先延ばし

夜型の人ほど先延ばししやすいのはなぜ? 体内時計・睡眠・自制心の研究で調べた

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夜の木にとまるフクロウ
Photo: Syedadnanshamsi / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

朝はどうしても頭が動かず、やるべきことに手がつかない。夜になってようやくエンジンがかかるけれど、そのころには時間が足りない。夜型の人の多くが、こんな悩みを抱えています。研究では、夜型の人ほど先延ばしが多いという関係が、国や年代を変えてくり返し見つかっています。ただし、それは「夜型だからだめ」という話ではありません。体内時計と社会の時間のずれ、寝不足、自制心の3つが重なって起きると考えられています。

3行でわかる

  1. カナダ・イギリス・中国の大学生を調べた研究で、夜型の人ほど先延ばしが多い関係がくり返し見られました。中国の774人の調査でも同じでした。
  2. 夜型の人は自制心が低めで、「未来の自分」を遠く感じやすい傾向がありました。社会の時間に合わせて寝不足になりやすいことも関わると考えられています。
  3. 101人の会社員では、同じ人でもよく眠れた翌日は先延ばしが少なく、夏時間で寝不足になった週明けは夜型の人ほど影響を受けました。

01 悩みの正体夜型の人が先延ばししやすいのはなぜ?

夜型の人が先延ばししやすいのは、意志が弱いからではありません。社会の時間と体内時計がずれて寝不足になりやすく、自制心が働きにくい状態が続きやすいからだと考えられています。

朝型か夜型かは、「クロノタイプ」と呼ばれます。体内時計がどの時刻に合っているかの個人差です。夜型の人は、眠くなる時刻も、頭がさえる時刻も遅めです。

ところが、学校や仕事の多くは朝から始まります。夜型の人は、体がまだ眠っている時間に起きて、頭を使うことになります。平日は寝不足、休日は寝だめ、というずれも起きやすくなります。この状態で、気の重い作業に向き合うのは大変です。

研究者は、先延ばしにつながる道すじとして、次の3つを挙げています。

考えられている道すじ研究で見られたこと
自制心が低め夜型の人ほど自制心の得点が低い関係 [1][2][3]
寝不足・眠りの質の低下眠りが浅い翌日ほど先延ばしが多い [4]。夜ふかしの先延ばしは睡眠の短さと関連 [5]
未来の自分を遠く感じる夜型の人は「未来の自分とのつながり」が弱めで、それが先延ばしと関連 [3]

02 科学的にわかっていること夜型と先延ばしの関係は、どのくらい確かめられている?

夜型ほど先延ばしが多い関係は、カナダ・イギリス・中国の大学生とドイツの会社員を調べた研究で見つかっています。ただし、ほとんどが一度の調査で関係を見たもので、夜型が先延ばしの原因だとまでは言えません。

Digdon・Howell(2008)[1]

カナダの小さな大学で、心理学を学ぶ308人に朝型・夜型の質問票と、自制心・先延ばしの質問票に答えてもらいました。夜型の人ほど自制心が低く、先延ばしが多いという関係が見られ、その強さは中くらいでした。自制心の中では、「頼りになる」「勤勉さ」に関わる項目が特に関係していました。

対象: 308人(平均19.92歳) / 限界: 著者自身が、この関係が原因と結果なのかはわからないと述べている。

Carciofo・Cheung(2025)[2]

イギリスの大学生306人を調べました。夜型の人ほど、寝る時間・勉強・運動のどれも先延ばししやすい関係がありました。関係の強さを示す値(相関係数。0〜1で大きいほど強い)は、寝る時間で0.58、勉強で0.37、運動で0.36でした。朝型の人ほど自制心が高く、眠りの質もよい関係でした。気分の落ち込みが自制心の低さを通して勉強の先延ばしにつながる、という道すじも見られました。

対象: 306人(18〜51歳、平均20.36歳、男性は34人) / 限界: 一度のアンケートで、女性が大半。原因と結果の向きは確かめていない。

Songら(2025)[3]

中国の大学生774人(18〜25歳)を調べました。朝型の人ほど勉強の先延ばしが少なく、夜型の人ほど多い関係がありました(相関係数0.30)。朝型の人ほど「未来の自分を今の自分と地続きに感じる」度合いと自制心が高く、この2つが夜型と先延ばしの間をつなぐ形になっていました。先延ばしといちばん強く関係していたのは自制心でした(0.57)。

対象: 774人(18〜25歳) / 限界: 一度のアンケートで、原因と結果は言えない。若い大学生に限られる。

Maier・Kühnel・Zimmermann(2022)[4]

ドイツのフルタイムの会社員101人に、夏時間に切り替わる前の月曜と、切り替わった後の月曜に、前の晩の眠りの質とその日の先延ばしを答えてもらいました。よく眠れた翌日ほど先延ばしが少なく、夜型の人ほど先延ばしが多くなりました。夏時間で1時間早起きになった週明けは、夜型の人ほど「眠りが浅いと先延ばしが増える」関係が強くなりました。

