画面作業で目が疲れて集中が切れたら? 20-20-20ルールと短い休憩の研究でわかった立て直し方

画面を見続けていたら、目がしょぼしょぼして文字が頭に入らない。そんなときは、集中力そのものより目の疲れが先に来ていることがあります。研究で支持されているのは、画面から目を離す短い休憩をこまめに入れることでした。休憩を足しても、作業の量は落ちていませんでした。
3行でわかる
- 画面を見ているとまばたきが大きく減ります。古い研究では、1分に18.4回から3.6回まで減っていました。
- 入力作業の職場の実験では、5分の休憩を1日4回足すと目の疲れが減り、作業の速さが上がって仕事量も保たれました。
- 「20分ごとに20秒、遠くを見る」をソフトで知らせた研究では、2週間で目の症状が減りました。ただ、やめて1週間で元に戻りました。
01 悩みの正体画面作業で目が疲れると集中が切れるのはなぜ?
画面を見つめると、まばたきが減って目が乾き、近くにピントを合わせる筋肉も働き続けます。この目の疲れ(デジタル眼精疲労)は、作業のミスや作業時間の長さにもつながると報告されています。
画面作業による目の疲れは、珍しいものではありません。英国アストン大学のSheppardとWolffsohnのレビューでは、パソコンを使う人の50%以上に当てはまる可能性があるとされています[1]。
原因の1つは、まばたきです。同じレビューで紹介された研究では、パソコンを使う前は1分に18.4回だったまばたきが、使っている間は3.6回まで減っていました[1]。
18.4回 → 3.6回
パソコン作業の前と最中の、1分あたりのまばたきの回数(レビューで紹介された古い研究)[1]
ただし、今の画面では差が小さいという結果もあります。タブレットで読む実験では、紙で読んでもまばたきは同じくらい減っていました。画面そのものより、文字を読み続けることや、難しい内容に集中することがまばたきを減らすようです[1]。
目がつらくなると、作業の正確さが落ちたり、時間がかかったり、休憩が増えたりすることも報告されています[1]。集中が続かないのは、気持ちの問題だけとは限りません。集中が時間とともに落ちる仕組みは集中が続かないのはなぜ?の記事で詳しく書いています。
02 科学的にわかっていること目の疲れで切れた集中は、休憩で戻せる?
戻せる可能性が高いです。短い休憩を足した実験では、目の疲れが減り、作業の速さも上がりました。一方、ブルーライトカット眼鏡で目の疲れが減るという根拠は、今のところ見つかっていません。
Galinskyら(2007)[2]
ふだんの休憩(15分を1日2回)に、5分の休憩を1日4回足しました。すると、体の不快感と目の疲れが減り、作業中に疲れがたまっていくのも抑えられました。入力の速さは上がり、休憩で作業時間が20分減っても、仕事の量は保たれていました。
対象: アメリカのデータ入力の仕事をする51人。同じ人が4週間ずつ2通りの休憩を試した / 限界: 休憩中のストレッチは、実際に行われたのが休憩の25〜39%だけで、効果は確かめられなかった。
Talens-Estarellesら(2023)[3]
ノートパソコンのカメラで画面を見ている時間を測り、「20分ごとに20秒、遠くを見る」タイミングで休憩を知らせるソフトを2週間使ってもらいました。休憩の回数が増え、目の疲れとドライアイの症状が減りました。ただ、知らせるのをやめて1週間たつと、改善は残っていませんでした。
対象: 目の症状があるパソコン利用者29人 / 限界: 比べる対照グループがなく、人数も少ない。涙の量など目の状態の測定値は、2週間では変わらなかった。
Balci・Aghazadeh(2003)[4]
「60分作業して10分休む」「30分作業して5分休む」「15分ごとにごく短い休憩」の3通りを比べました。目の疲れとかすみ目がいちばん少なかったのは30分ごとの休憩で、次が15分ごとでした。作業の速さと正確さは、15分ごとの短い休憩がいちばん高くなりました。
対象: 男子大学生10人。データ入力と暗算の作業 / 限界: 人数がとても少なく、実験室での短期間の結果。
Singhら(2023、コクランのシステマティックレビュー)[5]
ブルーライトをカットする眼鏡を、ふつうの眼鏡と比べた17本のランダム化比較試験をまとめました。パソコン作業での目の疲れは、短い期間で見るかぎり、ブルーライトカット眼鏡で減らない可能性があるという結論でした。
対象: 1本あたり5〜156人の大人を対象にした17本の試験 / 限界: 試験の多くは小さく、追跡は最長5週間。根拠の確かさは「低い」と判定されている。
| やり方 | 目の疲れ | 作業への影響 |
|---|---|---|
| 5分の休憩を1日4回足す[2] | 減った | 速さが上がり、仕事量は保たれた |
| 20分ごとに20秒、遠くを見る[3] | 2週間で減った(やめると戻った) | 測っていない |
| 15〜30分ごとの短い休憩[4] | 60分ごとより少なかった | 15分ごとが速さ・正確さで最も高い |
| ブルーライトカット眼鏡[5] | 減らない可能性 | 根拠が足りない |
03 今日からできる小さな一歩目が疲れて集中が切れたら、まず何をする?
