先延ばし

何をしても先延ばしが直らない。ADHDかもと思ったら? 不注意と先延ばしの研究でわかったこと

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机の上の目覚まし時計
Photo: Solise / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

ToDoリストも、タイマーも、締め切りの工夫も試した。それでも先延ばしが直らない。「もしかしてADHDなのでは」と不安になる人は少なくありません。研究では、ADHDの症状のうち、特に不注意の強さが先延ばしと結びついていました。ただし先延ばしは誰にでもあることで、先延ばしだけでADHDかどうかは決まりません。不安なときは、自分の先延ばしの「型」を知り、必要なら専門家に相談するのが研究に沿った立て直し方です。

3行でわかる

  1. 11の研究(2,788人)をまとめた2026年のレビューでは、ADHDの症状が強い人ほど先延ばしが多く、中でも不注意との結びつきが最も強い傾向でした。
  2. 640人の調査では、不注意と先延ばしをつないでいたのは「待つのが苦手なこと」と「その作業の価値を低く感じること」でした。どれも相関の研究です。
  3. 先延ばしだけでADHDとは言えません。物忘れや集中しにくさが生活の多くの場面に広がり、困っているなら、医師に相談してください。

01 悩みの正体先延ばしが直らないのは、ADHDのせい?

ADHDの症状が強い人ほど、先延ばしが多い傾向はあります。ただ、先延ばしはほとんどの人が経験するもので、先延ばしが多いことだけでは、ADHDかどうかは判断できません。

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意、多動、衝動的な行動が続き、生活に支障が出ている状態です[3]。大人のADHDを見つけるための質問票にも「ぎりぎりまで物事を先延ばしにすることがどれくらいあるか」という質問が入っています[2]。

一方で、先延ばしは、ほとんどの人がどこかで経験する傾向とされています[3]。嫌な気分を避けたくなる、締め切りが遠いと手がつかない。こうした仕組みはADHDがない人にも働きます。詳しくは先延ばしと感情の研究や締め切りが遠いと動けない理由で紹介しています。

02 科学的にわかっていることADHDと先延ばしは、どう結びついている?

複数の研究で、ADHDの症状、特に不注意が強い人ほど先延ばしが多いことがわかっています。ただし、ほとんどが一時点の調査です。ADHDが先延ばしを生むという因果関係までは確かめられていません。

Suriano(2026)[1]

ADHDと先延ばしの関係を調べた11の研究(合わせて2,788人)を整理したシステマティックレビューです。どの研究でも、ADHDの症状が強いほど先延ばしが多い関係が見られました。最も強く結びついていたのは不注意でした。

対象: 11の研究、2,788人 / 限界: ほとんどが一時点の調査で、測り方も研究ごとに違います。著者は、因果関係は言えないとしています。

Netzer TurgemanとPollak(2026)[2]

18〜56歳の大人640人の調査です。研究計画は事前に登録されていました。不注意の症状が強い人ほど先延ばしが多く、その間をつないでいたのは「先の報酬を待つのが苦手なこと」と「その作業の価値を低く感じること」などでした。感情の整え方(気持ちの捉え直しや抑え込み)は、ほかの要因を考えに入れると、先延ばしとは関係していませんでした。

対象: オンラインで集めた大人640人(平均36歳) / 限界: 一時点の自己申告の調査で、原因と結果の向きは確かめられていません。

NiermannとScheres(2014)[4]

オランダの大学生54人で、ADHDの症状と先延ばしの関係を調べました。不注意は先延ばしの尺度と r = 0.51 の関連がありました。多動や衝動性は、不注意の影響を除くと、先延ばしとの関連がなくなりました。

対象: 大学生54人(うち女性50人)、ADHDと診断された人は含まない / 限界: 人数が少なく、著者自身が予備的な結果としています。

Netzer TurgemanとPollak(2025)[3]

24〜60歳の大人132人の調査で、ADHDの症状が強い人ほど先延ばしが多く、生活の質が低い傾向でした。ADHDの症状と生活の質の低さの関係の一部は、先延ばしを通して説明できました。先延ばしを減らすことが、暮らしやすさにつながる可能性を示しています。

対象: 大人132人 / 限界: 一時点の調査で、人数も多くありません。

研究対象わかったこと
Suriano(2026)11研究・2,788人ADHDの症状と先延ばしは一貫して関連。不注意が最も強い
Netzer TurgemanとPollak(2026)大人640人待つのが苦手・作業の価値を低く感じることが、不注意と先延ばしをつなぐ
NiermannとScheres(2014)大学生54人不注意と先延ばしが r = 0.51。多動・衝動性は不注意を除くと関連なし
Oguchiら(2025)ADHD傾向のある大学生24人先延ばしに絞った短い認知行動療法で、先延ばしが減った

この表は、上の研究をこのサイトで並べたものです。r は0から1の間の数字で、大きいほど関連が強いことを表します。0.51は、心理学の研究では比較的強い関連です。

03 今日からできる小さな一歩ADHDかもと不安なとき、まず何をすればいい?

