気分・ストレス

好きな音楽を聴くとストレスホルモンは下がるのか。104件の研究でわかったこと

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音楽を聴いてリラックスする様子
Photo: No machine-readable author provided. PJ assumed (based on copyright claims). / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

仕事や勉強で疲れた時、つい好きな曲を流したくなることはないでしょうか。「気分が晴れる気がする」というだけでなく、体の中のストレスホルモンまで本当に下がっているのか、気になったことがあるかもしれません。音楽とストレスホルモンの関係を調べた研究をたどると、「下がる」と言えそうな場面と、効果の大きさがまだ小さい場面の両方が見えてきます。

3行でわかる

  1. 104件のランダム化実験をまとめたメタ分析で、音楽には生理的なストレス指標・心理的なストレス指標の両方に全体として効果があることが確認された。ただしホルモンへの効果は、心拍数への効果より小さかった。
  2. 手術前後に音楽を聴いた患者を対象にしたメタ分析でも、ストレスホルモンのコルチゾール値が有意に下がったことが確認されている。効果の大きさはやや小さい範囲にとどまる。
  3. 日常生活を対象にした研究では、音楽の種類そのものより「リラックスするために聴く」という聴き方が、コルチゾールの低下と結びついていた。

01 悩みの正体好きな音楽を聴くと、気分だけでなくホルモンも変わるのか?

気分の変化だけでなく、ストレスホルモンのコルチゾール濃度そのものが下がることが複数の研究で確認されている。ただし効果の大きさは場面や聴き方によって変わる。

コルチゾールは、ストレスを受けた時に体内で増える代表的なホルモンで、唾液を採取するだけで量を測ることができます。「音楽を聴くと落ち着く気がする」という感覚は主観的な印象ですが、研究者たちはこの感覚が、唾液中のコルチゾール濃度という客観的な数値にも表れるのかを、手術前後、コンサート会場、日常生活という異なる場面で調べてきました。結果を先に言うと、効果はある場面とない場面があり、その差を生んでいるのは音楽のジャンルよりも「聴く理由」であることが見えてきています。

02 科学的にわかっていること音楽はどんな場面でコルチゾールを下げるのか?

手術前後、コンサート会場、日常生活の3つの場面で、コルチゾールの低下や変化が確認されている。ただし効果量は心拍数など他の指標より小さい。

de Witte・Spruit・van Hooren・Moonen・Stams(2020)[1]

104件のランダム化比較試験(参加者9,617人、327の効果量)を2つのメタ分析にまとめた研究。音楽を使った介入は、生理的なストレス指標(効果量d=.380)と心理的なストレス指標(d=.545)の両方に、全体として有意な効果を示した。アウトカムの種類別では、心拍数への効果(d=.456)が、血圧(d=.343)やホルモン値(d=.349)への効果より大きかった。

対象: 104件のRCT・9,617人 / 限界: 介入の種類や測定方法が研究ごとに異なり、効果量はホルモン以外も含めた全体の数値。

Fu・Oomens・Sneiders・van den Berg・Feelders・Wijnhoven・Jeekel(2019)[2]

周術期(手術の前後)に音楽を聴いた患者を対象にしたシステマティックレビューとメタ分析。18件の研究(患者1,301人)をレビューし、そのうち8件のデータを使ったメタ分析で、周術期の音楽が神経内分泌系のコルチゾール反応を有意に抑えたことが示された(標準化平均差-0.30、95%信頼区間-0.53〜-0.07)。

対象: 18件の研究・患者1,301人(メタ分析は8件) / 限界: 手術という強いストレス下の場面に限られ、日常生活にそのまま当てはまるとは限らない。

Fancourt・Williamon(2016)[3]

生の演奏会(作曲家Eric Whitacreのコンサート)の来場者117人(2回の実験で49人・68人)を対象に、開演前と休憩中(約60分後)の唾液を採取した研究。コルチゾール、コルチゾン、プロゲステロン、コルチゾール/DHEA比に有意な変化がみられた。年齢・性別・音楽経験・曲への親しみの違いによる差は見られず、幅広い人に共通する反応だったと報告されている。

