集中力

在宅勤務で集中できない日が続いたら? 85の工夫を比べた研究でわかった立て直し方

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自宅の机でノートパソコンを前に伸びをする人
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

家で仕事をしていると、気づけば午前中が終わっている。そんな日が何日も続くと、自分はだらしないのではと落ち込みます。研究では、在宅勤務の仕事の出来と結びついていたのは、専用の部屋や仕事着より、「その日の目標を決める」「仕事と私生活の時間を分ける」「同僚とつながる」といった工夫でした。集中が切れるのは意志だけの問題ではありません。大がかりな模様替えをしなくても、立て直せる余地があります。

3行でわかる

  1. 在宅勤務の85の工夫を548人で比べた研究では、仕事の出来と結びつきが強かったのは「集中できるよう自分の構えを整える」「時間を区切る」「その日の目標を決める」だった。
  2. 仕事専用の部屋、仕事着、決まった休憩は、仕事の出来とほとんど関係していなかった。
  3. イタリアの調査では孤立感や家族の用事の割り込みが生産性の低さと結びつき、中国の調査では一緒に働く人からのサポートがある人ほど先延ばしが少なかった。

01 悩みの正体在宅勤務だと集中が続かないのはなぜ?

家では、仕事を始める合図・終える合図・人の目といった、職場が自然に与えていた「区切り」と「つながり」が消えるからです。研究では、物音より孤立感や家族の用事の割り込みのほうが、生産性の低さと強く結びついていました。

職場では、通勤、始業の時刻、同僚の姿が、いやでも仕事モードに切り替えてくれます。家ではその合図がありません。ソファも冷蔵庫も、すぐそこにあります。

さらに、1人で黙々と作業する日が続くと、相談相手がいない不安や、さびしさがたまります。研究では、このさびしさ(孤立感)が、在宅勤務のやる気や生産性の低さと強く結びついていました[2]。

集中が途切れる仕組みそのものは、作業を中断された後に集中を取り戻す研究でも紹介しています。家では、その「中断」が自分の内側からも外側からも起きやすいのです。

02 科学的にわかっていること在宅勤務で効く工夫、効かない工夫は?

548人の研究で仕事の出来と結びついていたのは、目標を決める・時間を区切る・決まった場所で働く・人とつながるといった工夫でした。専用の部屋や仕事着は、ほとんど関係していませんでした。

Härtelら(2023)[1]

在宅勤務をしている548人に、研究や一般向けの記事から集めた85の工夫をどのくらい実行しているかを聞き、自分で評価した仕事の出来との関係を調べました。最も関係が強かったのは「集中できるよう自分の構えや行動を整える」でした。「仕事の時間と私生活の時間をきっちり分ける」「1日の時間割を決める」「その日の目標を決める」も、仕事の出来と結びついていました。一方、仕事専用の部屋、仕事着、決まった休憩の予定、朝の決まった始業ルーティンは、ほとんど関係していませんでした。

対象: ドイツ語圏で在宅勤務をする548人(2020年7〜12月に回答) / 限界: 1回だけの調査で、仕事の出来も自己評価です。工夫が出来を良くしたのか、出来る人が工夫しているのかは区別できません。

85の工夫

在宅勤務の548人が、研究や一般向けの記事でよく勧められる工夫をどれだけ実行しているかを比べた数。よく勧められる工夫の中にも、仕事の出来とほぼ関係しないものがあった[1]

工夫仕事の出来との結びつき(標準化係数)
集中できるよう自分の構えや行動を整える0.31(最も強い)
仕事と私生活の時間をきっちり分ける0.22
1日の時間割を決める0.18
その日の目標を決める0.15
決まった場所だけで仕事をする0.14
仕事の机で趣味や娯楽をしない0.12
仕事専用の部屋を使う0.01(ほぼ関係なし)
仕事着を着る0.02(ほぼ関係なし)
決まった休憩を予定に入れる−0.04(ほぼ関係なし)

数字は0に近いほど関係が薄く、大きいほど仕事の出来と一緒に高くなる傾向を表します[1]。

Galantiら(2021)[2]

在宅勤務をしていたイタリアの会社員209人を調べました。家族の用事が仕事に割り込むこと、孤立感の2つは、自己評価の生産性の低さ、やる気の低さ、ストレスの高さと結びついていました。反対に、仕事の進め方を自分で決められること、自分で目標を立てて進み具合を確かめる力(セルフリーダーシップ)は、生産性とやる気の高さと結びついていました。気が散る環境は、生産性とは関係していませんでした。

対象: イタリアの公的機関と民間企業で働く209人(平均49.8歳、2020年5〜7月に回答) / 限界: 1回だけの調査で、生産性は1問の自己評価です。

Wangら(2021)[3]

中国の在宅勤務者への聞き取り(39人)と調査(522人)から、在宅勤務の主な困りごととして、仕事と家庭の干渉、連絡の行き違い、先延ばし、孤独感の4つを挙げました。一緒に働く人からのサポートがある人ほど、先延ばしも孤独感も少ない傾向がありました。この結びつきは、自分を律するのが苦手な人で強く、得意な人ではほとんど見られませんでした。上司による細かい監視は、仕事と家庭の干渉の多さと結びついていました。

