食べもの

うま味調味料で頭痛がする、体に悪いって本当? 二重盲検の試験を研究で調べた

約7分で読めます

汁もののお椀
Photo: Ocdp / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

中華料理を食べたあと頭が痛くなった。うま味調味料のせいだと聞いたことがある。そんな不安を持つ人は少なくありません。研究の答えは「ふつうの食事で使う量なら、頭痛の原因とする根拠は弱い」です。ただし、空腹のときに一度に大量(3g以上)をとると、症状が出る人がいる可能性は残っています。

3行でわかる

  1. うま味調味料(グルタミン酸ナトリウム)を食事と一緒にとった6つの試験では、頭痛が増えたのは1つの試験の女性グループだけでした(2016年のシステマティックレビュー)。
  2. 「うま味調味料で具合が悪くなる」と自分で思う130人の二重盲検試験では、空腹で5gを飲むと症状が出やすくなりました。ただ、もう一度試すと同じ人に同じ反応は出ず、食事と一緒では反応がそろいませんでした。
  3. ふつうの料理に入る量は0.2〜0.8%ほど。気になる人は、空腹のときに濃いスープで大量にとるのを避け、本当に関係があるかを記録で確かめるのが現実的です。

01 悩みの正体うま味調味料で頭痛がすると言われるのはなぜ?

きっかけは1968年、中華料理のあとにしびれや動悸が出たという医師の投書でした。「中華料理店症候群」と呼ばれ、うま味調味料が原因ではと疑われて広まりました。

うま味調味料の主な成分は、グルタミン酸ナトリウム(MSG)です。グルタミン酸は、もともと多くの食べものに含まれるアミノ酸の一種です。

1968年にKwokという医師が、中華料理を食べたあとにしびれや脱力、動悸が出たと医学誌に書きました。この一連の症状は「中華料理店症候群」と呼ばれ、頭痛もその一つに数えられました [2]。その後、本当にMSGのせいなのかを確かめる試験がたくさん行われました。

ポイントは、試験のやり方です。本人が「入っている」と知っていると、思い込みだけで症状が出ることがあります。そこで、MSG入りか偽物(プラセボ)かを本人も研究者も知らない「二重盲検」という方法で比べます。

02 科学的にわかっていることうま味調味料で本当に頭痛は起きる?

食事と一緒にとる量では、頭痛が増えるという結果はほとんど出ていません。空腹で大量に飲んだ試験では差が出たものもありますが、結果がそろわず、味で見分けられた可能性も指摘されています。

とり方頭痛が増えた試験判定
食事と一緒に1.5〜3.15g6試験中1つ(女性グループのみ)[2]当てにならない
空腹で、飲みものに溶かして1.25〜12g7試験中4つ [2]条件しだい(見分けられた可能性あり)

Obayashi & Nagamura(2016)[2]

MSGを口からとって頭痛の数を比べた人の試験を集めて調べました(システマティックレビュー)。食事と一緒にとった6つの試験では、頭痛の差が出たのは1つの試験の女性グループ(MSGの日6人、偽物の日1人)だけでした。空腹で飲んだ7つの試験では4つで差が出ました。著者らは、MSGと頭痛の因果関係は証明されていないと結論づけています。

限界: 空腹の試験の多くは2%を超える濃いMSG水を使っていて、味で見分けられた可能性があります。第一著者はMSGメーカーの社員で、掲載料は業界の非営利団体が負担しています。

Gehaら(2000、米国の多施設試験)[1]

「MSGで具合が悪くなる」と自分で思う130人に、空腹のまま5gのMSG入り飲料と偽物を別の日に飲んでもらいました。MSGだけに反応した人は38.5%、偽物だけに反応した人は13.1%、両方に反応した人は14.6%でした。ところが、MSGだけに反応した37人を再び試すと、同じ反応が出たのは半分の19人だけでした。

限界: 最後まで反応が続いた2人も、食事と一緒に3回とったときは1回しか反応しませんでした。著者らは「持続する症状や重い症状は見られず、試し直すと反応はそろわなかった」とまとめています。

Williams & Woessner(2009)[3]

MSGと、中華料理店症候群・ぜんそく・じんましん・鼻炎との関係を調べた研究をまとめたレビューです。数十年の研究でも、MSGをとることとこれらの症状との間に、はっきりした一貫した関係は示せなかったと結論づけています。

限界: 初期の報告の多くは、少人数で質がまちまちの研究でした。

欧州食品安全機関 EFSA(2017)[4]