自分の先延ばしが「待てない型」か「価値を感じない型」かを見て、それに合わせて作業を変えます。先延ばし以外の困りごとも生活に広がっているなら、医師に相談します。

1

「先が遠すぎる」なら、すぐ手に入るごほうびを作る

先の報酬を待つのが苦手だと、遠い締め切りの作業は後回しになりがちです[2]。作業を15分に区切り、終わるたびに印をつける、好きな飲み物を飲むなど、すぐに手に入る区切りを作ります。

所要 1分(準備)

2

「意味を感じない」なら、誰の役に立つかを1行書く

作業の価値を低く感じることも、先延ばしにつながっていました[2]。書き方は意味づけの研究で紹介しています。

所要 1分

3

先延ばし以外の困りごとも書き出す

忘れ物、なくし物、話を聞きながら集中が続かないなど、不注意の困りごとが、仕事・家・人間関係など複数の場面で長く続いているかを書きます。ADHDかどうかを判断するのは医師で、このメモは相談のときの材料になります。

所要 10分

04 続けるためのコツADHDかもしれない先延ばしは、相談すれば変わる?

変わる可能性があります。ADHD傾向のある日本の大学生24人に、先延ばしに絞った短い認知行動療法を行った研究では、先延ばしが減り、生活の満足度も上がりました。比べる対照群のない小さな研究です。

05よくある質問

先延ばしがひどいのは、ADHDだから?

そうとは限りません。ADHDの症状、特に不注意が強い人ほど先延ばしが多い傾向はありますが、先延ばしはほとんどの人が経験するものです。ADHDかどうかは、不注意や多動・衝動性が続いて生活に支障が出ているかを含めて、医師が判断します。

ADHDの人は、なぜ先延ばししやすい?

640人の調査では、不注意の症状と先延ばしをつないでいたのは、先の報酬を待つのが苦手なことと、その作業の価値を低く感じることなどでした。一時点の調査なので、原因と結果の向きはまだ確かめられていません。

ADHDのセルフチェックで高い点が出たら、ADHDなの?

質問票はADHDの可能性を見つけるためのもので、診断ではありません。ネットのチェックで高い点が出ても、それだけでADHDとは言えません。生活に困りごとが続いているなら、大人のADHDを診ている精神科や心療内科に相談してください。

ADHDの先延ばしは治療で減る?

ADHD傾向のある日本の大学生24人に、先延ばしに絞った短い認知行動療法を行った研究では、先延ばしが減り、生活の満足度が上がりました。ただし対照群のない小さな研究で、効果の大きさはこれからの研究を待つ必要があります。

出典

  1. Suriano, R. (2026). A systematic review on the association between ADHD and procrastination. Research in Developmental Disabilities, 175, 105342. https://doi.org/10.1016/j.ridd.2026.105342
  2. Netzer Turgeman, R., & Pollak, Y. (2026). What are you waiting for?! Roles of motivation, goal orientation, and emotion regulation in explaining the link between ADHD and procrastination. Journal of Attention Disorders, 30(5), 694–704. https://doi.org/10.1177/10870547251408120
  3. Netzer Turgeman, R., & Pollak, Y. (2025). Adult ADHD-related poor quality of life: Investigating the role of procrastination. Scandinavian Journal of Psychology, 66(5), 729–737. https://doi.org/10.1111/sjop.13117
  4. Niermann, H. C. M., & Scheres, A. (2014). The relation between procrastination and symptoms of attention-deficit hyperactivity disorder (ADHD) in undergraduate students. International Journal of Methods in Psychiatric Research, 23(4), 411–421. https://doi.org/10.1002/mpr.1440
  5. Oguchi, M., Furukawa, E., & Kumano, H. (2025). Effects of a procrastination intervention for Japanese university students with attention-deficit/hyperactivity disorder tendencies: An interrupted time series analysis. Journal of Cognitive Psychotherapy. https://doi.org/10.1891/jcp-2024-0028