17分のとき、目標は6番目の12分でした[3]。最近の9日のうち4日ほどは届いていた高さです。

所要 1分

3

記録が増えたら、計算し直す

試験では毎日計算し直していました[2]。調子が良ければ目標は上がり、悪ければ下がります。上がるのも下がるのも、この方法では正常な動きです。

所要 1分

4

届いた日は、その場で小さく自分をほめる

1年の試験では、目標に届いたらすぐにポイントがもらえる組のほうが、目標と関係なく2か月ごとにごほうびが出る組より、運動の分数が増えました(1日16.54分と9.91分)[3]。

所要 10秒

04 続けるためのコツ下げた目標にも届かなかったら、どうする?

それでも計算し直せば大丈夫です。0の日も記録に入れて並べ直すと、次の目標は自然に届く高さまで下がります。目標が下がるのは、失敗ではなく調整です。

05よくある質問

目標を下げるのは、甘えになりませんか?

甘えとは言えません。高い目標に届かない日が続くと、気分や自信が下がり、次は易しいほうを選びやすくなることが実験で示されています。直近の実績に合わせて目標を決め直す方法は、1年間の試験で、固定の目標より運動する日を多く保ちました。下げた目標は、実績が上がれば自然に上がっていきます。

目標は、低ければ低いほどいいのですか?

そうとは限りません。目標の研究では、高めの目標が行動を押し上げるという結果も多くあります。32人の小さな試験では、厳しめのカロリー目標の人のほうが体重が2.3kg多く減りました。研究で使われた調整の方法も、最近の実績の真ん中より少し上を目標にしていて、一番低い日に合わせるわけではありません。

何日できなかったら、目標を見直せばいいですか?

何日で見直すのがよいかを比べた研究は見つかりませんでした。紹介した2つの試験では、直近9日の記録から目標を毎日計算し直していました。毎日が面倒なら、週に1回、直近の記録を見て決め直すところから始めてもかまいません。

出典

  1. Höpfner, J., & Keith, N. (2021). Goal missed, self hit: Goal-setting, goal-failure, and their affective, motivational, and behavioral consequences. Frontiers in Psychology, 12, 704790. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.704790
  2. Adams, M. A., Hurley, J. C., Todd, M., Bhuiyan, N., Jarrett, C. L., Tucker, W. J., Hollingshead, K. E., & Angadi, S. S. (2017). Adaptive goal setting and financial incentives: A 2 × 2 factorial randomized controlled trial to increase adults' physical activity. BMC Public Health, 17, 286. https://doi.org/10.1186/s12889-017-4197-8
  3. Adams, M. A., Todd, M., Angadi, S. S., Hurley, J. C., Stecher, C., Berardi, V., Phillips, C. B., McEntee, M. L., Hovell, M. F., & Hooker, S. P. (2022). Adaptive goals and reinforcement timing to increase physical activity in adults: A factorial randomized trial. American Journal of Preventive Medicine, 62(2), e57-e68. https://doi.org/10.1016/j.amepre.2021.09.014
  4. Riddell, H., Sedikides, C., Sivaramakrishnan, H., Wan, P., Maltagliati, S., Jackson, B., Thøgersen-Ntoumani, C., Gucciardi, D. F., & Ntoumanis, N. (2026). A meta-analytic review and conceptual model of the antecedents and outcomes of goal adjustment in response to striving difficulties. Nature Human Behaviour. https://doi.org/10.1038/s41562-025-02312-4
  5. Patel, M. L., Gallis, J. A., Zeitlin, A. B., Crosthwaite, P. C., Lim, A. W., Collins, K. A., Oppezzo, M. A., & Rosas, L. G. (2026). Optimizing goal difficulty in a digital weight loss intervention: The Ignite pilot randomized trial. Obesity Science & Practice, 12, e70175. https://doi.org/10.1002/osp4.70175