気分・ストレス

背筋を伸ばすと気分は上向くのか。姿勢とストレスの研究

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Photo: Lee Haywood from Wollaton, Nottingham, England / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

落ち込んでいるとき、気づくと背中が丸まっている。逆に、背筋を伸ばすと気持ちも少し上向く気がする。姿勢と気分には関係があるのでしょうか。研究を見ると、背筋を伸ばして座るだけで、ストレスがかかる場面でも気分や自尊心が保たれやすいことがわかってきました。一方で、話題になった「パワーポーズ」の効果には限界もありました。

3行でわかる

  1. 74人の実験では、背筋を伸ばして座った人は、猫背で座った人より、人前で話すストレス課題の中で自尊心と気分が高く、恐れが少なかった。
  2. 軽〜中程度のうつ傾向がある61人の実験でも、背筋を伸ばした人は前向きな気分が高まり、話す言葉の数が増え、自分のことばかり話す傾向が減った。
  3. 200人の研究では、力強いポーズをとると「自分に力がある」と感じやすくなったが、ホルモンや実際の行動には変化がなかった。

01体の状態は、気持ちにも影響する

心理学では、表情や姿勢など体の状態が、気持ちに影響すると考えられています。背筋を伸ばすことは、手軽にできるストレス対策の1つとして研究されてきました。

気分が落ち込むと姿勢が丸くなるだけでなく、反対に、姿勢が気分に影響する可能性も指摘されています。

実験では、理学療法用のテープで背中を固定し、背筋を伸ばした姿勢か猫背の姿勢を保ってもらって比べています。参加者には本当の目的を伝えず、思い込みの影響を減らす工夫もされています。

一方、「力強いポーズをとると、ホルモンが変わって自信がつく」というパワーポーズの説は、その後の大規模な研究で、ホルモンへの効果が再現されませんでした。

02科学的にわかっていること

背筋を伸ばすと、ストレスの中でも気分や自尊心が保たれやすくなっていました。ただし、姿勢でホルモンや行動まで変わるという効果は確認されていません。

Nairら(2015)[1]

74人をランダムに、背筋を伸ばした姿勢と猫背の姿勢に分け、テープで姿勢を保ったまま、人前でスピーチをするストレス課題をしてもらった。背筋を伸ばした人は、猫背の人より自尊心が高く、気分が良く、恐れが少なかった。猫背の人は、スピーチで否定的な言葉や「私」という言葉を多く使っていた。

対象: 74人 / 限界: 短時間の実験で、ふだんの姿勢を長く変えた場合の効果はわからない。

Wilkesら(2017)[2]

軽〜中程度のうつ傾向がある61人に、いつもの姿勢か背筋を伸ばした姿勢でストレス課題をしてもらった。背筋を伸ばした人は、元気で前向きな気分が高まり、スピーチで話す言葉の数が増え、自分のことばかり話す傾向が減った。肩の角度がまっすぐな人ほど、否定的な気分や不安が低かった。

対象: うつ傾向のある地域の61人 / 限界: 短時間の実験で、診断を受けた患者は対象ではない。

Ranehillら(2015)[3]

男性102人、女性98人の合計200人に、力強いポーズか弱々しいポーズをとってもらった。力強いポーズをとった人は「自分に力がある」と感じやすくなったが、テストステロンやストレスホルモンの値、リスクをとる行動には差がなかった。

対象: 主にチューリッヒの学生200人 / 限界: もとの研究と方法が完全に同じではない。

チューリッヒ大学(2015)[4]

上の研究について、力強いポーズはテストステロンやストレスホルモン、実際の行動には影響しなかったが、自分の力の感じ方には影響し、参加者はより自信を感じていたと発表した。

対象: 上の研究の大学による発表 / 限界: 研究者自身による紹介。

03今日からできる小さな一歩

ストレスのかかる場面の前や、落ち込んでいるときに、背筋を伸ばして座ることを試してみます。

1

座るときに背筋を伸ばし、肩を少し後ろへ

骨盤を立てて座り、肩を軽く後ろに引きます。無理に胸を張りすぎなくて大丈夫です。

所要 数秒

2

緊張する場面の前に姿勢を整える

発表や面接など、ストレスのかかる場面の前に、背筋を伸ばした姿勢をとります。研究では、ストレス課題の中で気分が保たれていました。

所要 1分

3

丸まっていることに気づく合図をつくる

パソコン作業中など、1時間に1回アラームを鳴らして、姿勢を確認します。

所要 設定1分

04続けるためのコツ

姿勢だけで気分が大きく変わるわけではありません。気づいたときに整える、くらいの気軽さで続けるのがおすすめです。

05よくある質問

姿勢と気分について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。

姿勢を良くすると気分は上がるの?

短時間の実験では効果が見られています。74人の実験では、背筋を伸ばして座った人は、猫背の人より、ストレス課題の中で自尊心と気分が高く、恐れが少なくなっていました。

パワーポーズは効果があるの?

200人の研究では、力強いポーズで「自分に力がある」と感じやすくはなりましたが、ホルモンや実際の行動には変化がありませんでした。

落ち込んでいるときにも効く?

軽〜中程度のうつ傾向がある61人の実験では、背筋を伸ばすと前向きな気分が高まりました。ただし短時間の実験で、治療の代わりになるものではありません。

猫背だと話し方も変わる?

74人の実験では、猫背の人はスピーチで否定的な言葉や「私」という言葉を多く使い、話す言葉の数も少なくなっていました。

出典

  1. Nair, S., Sagar, M., Sollers, J., Consedine, N., & Broadbent, E. (2015). Do slumped and upright postures affect stress responses? A randomized trial. Health Psychology, 34(6), 632-641. https://doi.org/10.1037/hea0000146
  2. Wilkes, C., Kydd, R., Sagar, M., & Broadbent, E. (2017). Upright posture improves affect and fatigue in people with depressive symptoms. Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry, 54, 143-149. https://doi.org/10.1016/j.jbtep.2016.07.015
  3. Ranehill, E., Dreber, A., Johannesson, M., Leiberg, S., Sul, S., & Weber, R. A. (2015). Assessing the Robustness of Power Posing: No Effect on Hormones and Risk Tolerance in a Large Sample of Men and Women. Psychological Science, 26(5), 653-656. https://doi.org/10.1177/0956797614553946
  4. University of Zurich (2015). Poses of power less powerful than thought(プレスリリース) https://www.news.uzh.ch/en/articles/2015/posen-der-macht-weniger-maechtig-als-gedacht.html