睡眠

夜勤明けに眠れない、休みの日に戻せないときは? 仮眠と光の使い方を研究で調べた

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朝日の差す駅のホーム
Photo: Arun Agrawal / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

夜勤を終えて朝に帰ってきたのに、布団に入っても眠れない。休みの日に昼型へ戻そうとして、かえってぐったりする。それは気合いが足りないからではありません。体内時計は朝の光で「昼」に引き戻されるので、夜勤明けは体が眠る準備をしにくいのです。研究では、帰り道の光を避けて暗い部屋ですぐ眠ること、休みの初日に徹夜して戻さないことが、立て直しのかぎだとわかっています。

3行でわかる

  1. 夜勤明けに眠れないのは、朝の光で体内時計が「起きる時間」に引き戻されるためです。夜勤を続けても、体内時計が完全に夜型へ合う人は多くありません。
  2. 帰り道にサングラスをかけ、真っ暗な部屋で決まった時刻に眠る方法を組み合わせた19人の実験では、方法を使った人の体内時計がほぼ目標どおりに遅れ、目標に近づいた人ほど夜勤中の成績が良くなりました。
  3. 看護師の調査では、休みの初日に「24時間以上起きて」昼型へ戻す人の約25%が「うまく適応できていない」と答え、ほかの戻し方の約3〜10%より多くいました。

01 悩みの正体夜勤明けは、疲れているのになぜ眠れない?

体内時計が昼に起きるリズムのままで、朝の光がそのリズムをさらに強めるからです。疲れ(眠気のたまり)はあっても、体内時計が「今は起きる時間」と合図を出すので、昼の眠りは浅く短くなりやすくなります。

眠気は、2つのしくみで決まります。1つは起きている時間が長いほどたまる「眠気の圧力」。もう1つは、1日のリズムで眠気を上げ下げする「体内時計(概日リズム)」です。

夜勤明けは、1つめの圧力は十分にたまっています。ところが体内時計は、朝になると目を覚ます方向に働きます。さらに帰り道に浴びる朝日は、体内時計を「朝型」へ引き戻す強い合図です。

時間帯体内時計の状態起きやすいこと
夜勤の明け方1日でいちばん眠い時間帯反応が遅れ、ミスが増えやすい
帰り道の朝朝日で「昼型」に引き戻される帰宅後に目がさえる
昼の睡眠体は起きる時間と受け取る途中で目が覚め、短くなりやすい
休みの日昼型と夜型の間で揺れる夜に眠れず、昼にだるい

夜勤を続けていても、体内時計は簡単には夜型になりません。Smith と Eastman のレビュー[3]は、多くの夜勤者の体内時計は、休みの日に昼型の生活へ戻ることなどで、ずれたままになりやすいと説明しています。

02 科学的にわかっていること夜勤明けの睡眠は、光と仮眠で立て直せる?

光の浴び方と眠る時刻を整える方法は、小さな実験で効果が出ています。夜勤中の仮眠も、多くの研究で眠気を減らしました。ただし、まとめて見ると証拠の質はまだ低く、「これで必ず治る」とは言えません。

研究調べ方結果
Smith ら(2009)[4]夜勤を模した実験光と暗さを整えた人は体内時計が目標どおり遅れ、成績も良かった
Ruggiero・Redeker(2014)[1]13本の研究の見直し夜勤中の仮眠で、多くの研究で眠気が減った
Slanger ら(2016)[2]17本の比較試験のまとめ光や仮眠の効果は、証拠の質が低く判断できない
Gamble ら(2011)[5]・Petrov ら(2014)[6]看護師へのアンケート休みに徹夜で戻す人ほど、適応できていないと答えた

Smith・Fogg・Eastman(2009)[4]

夜勤(23時〜7時)を模した実験で、方法を使った人には4つのことをしてもらいました。夜勤中に15分の明るい光を4回浴びる、外では濃いサングラスをかける、真っ暗な寝室で決まった時刻に眠る、午後に外の光を浴びて体内時計が遅れすぎないようにする、の4つです。体内時計の目安(夜にメラトニンが出始める時刻)は、方法を使った人が平均3時22分、使わなかった人が23時24分でした。目標の位置に近づいた人ほど、夜勤中の成績が良好でした。

