記憶・学習

勉強しているのに身についている気がしないときは?「わかった感じ」と本当の学びのずれを研究で調べた

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机が並ぶ図書館の閲覧室
Photo: Diliff / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

問題を解いたり、本を閉じて思い出したりしても、なかなか身についている気がしない。それで読み返す勉強に戻ってしまう人は少なくありません。研究では、頭に負担がかかるやり方ほど「学べていない」と感じやすいのに、あとのテストではそちらの点が高かったことがわかっています。手応えのなさは、やり方が間違っている合図とはかぎりません。感じではなく、小さなテストで確かめ直すのが立て直しの近道です。

3行でわかる

  1. ハーバード大学の物理の授業で149人を調べた実験では、頭を使う「能動的な授業」の学生は、聞くだけの授業より「学べた感じ」が低いのに、テストの点は高くなりました。
  2. 「しんどいやり方は効かない」と感じた人ほど、そのやり方を次から選ばなくなります。一方で、しんどいやり方を選んだ人のほうが、長く覚えていました。
  3. この思い込みは、説明を聞くだけではなかなか直りません。2つのやり方を分けてテストし、自分の点で比べると、多くの人が考えを変えました。

01 悩みの正体頑張っているのに、なぜ身についた気がしない?

勉強中の「手応え」は、身についた量ではなく、そのときのやりやすさを映しやすいからです。研究者は、勉強中の出来(パフォーマンス)と、あとに残る学び(学習)は別ものだと考えています。

教科書を読み返すと、文章がすらすら頭に入ってきます。この「すらすら感」は、わかった気持ちにつながります。

一方、本を閉じて思い出そうとすると、言葉に詰まります。問題を混ぜて解くと、毎回考え直すことになります。こちらは「できていない」と感じやすいやり方です。

SoderstromとBjorkは、学んでいる最中の出来は、長く残る学びを測る目安としては当てにならないことが多いと、多くの研究をまとめて述べています[5]。人は、勉強中の出来を学びの確かな目安だと思い込みやすいとも指摘しています。

やり方勉強中の感じあとのテストでは
読み返す・聞くだけすらすら進み、わかった感じが強い能動的な授業より点が低かった研究がある [1]
本を閉じて思い出す・自分でテストする詰まりやすく、しんどい読み返しより残りやすい [2][6]
種類を混ぜて練習する毎回迷い、進みが遅く感じるまとめて練習するより見分ける力がついた研究がある [3]

表の真ん中の列と右の列が逆向きになっているところが、この悩みの正体です。手応えがないのは、頭を使っている証拠であることがあります。

02 科学的にわかっていること「学べた感じ」と実際の点は、本当にずれる?

ずれます。頭を使う授業では「学べた感じ」が低いのに、テストの点は高いという実験があります。人は手間のかかるやり方を「効かない」と判断し、効くやり方を自分から手放しやすいこともわかっています。

Deslauriers ら(2019)[1]

同じ内容を「聞くだけの講義」と「グループで問題に取り組む能動的な授業」で教えたところ、能動的な授業の学生は「学べた感じ」が標準偏差で0.56ぶん低く、テストの点は0.46ぶん高くなりました。

対象: ハーバード大学の物理入門の授業を受けた学生149人。学期12週目の2回の授業で、学生をくじで分け、教え方を入れ替えて比べた。テストは各回12問の選択式 / 限界: 1つの大学の物理の授業で、2回分の授業だけを比べた結果。

Kirk-Johnson ら(2019)[2]

3つの研究で、学習者に2つのやり方(混ぜて練習するかまとめて練習するか、思い出す練習か読み返しか)を体験してもらいました。しんどいと感じたやり方ほど「効かない」と評価され、次に選ばれにくくなりました。

対象: 3つの研究と、評価すること自体の影響を確かめた4つめの研究 / 結果: 3つめの研究では、しんどいほうを選んだ人のほうが長く覚えていた。参加者自身の評価とは逆だった。

Kornell と Bjork(2008)[3]

画家ごとの絵の特徴を学ぶ実験で、同じ画家の絵をまとめて見るより、別の画家の絵と混ぜて見たほうが、初めて見る絵の作者を当てる力がつきました。それでも参加者は「まとめたほうが効いた」と評価しました。

対象: 複数の画家の絵を学ぶ実験(3つの実験)/ 限界: 自分のテストの点が逆を示したあとでも、多くの人がまとめるほうを効果的だと答えていた。

Yan、Bjork と Bjork(2016)[4]

「混ぜるほうが効く」という説明を詳しく伝えても、自分の成績との関係に注意を向けさせても、思い込みはあまり変わりませんでした。2つのやり方でのテスト結果を分けて見せ、説明も組み合わせたときに、初めて過半数の人が混ぜるほうの良さを認めました。