対象: コンサート来場者117人 / 限界: 比較的落ち着いたクラシック音楽の生演奏に限った結果で、録音された音楽や他ジャンルには当てはまるか不明。

Linnemann・Ditzen・Strahler・Doerr・Nater(2015)[4]

大学生55人を対象に、通常の週と試験週それぞれ5日間、日常生活での音楽の聴き方と主観的なストレスを記録した研究(25人は唾液も採取)。音楽を聴くことは主観的ストレスを下げ、特に「リラックスするため」に聴いた時に効果が大きく、コルチゾール濃度の低下も確認された。音楽の種類そのものは、聴いた後の主観的なストレスの感じ方に影響しなかった。

対象: 大学生55人(唾液測定は25人) / 限界: 大学生という限られた集団が対象で、聴き方は自己申告による記録。

4つの研究を場面別に整理すると、効果が確認された条件が見えてきます。

場面確認されたこと出典
幅広い介入(全体のまとめ)生理・心理の両方に効果。ホルモンへの効果は心拍数より小さい[1]
手術の前後コルチゾール反応が有意に抑えられる(効果量は小さめ)[2]
生の演奏会開演前から休憩中にかけてコルチゾールなどが変化。年齢・性別を問わず共通[3]
日常生活「リラックス目的」で聴いた時にコルチゾールが下がる。ジャンルより聴く理由が重要[4]

03 今日からできる小さな一歩効果を得るには何を変えればいいのか?

「ながら聴き」ではなく、リラックスする目的を意識して音楽を聴く時間を作る。曲のジャンルより、自分が落ち着けると感じる曲を選ぶことが大切。

1

「リラックスのため」と目的を決めて聴く

作業中のBGMとしてではなく、「今はリラックスするために聴く」と決めて音楽の時間を作ります。日常生活の研究では、聴く理由がリラックスであることが効果と関係していました。

所要 10分

2

自分が落ち着くと感じる曲を選ぶ

ジャンルにこだわらず、聴くと落ち着く・好きだと感じる曲を選びます。コンサートの研究では比較的落ち着いた曲調が使われていました。

所要 1分

3

ストレスが高まりそうな予定の前に聴く

緊張する予定(発表・面談・試験など)の前に、数分でも音楽を聴く時間を作ります。手術前後の研究では、ストレスの大きい場面の前後で効果が確認されています。

所要 5分

04 続けるためのコツどう組み合わせれば続けやすいのか?

音楽だけに頼らず、呼吸法や自然の中で過ごす時間など、他のストレス対策と組み合わせる。曲のジャンルを選ぶより「リラックスするため」という聴き方を続けることを優先する。

05よくある質問

音楽を聴くと本当にストレスホルモンは下がりますか?

104件のランダム化実験をまとめたメタ分析で、心理的なストレスだけでなく、心拍数や血圧、ホルモンなどの生理的な指標にも全体として効果があることが確認されています。ホルモンへの効果は、心拍数への効果よりやや小さいとされています。

どんな音楽でも効果はありますか?

日常生活を対象にした研究では、音楽の種類そのものより「リラックスするために聴く」という聴き方が、コルチゾールの低下と関係していました。ジャンルを選ぶより、自分が落ち着けると感じる曲を選ぶことが大切です。

出典

  1. de Witte M, Spruit A, van Hooren S, Moonen X, Stams GJ (2020). Effects of music interventions on stress-related outcomes: a systematic review and two meta-analyses. Health Psychology Review, 14(2):294-324. https://doi.org/10.1080/17437199.2019.1627897
  2. Fu VX, Oomens P, Sneiders D, van den Berg SAA, Feelders RA, Wijnhoven BPL, Jeekel J (2019). The Effect of Perioperative Music on the Stress Response to Surgery: A Meta-analysis. Journal of Surgical Research, 244:444-455. https://doi.org/10.1016/j.jss.2019.06.052
  3. Fancourt D, Williamon A (2016). Attending a concert reduces glucocorticoids, progesterone and the cortisol/DHEA ratio. Public Health, 132:101-104. https://doi.org/10.1016/j.puhe.2015.12.005
  4. Linnemann A, Ditzen B, Strahler J, Doerr JM, Nater UM (2015). Music listening as a means of stress reduction in daily life. Psychoneuroendocrinology, 60:82-90. https://doi.org/10.1016/j.psyneuen.2015.06.008