睡眠

睡眠アプリのスコアが悪くて不安になったら? 数字と体調の関係を調べた研究でわかった立て直し方

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腕時計
Photo: Petar Milošević / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

朝いちばんに睡眠アプリを開いたら、点数が低い。それを見たとたん、なんだか体が重く感じる。そんな経験はありませんか。研究では、悪い数字を伝えられただけで、体調の「感じ方」が悪くなることがわかっています。一方で、測った注意力には差が出ませんでした。数字は1晩の目安として受け止め、今日の過ごし方は体の感覚で決めて構いません。

3行でわかる

  1. 不眠に悩む63人に、うその睡眠評価を伝えた実験がある。悪い評価の組は、夕方に頭のさえを低く、眠気やだるさを強く感じた。注意力のテストには差がなかった。
  2. 睡眠の機器7種類を脳波の検査と比べた研究では、眠っている時間はよく当てたが、起きている時間の見分けは弱く、睡眠の段階の判定はばらついた。
  3. 健康な人49人に悪い点数を1回見せた実験では、その後1週間の眠りに差はなかった。悪い数字の朝は、1晩の目安として受け流すのが立て直しの第一歩になる。

01 悩みの正体悪い睡眠スコアを見ると、だるくなるのはなぜ?

「よく眠れなかった」と知ると、体の小さな不調に目が向き、だるさを強く感じやすくなるからです。数字そのものが、体調の受け止め方を変えることが実験で示されています。

私たちは、自分がどれくらい眠れたかを、朝の気分や体の重さから判断しています。そこに「睡眠スコア 45点」という数字が加わると、判断が数字に引っぱられます。

睡眠の機器を手放せなくなり、完璧な数字を目指して、かえって眠れなくなる人もいます。医師らはこの状態を「オーソソムニア(完璧な睡眠へのこだわり)」と名づけて報告しました[5]。数字が気になって眠りにくくなる流れは、眠ろうとするほど目がさえる理由と似ています。

02 科学的にわかっていること睡眠スコアは、体調をどれくらい左右する?

うその悪い評価を伝えた実験では、本人が感じる眠気やだるさは悪くなりましたが、測った注意力には差がありませんでした。健康な人では、1回の悪い点数で眠りが乱れることも確かめられていません。

Gavriloffら(2018)[1]

不眠に悩む63人に、腕時計型の機器をつけて眠ってもらいました。翌朝、実際の眠りとは関係なく、くじで「よく眠れた」か「眠れなかった」かの評価を伝えました。悪い評価の組(32人)は、良い評価の組(31人)より、夕方の頭のさえが低く(効果の大きさ d=0.79)、眠気やだるさが強くなりました(d=0.55)。一方、注意力のテストには差がありませんでした(d=0.12)。

対象: 不眠症の基準を満たす大人63人 / 限界: 1日だけの実験で、体調の多くは本人の記録による評価です。

d=0.79

悪い評価を伝えられた組で、夕方の「頭のさえ」が下がった効果の大きさ(不眠に悩む63人)[1]

DraganichとErdal(2014)[2]

164人に「昨夜の夢を見る睡眠(レム睡眠)の割合」を伝える実験です。実際の眠りとは関係なく、「28.7%で平均より上」か「16.2%で平均より下」と伝えました。伝えられた質は、計算や言葉を思い出すテストの成績を左右していました。本人が感じた眠りの質は、成績と関係がありませんでした。

対象: 2つの実験の164人 / 限界: 4種類のテストのうち、差が出たのは2種類でした。同じ方法をくり返した研究は、調べた範囲では見つかりませんでした。

Robsonら(2022)[3]

よく眠れている大人49人に、睡眠日誌から計算したと伝えて、うその点数を1回だけ見せました。「92点」の組と「22点」の組で、寝る前の頭の高ぶり、その後1週間の睡眠時間や寝つき、不安に差はありませんでした。

対象: 健康な大人49人(平均30歳) / 限界: 小規模な予備的研究です。毎朝くり返し点数を見る場合は調べていません。

Chinoyら(2021)[4]

健康な若い大人34人が研究室で3晩眠り、市販の睡眠の機器7種類を、脳波などで眠りを測る検査(終夜睡眠ポリグラフ)と比べました。眠っている時間を当てる力は高く(感度0.93以上)、起きている時間を見分ける力は低〜中くらい(0.18〜0.54)でした。睡眠の段階の判定はばらつき、眠りが乱れた夜ほど精度が下がりました。

対象: 健康な若い大人34人 / 限界: 2020年ごろの機種で、不眠の人や自宅での使用は調べていません。

数字には良い面もあります。日本の会社員31人の実験では、毎朝、睡眠の状態を知らせる通知を受けた組は、眠りの時間帯(睡眠の中央の時刻)の日ごとのぶれが小さくなりました[6]。問題は数字そのものより、悪い数字に体調の判断をまかせてしまうことだと考えられます。

研究対象悪い数字の影響
うその評価を翌朝に伝える[1]不眠に悩む63人眠気・だるさの感じ方が悪化。注意力のテストは差なし
うそのレム睡眠の割合を伝える[2]164人4つのテストのうち2つで成績が下がった
うその点数を1回見せる[3]健康な49人その後1週間の眠りに差なし

03 今日からできる小さな一歩スコアが悪かった朝は、どうすればいい?