画面から目を離し、遠くを20秒見ます。そのあと、30分前後に1回は数分の休憩を入れる予定を作業に組み込みます。休憩は気づいたときでなく、時間で知らせてもらうほうが続きます。
今すぐ、窓の外か部屋の奥を20秒見る
6mほど先にあるものを、ぼんやり眺めます。近くにピントを合わせ続けていた目を休ませる「20-20-20ルール」の考え方です。
所要 20秒
ゆっくり、しっかり5回まばたきする
画面を見ている間は、まばたきが減ったり、まぶたが閉じきらなかったりします。意識してまぶたを閉じ、目の表面をうるおします。
所要 10秒
次の休憩をタイマーで決める
20〜30分後にタイマーをかけます。鳴ったら20秒遠くを見ます。1時間に1回は5分ほど、席を立って画面から離れます。
所要 1分
04 続けるためのコツ目のための休憩を忘れずに続けるには?
自分の感覚に頼らず、時間で知らせる仕組みに任せます。知らせをやめると効果が消えたという研究もあるので、2週間で終わりにせず、作業の決まりごとにしてしまうのが近道です。
- 休憩はタイマーかアプリで知らせる。Talens-Estarellesらの研究では、知らせがある間だけ休憩が増えていました[3]。
- 休憩で仕事が遅れると心配しすぎない。Galinskyらの実験では、休憩を20分足しても仕事の量は落ちませんでした[2]。
- 作業と休憩を区切るやり方はこまめな休憩とポモドーロの記事も参考になります。
- 見えにくさを感じるなら、眼鏡やコンタクトの度数を見直す。小さな度数のずれを眼鏡で直すと、仕事の効率が少なくとも2.5%上がるという試算があります[1]。
- 休んでも目の痛みやかすみが続くときは、眼科で相談してください。
05よくある質問
パソコンで目が疲れたとき、何分休めばいい?
研究で効果が見られたのは、20分ごとに20秒遠くを見るやり方や、ふだんの休憩に5分の休憩を1日4回足すやり方です。目安として、30分前後に1回は画面から目を離し、1時間に1回は数分席を立つと取り入れやすくなります。
ブルーライトカット眼鏡は目の疲れに効く?
17本のランダム化比較試験をまとめたコクランのレビューでは、パソコン作業での目の疲れは、短い期間で見るかぎりブルーライトカット眼鏡で減らない可能性があるという結論でした。根拠の確かさは低く、今後の研究が待たれます。
休憩を増やすと仕事が遅れない?
データ入力の仕事をする51人の実験では、5分の休憩を1日4回足して作業時間が20分減っても、入力の速さが上がったため仕事の量は保たれました。短い休憩は、作業を遅らせるより支える方向に働いていました。
20-20-20ルールはずっと続けないと意味がない?
休憩を知らせるソフトを2週間使った研究では、目の症状は減りましたが、知らせをやめて1週間で改善は残っていませんでした。効果を保つには、休憩を一時的な対策でなく、作業の習慣にするほうがよさそうです。
出典
- Sheppard, A. L., & Wolffsohn, J. S. (2018). Digital eye strain: prevalence, measurement and amelioration. BMJ Open Ophthalmology, 3(1), e000146. https://doi.org/10.1136/bmjophth-2018-000146
- Galinsky, T., Swanson, N., Sauter, S., Dunkin, R., Hurrell, J., & Schleifer, L. (2007). Supplementary breaks and stretching exercises for data entry operators: a follow-up field study. American Journal of Industrial Medicine, 50(7), 519-527. https://doi.org/10.1002/ajim.20472
- Talens-Estarelles, C., Cerviño, A., García-Lázaro, S., Fogelton, A., Sheppard, A., & Wolffsohn, J. S. (2023). The effects of breaks on digital eye strain, dry eye and binocular vision: Testing the 20-20-20 rule. Contact Lens and Anterior Eye, 46(2), 101744. https://doi.org/10.1016/j.clae.2022.101744
- Balci, R., & Aghazadeh, F. (2003). The effect of work-rest schedules and type of task on the discomfort and performance of VDT users. Ergonomics, 46(5), 455-465. https://doi.org/10.1080/0014013021000047557
- Singh, S., Keller, P. R., Busija, L., McMillan, P., Makrai, E., Lawrenson, J. G., Hull, C. C., & Downie, L. E. (2023). Blue-light filtering spectacle lenses for visual performance, sleep, and macular health in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews, 8, CD013244. https://doi.org/10.1002/14651858.CD013244.pub2


