メールやチャットが気になって集中できないときは?「1日3回まとめて見る」やり方を研究で調べた

作業を始めたのに、メールやチャットが届くたびに手が止まる。気になって、つい受信箱を開いてしまう。そんな日が続いていませんか。研究では、メールやチャットを見る時間を1日3回ほどに決め、その間は通知を切るやり方で、仕事中の割り込みやストレスが減っていました。ただし、すぐ返信が求められる職場では効果が小さく、続けないと効果が薄れることもわかっています。
3行でわかる
- 124人の実験では、メールを1日3回だけ見た週のほうが、好きなだけ見た週より毎日のストレスが低かった。
- 247人の実験では、通知を1日切ると割り込まれる回数が減り、その分だけ「予定どおりに進んだ」という手応えが増えていた。
- 職場で1か月試した研究では、疲れが減ったのはメールが多い人と、すぐ返信しなくてよい職場の人だった。効果は2週間後には薄れていた。
01 悩みの正体メールやチャットで集中が切れるのはなぜ?
届くたびに今の作業から注意が離れ、戻るときに「どこまでやったか」を思い出し直す手間がかかるためです。回数が多いほど、疲れもたまりやすくなります。
メールやチャットは、仕事を進めるのに欠かせない道具です。困るのは、届くたびに作業が途切れることです。
作業が途切れると、頭の中の「次はこれをやる」というメモが少しずつ薄れていきます。戻ったときにそれを組み立て直す必要があり、ここで時間と気力を使います。この仕組みは作業を中断された後の研究でも紹介しています。
オランダの研究チームは、メールの割り込みで考える力が消耗し、いやな気分や疲れにつながると整理しています[2]。そこで研究されてきたのが、メールを決まった時間にまとめて見る「バッチ処理」です。
| 見方 | どうなる? |
|---|---|
| 届くたびに見る | 作業が細かく途切れ、戻るたびに思い出し直す手間がかかる |
| 時間を決めてまとめて見る | 割り込みの回数が減り、作業の区切りで連絡を処理できる[2] |
02 科学的にわかっていることメールをまとめて見ると、何が変わる?
1日3回に絞った週はストレスが低くなり、通知を切った日は割り込みが減りました。一方、効果には個人差があり、職場の決まりや続け方にも左右されます。
Kushlev・Dunn(2015)[1]
大人124人が2週間、メールの見方を週ごとに変えました。1週は「1日3回だけ見る」、もう1週は「好きなだけ見る」です。1日3回にした週のほうが、毎日のストレスがはっきり低くなりました。ストレスが低い人ほど、幸福感などの指標も高い傾向がありました。
対象: 大人124人(同じ人が両方の週を体験) / 限界: ストレス以外の指標への直接の効果は限られていました[2]。
Ohly・Bastin(2023)[3]
ドイツで247人(会社員と学生)を2つのグループに分けました。片方は1日だけ、パソコンやスマホのメール・チャット・SNSの通知をできるだけ切りました。通知を切ったグループは、通知に割り込まれる回数が減りました。割り込みが減った分だけ、その日に決めた目標の達成感が高く、イライラも少なくなっていました。
対象: 247人(平均28歳、73%が在宅勤務) / 限界: 1日だけの実験で、成果は本人の自己評価です。通知を切ったこと自体が成果を直接上げたわけではなく、「割り込みが減った」ことを通じた小さな効果でした。
72%
1日3回のルールを守りきれなかった人が挙げた理由のうち、最も多かった「顧客への対応」の割合[2]
Wijngaardsら(2022)[2]
オランダの金融機関で、在宅勤務の社員が1か月、メールを1日3回のまとめ見にしました。ふつうに見たグループとくらべ、割り込みはやや少なくなり、仕事の疲れ(情緒的な消耗)は終了直後に減りました。とくに1日25通以上メールを受け取る人と、「すぐ返信しなくてよい」と感じている人で効果が大きくなりました。
対象: 研究に参加した社員79人(7チーム) / 限界: チーム単位の割り当てで、くじ引きではありません。割り込みの差は統計的にはっきりしませんでした。著者らは、疲れへの効果も2週間後には薄れたと結論づけています。
Russellら(2017)[4]
4つの組織で働く52人が、半日の間に届いたメールにどう対応したかを1通ずつ記録しました(合計376通)。通知が来てもすぐ開かずに我慢しても、作業の目標がより達成されたわけではありませんでした。きちょうめんな性格の人ほど、我慢すると気分が下がる傾向もありました。著者らは、そうした人は通知そのものを切ったほうがよい可能性があるとしています。
対象: 52人の知識労働者 / 限界: 半日の記録をもとにした観察研究で、通知を切る実験そのものではありません。
このほか、40人の記録をもとに、まとめ見とストレスにははっきりした関係がなかったという研究もあります[2]。「まとめて見れば必ず集中できる」とまでは言えず、効く人と効きにくい人がいるようです。
03 今日からできる小さな一歩メールやチャットは、どうまとめて見ればいい?
