気分・ストレス

心配ごとが頭から離れないときは「心配する時間」を決める? 心配の先送りの研究でわかったやり方

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机の上のノートとペン
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

心配ごとが一日じゅう頭から離れず、仕事中も寝る前もぐるぐる考えてしまう。そんなときに試されてきたのが、心配を「後で考える時間」にまとめて先送りする「心配の先送り(worry postponement)」です。心配が強い53人の実験では、1日30分の「心配タイム」を2週間続けると、心配や不安が減りました。ただし、オンラインでやり方を伝えただけの大きな研究では効果が出ませんでした。うまくいく条件とやり方を、研究から整理します。

3行でわかる

  1. 心配を毎日決まった時間・場所の30分にまとめると、心配の強い53人で、心配・不安・不眠の症状が減った(2週間の実験)。
  2. オランダの大人361人の6日間のオンライン研究では、記録だけのグループと差が出なかった。「先送りが難しい」と答えた人が多かった。
  3. 先送りに「いつ・どうするか」のif-thenプランを足すと、14日間で心配する時間が約15分短くなった。睡眠の改善は確かめられていない。

01 悩みの正体心配が一日じゅう頭から離れないのはなぜ?

心配が強い人では、心配が時間や場所を選ばず、仕事中や布団の中など、生活のあらゆる場面と結びついてしまうと考えられています。考えるきっかけが至る所にあるので、心配が止まりにくくなります。

McGowanとBehar(2013)は、全般不安症(心配が止まらない不安の病気)の人では、心配が一日の時間帯や身の回りのきっかけと広く結びつき、「いつ心配するか」の区切りがなくなっていると説明しています[1]。過剰な心配は、不安や気分の落ち込み、眠りの問題とも結びついています[1]。

そこで、心配してよい時間と場所を1か所にまとめ、それ以外の場面では「後で考える」と先送りする方法が考えられました。夜になると不安が大きくなる仕組みは夜の不安の研究で、心配で集中できない理由は心配と集中の研究で紹介しています。

02 科学的にわかっていること「心配する時間」を決めると、心配は減る?

紙の記録や対面の説明で行った研究では、心配の回数や長さが減る結果が出ています。一方、オンラインで指示しただけの研究では効果がなく、やり方の伝え方や続けやすさで結果が分かれます。

McGowanとBehar(2013)[1]

心配が強い53人を2つに分けました。片方は、毎日決まった時間と場所で30分だけ心配し、それ以外の心配は先送りしました。もう片方は、自然にわいた心配を避けないよう指示されました。2週間後、心配タイムのグループのほうが、心配、不安、嫌な気分、不眠の症状が大きく減りました。

対象: 心配の傾向が強い53人 / 限界: 小さな予備的研究で、気分の落ち込みや前向きな気分には差がありませんでした。

Jellesmaら(2009)[2]

オランダ・ライデンの小学校7校の9〜13歳227人が、1週間、頭から離れない考えを記録しました。そのうち138人は、考えを夕方の早い時間の30分に先送りするよう指示されました。先送りした子どもは、考えごとの回数が減り、女の子では考えている時間も短くなりました。

対象: 9〜13歳の子ども227人 / 限界: 1週間だけの研究で、体の不調が減ったのは一部の学年だけでした。

Versluisら(2016)[3]

オランダの一般の大人がウェブサイトから参加し、6日間、心配を記録しました。片方のグループには、心配を夕方の早い時間の30分に先送りするよう伝えました。最後まで参加した361人をくらべると、記録だけのグループ(188人)と先送りのグループ(163人)で、心配の回数や長さ、体の不調に差はありませんでした。

対象: 登録996人、完了361人 / 限界: 参加者はもともと心配の傾向が強く、「先送りが難しかった」と答えていました。著者らは、オンラインで指示するだけでは足りない可能性を指摘しています。

McCarrickら(2025)[4]

186人(平均30.3歳)が14日間、毎晩その日の心配を、毎朝前夜の睡眠を記録するオンライン実験です。心配の先送りに「いつ・どこで・どう心配するか」のif-thenプランを足したグループは、先送りだけのグループより、1日に心配する時間が約15分短くなりました。

対象: 186人 / 限界: どちらの先送りのグループも、比較のグループより寝つきや眠りの質がよくなることはありませんでした。

約15分

心配の先送りに「いつ・どう心配するか」の計画を足したグループで、先送りだけのグループより1日の心配の時間が短くなった幅(186人・14日間)[4]

Krzikallaら(2024)[5]

ドイツで、全般不安症の47人と心気症(病気の心配が強い状態)の35人を、先送りの練習をするグループと順番待ちのグループに分けました。6日間、心配を後の30分以内の時間に先送りし、わいた心配は無理に止めず「受け流す」よう練習しました。全般不安症の人では心配が順番待ちより減り、4週間後も保たれました。