対象: 6つの実験 / 限界: 実験室での絵の分類課題の結果で、教科の勉強にそのまま当てはまるかは確かめられていない。

思い出す練習はなぜ効く? テスト効果の研究をまとめたRowland(2014)のメタ分析では、選択肢から選ぶテストより、自分で思い出して書くテストのほうが、あとに残る効果が大きいという結果でした[6]。手間がかかる処理が効果の一因と考えられています。

ただし、Deslauriersらの研究は1つの大学の物理の授業での結果です。学生は学期を通して能動的な授業に慣れると、その良さに自分で気づくこともあると著者らは書いています[1]。手応えのなさは、慣れとともに薄れる可能性があります。

03 今日からできる小さな一歩身についた気がしないとき、何をすればいい?

やり方を変える前に、本を閉じて思い出すテストで「本当に残っているか」を確かめます。迷っている2つのやり方は、範囲を分けて比べ、数日後の自分の点で決めます。

1

「手応え」ではなく「思い出せた数」で記録する

勉強した範囲を閉じ、白い紙に覚えていることを書き出します。思い出せた項目の数だけをメモします。

所要 5分

2

2つのやり方を、範囲を分けて試す

たとえば単語40個のうち20個は読み返し、残り20個は隠して思い出す練習にします。混ぜてしまうと、どちらが効いたのかわかりません。

所要 20分

3

2〜3日後に両方をテストし、点で比べる

勉強した直後ではなく、数日あけてから同じ形式でテストします。直後の点は、すらすら感に引っぱられやすいからです。

所要 10分

4

「詰まった」を失敗ではなく記録に変える

思い出せなかった項目に印をつけ、次はそこから始めます。詰まった項目は、次に覚え直すべき場所の目印です。

所要 3分

04 続けるためのコツ手応えがない勉強を、どう続ける?

「しんどい感じ」と「身についていない」を分けて考えることです。数日後のテストの点を見える場所に残しておくと、手応えのなさに振り回されにくくなります。

05よくある質問

勉強して手応えがないのは、やり方が合っていないから?

合っていないとはかぎりません。頭を使う授業では「学べた感じ」が低いのに、テストの点は高かったという実験があります。手応えではなく、数日後に自分でテストした点で判断するのがおすすめです。

読み返すと安心するのに、なぜ効果が低いと言われるの?

読み返すと文章がすらすら入ってくるため、わかった感じが強くなります。ただ、その感じは長く残る学びの量とずれやすいことが、学習と出来の違いを調べた研究でまとめられています。思い出す練習と組み合わせるのが無難です。

しんどい勉強ほど効果がある、と考えていい?

そうとはかぎりません。研究でわかっているのは「効くやり方の中に、しんどく感じるものがある」ということです。しんどさそのものを目標にせず、数日後のテストで残っているかを確かめてください。

自分に合った勉強法は、どうやって見つければいい?

範囲を分けて2つのやり方を試し、2〜3日後に同じ形式でテストして比べる方法があります。説明を聞くだけでは思い込みが変わりにくく、自分の点を分けて見たときに考えが変わったという実験があります。

出典

  1. Deslauriers, L., McCarty, L. S., Miller, K., Callaghan, K., & Kestin, G. (2019). Measuring actual learning versus feeling of learning in response to being actively engaged in the classroom. Proceedings of the National Academy of Sciences, 116(39), 19251-19257. https://doi.org/10.1073/pnas.1821936116
  2. Kirk-Johnson, A., Galla, B. M., & Fraundorf, S. H. (2019). Perceiving effort as poor learning: The misinterpreted-effort hypothesis of how experienced effort and perceived learning relate to study strategy choice. Cognitive Psychology, 115, 101237. https://doi.org/10.1016/j.cogpsych.2019.101237
  3. Kornell, N., & Bjork, R. A. (2008). Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"? Psychological Science, 19(6), 585-592. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02127.x
  4. Yan, V. X., Bjork, E. L., & Bjork, R. A. (2016). On the difficulty of mending metacognitive illusions: A priori theories, fluency effects, and misattributions of the interleaving benefit. Journal of Experimental Psychology: General, 145(7), 918-933. https://doi.org/10.1037/xge0000177
  5. Soderstrom, N. C., & Bjork, R. A. (2015). Learning versus performance: An integrative review. Perspectives on Psychological Science, 10(2), 176-199. https://doi.org/10.1177/1745691615569000
  6. Rowland, C. A. (2014). The effect of testing versus restudy on retention: A meta-analytic review of the testing effect. Psychological Bulletin, 140(6), 1432-1463. https://doi.org/10.1037/a0037559