見る時刻を1日3回ほど先に決め、それ以外の時間は通知を切ります。急ぎの連絡の受け方を決めておくと、気になりにくくなります。
見る時刻を3つ決めて、予定表に入れる
たとえば「始業すぐ」「昼休みの前」「終業1時間前」です。研究でも、まとめ見の時間を予定表に最大3つ入れるやり方が使われました[2]。
所要 3分
パソコンとスマホの通知を切る
我慢して開かないより、通知が来ない状態にするほうが楽です[4]。メール、チャット、SNSの通知を、集中したい時間だけでもまとめて切ります。スマホの通知の切り方は通知と集中力の研究で紹介しています。
所要 5分
急ぎの連絡の受け方を伝えておく
「急ぎのときは電話か名指しで」と、チームや家族に伝えます。すぐ返信を求められていると感じる人ほど効果が小さかったため、周りとの約束が土台になります[2]。
所要 5分
見る時間になったら、まとめて片づける
返信できるものはその場で返し、時間のかかるものはやることリストに移します。終わったら受信箱を閉じて作業に戻ります。
所要 15〜30分 × 3回
04 続けるためのコツまとめ見を続けるには?
完璧に守れなくても大丈夫です。研究でも守れた度合いはそこそこでした。期間限定の挑戦で終わらせず、通知オフなど続けやすい部分から習慣にします。
- 1日3回が難しければ、午前と午後の集中したい2時間だけ通知を切るところから始める。研究の参加者が続けたいと答えた中で多かったのは、「通知オフ」(66%)と「まとめて処理」(56%)でした[2]。
- 1か月の挑戦で終えると、効果は2週間ほどで薄れていました[2]。終わりを決めず、自分のふだんのやり方にしていきます。
- メールが少ない人は、まとめ見の効果が小さい傾向がありました[2]。気にならないなら、無理に変えなくてもかまいません。
- 見る時間の合間に作業を続けると、間に休憩が入らなくなります。休憩の入れ方は休憩の取り方の研究が参考になります。
05よくある質問
メールは1日何回チェックすればいいですか?
研究でよく使われた目安は「1日3回」です。124人の実験では、1週間だけ1日3回に絞った週のほうが、毎日のストレスが低くなりました。ただし、最適な回数を比べた研究ではないので、仕事に合わせて調整してかまいません。
通知を切ると、かえって気になって何度も見てしまいませんか?
247人の実験では、通知を1日切っても、自分から確認しに行く回数は増えませんでした。その代わり、通知に頼らず自分のタイミングで見に行く人が増えていました。不安が強い人は、見る時刻を先に決めておくと安心しやすくなります。
すぐ返信しないと困る仕事でも効果はありますか?
オランダの職場の研究では、「すぐ返信するのが当たり前」と感じている人ほど、効果が小さくなりました。うまくいかなかった理由で多かったのは顧客対応(72%)です。チームで返信の目安を決めてから試すのが現実的です。
出典
- Kushlev, K., & Dunn, E. W. (2015). Checking email less frequently reduces stress. Computers in Human Behavior, 43, 220-228. https://doi.org/10.1016/j.chb.2014.11.005
- Wijngaards, I., Pronk, F. R., & Burger, M. J. (2022). For whom and under what circumstances does email message batching work? Internet Interventions, 27, 100494. https://doi.org/10.1016/j.invent.2022.100494
- Ohly, S., & Bastin, L. (2023). Effects of task interruptions caused by notifications from communication applications on strain and performance. Journal of Occupational Health, 65(1), e12408. https://doi.org/10.1002/1348-9585.12408
- Russell, E., Woods, S. A., & Banks, A. P. (2017). Examining conscientiousness as a key resource in resisting email interruptions: Implications for volatile resources and goal achievement. Journal of Occupational and Organizational Psychology, 90(3), 407-435. https://doi.org/10.1111/joop.12177