対象: ドイツの患者82人、2回の面接つき / 限界: 順番待ちとの比較で、心気症の人では効果がはっきりしませんでした。グループ分けの時点で差があったことも限界とされています。

研究やり方結果
心配が強い53人[1]毎日30分、決まった時間と場所で(2週間)心配・不安・不眠の症状が減った
子ども227人[2]夕方の30分に先送り(1週間)考えごとの回数が減った
一般の大人361人[3]オンラインの指示だけ(6日間)記録だけと差がなかった
186人[4]先送り+if-thenプラン(14日間)心配の時間が約15分短縮。睡眠は変わらず
全般不安症47人など[5]2回の面接+6日間の練習全般不安症で心配が減り、4週間後も維持

03 今日からできる小さな一歩「心配タイム」は、どうやって作る?

毎日同じ時刻・同じ場所に30分の「心配タイム」を決め、それ以外でわいた心配はメモして先送りします。時刻と場所、先送りの合図を前もって決めておくと、続けやすくなります。

1

心配タイムの時刻と場所を決める

研究では、毎日決まった時間と場所の30分[1]や、夕方の早い時間の30分[2][3]が使われました。例えば「夕方6時、台所のいすで30分」のように具体的に決めます。

所要 3分(1回だけ)

2

「もし心配がわいたら、こうする」を決める

先送りに「いつ・どう心配するか」の計画を足すと、心配の時間が短くなりました[4]。例えば「もし仕事中に心配がわいたら、メモに一言書いて『6時に考える』と心の中で言う」と決めます。

所要 2分

3

わいた心配は、止めずに受け流す

ドイツの研究では、心配を無理に追い払わず「また心配が来た。今は置いておく」と受け流す練習をしました[5]。消そうとするより、置いておく感覚です。

所要 数秒

4

心配タイムには、メモを見て考え、時間で切り上げる

決めた時間になったら、メモの心配について考えます。もう気にならなくなったものは飛ばしてかまいません。30分たったら終わりにします[1]。

所要 30分以内

04 続けるためのコツ心配をうまく先送りできないときは?

先送りが難しいと感じるのは珍しくなく、オンラインの研究でも多くの人がそう答えていました。完璧に先送りできなくても、1日のうち数回でも「後で」と置いておけたら、それを練習の成果と考えます。

05よくある質問

心配する時間は、何分くらい・いつにすればいいですか?

研究で多く使われたのは、毎日決まった時間の30分です。McGowanとBehar(2013)は時間と場所を決めた30分、オランダの研究は夕方の早い時間の30分を使いました。眠りへの影響を確かめた研究では睡眠の改善ははっきりしなかったため、寝る直前より、夕方の早い時間に置くほうが無難です。

心配の先送りは、本当に効果がありますか?

効果が出た研究と出なかった研究があります。心配の強い53人の2週間の実験では、心配や不安が減りました。一方、オランダの大人361人が6日間オンラインで試した研究では、記録だけのグループと差がありませんでした。時刻や合図を具体的に決めること、受け流す練習をすることが、うまくいく条件の手がかりになっています。

心配タイムを作ると、かえって心配が増えませんか?

今回調べた研究では、心配タイムを設けたグループで心配が増えたという結果は見当たりませんでした。McGowanとBehar(2013)では、自然な心配を避けないよう指示したグループより、心配タイムのグループのほうが心配や不安が減りました。心配タイムは30分で切り上げ、長引かせないことが大切です。

出典

  1. McGowan, S. K., & Behar, E. (2013). A preliminary investigation of stimulus control training for worry: Effects on anxiety and insomnia. Behavior Modification, 37(1), 90-112. https://doi.org/10.1177/0145445512455661
  2. Jellesma, F. C., Verkuil, B., & Brosschot, J. F. (2009). Postponing worrisome thoughts in children: The effects of a postponement intervention on perseverative thoughts, emotions and somatic complaints. Social Science & Medicine, 69(2), 278-284. https://doi.org/10.1016/j.socscimed.2009.04.031
  3. Versluis, A., Verkuil, B., & Brosschot, J. F. (2016). Reducing worry and subjective health complaints: A randomized trial of an internet-delivered worry postponement intervention. British Journal of Health Psychology, 21(2), 318-335. https://doi.org/10.1111/bjhp.12170
  4. McCarrick, D., Prestwich, A., Ferguson, E., & O'Connor, D. B. (2025). Effects of worry postponement on daily worry and sleep: A randomised controlled trial. Psychology & Health, 1-21. https://doi.org/10.1080/08870446.2025.2590072
  5. Krzikalla, C., Buhlmann, U., Schug, J., Kopei, I., Gerlach, A. L., Doebler, P., Morina, N., Andor, T., & Rief, W. (2024). Worry postponement from the metacognitive perspective: A randomized waitlist-controlled trial. Clinical Psychology in Europe, 6(2), e12741. https://doi.org/10.32872/cpe.12741