数字を見る前に、自分の体調を先に確かめます。悪い数字は1晩の目安として受け流し、その日は昼に体を動かし、夜はいつもの時刻に寝ます。

1

アプリを開く前に、今の体調を一言でメモする

「少し眠いが動ける」など、体の感覚を先に確かめます。数字に引っぱられる前の、自分の判断を残しておくためです。

所要 30秒

2

点数は「機器の推定」と言い直して受け止める

機器は、夜中に起きていた時間の見分けや、深い睡眠の判定が苦手です[4]。「今日は数字が低めに出た」くらいに受け止めます。

所要 10秒

3

今夜は、早寝で取り返そうとしない

いつもの時刻に寝て、いつもの時刻に起きます。理由は眠れなかった夜のあとの立て直し方にまとめています。

所要 0分

04 続けるためのコツスコアが気になって眠れないときは?

数字を毎朝見るのがつらいなら、見る回数を週1回などに減らすのが一つの方法です。不眠が続くときは、睡眠の専門医に相談すると、記録の使い方も含めて考えてもらえます。

05よくある質問

睡眠アプリのスコアが悪いと、本当に体調が悪くなるのですか?

不眠に悩む63人の実験では、うその低い評価を伝えられた人は、夕方の頭のさえを低く、眠気やだるさを強く感じていました。ただ、注意力のテストの成績には差がありませんでした。数字が「感じ方」を変えた可能性があります。

睡眠アプリの「深い睡眠」の数字は正確ですか?

7種類の機器を研究室の脳波の検査と比べた研究では、眠っているかどうかはよく当てましたが、目が覚めている時間の見分けは低めで、睡眠の段階の判定はばらつきました。深い睡眠の数字は目安と考えるのが無難です。

睡眠アプリはやめたほうがいいですか?

やめる必要があるとは限りません。会社員31人の実験では、毎朝の睡眠の通知を受けた組は眠りの時間帯が安定していました。数字が気になって眠れなくなったときに、見る回数を減らすのが一つの方法です。

出典

  1. Gavriloff, D., Sheaves, B., Juss, A., Espie, C. A., Miller, C. B., & Kyle, S. D. (2018). Sham sleep feedback delivered via actigraphy biases daytime symptom reports in people with insomnia: Implications for insomnia disorder and wearable devices. Journal of Sleep Research, 27(6), e12726. https://doi.org/10.1111/jsr.12726
  2. Draganich, C., & Erdal, K. (2014). Placebo sleep affects cognitive functioning. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 40(3), 857–864. https://doi.org/10.1037/a0035546
  3. Robson, A. R., Ellis, J. G., & Elder, G. J. (2022). Poor false sleep feedback does not affect pre-sleep cognitive arousal or subjective sleep continuity in healthy sleepers: a pilot study. Sleep and Biological Rhythms, 20(4), 467–472. https://doi.org/10.1007/s41105-022-00390-9
  4. Chinoy, E. D., Cuellar, J. A., Huwa, K. E., Jameson, J. T., Watson, C. H., Bessman, S. C., Hirsch, D. A., Cooper, A. D., Drummond, S. P. A., & Markwald, R. R. (2021). Performance of seven consumer sleep-tracking devices compared with polysomnography. Sleep, 44(5), zsaa291. https://doi.org/10.1093/sleep/zsaa291
  5. Baron, K. G., Abbott, S., Jao, N., Manalo, N., & Mullen, R. (2017). Orthosomnia: Are some patients taking the quantified self too far? Journal of Clinical Sleep Medicine, 13(2), 351–354. https://doi.org/10.5664/jcsm.6472
  6. Takeuchi, H., Suwa, K., Kishi, A., Nakamura, T., Yoshiuchi, K., & Yamamoto, Y. (2022). The effects of objective push-type sleep feedback on habitual sleep behavior and momentary symptoms in daily life: mHealth intervention trial using a health care internet of things system. JMIR mHealth and uHealth, 10(10), e39150. https://doi.org/10.2196/39150