昼寝をしたら夜に眠れなくなったら? 昼寝と夜の睡眠を記録した研究でわかった立て直し方

昼寝をしたら、夜になっても目がさえて眠れない。そんな夜は「昼寝なんてしなければよかった」と思いがちです。でも研究を見ると、昼寝そのものより「長さ・時刻・頻度」で夜への響き方が変わります。一晩眠れなかったのは失敗ではなく、明日の昼寝を少し動かせば立て直せるサインです。
3行でわかる
- 昼寝で「眠りたい圧力」が減るため、夕方の昼寝のあとは寝つくまでの時間が延びた実験があります。
- 夜に響きやすいのは長い昼寝・夜に近い昼寝・毎日の昼寝で、その日の短い昼寝の影響は小さいという研究が複数あります。
- 今夜は眠くなるまで待ち、明日の朝はいつもの時刻に起き、次の昼寝は寝る7時間以上前に短く終えるのが立て直しの順番です。
01 悩みの正体昼寝をすると夜に眠れなくなるのはなぜ?
昼寝は、起きている間にたまる「眠りたい圧力(睡眠圧)」を少し使ってしまうからです。夜に近い時刻の昼寝ほど、寝る時刻までに圧力がたまり直しません。
眠りは、起きている時間が長いほど強まる「睡眠圧」と、体内時計のリズムの2つで決まると考えられています。昼寝で眠ると、この睡眠圧が下がります。
Werthら(1996)の実験では、健康な若い男性が夕方の早い時刻に昼寝をすると、その夜は寝つくまでの時間が延びました。深い眠りの強さも、昼寝をしない夜より弱くなっていました。研究者は、この変化が睡眠圧の仕組みでほぼ説明できると結論づけています[6]。
つまり「眠れない」のは体が壊れたのではなく、圧力がまだたまっていないだけです。昼に眠った分、夜の眠気が来るのが遅れていると考えると、焦りが少し減ります。
02 科学的にわかっていること夜に響くのは、どんな昼寝?
夜の睡眠に響きやすいのは、長い昼寝、夜に近い時刻の昼寝、そして毎日のように続く昼寝です。一方、その日の昼寝1回の影響は小さかったという研究も複数あります。
Mograssら(2022)[1]
健康な若い大人62人(平均23.5歳)の睡眠を、腕時計型の計測器で8日間記録しました。夜の睡眠の7時間前より後に取った「遅い昼寝」は、7時間以上前の「早い昼寝」より、夜の睡眠の質が悪い結果でした。8日間に3回以上昼寝をした人は、1〜2回の人や昼寝なしの人より、夜の眠りが途切れがちでした。昼寝の長さ(60分以下か、60分より長いか)による差は出ませんでした。
対象: 健康な若い大人62人 / 限界: 人数が少なく、ふだんの生活を記録した研究なので、昼寝が原因とまでは言えません。
Leongら(2024)[3]
シンガポールの高校生153人(平均16.6歳)の記録では、昼寝は平均82分、始まりは平均で午後3時ごろでした。学校がある日に、自分のふだんより1時間長く昼寝をすると、その夜の睡眠は約29分短くなっていました。週末は、昼寝から起きる時刻が遅いほど寝る時刻も遅れていました。研究者は「昼寝が夜に悪く働くのは、長くて遅い場合に限られるかもしれない」とまとめています。
対象: 昼寝をする高校生153人(昼寝をしない人は除外) / 限界: 学業の負担が大きい進学校の生徒で、大人にそのまま当てはまるとは限りません。
約29分
ふだんより1時間長く昼寝をした日に、その夜の睡眠が短くなった時間(高校生153人・学校がある日)[3]
Meadら(2022)[2]
大学生384人が14日間、昼寝の長さを記録し、夜は計測器をつけて眠りました。昼寝が長かった日ほど、その夜は寝つくまでに時間がかかり、夜中に起きている時間も長くなっていました。反対に、前の夜の睡眠が短かった日は、翌日の昼寝が長くなる傾向もありました。
対象: 大学生384人 / 限界: 昼寝の長さは自己申告です。論文の要旨で確認できた範囲で紹介しています。
Chenら(2026)[4]、Campbellら(2005)[5]
大学1年生1,704人を5日間記録した研究では、その日の昼寝はその夜の睡眠にあまり影響していませんでした。一方、ふだんから昼寝をする人は夜の睡眠が悪く、寝つきが悪かった翌日は昼寝をしやすい、という悪循環の形が見えました。55〜85歳の32人を実験室で調べた研究でも、午後の昼寝はその夜の睡眠の質や長さにほとんど影響せず、1日の合計睡眠が増えて翌日の成績も上がりました。
対象: 大学1年生1,704人/健康な55〜85歳の32人 / 限界: 年齢も方法も異なります。Campbellらは実験室で決められた時刻に昼寝をした条件で、日常の昼寝とは違います。
| 研究 | 対象と方法 | 夜の睡眠との関係 |
|---|---|---|
| Werthら 1996[6] | 若い男性・夕方の昼寝の実験 | 寝つくまでの時間が延び、深い眠りが弱まった |
| Mograssら 2022[1] | 若い大人62人・8日間の記録 | 遅い昼寝・頻繁な昼寝で悪化。長さでは差なし |
| Meadら 2022[2] | 大学生384人・14日間の記録 | 長い昼寝の日ほど寝つきと夜中の目覚めが悪化 |
| Leongら 2024[3] | 高校生153人・日々の記録 | 長い昼寝で睡眠が短縮、遅い昼寝で就寝が遅れた |
| Chenら 2026[4] | 大学1年生1,704人・5日間の記録 | その日の昼寝の影響は小さく、習慣的な昼寝で悪化 |
| Campbellら 2005[5] | 55〜85歳32人・実験室 | 夜の睡眠にほとんど影響せず、1日の睡眠が増えた |
研究どうしで「長さ」が効くかどうかは食い違っています。共通しているのは、夜に近い昼寝と、毎日の長い昼寝が夜の眠りと結びつきやすいという点です。
03 今日からできる小さな一歩昼寝で眠れない夜と翌日は、どう過ごす?
