記憶・学習

ノートをきれいにまとめたのに覚えていなかったら? まとめノートと「思い出す練習」を比べた研究でわかった立て直し方

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開いたノートにペンで書き込む手元
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

時間をかけて、色ペンで見やすくまとめたノート。なのにテストでは、書いたはずのことが出てこない。そんなとき、がっかりするのは当然です。研究では、ノートを取ることは直後のテストには強い一方、2週間たつと、ノートを閉じて思い出す練習をした人のほうがよく覚えていました。まとめた時間はむだではありません。ノートを「読むもの」から「自分に出す問題」に変えれば、立て直せます。

3行でわかる

  1. ノートを取る・読み返す・思い出す練習を比べた実験では、5分後はノートを取った人が最もよくでき、2週間後は思い出す練習をした人が最もよくできた。
  2. ノートを取った後に「読み返す」より「テストする」ほうが、2週間後の成績が上だった。
  3. 教室での222の研究(4万8,478人)のまとめでも、小テストは成績を中くらいの大きさで上げていた。問題はノートの全体からまんべんなく作るのがよい。

01 悩みの正体きれいなまとめノートでも忘れるのはなぜ?

まとめる作業は、作った直後の「わかった感じ」を強くしますが、何日も後に思い出す力は、思い出す練習をしないと育ちにくいからです。直後にわかることと、後で思い出せることは別物です。

ノートをまとめているとき、頭の中では教科書とノートを見比べています。答えが目の前にある状態です。だから「もう覚えた」と感じやすくなります。

ところがテストでは、何も見ずに頭から取り出さなければいけません。取り出す練習をしていないと、知っているはずなのに出てこない、ということが起きます。この「わかったつもり」の仕組みは、読んだのに覚えていない理由の研究で詳しく紹介しています。

学習法を比べた大規模なレビューでは、「要約(まとめ)」は、効果が出る条件が限られるとして、効果の評価が「低い」に分類されました[5]。まとめが悪いのではありません。まとめるだけでは、後で思い出す力が育ちにくいのです。

02 科学的にわかっていることまとめノートと思い出す練習、長く覚えられるのは?

直後のテストではノートを取った人が有利でしたが、2週間後には思い出す練習をした人が上回りました。ノートを取った後に読み返すより、ノートを閉じてテストするほうが長く残りました。

Rummerら(2017)[1]

参加者を「くり返し読む」「くり返しテストする」「くり返しノートを取る」の3つの組に分け、5分後・1週間後・2週間後にテストしました。5分後はノートを取った組が最もよくできました。1週間後はノートの組とテストの組がどちらも、読むだけの組を上回りました。2週間後は、テストの組がほかの2つを上回りました。2つ目の実験では、ノートを取った後に「ノートを読む」組より、「テストする」組のほうが2週間後によく覚えていました。

対象: 実験の参加者(実験室での文章の学習) / 限界: 人数や効果の大きさは論文の要旨から確認できませんでした。実際の授業やテストとは条件が違います。

テストまでの時間いちばん成績がよかった学び方[1]
5分後ノートを取る
1週間後ノートを取る・テストする(どちらも読むだけより上)
2週間後テストする

Heitmannら(2018)[2]

ドイツの大学生200人に、オンライン講義のあと「問題を解く」か「ノートを取る」かで学んでもらい、1週間後にテストしました。問題で出た内容は、問題を解いた組のほうがよく覚えていました。一方、問題で出なかった内容は、ノートを取った組のほうがよくできていました。問題の難しさを本人の出来に合わせた組は、全体の点数でもノートの組を上回りました。合わせなかった組では、全体の点数に差は出ませんでした。

対象: ドイツの大学生(分析は187人) / 限界: 社会規範という1つのテーマでの実験です。ノートの組は、学ぶ前のテストの点が高めでした。

RoedigerとKarpicke(2006)[3]

学生に文章を読ませ、その後「もう一度読む」か「何も見ずに思い出して書く」かをくり返してもらいました。5分後のテストでは、読み直した人のほうがよくできました。ところが2日後と1週間後のテストでは、思い出す練習をした人のほうがはるかによく覚えていました。読み直した人は、覚えている自信だけは高くなっていました。

対象: 学生(2つの実験) / 限界: 文章の内容を思い出す実験で、計算問題などに同じように当てはまるかは別に確かめる必要があります。

222の研究

教室での小テストの効果を調べた研究の数(4万8,478人分)。小テストは成績を中くらいの大きさで上げていた(効果量 g=0.499)[4]