対象: 101人(平均48歳、女性67人) / 限界: 調べたのは2日だけで、夜型の人が少なかった。眠りが自制の力を回復させるという説明は、直接は測っていない。

Hillら(2022)[5]

寝る時間の先延ばし(用事もないのに寝るのを遅らせること)を調べた43本の研究をまとめたメタ分析です。寝る時間の先延ばしは、夜型であることと中くらいの強さで関連し、自制心の低さとも関連しました。さらに、睡眠時間が短いこと、眠りの質が低いこと、日中の疲れとも関連していました。

対象: 43本の研究 / 限界: 研究の質の評価は「低」。どちらが原因かを確かめる研究が足りない。

ここで紹介した研究は、どれも夜型と先延ばしが「一緒に見られる」ことを示したものです。夜型を朝型に変えたら先延ばしが減ったかを確かめた試験は、見つかりませんでした。また、「自制の力は使うと減り、眠ると回復する」という説明のもとになった考え方は、大規模な追試ではっきり確かめられていません(意志力は限られているかの記事)。

03 今日からできる小さな一歩夜型の人が先延ばしを減らすには?

体内時計を無理に変えるより、いちばん気の重い作業を頭がさえる時間に置き、寝る時刻を守って寝不足を防ぎます。夜にやる作業は、終わる時刻を先に決めておきます。

1

気の重い作業を「さえる時間」に移す

夜型の人は、朝の早い時間に頭が働きにくくなります。いちばん後回しにしがちな作業を1つ選び、昼すぎ以降の、頭がさえやすい時間に予定を入れます。時間帯と集中の研究は難しい作業は何時にやるかの記事にまとめています。

所要 3分

2

寝る時刻をカレンダーに入れる

よく眠れた翌日は先延ばしが少ない関係がありました [4]。寝る30分前にアラームを入れ、その時刻以降は新しい作業を始めないことにします。

所要 1分

3

夜の作業は「終わる時刻」から決める

夜にはかどる作業を夜にやるのはかまいません。ただし「終わったら寝る」ではなく、「23時になったら途中でも終える」と先に決めます。寝る時間の先延ばしは睡眠の短さと関連していました [5]。

所要 1分

4

明日の自分に一言メモを書く

夜型の人は未来の自分を遠く感じやすい関係がありました [3]。寝る前に「明日の朝の自分」に、最初にやることを1行だけ書いておきます。未来の自分の研究は未来の自分を身近に感じるやり方の記事で紹介しています。

所要 2分

04 続けるためのコツ朝が苦手な自分と、どうつきあう?

夜型は体内時計の個人差で、怠けではありません。自分を責めるより、寝不足の日は先延ばしが増えやすいと知っておき、その日は小さな作業から始めます。

05よくある質問

夜型だと先延ばしするのは、性格だから仕方ない?

仕方ないとは言えません。夜型と先延ばしの関係は、多くの研究で中くらいの強さです。夜型でも先延ばしが少ない人は少なくありません。101人の会社員の研究では、同じ人でもよく眠れた翌日は先延ばしが少なくなりました。睡眠と予定の組み方で変えられる部分があります。

夜型を朝型に変えれば先延ばしは減る?

まだはっきりわかっていません。ここで紹介した研究は、夜型と先延ばしが一緒に見られるという調査が中心で、朝型に変えたら先延ばしが減ったかを確かめた試験ではありません。無理に早起きして睡眠が短くなると、かえって逆効果になるおそれもあります。

夜に作業がはかどるなら、夜にやってもいい?

夜にはかどる作業を夜に回すのは、理にかなっています。ただし、作業が寝る時刻を押し下げると睡眠が短くなり、翌日の先延ばしにつながりやすくなります。終わる時刻を先に決め、寝る時刻は動かさないのがポイントです。

出典

  1. Digdon, N. L., & Howell, A. J. (2008). College students who have an eveningness preference report lower self-control and greater procrastination. Chronobiology International, 25(6), 1029-1046. https://doi.org/10.1080/07420520802553671
  2. Carciofo, R., & Cheung, R. Y. M. (2025). Eveningness and procrastination: An exploration of relationships with mind wandering, sleep quality, self-control, and depression. European Journal of Investigation in Health, Psychology and Education, 15(5), 79. https://doi.org/10.3390/ejihpe15050079
  3. Song, J., Lei, Y., Zhang, Y., & Hu, X. (2025). Chronotype and academic procrastination: The chain mediating role of future self-continuity and self-control. BMC Psychology, 13, 1401. https://doi.org/10.1186/s40359-025-03884-6
  4. Maier, T., Kühnel, J., & Zimmermann, B. (2022). How did you sleep tonight? The relevance of sleep quality and sleep-wake rhythm for procrastination at work. Frontiers in Psychology, 12, 785154. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.785154
  5. Hill, V. M., Rebar, A. L., Ferguson, S. A., Shriane, A. E., & Vincent, G. E. (2022). Go to bed! A systematic review and meta-analysis of bedtime procrastination correlates and sleep outcomes. Sleep Medicine Reviews, 66, 101697. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2022.101697