集中力

動画の授業や研修に集中できないときは? 途中で「小テスト」をはさむやり方を研究で調べた

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机の上のノートパソコンとノート
Photo: www.Pixel.la Free Stock Photos / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

オンライン授業や研修の動画を見ていると、気づけば別のことを考えていて、数分ぶん巻き戻すことがあります。研究では、5分前後ごとに動画を止めて、内容についての問題に答えるやり方が試されてきました。最初の実験では、上の空になる割合が4割から2割に減りました。ただし、もっと大きな追試では差がかなり小さくなりました。期待しすぎずに使える方法として、研究の中身とやり方をまとめます。

3行でわかる

  1. 21分の講義動画を約5.5分ごとに区切って問題に答えた学生は、上の空の割合が19%でした。問題のないグループは41%でした。
  2. ただし195人で行われた追試では、40%と47%の差にとどまりました。研究者は「実用には小さすぎるか、不安定かもしれない」と書いています。
  3. 試すなら、区切りごとに止めて問題に答えるか、何も見ずに要点を書き出します。見る前に問題に目を通すやり方も研究されています。

01 悩みの正体動画の授業は、なぜ集中が続かない?

長い動画を見続けると、多くの人が4〜5割の時間、内容と関係ないことを考えています。止める・答えるといった区切りがないことが、理由の一つと考えられています。

動画の途中でときどき「今、何を考えていた?」とたずねる研究があります。21分の統計学の講義動画では、問題をはさまなかった学生が、たずねられたときの41%で上の空でした[1]。52分の動画を使った別の実験でも、問題の代わりに見直しをしたグループは47%でした[4]。

教室の授業と違って、動画は先生に当てられることも、周りの目もありません。研究者たちは、途中で問題に答える時間を入れると「あとで聞かれるかもしれない」と意識が動画に戻る、と考えて実験してきました。上の空になりやすい理由そのものは心がさまよう仕組みの記事でまとめています。

02 科学的にわかっていること途中で小テストをはさむと、本当に集中できる?

最初の実験では上の空が半分に減りました。ただ、その後の研究では差が出なかったり、小さかったりします。「効くことがあるが、効果の大きさははっきりしない」が今の結論です。

Szpunarら(2013)[1]

21分の講義動画を約5.5分ずつ4つに区切りました。区切りごとに問題に答えたグループは、上の空の割合が19%でした。同じ時間で見直しをしたグループは39%、何もしないグループは41%でした。問題に答えたグループは、メモを取る量も多く、2つの実験を合わせた最後のテストの正答率も、問題に答えたグループが90%、見直しが76%、何もしないグループが68%でした。

対象: ハーバード大学の学生(上の空を測った実験は48人) / 限界: 1つのグループが16人ほどの小さな実験です。

Jingら(2016)[2]

40分の講義動画で同じ方法を試しました。1つ目の実験では、上の空の割合は問題をはさんでもはさまなくても変わりませんでした。それでも、問題をはさんだグループのほうが、内容を学べていました。2つ目の実験では、問題をはさんだグループは講義に関係する考えごとが多く、見直しのグループは関係ない考えごとが多くなりました。

対象: 大学生(1グループ18人ほど) / 限界: 集中への効果は、実験によって結果が分かれました。

Panら(2020)[3]

26分の講義動画で、見る前や途中に内容の問題を解く「プレテスト」を試しました。計算問題を解いたグループより、上の空が減り、最後のテストの成績も上がりました。問題を途中にはさんでも、最初にまとめて解いても、効果が見られました。

対象: 大学生、2つの実験 / 限界: 大学生を対象にした、実験室での研究です。

Welhafら(2022)[4]

52分の講義動画で、より大きな人数で確かめました。問題に答えたグループの上の空は40%、見直しのグループは47%でした。差は統計的にはありましたが小さく、最後のテストの点や、内容への興味にも差はありませんでした。研究者は「実際の授業で役立つには、効果が小さすぎるか不安定かもしれない」と結論しています。

対象: アメリカの大学生195人 / 限界: 途中でメモを取ることは禁止されていました。

Chanら(2018)[5]

「思い出す練習をすると、その後に新しく学ぶ内容も覚えやすくなる」という研究をまとめて分析しました。全体としては、思い出す練習の後のほうが新しい内容を学びやすくなっていました。ただし、条件によってはかえって学びを邪魔することもありました。

対象: 記憶の実験研究のまとめ / 限界: 主に記憶の実験で、集中そのものを測った研究のまとめではありません。

4つの実験を並べると、結果の違いがよくわかります。

研究動画の長さ上の空への効果テストの点
Szpunarら(2013)21分大きく減った(41%→19%)上がった
Jingら(2016)40分実験1は差なし、実験2は関係ない考えごとが減った上がった
Panら(2020)26分減った(見る前の問題でも)上がった
Welhafら(2022)52分少し減った(47%→40%)差なし

03 今日からできる小さな一歩動画で学ぶときは、どう区切ればいい?