対象: 健康な19人。研究室で夜勤を模し、睡眠は自宅 / 限界: 人数が少なく、実際の職場での結果ではありません。方法を使わなかった人の中にも、休日に遅くまで寝て同じ位置に近づいた人がいました。

Ruggiero・Redeker(2014)[1]

夜勤中の仮眠を調べた13本の研究を見直しました。仮眠の長さは20分〜2時間、始める時刻は0時〜4時で、多くは2時〜3時ごろに20〜40分の仮眠を試していました。多くの研究で、仮眠は眠気を減らし、反応の速さなどの成績を良くしていました。一方、仮眠をとっても夜勤明けの昼の睡眠はあまり変わらず、短いままでした。

対象: 6〜49人の小さな研究13本(看護師・医師・航空管制官など) / 限界: 研究ごとに条件がばらばらで、数値をまとめる分析はできていません。多くは1晩だけの試験です。

Slanger ら(2016)[2]

交代勤務の眠気や睡眠の問題に、薬を使わない方法が効くかを調べたコクラン・レビュー(質の高い研究のまとめ)です。17本の比較試験、556人を集めました。夜勤中に明るい光を浴びると、2本の研究184人で眠気の点数が平均0.83点下がりましたが、証拠の質は「非常に低い」でした。仮眠1回で反応の速さは平均11.87ミリ秒速くなったものの、効果がない可能性も否定できませんでした。

対象: 光の試験10本、仮眠の試験4本、運動や睡眠教育など3本 / 限界: 著者は「眠気を減らせるかどうかは判断できない」と結論し、より大きく質の高い試験が必要だとしています。

Gamble ら(2011)[5]・Petrov ら(2014)[6]

看護師に、休みの日の眠り方とその後の適応を尋ねた2つの調査です。Gamble らの調査では、休みのたびに24時間以上起き続けて昼型へ戻す「眠らない型」が夜勤看護師の約4人に1人いました。その約25%が「うまく適応できていない」と答え、ほかの戻し方の約3〜10%より多くいました。Petrov らの213人の調査でも、「眠らない型」と「休みの日も長い昼寝を続ける型」は適応が悪く、休みの初日に朝遅くまで寝てから昼型に戻す型は、睡眠の乱れが少なめでした。

対象: アメリカの病院の夜勤看護師(12時間夜勤が中心) / 限界: どちらも一度きりのアンケートで、眠り方が適応の悪さの原因かどうかはわかりません。2つの調査は同じ研究グループによるものです。

まとめると、「光を避けて暗い部屋ですぐ眠る」「明け方の短い仮眠」「休みに徹夜で戻さない」は、研究から考えられる立て直しの柱です。ただ、職場での大きな試験はまだ少なく、効き方には個人差があります。

03 今日からできる小さな一歩夜勤明けに眠れなかったとき、何から立て直す?

まず帰り道の光を減らし、帰宅したら寄り道せず真っ暗な部屋で眠ります。起きたら午後の光を15分浴び、休みの初日は徹夜せず、朝少し眠ってから夜の睡眠につなげます。

1

帰り道はサングラスで朝日を減らす

朝の光は体内時計を昼型へ引き戻します。研究では、光を約15%しか通さないサングラスを帰り道に使っていました[3]。ただし運転する人は安全を優先し、見えにくいほど濃いものは避けてください。

所要 帰り道の間

2

帰ったら寄り道せず、真っ暗な部屋で眠る

レビューの計画例では、夜勤が終わって1.5時間後に眠り始めていて、早いほどよいとされています[3]。買い物や家事は起きてからに回し、遮光カーテンやアイマスクで部屋を暗くします(寝室の明るさと睡眠の研究)。

