習慣

何度やっても続かない習慣は、やめてもいい?「目標を手放して、別の目標に向かう」研究でわかった立て直し方

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二手に分かれる丘の小道
Photo: Humphrey Bolton / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

ランニング、英語、早起き。何度も始めては止まり、そのたびに自分を責めてしまう。続けるべきか、やめるべきかで迷い続けるのは、それだけでつらいものです。研究では、届かない目標を手放すことと、別の目標に向かい直すことが、どちらも心の健康と関連していました。特に大事なのは、手放した後に「次の目標」を持つことでした。

3行でわかる

  1. 続けるか、やめるかで揺れ続ける状態は「行動の危機」と呼ばれ、気分や体の状態の悪化と結びついていました。
  2. 31の標本をまとめたメタ分析では、無理な目標を手放す力(r = 0.08)より、別の目標に向かい直す力(r = 0.19)のほうが、生活の質と強く関連していました。
  3. やめる前に、目標を小さくする・やり方を変える。それでも無理なら期限を決めて手放し、楽しめる別の目標を1つ決めるのが、研究に沿った立て直し方です。

01 悩みの正体続かない習慣で迷い続けるのが、つらいのはなぜ?

続けたい気持ちとやめたい気持ちの間で、心が引き裂かれた状態が続くからです。研究ではこれを「行動の危機」と呼び、気分の落ち込みや体のストレス反応と結びついていました。

うまくいかない経験が重なると、人は「このまま続けるか、やめるか」で揺れ始めます。研究者らは、この揺れている時期を「行動の危機」と名づけました[3]。

この時期は、続けているのに前に進めず、やめてもいないので気持ちが晴れません。手を止めたまま、目標だけが頭に残る状態です。習慣が続かないのは、意志が弱いからとは限りません。目標そのものが、今の自分の生活に合っていないこともあります。

ただ、すぐにやめるのが正解とも限りません。目標を下げる方法は目標の調整の研究で、効果が見えずにやめたくなったときは「満足」と「合格ライン」の研究で紹介しています。この記事は、それでも続かないときの話です。

02 科学的にわかっていること続かない目標を手放すと、心は楽になる?

手放せる人ほど心の健康がよい傾向がありました。ただ、関連がより強かったのは、手放した後に別の目標に向かい直す力のほうです。どちらも相関の研究です。

Barlowら(2020)[1]

31の標本(421の効果量)をまとめたメタ分析です。無理な目標を手放す力は生活の質とわずかに関連し(r = 0.08)、別の目標に向かい直す力は、より強く関連していました(r = 0.19)。手放す力は、落ち込みなど悪い状態が少ないことと特に関連していました。

対象: 31の標本のメタ分析 / 限界: 相関なので、手放したから元気になったのか、元気だから手放せたのかは区別できません。うつのリスクが高い人の標本では、手放す力と落ち込みの関係が逆向きになっていました。

Wroschら(2003)[2]

3つの研究で、届かない目標を手放す力と、別の目標に向かい直す力を調べました。どちらの力も、心の満足度が高いことと関連していました。2つの力が影響し合って、満足度と関連する場合もありました。

対象: 大学生115人、若い人と高齢者120人、がんの子どもを持つ親と、健康な子どもの親の45人 / 限界: 質問紙で傾向を答えてもらった研究で、目標を手放す練習をさせた実験ではありません。

Brandstätterら(2013)[3]

続けるか、やめるかで揺れる「行動の危機」を、時間を追って調べた研究です。行動の危機にある人は、気分や体の状態が悪く、その目標の価値も低く感じるようになっていました。マラソン走者の研究では、行動の危機にある人ほどストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が多く、2週間後のレースの成績も低くなりました。

対象: 2つの追跡調査と、マラソン走者の研究 / 限界: 行動の危機が原因なのか、もともと調子が悪かったのかは、完全には区別できません。

Wroschら(2007)[4]

3つの研究で、届かない目標を手放せる人ほど、自己申告の健康状態がよく、1日のコルチゾールの変化も健康な形に近いことがわかりました。別の目標に向かい直す力は体の健康とは関連しませんでしたが、手放せない人の悪影響を一部やわらげていました。