Yangら(2021)[4]

実験室ではなく実際の教室で、小テストが学びを助けるかを調べた研究をまとめました。小テストは、成績を中くらいの大きさで上げていました。効果の大きさは、比べる学び方、テストの形式、答え合わせ(フィードバック)があるか、くり返しの回数などで変わりました。

種類: システマティックレビューとメタ分析(222の研究・4万8,478人) / 限界: 研究によって条件がばらばらで、どんな小テストでも同じ効果が出るわけではありません。

注意したいのは、ノートを取ることにはっきりした強みもある点です。直後のテストではノートの組が最もよく[1]、問題で出なかった内容もノートの組のほうが覚えていました[2]。ノートとテストは対立するものではなく、組み合わせると強いと考えられます。

03 今日からできる小さな一歩まとめノートで覚えていなかったら、どうする?

ノートを閉じて、覚えていることを白い紙に書き出し、ノートと照らし合わせます。次に、ノートの見出しを問題に変え、数日おきに解きます。新しくノートを作り直す必要はありません。

1

ノートを閉じて、白い紙に書き出す

見出し1つ分について、覚えていることを何も見ずに書きます。書けなかった所が、次に覚える場所です[3]。

所要 5〜10分

2

ノートと照らし合わせて、赤で足す

抜けていた所や間違えた所を、ノートを見て書き足します。答え合わせがあると、小テストの効果が変わることがわかっています[4]。

所要 5分

3

見出しを「問題」に書き換える

「光合成のしくみ」なら「光合成で必要なものを3つ言える?」のようにします。問題に出なかった所は覚えにくくなるので、見出しごとにまんべんなく作ります[2]。

所要 10分

4

数日あけて、もう一度解く

2週間後のテストで差が開いたように[1]、思い出す練習の強みは時間がたってから出ます。復習の間隔の決め方は復習のタイミングの研究を参考にしてください。

所要 1回10分

04 続けるためのコツまとめノートを作るときは、何に気をつける?

ノートは見た目の美しさより、後で自分に問題を出しやすい形を優先します。作った直後の「わかった感じ」ではなく、数日後に何も見ずに思い出せるかで出来を確かめます。

05よくある質問

まとめノートを作るのは、時間のむだですか?

むだではありません。Rummerら(2017)の実験では、ノートを取った人は、5分後のテストで最もよくできていました。1週間後も、ただ読み返した人より成績が上でした。ただ、2週間後には思い出す練習をした人に追い越されました。ノートは作って終わりにせず、思い出す練習の材料に使うのが近道です。

まとめノートを読み返すのと、問題を解くのはどちらがいいですか?

長く覚えておきたいなら、問題を解くほうが有利です。Rummerら(2017)の2つ目の実験では、ノートを取った後に「読み返す」より「テストする」ほうが、2週間後の成績が上でした。教室での222の研究をまとめた分析でも、小テストは成績を中くらいの大きさで上げていました。

ノートは手書きのほうが覚えられますか?

手書きかパソコンかの差は、言われているほど大きくないかもしれません。手書きのほうが覚えるという有名な実験には、同じ結果が再現されなかった追試もあります。詳しくは手書きとタイピングの記事で紹介しています。書き方より、作ったノートで思い出す練習をするかどうかが大切です。

問題にしたところしか覚えられないのでは?

その心配は研究でも確かめられています。Heitmannら(2018)の実験では、問題で出た内容はよく覚えていた一方、問題で出なかった内容は、ノートを取った人のほうがよくできていました。問題は、ノートの見出しごとにまんべんなく作るのがおすすめです。

出典

  1. Rummer, R., Schweppe, J., Gerst, K., & Wagner, S. (2017). Is testing a more effective learning strategy than note-taking? Journal of Experimental Psychology: Applied, 23(3), 293–300. https://doi.org/10.1037/xap0000134
  2. Heitmann, S., Grund, A., Berthold, K., Fries, S., & Roelle, J. (2018). Testing Is More Desirable When It Is Adaptive and Still Desirable When Compared to Note-Taking. Frontiers in Psychology, 9, 2596. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.02596
  3. Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x
  4. Yang, C., Luo, L., Vadillo, M. A., Yu, R., & Shanks, D. R. (2021). Testing (quizzing) boosts classroom learning: A systematic and meta-analytic review. Psychological Bulletin, 147(4), 399–435. https://doi.org/10.1037/bul0000309
  5. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266