対象: 中国の在宅勤務者(調査は522人) / 限界: コロナ禍の中国での1回の調査で、著者らも因果関係は確かめられないとしています。

Albulescuら(2022)[4]

10分以下の短い休憩の効果を調べた研究をまとめました。短い休憩は、活力を高め(効果量 d=0.36)、疲れを減らしました(d=0.35)。ただし、仕事の出来を全体として上げる効果は、はっきりしませんでした。出来が上がったのは比較的頭を使わない作業で、休憩が長いほど出来の伸びが大きい傾向がありました。

種類: システマティックレビューとメタ分析(22の研究群・2,335人) / 限界: 在宅勤務だけを調べたものではなく、気分の改善は自己評価です。

03 今日からできる小さな一歩集中できない在宅勤務の日、どう立て直す?

まず今日の目標を1〜3つ書き、仕事の時間の終わりを決めます。次に、仕事をする場所を1か所に決め、詰まったら同僚に短い連絡を入れます。模様替えや仕事着は後回しで構いません。

1

始業時に「今日の目標」を1〜3つ書く

「資料の2章まで書く」のように、終わったかどうかがわかる形にします。その日の目標を決める工夫は、仕事の出来と結びついていました[1]。

所要 3分

2

仕事を終える時刻を先に決める

「18時でパソコンを閉じる」と決め、午前・午後の大まかな時間割も書きます。時間の区切りと時間割は、別室を用意するより仕事の出来との結びつきが強い工夫でした[1]。

所要 2分

3

仕事をする場所を1か所に決め、そこで遊ばない

ダイニングテーブルの端でも構いません。仕事中はそこから動かず、動画やゲームはそこでしないようにします[1]。

所要 0分(決めるだけ)

4

手が止まったら、同僚に1行だけ連絡する

「今これで詰まっています」と送るだけで十分です。人からのサポートがある人ほど、先延ばしが少ない傾向がありました[3]。

所要 1分

04 続けるためのコツ集中が切れる在宅勤務をくり返さないには?

家族の用事が割り込む時間帯と、人と話さない日の続き方を見直します。休憩は気分を回復させる手段と考え、頭を使う作業の後は少し長めに取ります。

気分の落ち込みや眠れない日が2週間以上続く、仕事のことを考えるとつらくなるときは、産業医や医療機関などの専門家に相談してください。

05よくある質問

在宅勤務で集中できないのは、部屋が狭いせいですか?

部屋の広さだけが原因とは言えません。548人を調べた研究では、仕事専用の部屋を使っているかどうかは、仕事の出来とほとんど関係していませんでした。関係が強かったのは、その日の目標を決める、仕事と私生活の時間を分ける、決まった場所で仕事をする、といった工夫でした。

家の中の物音やテレビは、集中の大敵ですか?

イタリアの209人の調査では、気が散る環境は自己評価の生産性と関係していませんでした。生産性の低さとより強く結びついていたのは、家族の用事が仕事に割り込むことと、人とのつながりが薄れる孤立感でした。物音より先に、時間の区切りと人との接点を見直す価値があります。

集中できないとき、休憩はこまめに取ったほうがいいですか?

10分以下の短い休憩は、活力を高め、疲れを減らす効果が19本の論文(22の研究群)のまとめで確認されています。ただし仕事の出来を全体として上げる効果ははっきりしませんでした。頭を強く使う作業の後は、10分より長めの休憩が必要かもしれないと著者らは述べています。

研究の結果は、在宅勤務の誰にでも当てはまりますか?

当てはまるとは限りません。ここで紹介した在宅勤務の研究は、どれも2020年のコロナ禍に1回だけ答えてもらった調査で、原因と結果までは確かめられていません。仕事と私生活を分けたい人か、混ぜても平気な人かで、合う工夫が違うこともわかっています。

出典

  1. Härtel, T. M., Hüttemann, D., & Müller, J. (2023). Associations between the implementation of telework strategies and job performance: Moderating influences of boundary management preferences and telework experience. Frontiers in Psychology, 14, 1099138. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1099138
  2. Galanti, T., Guidetti, G., Mazzei, E., Zappalà, S., & Toscano, F. (2021). Work From Home During the COVID-19 Outbreak: The Impact on Employees' Remote Work Productivity, Engagement, and Stress. Journal of Occupational and Environmental Medicine, 63(7), e426–e432. https://doi.org/10.1097/JOM.0000000000002236
  3. Wang, B., Liu, Y., Qian, J., & Parker, S. K. (2021). Achieving Effective Remote Working During the COVID-19 Pandemic: A Work Design Perspective. Applied Psychology, 70(1), 16–59. https://doi.org/10.1111/apps.12290
  4. Albulescu, P., Macsinga, I., Rusu, A., Sulea, C., Bodnaru, A., & Tulbure, B. T. (2022). "Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks for increasing well-being and performance. PLoS ONE, 17(8), e0272460. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0272460