日曜の夜になると憂うつになるのはなぜ?「明日のこと」を考える脳の仕組みを研究で調べた

日曜の夕方を過ぎると、急に気持ちが重くなる。まだ休みの途中なのに、頭の中はもう月曜日。そんな人は少なくありません。研究を見ると、この憂うつの正体は「まだ来ていない明日」を先取りして心配する働きでした。心配は、出来事が起きる前から体のストレス反応を引き起こし、長引かせることがわかっています。
3行でわかる
- 日曜の夜の憂うつは、月曜の予定を頭の中で先取りする「予期の心配」から生まれると考えられます。
- 心配は、出来事の前から心拍やストレスホルモンなどの反応を引き起こし、長引かせることが多くの研究で報告されています。
- 平日の朝はストレスホルモンが週末より高く、仕事の負担や心配が強い人ほどこの差が大きいという研究があります。
01 悩みの正体日曜の夜の憂うつの正体は何?
日曜の夜の憂うつの正体は、まだ起きていない月曜の出来事を頭の中で何度も思い浮かべる「予期の心配」です。休みの時間にいながら、心はもう平日に入っています。
金曜の夜や土曜は、次の平日までまだ時間があります。日曜の夜になると、明日の予定が急に近くなります。
すると頭は、明日の会議、たまったメール、苦手な人との予定などを思い浮かべ始めます。心理学では、こうした「同じ心配をくり返し考えること」を反復思考と呼びます。
ポイントは、まだ何も起きていないのに、体は「もう始まった」かのように反応してしまうことです。これは意志が弱いからではなく、人の脳と体の仕組みによるものです。
02 科学的にわかっていること明日を心配すると、なぜ今つらくなる?
心配すると、ストレスの出来事がまだ起きていなくても、体のストレス反応が始まり、長く続くからです。平日の朝のストレスホルモンの高さや、月曜の不安との関係も研究で示されています。
| わかったこと | どんな研究か | 根拠 |
|---|---|---|
| 心配は、出来事の前からストレス反応を長引かせる | 多数の研究のレビュー | [1] |
| 平日の朝はストレスホルモンが週末より高い | 219人・6日間の唾液検査 | [2] |
| 朝に「今日はきつい」と予想すると、その日の記憶力が落ちる | 240人・2週間の記録 | [3] |
| 月曜に不安な人は、ストレスホルモンが高い傾向 | 50歳以上3511人の調査 | [4] |
Brosschotら(2006)[1]
心配や考えこみ(反すう)が体に与える影響を調べた研究をまとめたレビューです。心配や、これから来るストレスを予期することは、心臓・血管、ホルモン、免疫などの活動を高めることと結びついていました。著者らは、ストレスの前後に続く心配が、体の反応を長引かせると考えました。
対象: 心配・反すう・予期のストレスに関する研究のレビュー / 限界: 著者ら自身が、支持する結果は「予備的」と述べている。日曜の夜を直接調べた研究ではない。
Schlotzら(2004)[2]
219人が土曜から6日間続けて、起きた直後と30分・45分・60分後に唾液をとりました。朝起きた後のストレスホルモン(コルチゾール)の上がり方は、週末と平日ではっきり違っていました。仕事の負担や心配が強い人ほど、平日の朝だけ上がり方が大きく、量も多くなりました。
対象: 219人(起床時刻や睡眠時間の違いを考慮して分析) / 限界: 平日の朝と週末の朝を比べた研究で、日曜の夜の気分そのものは測っていない。
Hyunら(2019)[3]
25〜65歳の240人が2週間、スマホで1日に何度も記録をつけました。朝起きたときに「今日はストレスの多い日になりそう」と予想した日ほど、その日の記憶のテスト(短い間だけ覚えておく力)の成績が悪くなりました。実際に起きたストレスとは別に、予想そのものの影響が見られました。一方、前の晩の予想は、翌日の成績と関係していませんでした。
対象: ニューヨーク市ブロンクスの240人 / 限界: 予想が具体的にどの出来事に向けられていたかは調べていない。ストレスホルモンなど体の反応は測っていない。
Chandolaら(2025)[4]
イングランドの50歳以上3511人の調査です。月曜に不安を感じたと答えた人は、ほかの曜日に不安を感じた人より、その後に採取した髪のストレスホルモンが高い傾向がありました。数値が高い人たちの中で比べると、約23%高い値でした。この傾向は、働いている人にも、働いていない人にも同じように見られました。
対象: 英国の高齢期の長期調査の参加者3511人 / 限界: 観察研究で、月曜の不安がホルモンを上げたのかどうか(因果関係)はわからない。差の約4分の3は、月曜に不安を感じる人の性格や状況の違いで説明された。
一方で、実際の月曜日の気分は、思われているほど落ち込んでいないようです。曜日ごとの気分を調べた研究をまとめたメタ分析では、その時々の気分を記録した調査での月曜の落ち込みは「小さいが確かにある」程度でした [5]。あとから思い出して答えた調査ほど、月曜のつらさは大きく出やすい傾向がありました。日曜の夜に感じる重さの多くは、月曜そのものより月曜の予想から来ていると考えられます。
03 今日からできる小さな一歩日曜の夜の憂うつを軽くするには?