EFSAは、グルタミン酸とその塩の1日あたり許容摂取量を、体重1kgあたり30mg(グルタミン酸として)と定めました。人で症状と結びつけられてきた量は、まとまった症状が体重1kgあたり42.9mg超(体重70kgで約3g)、頭痛が85.8mgでした。

注意: この許容量は動物実験の値から決めたもので、人の試験からは「これ以下なら症状が出ない量」を決められなかったと書かれています。また、小さな子どもなど一部のグループでは摂取量の見積もりが許容量を上回るとも指摘しています。ただし、見積もりは全体に多めに出ていると評価しています。

ふつうの料理に加えるMSGは0.2〜0.8%ほどです。1.3%を超える濃さになると、味で見分けがつき、まずく感じると考えられています。料理に加えたグルタミン酸の摂取量は、ヨーロッパで1日約0.4g、アジアの国々で1.2〜1.7gと見積もられています [2]。試験で使われた空腹時の5gや9gは、ふだんの食事よりかなり多い量です。

03 今日からできる小さな一歩頭痛が気になる人は、何をすればいい?

まずは本当にうま味調味料が関係しているかを記録で確かめ、空腹のときに濃いスープなどで一度に大量にとるのを避けます。食事と一緒の量なら、過度に避ける必要を示す研究はありません。

1

頭が痛くなった日を3〜4回記録する

食べたもの、食べた時刻、空腹だったか、お酒や睡眠不足はなかったかを書きます。ほかの条件が重なっていないかが見えてきます。

所要 1回1分

2

空腹で濃いスープを一気に飲まない

差が出やすかったのは、空腹で濃いMSG入りの飲みものを飲んだ試験でした。ラーメンのスープなどは、具や主食と一緒にとります。

所要 0分

3

避けたいなら表示を見る

日本の食品表示では、うま味調味料は「調味料(アミノ酸等)」などと書かれます。気になる間だけ、表示を見て選ぶ方法もあります。

所要 10秒

04 続けるためのコツ思い込みで頭痛が出ることもあるの?

あります。Gehaらの試験では、偽物の飲みものだけに反応した人が13.1%いました。「入っている」と思うだけで体調の変化を感じることがあるため、記録で確かめる価値があります。

05よくある質問

うま味調味料は体に悪いの?

ふつうの食事で使う量で体に悪いと示した研究は見当たりません。欧州食品安全機関(EFSA)は体重1kgあたり1日30mg(グルタミン酸として)を許容量としています。ただし、空腹で一度に3g以上とると、まとまった症状が出る人がいるかもしれないと報告されています。

中華料理を食べると頭が痛くなるのは、うま味調味料のせい?

研究からは言い切れません。食事と一緒にMSGをとった6つの試験では、頭痛が増えたのは1つの試験の女性グループだけでした。塩分、量、お酒、空腹、睡眠不足など、ほかの条件が重なっていないかも記録で確かめてみてください。

自分はうま味調味料に敏感だと思う。本当にそうなの?

「敏感」と思う130人の二重盲検試験では、空腹で5gを飲むと偽物より症状が出やすくなりました。ただ、もう一度試すと同じ反応が出たのは半分ほどで、食事と一緒では反応がそろいませんでした。敏感さがあっても、条件はかなり限られると考えられます。

子どもに食べさせても大丈夫?

EFSAは、小さな子どもでは摂取量の見積もりが許容量を上回るグループがあると指摘しています。一方で、その見積もりは全体に多めに出ているとも評価しています。気になる場合は、加工食品やスープに頼りすぎない程度で十分です。

出典

  1. Geha RS, et al. (2000). Multicenter, double-blind, placebo-controlled, multiple-challenge evaluation of reported reactions to monosodium glutamate. Journal of Allergy and Clinical Immunology, 106(5), 973-980. https://doi.org/10.1067/mai.2000.110794
  2. Obayashi Y, Nagamura Y (2016). Does monosodium glutamate really cause headache? A systematic review of human studies. The Journal of Headache and Pain, 17, 54. https://doi.org/10.1186/s10194-016-0639-4
  3. Williams AN, Woessner KM (2009). Monosodium glutamate 'allergy': menace or myth? Clinical & Experimental Allergy, 39(5), 640-646. https://doi.org/10.1111/j.1365-2222.2009.03221.x
  4. EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (2017). Re-evaluation of glutamic acid (E 620), sodium glutamate (E 621), potassium glutamate (E 622), calcium glutamate (E 623), ammonium glutamate (E 624) and magnesium glutamate (E 625) as food additives. EFSA Journal, 15(7), 4910. https://doi.org/10.2903/j.efsa.2017.4910