禁煙に何度も失敗してしまった。また挑戦していい? 成功までの回数と、次の挑戦を変える方法を研究で調べた

今度こそと思ったのに、また吸ってしまった。禁煙の失敗が続くと「自分には無理だ」と感じます。でも、何度も失敗してからやめられる人は、まったく珍しくありません。研究からわかった立て直しのポイントは「回数を気にしすぎない」「最初の1週間に備える」「一人でやらない」の3つです。
3行でわかる
- カナダの1277人を追った研究では、1年以上の禁煙に成功するまでの挑戦は平均で約30回と推計されました。何度も失敗するのはよくあることです。
- 自力の禁煙で吸い始めてしまう人の多くは、最初の8日以内でした。6〜12か月続いたのは、1回の挑戦あたり3〜5%でした。
- 相談の支援と禁煙の薬を組み合わせると、ふつうの対応より禁煙できた人が約1.83倍になりました(52の試験・1万9488人)。
01 悩みの正体禁煙に何度も失敗するのはなぜ?
禁煙は、1回の挑戦で成功する確率がもともと低い目標です。失敗の多くは最初の1週間に起きます。何度も失敗するのは意志の弱さだけでなく、ニコチンへの依存の強さが関わっています。
薬や支援を使わずに自力で禁煙した人の研究をまとめたレビューがあります。吸い始めてしまう人の多くは、最初の8日以内でした。6〜12か月以上やめ続けられたのは、1回の挑戦あたり3〜5%でした [2]。
8つの研究をまとめた別のレビューでは、禁煙に「挑戦するかどうか」は、やめたい気持ちの強さや過去に挑戦したかで予測できました。一方、挑戦した後に「成功するかどうか」を一貫して予測したのは、たばこへの依存の強さだけでした [3]。失敗が続くのは、性格や根性よりも、依存の強さが関わっていると考えられます。
02 科学的にわかっていること禁煙は何回目で成功するもの?
カナダの研究では、成功までの挑戦は平均で約30回と推計されました。昔の調査で言われていた「平均6回」より多く、何度も失敗してからやめられる人は少なくありません。
| 研究 | わかったこと |
|---|---|
| カナダ1277人・最長3年 [1] | 成功までの挑戦は平均で約30回(推計) |
| 自力の禁煙のレビュー [2] | 多くは8日以内に吸い始め、半年〜1年続くのは3〜5% |
| 8研究のレビュー [3] | 成功を一貫して予測したのは依存の強さだけ |
| 52試験のメタ分析 [4] | 相談と薬の組み合わせで、禁煙できた人が約1.83倍 |
Chaitonら(2016、カナダ)[1]
オンタリオ州の喫煙者を6か月ごとに最長3年追った調査から、禁煙に挑戦した1277人のデータを使いました。1年以上続いた禁煙を「成功」として、成功までに必要な挑戦の回数を4通りの方法で推計しました。結果は6.1回から142回まで幅があり、著者らがもっとも偏りが少ないと考えた方法では29.6回でした。著者らは「多くの喫煙者にとって、成功までに30回以上の挑戦が必要かもしれない」と書いています。
限界: 推計の方法によって数字は大きく変わります。集団の平均であって、一人ひとりの回数を予測するものではありません。挑戦の回数は本人の申告です。
Chaitonら(2016)の観察結果 [1]
調査期間中に実際に観察された挑戦では、成功の割合は1回目が11%、2回目が5%で、それ以降はさらに低くなりました。著者らは、やめやすい人は早い回で成功し、やめにくい人が残ってくり返し挑戦するため、と説明しています。
限界: 回数を重ねると成功しにくくなる、という意味ではなく、やめにくい人ほど回数が増える、という見方です。
Steadら(2016、コクラン・レビュー)[4]
禁煙の薬(ニコチンパッチなど)と、相談による支援を組み合わせた試験をまとめました。52の試験(1万9488人)で、ふつうの対応や短い助言、軽い支援だけの場合に比べ、6か月以上禁煙できた人が約1.83倍になりました。支援は多くの場合、禁煙の専門家による4〜8回の相談でした。
限界: 病院などで募集した試験が多く、地域で募集した試験では約1.53倍とやや小さめでした。
03 今日からできる小さな一歩また吸ってしまったら、次はどうする?