心配を「考える時間」を決めて先送りし、そのときに具体的な計画まで立てるやり方が研究で試されています。日曜の夜に、頭の中の月曜を紙に移すのが第一歩です。
日曜の夕方に「心配する時間」を決める
心配が浮かんだら「あとで考える」と決め、決めた時間にまとめて考えます。186人を14日間調べた試験では、先送りに「いつ・どう考えるか」の計画を足した人は、先送りだけの人より1日に心配する時間が約15分短くなりました [6]。ただし、眠りの改善までは見られませんでした。
所要 15分ほど
月曜の朝いちばんの作業を1つだけ書く
「明日のどこから手をつけるか」が決まると、頭の中で予定を何度も回さずにすみます。寝る前にやることを書き出すと寝つきが早くなった研究もあります(寝る前のToDoリストの研究)。
所要 3分
日曜の夜に小さな楽しみを入れる
好きな番組、散歩、家族との食事など、日曜の夜の予定を先に決めておきます。楽しみなことに注意が向いている間は、月曜を先取りする時間が減ります。
所要 30分〜
04 続けるためのコツ毎週くり返す憂うつとどう付き合う?
憂うつを消そうとするより、「明日を先取りしているだけ」と気づくことが出発点です。そのうえで、日曜に考えることそのものを減らす工夫をします。
- 「先取り中」と名前をつける: 気持ちが重くなったら「いま月曜を先取りしている」と心の中で言います。
- 金曜のうちに月曜の準備を終える: やり残しが少ないほど、日曜に考えることが減ります。
- 休み方を見直す: 休み中に仕事から頭を離す方法は休んでも疲れが抜けない理由で詳しく書いています。
- 考えが止まらない夜は: 嫌なことが頭から離れないときの研究も役立ちます。
05よくある質問
日曜の夜の憂うつは、仕事をしていない人にもある?
あると考えられます。イングランドの50歳以上3511人の研究では、月曜に不安を感じた人のストレスホルモンが高い傾向は、働いている人と働いていない人の両方で見られました。学校や家事、予定など、仕事以外の「週の始まり」も心配のきっかけになりえます。
実際の月曜日は、そんなにつらい日なの?
曜日ごとの気分を調べた研究をまとめたメタ分析では、その時々の気分を記録した調査での月曜の落ち込みはごく小さいものでした。一方で、あとから思い出して答えた調査では、差が大きく出やすくなりました。月曜のつらさは、思っているより小さいことが多いようです。
日曜の夜の憂うつが毎週ひどく、眠れない日が続くときは?
気分の落ち込みや眠れない状態が2週間以上続く、仕事や生活に支障が出ているときは、医師や専門家に相談してください。
出典
- Brosschot, J. F., Gerin, W., & Thayer, J. F. (2006). The perseverative cognition hypothesis: A review of worry, prolonged stress-related physiological activation, and health. Journal of Psychosomatic Research, 60(2), 113-124. https://doi.org/10.1016/j.jpsychores.2005.06.074
- Schlotz, W., Hellhammer, J., Schulz, P., & Stone, A. A. (2004). Perceived work overload and chronic worrying predict weekend-weekday differences in the cortisol awakening response. Psychosomatic Medicine, 66(2), 207-214. https://doi.org/10.1097/01.psy.0000116715.78238.56
- Hyun, J., Sliwinski, M. J., & Smyth, J. M. (2019). Waking up on the wrong side of the bed: The effects of stress anticipation on working memory in daily life. The Journals of Gerontology: Series B, 74(1), 38-46. https://doi.org/10.1093/geronb/gby042
- Chandola, T., Ling, W., & Rouxel, P. (2025). Are anxious Mondays associated with HPA-axis dysregulation? A longitudinal study of older adults in England. Journal of Affective Disorders. https://doi.org/10.1016/j.jad.2025.119611
- Areni, C. S., Burger, M., & Zlatevska, N. (2011). Factors affecting the extent of Monday blues: Evidence from a meta-analysis. Psychological Reports, 109(3), 723-733. https://doi.org/10.2466/13.20.pr0.109.6.723-733
- McCarrick, D., Prestwich, A., Ferguson, E., & O'Connor, D. B. (2025). Effects of worry postponement on daily worry and sleep: A randomised controlled trial. Psychology & Health. https://doi.org/10.1080/08870446.2025.2590072


