習慣

習慣が続く人は「意志が強い」から? 自制心の高い人ほど我慢せず習慣に任せていた研究

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木の床に置かれた靴
Photo: User:Piotrus / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

運動も早寝も続かない。自分は意志が弱いからだ、と感じていませんか。研究での判定は「意志の強さ=我慢の強さ、ではない」。自制心の高い人の強みは、誘惑に耐える力より、考えずに動ける習慣にあるという結果が、食事・運動・勉強の研究でくり返し出ています。

3行でわかる

  1. 判定は「半分は誤解」。102研究・3万2,648人のメタ分析では、自制心と行動の結びつきは、意識して行う行動より、自動的に行う行動のほうが強く出ました。
  2. 6つの研究(計2,274人)では、自制心の高い人ほど良い行動が習慣になっており、そのぶん「頑張って抑える」ことは少なめでした。
  3. 多くは相関の研究で、習慣が原因とまでは言えません。それでも、続けたいなら我慢を増やすより、いつ・どこでやるかを固定するほうが研究の流れに合っています。

01 悩みの正体「意志が強い人」は、本当に我慢しているの?

「自制心が高い人は、誘惑を力ずくで抑えている」というのが昔からの考え方です。ところが近年の研究では、自制心の高い人ほど日常で我慢する場面自体が少ないという、逆の見方が出てきました。

自制心は、ふつう「誘惑に負けない力」と考えられています。ケーキを前にしても食べない。眠くても机に向かう。

もしそれが本当なら、自制心の高い人は毎日たくさん我慢しているはずです。研究者たちは、この前提が正しいかを確かめ始めました[2]。

02 科学的にわかっていること自制心の高い人は、習慣で続けている?

複数の研究で、その傾向が見られました。自制心の高い人ほど良い行動が習慣になっていて、自制心と行動の結びつきの多くは、その習慣を通して説明されていました。

de Ridderら(2012)[1]

自制心の高さと行動の関係を調べた102の研究(計3万2,648人)をまとめたメタ分析です。自制心が高い人ほど望ましい行動をとる、という小〜中程度の関係がありました。そして、この関係は、意識して行う行動より、自動的に行う行動のほうが強く出ていました。

対象: 102の研究 / 限界: 自制心は質問票で測ったもの。行動の分野によって関係の強さは大きく違った。

2,274人・6研究
おやつ・運動・睡眠・勉強・瞑想で、自制心の高い人の良い結果は「習慣」を通して説明された[2]。

GallaとDuckworth(2015)[2]

6つの研究で、自制心と習慣の関係を調べました。自制心の高い人ほど、健康的なおやつ・運動・決まった時間の睡眠が習慣になっていました。その習慣があるぶん、行動は自動的になり、「頑張って抑えた」と答えることは少なめでした。5日間の瞑想合宿に参加した10代の研究では、合宿前の自制心が高いほど、3か月後に瞑想が習慣になっていました。

対象: 6研究で計2,274人(10代の若者や大学生を含む) / 限界: 習慣と自制心は主に本人の回答で測っている。

Adriaanseら(2014)[3]

健康的に食べたいと考えている大学生87人に、質問票に答えた後、7日間のおやつ日記をつけてもらいました。自制心の高い人ほど、体に良くないおやつを食べる量が少なく、その関係は「おやつを食べる習慣の弱さ」で説明されました。一方、自制心は果物を食べる量とは関係がありませんでした。

対象: 若い学生(多くは女性)87人 / 限界: 相関の研究で、因果関係は言えないと著者らも書いている。

GillebaartとAdriaanse(2017)[4]

上の研究を、運動で確かめ直した追試です。ジムの会員134人(18〜65歳、平均37.9歳)に答えてもらうと、自制心の高い人ほど運動していました。そして、その関係は運動の習慣の強さで説明されました。食事で見られた形が、運動でも再現されたことになります。

対象: ジム会員134人 / 限界: 1回のアンケートで、過去の運動量を思い出して答えている。

Hofmannら(2012)[5]

205人の大人が1週間、呼び出し機で知らされるたびに、そのとき感じている欲求を記録しました(計7,827件)。欲求はよく起こるものの、多くは問題になりませんでした。ほかの目標とぶつかる欲求には抵抗しようとしますが、うまくいくかどうかはまちまちでした。