5〜10分ごとに動画を止め、1分ほど問題に答えるか、何も見ずに要点を書き出します。見る前に問題やまとめに目を通しておくのも一つの手です。

1

見る前に、問題に目を通す

確認テストや章末の問題があれば、動画の前に解いてみます。わからなくてかまいません。見る前の問題で上の空が減った実験があります[3]。予習としての効果はプレテストの記事にまとめています。

所要 2〜3分

2

5〜10分ごとに止める区切りを決める

最初の実験は約5.5分ごとでした[1]。章の切れ目やスライドの変わり目など、止める場所を先に決めておきます。

所要 1分

3

止めたら、何も見ずに答える

問題があれば答えます。なければ、今の区切りで覚えたことを2〜3行書き出します。見返すだけの「見直し」では、上の空は減りませんでした[1]。

所要 1〜2分

4

答え合わせは、次を見ながら

間違えても気にせず、続きの動画やスライドで確かめます。問題に答えたグループは、最後のテストへの不安がむしろ低くなっていました[1]。

所要 次の区切りまで

04 続けるためのコツ小テストをはさんでも集中できないときは?

効果は人や動画によって差があり、大きな追試では小さくなりました。区切っても集中できない日は、動画の長さや見る環境の方を見直します。

05よくある質問

動画の授業で集中が続かないのは、自分の集中力が低いから?

そうとは限りません。小テストのない条件では、21分の動画でも学生が上の空だった割合は約4割でした。52分の動画を使った別の実験でも、5割近くが上の空でした。長い動画を見続けると気がそれるのは、多くの人に起きることです。

小テストがない動画では、どうすればいい?

研究で使われたのは、研究者が用意した問題です。問題がない動画なら、区切りごとに止めて、見た内容を何も見ずに2〜3行書き出すのが近いやり方です。ただ、この自作のやり方そのものを比べた実験は、今回調べた範囲では見つかっていません。

倍速で見たほうが集中できますか?

今回調べた研究は、倍速再生を比べていません。研究で確かめられているのは「途中で止めて問題に答える」ことのほうです。速さを変える前に、まず区切って思い出す時間を入れてみるのがよいでしょう。

小テストで間違えると、やる気が下がりませんか?

2013年の実験では、途中で問題に答えたグループのほうが、最後のテストへの不安が低く、頭の負担も小さく感じていました。間違えても、その後の動画で答えを確かめれば十分です。

出典

  1. Szpunar, K. K., Khan, N. Y., & Schacter, D. L. (2013). Interpolated memory tests reduce mind wandering and improve learning of online lectures. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(16), 6313-6317. https://doi.org/10.1073/pnas.1221764110
  2. Jing, H. G., Szpunar, K. K., & Schacter, D. L. (2016). Interpolated testing influences focused attention and improves integration of information during a video-recorded lecture. Journal of Experimental Psychology: Applied, 22(3), 305-318. https://doi.org/10.1037/xap0000087
  3. Pan, S. C., Sana, F., Schmitt, A. G., & Bjork, E. L. (2020). Pretesting reduces mind wandering and enhances learning during online lectures. Journal of Applied Research in Memory and Cognition, 9(4), 542-554. https://doi.org/10.1016/j.jarmac.2020.07.004
  4. Welhaf, M. S., Phillips, N. E., Smeekens, B. A., Miyake, A., & Kane, M. J. (2022). Interpolated testing and content pretesting as interventions to reduce task-unrelated thoughts during a video lecture. Cognitive Research: Principles and Implications, 7, 26. https://doi.org/10.1186/s41235-022-00372-y
  5. Chan, J. C. K., Meissner, C. A., & Davis, S. D. (2018). Retrieval potentiates new learning: A theoretical and meta-analytic review. Psychological Bulletin, 144(11), 1111-1146. https://doi.org/10.1037/bul0000166