対象: 3つの研究 / 限界: これも相関の研究です。健康の差が、手放す力そのものによるとは言い切れません。

力関連していたもの研究
無理な目標を手放す力生活の質(r = 0.08)、落ち込みの少なさ、体の健康Barlowら(2020)、Wroschら(2007)
別の目標に向かい直す力生活の質(r = 0.19)、よい気分と悪い気分の両方Barlowら(2020)
続けるか迷い続ける状態気分の悪化、ストレスホルモンの増加、成績の低下Brandstätterら(2013)

この表は、上の研究をこのサイトで並べたものです。r は0から1の間で、数字が大きいほど関連が強いことを表します。0.08や0.19は弱い関連です。それでも、手放すだけより「向かい直す」ほうが関連が強いという向きは、メタ分析でも確かめられています。

03 今日からできる小さな一歩やめるか続けるか、どう決めればいい?

まず、目標を小さくする・やり方を変えるを1回試します。それでも続かないなら、判断の日を決めて手放します。手放したら、楽しめそうな別の目標をすぐ1つ決めます。

1

判断する日をカレンダーに書く

「2週間後の日曜に、続けるかやめるかを決める」と書きます。迷い続ける状態そのものが、気分や体の負担と結びついていたためです[3]。迷いに終わりを作るための、研究から考えた工夫です。

所要 1分

2

その日まで、小さく変えて試す

回数を減らす、時間帯を変える、種類を変えるなど、1つだけ変えます。24の研究をまとめた運動のレビューでは、中くらいの強さの運動の最中に気分がよくなる人ほど、その後も続ける傾向がありました[5]。やっている最中の気分を、メモしておきます。

所要 判断の日まで

3

手放すなら、次の目標を1つ決める

やめる日に「代わりに何をするか」を1行で書きます。メタ分析では、手放す力より、別の目標に向かい直す力のほうが生活の質と強く関連していました[1]。

所要 5分

04 続けるためのコツ習慣をやめた後、自分を責めてしまうときは?

やめることは失敗ではなく、目標を調整することです。研究では、手放した後に別の目標へ力を向けた人ほど、心の状態がよい傾向がありました。

05よくある質問

続かない習慣は、やめてもいい?

やめてもかまいません。研究では、届かない目標を手放せる人ほど心の健康がよい傾向がありました。ただ、より強く関連していたのは、手放した後に別の目標へ向かい直す力です(31の標本のメタ分析で r = 0.19、手放す力は r = 0.08)。やめるときは、代わりの目標を1つ決めると研究の結果に沿っています。

続けるかやめるか、ずっと迷ってしまうのはよくない?

迷い続ける状態は「行動の危機」と呼ばれ、気分の悪化やストレスホルモンの増加と結びついていました。マラソン走者の研究では、行動の危機にある人ほど2週間後のレースの成績が低くなりました。判断する日を決めて、迷いに終わりを作るのが一つの方法です。

あきらめるのは、意志が弱いということ?

そうとは限りません。研究者は、届かない目標を手放して別の目標に向かう力を、自分をうまく調整する力の一つと考えています。ただし相関の研究が中心で、手放せば必ず楽になると確かめられたわけではありません。

出典

  1. Barlow, M. A., Wrosch, C., & McGrath, J. J. (2020). Goal adjustment capacities and quality of life: A meta-analytic review. Journal of Personality, 88(2), 307–323. https://doi.org/10.1111/jopy.12492
  2. Wrosch, C., Scheier, M. F., Miller, G. E., Schulz, R., & Carver, C. S. (2003). Adaptive self-regulation of unattainable goals: Goal disengagement, goal reengagement, and subjective well-being. Personality and Social Psychology Bulletin, 29(12), 1494–1508. https://doi.org/10.1177/0146167203256921
  3. Brandstätter, V., Herrmann, M., & Schüler, J. (2013). The struggle of giving up personal goals: Affective, physiological, and cognitive consequences of an action crisis. Personality and Social Psychology Bulletin, 39(12), 1668–1682. https://doi.org/10.1177/0146167213500151
  4. Wrosch, C., Miller, G. E., Scheier, M. F., & de Pontet, S. B. (2007). Giving up on unattainable goals: Benefits for health? Personality and Social Psychology Bulletin, 33(2), 251–265. https://doi.org/10.1177/0146167206294905
  5. Rhodes, R. E., & Kates, A. (2015). Can the affective response to exercise predict future motives and physical activity behavior? A systematic review of published evidence. Annals of Behavioral Medicine, 49(5), 715–731. https://doi.org/10.1007/s12160-015-9704-5