所要 帰宅後すぐ

3

起きたら、午後に外の光を15分浴びる

研究では、起きてから2時間以内に15分ほど外の光を浴び、体内時計が遅れすぎないようにしていました[3][4]。散歩やベランダで十分です。光で体内時計を動かす考え方は、時差ぼけの立て直しの記事とも共通しています。

所要 15分

4

休みの初日は徹夜で戻さない

夜勤明けの朝は数時間だけ眠り、その夜はいつもより少し遅めに寝ます。24時間以上起き続けて戻す方法は、適応の悪さと結びついていました[5][6]。眠れなかった夜を取り返そうとしない考え方は、眠れなかった夜の立て直しの記事にまとめています。

所要 夜勤明けの朝

04 続けるためのコツ次の夜勤を少しでも楽にするには?

夜勤中の短い仮眠と、明け方のカフェインを控えることが助けになります。仮眠のあとは頭がぼんやりする時間があるので、すぐ大事な判断をしない段取りにしておきます。

05よくある質問

夜勤明けは、寝ないで夜まで起きていたほうがいい?

研究からは、勧めにくい方法です。看護師の調査では、24時間以上起き続けて昼型へ戻す人ほど「うまく適応できていない」と答える割合が高くなっていました。夜勤明けの朝は数時間だけ眠り、その夜を少し遅めの就寝にするほうが、調査で適応が良かった戻し方に近いやり方です。

夜勤中の仮眠は何分がいい?

研究で多く試されていたのは、2時〜3時ごろに20〜40分の仮眠です。多くの研究で眠気が減りましたが、起きた直後は頭がぼんやりしやすいので、15〜30分は様子を見る時間をとるのが安全です。

夜勤を続けていれば、体はそのうち慣れる?

完全に慣れる人は多くありません。休みの日に昼型へ戻すなどで、体内時計はずれたままになりやすいとされています。ただ、研究では体内時計が一部だけ夜型に寄るだけでも、夜勤中の成績が良くなっていました。

どうしても眠れない日が続くときは?

夜勤明けに眠れない、休みの日も強い眠気が続くといった状態が長く続くときは、交代勤務による睡眠の問題の可能性もあります。睡眠外来や産業医などに相談することも考えてください。

出典

  1. Ruggiero, J. S., & Redeker, N. S. (2014). Effects of napping on sleepiness and sleep-related performance deficits in night-shift workers: A systematic review. Biological Research for Nursing, 16(2), 134-142. https://doi.org/10.1177/1099800413476571
  2. Slanger, T. E., Gross, J. V., Pinger, A., Morfeld, P., Bellinger, M., Duhme, A. L., Reichardt Ortega, R. A., Costa, G., Driscoll, T. R., Foster, R. G., Fritschi, L., Sallinen, M., Liira, J., & Erren, T. C. (2016). Person-directed, non-pharmacological interventions for sleepiness at work and sleep disturbances caused by shift work. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2016(8), CD010641. https://doi.org/10.1002/14651858.CD010641.pub2
  3. Smith, M. R., & Eastman, C. I. (2012). Shift work: Health, performance and safety problems, traditional countermeasures, and innovative management strategies to reduce circadian misalignment. Nature and Science of Sleep, 4, 111-132. https://doi.org/10.2147/NSS.S10372
  4. Smith, M. R., Fogg, L. F., & Eastman, C. I. (2009). Practical interventions to promote circadian adaptation to permanent night shift work: Study 4. Journal of Biological Rhythms, 24(2), 161-172. https://doi.org/10.1177/0748730409332068
  5. Gamble, K. L., Motsinger-Reif, A. A., Hida, A., et al. (2011). Shift work in nurses: Contribution of phenotypes and genotypes to adaptation. PLoS ONE, 6(4), e18395. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0018395
  6. Petrov, M. E., Clark, C. B., Molzof, H. E., Johnson, R. L., Cropsey, K. L., & Gamble, K. L. (2014). Sleep strategies of night-shift nurses on days off: Which ones are most adaptive? Frontiers in Neurology, 5, 277. https://doi.org/10.3389/fneur.2014.00277