習慣

続けているのに効果が見えず、やめたくなったら? 習慣を支える「満足」と「合格ライン」の研究でわかった立て直し方

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土から顔を出した小さな芽
Photo: Ksheera Piraati / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

運動や早起きを何週間も続けているのに、体も気分もあまり変わらない。「意味がないのかも」と思って、やめたくなる時期は多くの人にあります。研究では、続くかどうかを左右したのは、夢の目標の高さよりも、すでに得たものへの満足と「これなら合格」と思えるラインの高さでした。習慣そのものが身につくまでにも、ふつう2か月前後かかります。

3行でわかる

  1. 習慣が身につくまでの日数は、4つの研究の中央値で59〜66日。早い人は4日、遅い人は335日かかった。数週間で変化がないのは珍しくない。
  2. 禁煙を続けられるかは、始めた直後は「できる」という自信、続ける段階では「やめてよかった」という満足が、おおむね予測した(591人を15か月追った研究)。
  3. 途中でやめることと結びついたのは、夢の目標ではなく、高すぎる「合格ライン」だった(634人の研究)。合格ラインを手の届く高さに決め直すのが立て直しの一歩になる。

01 悩みの正体効果が見えないと、なぜやめたくなる?

始めたときの理由が「いつか得られる結果」だけだと、結果が見えない時期に続ける理由がなくなるからです。研究では、続ける段階を支えるのは、すでに得たものへの満足だと考えられています。

新しいことを始めるときは、「やせたい」「体力をつけたい」といった大きな期待が背中を押します。ところが、続ける段階に入ると話が変わります。

行動を続ける仕組みについての理論をまとめたレビューでは、続けるには少なくとも1つ、長く効く動機が必要だとされています[6]。その候補として挙がっているのが、行動そのものの楽しさと、得られた結果への満足です。どちらも、始めたあとに育つものです。

つまり、「効果が見えないからやめたい」と感じるのは、意志が弱いからとは限りません。続けるための燃料が、「始める燃料」から「続ける燃料」に切り替わる時期に来ているのかもしれません。

02 科学的にわかっていることやめる人と続く人は、何が違った?

複数の研究で、続ける段階では「得られたものへの満足」が、その後も続くかを予測しました。一方、途中でやめることと結びついたのは、夢の目標ではなく、高すぎる合格ラインでした。

Singhら(2024・メタ分析)[1]

健康のための習慣づくりを調べた20の研究(2,601人)をまとめました。習慣ができるまでの日数を出した4つの研究では、中央値が59〜66日、平均は106〜154日でした。人による差は大きく、4日から335日まで開きがありました。

対象: 運動、水を飲む、歯間の掃除、食事などの習慣 / 限界: 研究数が少なく、半数以上の研究がかたよりの危険が高いと評価されています。

Baldwinら(2006)[2]

8週間の禁煙プログラムに参加した591人を、15か月追いました。禁煙を始めたばかりの人では、「自分はできる」という自信が、その後の禁煙を予測しました。禁煙を続けている人では、自信より「やめてよかった」という満足が、その後も続くかを予測しました。

対象: 禁煙プログラムに参加した喫煙者 / 限界: 禁煙という1つの行動の研究で、ほかの習慣に同じように当てはまるかは確かめられていません。

Calugiら(2017)[3]

減量のプログラムに参加した88人を51週間追いました。27週目の時点で減った体重への満足度が高い人ほど、その後の半年で体重を保てていました。満足度は、減った体重の量とは別に、維持を予測しました。

対象: 重い肥満がある平均46.7歳の大人 / 限界: 1つの専門外来の小さな研究です。満足が原因かどうかまでは決められません。

Dalle Graveら(2015)[4]

イタリアの8施設で減量を始めた女性634人のうち、1年以内に32.3%がやめていました。やめた人の35.8%は2か月以内、58.8%は6か月以内でした。やめることと結びついたのは、「これなら受け入れられる」「これだとがっかり」という現実的なラインの高さでした。夢のような目標の高さとは関係がありませんでした。

対象: 25〜65歳の肥満がある女性 / 限界: 観察研究です。費用のかからない臨床試験では、目標の高さとやめることの関係は見つかっていないと著者は述べています。

RhodesとKates(2015・システマティックレビュー)[5]

運動したときの気分と、その後の運動量の関係を調べた24の研究をまとめました。中くらいの強さの運動の最中に気分が良くなった人ほど、その後もよく運動していました。運動の後の気分は、その後の運動量と関係がありませんでした。

対象: 運動の研究 / 限界: 多くは関連を見た研究で、気分を良くすれば運動が増えると確かめたわけではありません。

59〜66日

習慣ができるまでの日数の中央値(4つの研究)。人によって4〜335日の幅があった[1]

Dalle Graveらの研究で、途中でやめた人と続けた人の目標を比べると、次のとおりです[4]。

目標の種類(減らしたい体重の割合)続けた人やめた人やめることとの関係
夢の体重32%34%関係なし
満足できる体重25%28%関係なし
受け入れられる体重19%23%高いほどやめやすい
がっかりする体重11%16%高いほどやめやすい

続けた人が1年で減らせた体重は、平均6.9%でした。多くの人の「受け入れられる」ラインは、実際に届く量よりずっと高かったのです。夢を持つこと自体より、「ここまで行かないと失敗」という線の引き方が、やめる引き金になっていた可能性があります。

03 今日からできる小さな一歩やめたくなったとき、まず何をする?