対象: 大人205人 / 限界: 1週間の自己記録。欲求を感じた場面だけが対象。

研究わかったこと
de Ridderら(2012)102研究自制心は自動的な行動とより強く結びつく
GallaとDuckworth(2015)6研究良い結果は習慣を通して説明。抑える努力は少なめ
Adriaanseら(2014)87人おやつを控えられるのは習慣の差で説明
Gillebaartら(2017)134人運動でも同じ形を再現
Hofmannら(2012)205人欲求に抵抗しても成功はまちまち

この表は、上の研究をこのサイトで並べたものです。「意志の力は使うと減る」という説も、大規模な追試で効果が見つからなかったことがあります。くわしくは意志力の研究にまとめています。

03 今日からできる小さな一歩我慢に頼らず続けるには、何をすればいい?

我慢する場面そのものを減らし、考えずに動ける形を作ります。やる時間と場所を固定し、誘惑を手の届かない所へ移すのが基本です(研究の結果から考えた工夫です)。

1

「いつ・どこで」を1つに決める

「朝コーヒーを入れたら、5分ストレッチ」のように、毎日ある行動の直後に置きます。決め方はif-thenプランの研究と同じ場所の研究にまとめています。

所要 3分

2

誘惑を、見えない・届かない所へ

おやつは棚の奥、スマホは別の部屋へ。ひと手間増やすだけで手が伸びにくくなる研究は誘惑を遠ざける研究で紹介しています。

所要 5分

3

最初は「小さすぎるくらい」で始める

頑張らないとできない量だと、毎回我慢が必要になります。まずは2分で終わる量にして、くり返すことを優先します。

所要 2分

04 続けるためのコツ続かないとき、意志の弱さを責めるべき?

責めるより、仕組みを見直すほうが研究の流れに合っています。自制心の高い人の強みが習慣にあるなら、続かない原因も、意志より「決まった合図がない」ことにある場合が多いからです。

05よくある質問

習慣が続かないのは、意志が弱いから?

そうとは言い切れません。自制心が高い人の行動の良さは、我慢の強さより、考えずに動ける習慣があることで多くが説明されていました。続かないときは、意志より「いつ・どこでやるか」の決め方を見直すほうが手がかりになります。

自制心が高い人は、誘惑に強いのでは?

研究では、自制心の高い人が日々たくさん我慢しているわけではない、という結果が出ています。6つの研究(計2,274人)では、自制心が高い人ほど、良い行動を「頑張って抑えて」ではなく習慣として自動的に行っていました。

この研究で「習慣が原因」と証明されたの?

されていません。多くはアンケートや日記による相関の研究で、著者らも因果関係までは言えないと書いています。ただ、食事・運動・勉強など別々の場面で同じ形の結果が出ており、追試でも再現されています。

出典

  1. de Ridder, D. T. D., Lensvelt-Mulders, G., Finkenauer, C., Stok, F. M., & Baumeister, R. F. (2012). Taking stock of self-control: a meta-analysis of how trait self-control relates to a wide range of behaviors. Personality and Social Psychology Review, 16(1), 76-99. https://doi.org/10.1177/1088868311418749
  2. Galla, B. M., & Duckworth, A. L. (2015). More than resisting temptation: beneficial habits mediate the relationship between self-control and positive life outcomes. Journal of Personality and Social Psychology, 109(3), 508-525. https://doi.org/10.1037/pspp0000026
  3. Adriaanse, M. A., Kroese, F. M., Gillebaart, M., & De Ridder, D. T. D. (2014). Effortless inhibition: habit mediates the relation between self-control and unhealthy snack consumption. Frontiers in Psychology, 5, 444. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2014.00444
  4. Gillebaart, M., & Adriaanse, M. A. (2017). Self-control predicts exercise behavior by force of habit, a conceptual replication of Adriaanse et al. (2014). Frontiers in Psychology, 8, 190. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2017.00190
  5. Hofmann, W., Baumeister, R. F., Förster, G., & Vohs, K. D. (2012). Everyday temptations: an experience sampling study of desire, conflict, and self-control. Journal of Personality and Social Psychology, 102(6), 1318-1335. https://doi.org/10.1037/a0026545