問題は種類ごとにまとめて解くより、混ぜて解くほうが身につく?「交互練習」のやり方を研究で調べた

ドリルで同じ種類の問題を10問続けて解くと、最後のほうはすらすら解けます。それなのに、テストで種類がばらばらに出ると手が止まる。そんな経験はありませんか。研究では、練習の段階から種類を混ぜて解く「交互練習」のほうが、あとのテストで点が取れることがわかってきました。ただし、どんな教材にも効くわけではありません。
3行でわかる
- 中学1年生140人の授業の実験で、種類を混ぜて練習した内容は、2週間後のテストの平均点が72%で、まとめて練習した内容(38%)を大きく上回った。
- 59件の研究をまとめた分析では、混ぜる効果は全体で中くらい(g=0.42)。絵や図の見分けで大きく、数学では小さめ、単語の暗記ではむしろ逆だった。
- 混ぜる練習は「難しい」「遅い」と感じやすく、多くの生徒が効果を見誤っていた。手応えの悪さは、失敗のサインではない。
01 悩みの正体練習では解けたのに、テストで解けないのはなぜ?
同じ種類の問題が続く練習では、「どの解き方を使うか」を考えずに済むからです。テストでは問題を見て解き方を選ぶ力が必要ですが、まとめて解く練習ではその力がほとんど鍛えられません。
教科書の練習問題は、たいてい「その日に習った解き方」の問題だけが並んでいます。2問目からは、問題文をよく読まなくても、さっきと同じ手順で解けます。
これを研究者は「ブロック練習(まとめ練習)」と呼びます。一方、種類の違う問題を混ぜて並べるのが「交互練習(インターリーブ)」です。交互練習では、1問ごとに「これはどの解き方の問題か」を自分で判断しなければなりません。
Rohrerら(2014)は、この「問題を見て解き方を選ぶ」部分こそが、交互練習で鍛えられる力だと説明しています[2]。まとめて解いたときのすらすら感は、テスト本番の状態とは別ものです。
02 科学的にわかっていること問題を混ぜて解くと、成績はどれくらい変わる?
数学の授業の実験では、混ぜて練習した内容の平均点が2週間後に72%と、まとめて練習した38%のほぼ2倍でした。ただし59件の研究をまとめると、効果の大きさは教材によって大きく違います。
Rohrer・Dedrick・Burgess(2014)[2]
中学1年生が9週間、数学の練習問題を、種類ごとにまとめる形か、混ぜる形で解きました。2週間後の予告なしのテストで、混ぜて練習した内容の平均点は72%、まとめて練習した内容は38%でした(効果量 d=1.05)。見た目が似ていない種類の問題どうしでも効果が出ました。
対象: 中学1年生140人、教室での実験 / 限界: 数学の問題を使った研究で、ほかの教科にそのまま当てはまるとは限りません。
Kornell・Bjork(2008)[3]
何人かの画家の絵を見て、画風を覚える実験です。同じ画家の絵を続けて見るより、別の画家の絵と混ぜて見たほうが、初めて見る絵の作者を当てる成績が良くなりました。それでも参加者は、続けて見るほうが効果的だと評価しました。自分のテスト結果が逆を示した後でもです。
対象: 実験室での実験(複数) / 限界: 絵の見分けという、特定の種類の学習を調べた研究です。
Donenfeldら(2026)[4]
上の絵の実験を、オンラインで288人を対象に同じ手順でやり直した再現研究です。混ぜて見た効果は再び確認されました(d=0.48)。答え方のくせが結果をゆがめないよう、選択式のテストに変えた実験(276人)でも、同じくらいの効果が出ました(d=0.43)。
対象: オンライン参加者、計564人 / 限界: 効果の大きさは元の研究ほど大きくはなく、中くらいでした。
Brunmair・Richter(2019)[1]
59件の研究(238の効果量)をまとめたメタ分析です。混ぜる練習の効果は全体で中くらい(g=0.42)でした。違う種類どうしが似ていて取り違えやすい教材ほど、また複雑な教材ほど、効果が大きくなりました。
対象: 158の参加者グループ / 限界: 文章の読解や味の見分けでは、はっきりした効果は出ませんでした。単語の学習では、まとめるほうが良い結果でした。
メタ分析で示された、教材ごとの効果の違いを表にまとめました[1]。プラスは「混ぜたほうが良い」、マイナスは「まとめたほうが良い」を表します。
| 教材 | 効果の大きさ(g) | 判定 |
|---|---|---|
| 絵画(画風の見分け) | 0.67 | 混ぜると良い |
| 全体の平均 | 0.42 | 混ぜると良い(中くらい) |
| 数学の問題 | 0.34 | 混ぜると良い(小さめ) |
| 説明文・味の見分け | はっきりしない | 差が確認できない |
| 単語 | -0.39 | まとめたほうが良い |
03 今日からできる小さな一歩交互練習は、どうやって始めればいい?