失敗を責めずに、次の禁煙開始日を決めます。最初の1週間に吸いたくなる場面を書き出し、禁煙外来や薬局で相談して、薬と支援を組み合わせます。
次の禁煙開始日をカレンダーに書く
失敗した日を「終わり」ではなく「次の準備の始まり」と考えます。成功まで何度も挑戦するのはよくあることです。
所要 1分
前回吸ってしまった場面を3つ書く
お酒の席、食後、仕事の休憩など、前回吸ってしまったきっかけを書きます。失敗の多くは最初の8日以内に起きるので、最初の1週間はその場面を避ける予定を立てます。
所要 5分
禁煙外来か薬局に相談する
相談の支援と禁煙の薬の組み合わせで、禁煙できた人が約1.83倍になりました。どの薬が合うかは人によるので、医師や薬剤師に相談して決めます。
所要 予約に5分
04 続けるためのコツ1本吸ってしまったら、もう失敗?
1本吸ったことで「もう台無し」と投げ出すと、本当の再開につながりやすくなります。その日のうちに禁煙に戻れば、挑戦は続いています。
- 1本で全部やめない: 「一度破ったら台無し」と感じる心の動きは、「どうにでもなれ効果」の研究にまとめています。
- 記録が途切れたら: 禁煙の日数が途切れてやる気が消えたときは、連続記録が途切れた後の研究も参考になります。
- 吸いたい波をやり過ごす: 強い「吸いたい」は、衝動の波を観察する方法で乗り切る練習ができます。
- 禁煙の薬には飲み合わせや持病による注意点があります。使う前に医師や薬剤師に相談してください。
05よくある質問
禁煙は平均で何回目に成功する?
カナダの1277人を追った研究では、1年以上の禁煙に成功するまでの挑戦は、著者らがもっとも偏りが少ないと考えた方法で平均29.6回と推計されました。ただ推計の方法で6.1回から142回まで幅があり、一人ひとりの回数を予測するものではありません。
禁煙に失敗しやすいのはいつ?
自力で禁煙した人の研究をまとめたレビューでは、吸い始めてしまう人の多くが最初の8日以内でした。最初の1週間に、吸いたくなる場面を避ける予定を立てておくと備えになります。
何度も失敗しているのは、意志が弱いから?
8つの研究をまとめたレビューでは、挑戦した後に成功するかを一貫して予測したのは、たばこへの依存の強さでした。年齢や性別、学歴などは一貫して関係していませんでした。失敗が続くのは、依存の強さが関わっていると考えられます。
自力で禁煙するのと、禁煙外来を使うのはどちらがいい?
52の試験をまとめたコクラン・レビューでは、相談の支援と禁煙の薬を組み合わせると、ふつうの対応や短い助言だけより、6か月以上禁煙できた人が約1.83倍でした。自力の禁煙で6〜12か月続くのは1回あたり3〜5%というレビューもあります。
出典
- Chaiton M, Diemert L, Cohen JE, Bondy SJ, Selby P, Philipneri A, Schwartz R (2016). Estimating the number of quit attempts it takes to quit smoking successfully in a longitudinal cohort of smokers. BMJ Open, 6(6), e011045. https://doi.org/10.1136/bmjopen-2016-011045
- Hughes JR, Keely J, Naud S (2004). Shape of the relapse curve and long-term abstinence among untreated smokers. Addiction, 99(1), 29-38. https://doi.org/10.1111/j.1360-0443.2004.00540.x
- Vangeli E, Stapleton J, Smit ES, Borland R, West R (2011). Predictors of attempts to stop smoking and their success in adult general population samples: a systematic review. Addiction, 106(12), 2110-2121. https://doi.org/10.1111/j.1360-0443.2011.03565.x
- Stead LF, Koilpillai P, Fanshawe TR, Lancaster T (2016). Combined pharmacotherapy and behavioural interventions for smoking cessation. Cochrane Database of Systematic Reviews, (3), CD008286. https://doi.org/10.1002/14651858.CD008286.pub3