今夜は眠くなるまで布団に入るのを待ち、明日の朝はいつもの時刻に起きます。次の昼寝は、寝る7時間以上前に短く終えるのが、研究から考えられる立て直し方です。
今夜は、眠くなってから布団に入る
睡眠圧がたまるまで、暗めの部屋で本を読むなど静かに過ごします。布団で長く眠れないまま悩むより、いったん出るほうがよいという研究は「夜中に目が覚めて眠れないとき、布団から出るべき?」で紹介しています。
所要 眠気が来るまで
明日の朝は、いつもの時刻に起きる
寝る時刻が遅れても、起きる時刻は動かしません。起きている時間が長くなるほど睡眠圧がたまるので、次の夜に眠気が戻りやすくなります。眠れなかった翌日の過ごし方は「眠れなかった夜のあと、どう立て直す?」も参考になります。
所要 0分(目覚ましをそのままにする)
次の昼寝は、寝る7時間以上前に終える
23時に寝るなら、16時までに起きる計算です。Mograssらの研究で、夜の睡眠の7時間以上前に取った昼寝は、それより遅い昼寝より夜の質がよい結果でした。
所要 時計を見て計算する1分
04 続けるためのコツ昼寝と夜の不眠が毎日くり返すときは?
毎日昼寝が必要なほど眠いなら、まず夜の睡眠が足りているかを見直します。夜に眠れない→昼に眠る→また夜に眠れない、という循環が研究でも見えています。
- 1回の失敗で昼寝をやめなくてよい: その日の短い昼寝は夜にあまり響かなかった研究が複数あります。動かすのは「時刻」と「長さ」です。
- 夕方のうたた寝を防ぐ: 夕方にソファで眠ってしまうのは、夜に近い昼寝と同じです。眠くなる時間帯は立って過ごす、明るい場所に移るなどで避けます。
- 記録を3日つける: 昼寝の開始・終了時刻と、その夜に寝ついた時刻を書くと、自分にとって響く時刻が見えてきます。
- 午後の眠気の理由を知る: 昼食後に眠くなる仕組みは昼食後の眠気の記事で解説しています。
05よくある質問
昼寝をしたら夜眠れなかった。昼寝はやめたほうがいい?
一晩だけなら、やめる必要はないと考えられます。大学1年生1,704人の研究では、その日の昼寝は夜の睡眠にあまり影響していませんでした。夜に響きやすいのは長い昼寝、夜に近い時刻の昼寝、毎日続く昼寝なので、まず時刻と長さを見直します。
何時までの昼寝なら、夜に響きにくい?
Mograssら(2022)の研究では、夜の睡眠の7時間以上前に取った昼寝のほうが、それより遅い昼寝より夜の睡眠の質がよい結果でした。23時に寝るなら16時までに起きるのがひとつの目安です。
夕方にうたた寝してしまったら、今夜はどうすればいい?
眠くなるまで布団に入らずに待ちます。夕方の昼寝のあとは寝つくまでの時間が延びた実験があり、早く布団に入ってもすぐには眠れないことが多いからです。翌朝はいつもの時刻に起きて、次の夜に眠気を取り戻します。
毎日昼寝しないと午後がもたないのは問題?
夜の睡眠が足りていないサインかもしれません。前の夜の睡眠が短い日や寝つきが悪かった日ほど、翌日に昼寝をしやすいという研究があります。夜の睡眠時間を見直しても強い眠気が続くなら、医療機関に相談してください。
出典
- Mograss, M., Abi-Jaoude, J., Frimpong, E., Chalati, D., Moretto, U., Tarelli, L., Lim, A., & Dang-Vu, T. T. (2022). The effects of napping on night-time sleep in healthy young adults. Journal of Sleep Research, 31(5), e13578. https://doi.org/10.1111/jsr.13578
- Mead, M. P., Huynh, P., Le, T. Q., & Irish, L. A. (2022). Temporal Associations Between Daytime Napping and Nocturnal Sleep: An Exploration of Random Slopes. Annals of Behavioral Medicine, 56(11), 1101–1109. https://doi.org/10.1093/abm/kaac006
- Leong, R. L. F., Tian, Y., Yu, N., Teo, T. B., Ong, J. L., & Chee, M. W. L. (2024). Bidirectional associations between the duration and timing of nocturnal sleep and daytime naps in adolescents differ from weekdays to weekends. Sleep, 47(9), zsae147. https://doi.org/10.1093/sleep/zsae147
- Chen, Y., Wei, Y., & Lei, X. (2026). Interrelationship between napping and nocturnal sleep: Insights from actigraphy and self-reported data. Physiology & Behavior, 309, 115291. https://doi.org/10.1016/j.physbeh.2026.115291
- Campbell, S. S., Murphy, P. J., & Stauble, T. N. (2005). Effects of a nap on nighttime sleep and waking function in older subjects. Journal of the American Geriatrics Society, 53(1), 48–53. https://doi.org/10.1111/j.1532-5415.2005.53009.x
- Werth, E., Dijk, D. J., Achermann, P., & Borbély, A. A. (1996). Dynamics of the sleep EEG after an early evening nap: experimental data and simulations. American Journal of Physiology, 271(3), R501–R510. https://doi.org/10.1152/ajpregu.1996.271.3.r501