習い終えた単元の中から、取り違えやすい2〜3種類の問題を選び、1問ずつ交互に並べて解きます。1問ごとに「これは何の問題か」を自分で判断するのがポイントです。
習い終えた単元から2〜3種類を選ぶ
新しく習ったばかりの単元は、まず普通に例題で解き方を覚えます。そのうえで、すでに習った単元の問題と混ぜていきます。たとえば数学なら「円の面積」「三角形の面積」「台形の面積」のように、取り違えやすいものを組み合わせます。
所要 5分(選ぶだけ)
問題を1問ずつ交互に並べる
問題集の「〇〇の練習」というまとまりをそのまま解かず、ページをまたいで1問ずつ拾います。A・B・C・A・C・Bのように、次に何が来るか予想しにくい順番にします。見出しや単元名は隠しておきます。
所要 10問で20〜30分
解く前に「何の問題か」を一言書く
式を立てる前に、問題の横に「台形」「速さ」などと種類を書きます。交互練習で鍛えたいのは、問題を見て解き方を選ぶ力だからです[2]。間違えたら、解き方だけでなく、種類の判断が合っていたかも確かめます。
所要 1問につき10秒
単語の暗記には無理に使わない
メタ分析では、単語の学習ではまとめて覚えたほうが良い結果でした[1]。英単語などは、混ぜるより、時間をあけて何度も思い出す方法が向いています(復習のタイミングの研究、テスト効果の研究)。
所要 0分(やらないと決めるだけ)
04 続けるためのコツ混ぜる練習が「解けない」と感じたら?
混ぜる練習は、まとめて解くより難しく、時間もかかると感じるのが普通です。中学生への調査でも、多くの生徒が混ぜる練習を「効果が低い」と誤って判断していました。手応えの悪さで判断しないことが大切です。
Hartwig・Rohrer(2025)は、中学1年生への2つの調査で、交互練習をどう感じるかを尋ねました[5]。
- 174人の調査では、交互練習の多いほうが効果的だと正しく答えたのは22%だけ。65%は、まとめて解くほうが効果的だと答えた。
- 233人の調査では、65%がまとめて解く練習を好み、交互練習を好んだのは18%だった。
- 同じ調査で、74%が「混ぜると時間がかかる」、63%が「混ぜると難しい」と答えた。
つまり「混ぜると解けない、だから自分には合わない」と感じるのは、多くの人に起きることです。続けるために、次の工夫が役立ちます。
- 最初は2種類だけを混ぜ、慣れたら3種類に増やす。
- 練習の正答率ではなく、数日後にもう一度解いたときの正答率で効果を確かめる。
- 間違えた問題は、どこで判断を誤ったかを見直す(間違えた後の復習の研究)。
05よくある質問
問題を混ぜて解くと、なぜ成績が上がるのですか?
種類の違う問題が交互に出ると、1問ごとに「どの解き方を使うか」を自分で判断する必要があります。テスト本番に必要なこの判断の力が、まとめて解く練習ではほとんど使われないためと説明されています。中学1年生の実験では、2週間後のテストで72%対38%の差が出ました。
英単語の暗記にも交互練習は効きますか?
59件の研究をまとめた分析では、単語の学習ではむしろ、まとめて覚えたほうが良い結果でした(g=-0.39)。交互練習が向いているのは、数学の問題や絵の見分けのように、似たものを区別する力が必要な教材です。
混ぜて解くと時間がかかって、解けない問題も増えます。やめたほうがいいですか?
時間がかかり、難しいと感じるのは普通のことです。中学生への調査でも、74%が時間がかかる、63%が難しいと答えていました。練習中の手応えではなく、数日後のテストで効果を確かめるのがおすすめです。
出典
- Brunmair, M., & Richter, T. (2019). Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators. Psychological Bulletin, 145(11), 1029-1052. https://doi.org/10.1037/bul0000209
- Rohrer, D., Dedrick, R. F., & Burgess, K. (2014). The benefit of interleaved mathematics practice is not limited to superficially similar kinds of problems. Psychonomic Bulletin & Review, 21(5), 1323-1330. https://doi.org/10.3758/s13423-014-0588-3
- Kornell, N., & Bjork, R. A. (2008). Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"? Psychological Science, 19(6), 585-592. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02127.x
- Donenfeld, J., Kaldy, Z., & Blaser, E. (2026). Testing the interleaving effect without response bias: A forced-choice reevaluation of Kornell and Bjork (2008). Psychonomic Bulletin & Review, 33, 179. https://doi.org/10.3758/s13423-026-02944-1
- Hartwig, M. K., & Rohrer, D. (2025). Students' perceptions of effective math learning strategies. Behavioral Sciences, 15(8), 1047. https://doi.org/10.3390/bs15081047