やめる前に、すでに得たものを書き出し、「これなら合格」のラインを決め直します。そのうえで、やっている最中に少し気分が良くなる形に変えます。

1

「始めてから変わったこと」を3つ書く

大きな目標以外で探します。「寝つきが早くなった」「20回続けられた」「朝の時間ができた」など、小さなことで十分です。続ける段階では、得たものへの満足がその後を予測しました[2][3]。

所要 5分

2

夢と「合格ライン」を分けて書く

夢の目標は消さずに残します。そのうえで、「ここまで来たら合格」のラインを、最近の自分が届いている高さに決め直します。やめることと結びついたのは、夢ではなく高すぎる合格ラインでした[4]。

所要 5分

3

カレンダーで「何日目か」を数える

習慣ができるまでの中央値は59〜66日です[1]。いまが何日目かを数えると、「まだ途中」と見えやすくなります。30日目なら、半分を過ぎたあたりです。

所要 1分

4

最中に気分が良くなる形に変える

きつすぎる強さを中くらいに下げる、好きな道を歩くなど、やっている最中の気分を上げる工夫をします。運動の研究では、最中の気分の良さがその後の運動量と結びついていました[5]。

所要 次の1回で試す

04 続けるためのコツそれでもやめたくなったら、どう考える?

やめる・続けるの二択にせず、量を減らして続ける道を選べます。目標の下げ方や、休んだあとの再開のしかたも研究で調べられています。

05よくある質問

習慣の効果は何日くらいで出ますか?

研究によって違い、はっきりした日数は決まっていません。習慣そのものが身につくまでの日数は、4つの研究の中央値で59〜66日、人によって4日から335日まで開きがありました。数週間で変化が見えなくても、まだ途中である可能性は十分にあります。

目標を下げたら、続ける意味がなくなりませんか?

夢の目標は残したままで大丈夫です。634人の研究では、やめることと結びついたのは夢の目標の高さではなく、「これなら受け入れられる」という合格ラインの高さでした。合格ラインだけを手の届く高さに決め直すと、夢をあきらめずに続けやすくなります。

効果が見えないのは、やり方が間違っているからですか?

そうとは限りません。習慣が身につくまでには時間がかかり、人による差も大きいことがわかっています。ただ、数か月続けても何も変わらない、体調が悪くなるといった場合は、やり方を見直すか、医師やトレーナーなどの専門家に相談するのがよいでしょう。

出典

  1. Singh, B., Murphy, A., Maher, C., & Smith, A. E. (2024). Time to form a habit: A systematic review and meta-analysis of health behaviour habit formation and its determinants. Healthcare, 12(23), 2488. https://doi.org/10.3390/healthcare12232488
  2. Baldwin, A. S., Rothman, A. J., Hertel, A. W., Linde, J. A., Jeffery, R. W., Finch, E. A., & Lando, H. A. (2006). Specifying the determinants of the initiation and maintenance of behavior change: An examination of self-efficacy, satisfaction, and smoking cessation. Health Psychology, 25(5), 626-634. https://doi.org/10.1037/0278-6133.25.5.626
  3. Calugi, S., Marchesini, G., El Ghoch, M., Gavasso, I., & Dalle Grave, R. (2017). The influence of weight-loss expectations on weight loss and of weight-loss satisfaction on weight maintenance in severe obesity. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics, 117(1), 32-38. https://doi.org/10.1016/j.jand.2016.09.001
  4. Dalle Grave, R., Calugi, S., Compare, A., El Ghoch, M., Petroni, M. L., Tomasi, F., Mazzali, G., & Marchesini, G. (2015). Weight loss expectations and attrition in treatment-seeking obese women. Obesity Facts, 8(5), 311-318. https://doi.org/10.1159/000441366
  5. Rhodes, R. E., & Kates, A. (2015). Can the affective response to exercise predict future motives and physical activity behavior? A systematic review of published evidence. Annals of Behavioral Medicine, 49(5), 715-731. https://doi.org/10.1007/s12160-015-9704-5
  6. Kwasnicka, D., Dombrowski, S. U., White, M., & Sniehotta, F. (2016). Theoretical explanations for maintenance of behaviour change: A systematic review of behaviour theories. Health Psychology Review, 10(3), 277-296. https://doi.org/10.1080/17437199.2016.1151372