先延ばし

自分で対策しても先延ばしが直らないときは? 先延ばしを減らすプログラムの研究でわかったこと

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壁に掛けたカレンダー
Photo: Claudio Elias / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

ToDoリストを書いた。タイマーも使った。それでもまた先延ばししてしまう。そんなとき「自分はダメだ」と思いがちですが、研究を見ると、1回のコツやアドバイスだけで先延ばしが変わらないのは珍しいことではありません。効果が確かめられているのは、数週間かけて自分の先延ばしの仕組みをほどいていくプログラムで、だれかの伴走があると続けやすくなります。

3行でわかる

  1. 2209人の大学生の試験では、1回だけのアドバイスを受けても、2か月後の先延ばしに差は出なかった。
  2. 認知行動療法をもとにした数週間のオンラインのプログラムでは、待機していた人より先延ばしが減り、403人の試験では効果が6か月後も続いた。
  3. ただし最後までやり切る人は多くない。途中で抜けたときの戻り方と、伴走してくれる人や仕組みを先に用意しておく。

01 悩みの正体先延ばしのコツが続かないのはなぜ?

先延ばしには、作業の嫌さ、締め切りまでの遠さ、自信のなさ、衝動性など、いくつもの原因が重なっているからです。1つのコツで1つの原因をつぶしても、ほかの原因が残ります。

「ToDoリストを作れば変わるはず」「タイマーを使えばできるはず」。そう思って試して、数日でもとに戻る。これはよくあることです。

Steel(2007)は、先延ばしに関わる要因を691の相関データでまとめたメタ分析で、強く一貫して先延ばしを予測する要因を挙げました[6]。

原因が複数あると、1つのコツで全部は解決しません。うまくいかなかったのは、あなたの意志の問題というより、対策が1つだけだったからかもしれません。先延ばしの原因の遺伝と改善については、先延ばしぐせは生まれつきかの研究でも整理しています。

02 科学的にわかっていること先延ばしは、何をすれば減ると確かめられた?

1回だけのアドバイスでは差が出ませんでした。一方、認知行動療法をもとにした数週間のプログラムでは、待機していた人より先延ばしが減りました。ただし途中でやめる人も多く、続ける工夫が課題です。

Åsbergら(2024)[1]

スウェーデンの大学生2209人を2つに分け、一方には先延ばしの診断結果へのフィードバックと行動のアドバイスを1回だけウェブで届けました。2か月後の先延ばしに、はっきりした差は見られませんでした。うまくいかなかった人からは、続けて支えてくれるものがないとアドバイスを行動に移せない、という声が出ていました。

対象: 大学生2209人(平均26.4歳) / 限界: 2か月後の回答率は介入群45%、対照群55%と低めでした。

Rozentalら(2015)[2]

先延ばしに悩む150人を、セラピストの支援つきのオンライン認知行動療法、支援なしの同じプログラム、待機の3つに分けました。支援つき・支援なしのどちらも、待機の人より先延ばしが減りました(効果量 d = 0.50〜0.81の中程度)。臨床的に意味のある改善があった人は、支援つきで31.3〜40.0%、支援なしで24.0〜36.0%。2つの間に統計的な差はありませんでした。

対象: スウェーデンで先延ばしに悩む成人150人 / 限界: 先延ばしは自分で答えるアンケートで測られています。

Amarnathら(2025)[3]

オランダの大学生403人の試験です。1回30〜40分のモジュールを週1回、4週間で5つ進めるプログラムを受けた人は、待機の人より先延ばしが減りました(d = 0.40)。効果は6か月後も続いていました。内容は、先延ばしの仕組みを知る、記録して自分のパターンをつかむ、考え方のくせを見直す、ぶり返しを防ぐ、の順でした。

対象: 大学生403人。心理学を学ぶ学生のコーチが文章でフィードバック / 限界: 著者らは、途中でやめた人がかなり多かったこと、比べた相手が待機の人だったことを限界に挙げています。

Mutterら(2023)[4]

ドイツ語で参加した大学生233人が、オンラインの先延ばしのプログラムを、人のコーチか、自動のデジタルコーチの伴走で受けました。12週間で両方とも先延ばしが減り、2つの間に差はありませんでした。ただし、モジュールの8割以上を終えた人は34〜36%にとどまりました。

対象: 大学生233人 / 限界: 何もしない群がなく、プログラム自体の効果は他の試験と合わせて読む必要があります。

Johanssonら(2023)[5]

スウェーデンの大学生3525人を追跡した研究では、先延ばしの度合いが高い人ほど、9か月後に、うつ・不安・ストレスの症状がやや高く、睡眠の質の悪さ、運動不足、孤独を抱えやすい傾向がありました。多くの要因を考慮したうえでの結果です。

対象: 大学生3525人(9か月後の回答率73%) / 限界: 観察研究なので、先延ばしが原因だとは言い切れません。

効果量(d)は差の大きさの目安です。0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きいと読みます。

03 今日からできる小さな一歩コツが効かなかった後、何から立て直す?

新しいコツを足すより、数週間かけて取り組む流れをつくります。自分の先延ばしを記録して原因をつかみ、途中で抜けたときの戻り方を決め、だれかや何かに伴走してもらうのが研究に近いやり方です。

1

1回のコツでなく、「週1回×4週間」の枠を決める

効果が確かめられたプログラムは、週1回30〜40分を4週間以上続けるものでした[3]。カレンダーに4回分の時間を先に入れ、毎回1つずつ見直します。

所要 週1回30分

2

先延ばしした場面を3つ書き出す

何を、いつ、どんな気持ちで後回しにしたかを書きます。プログラムでも、記録して自分のパターンをつかむところから始めていました[3]。「嫌さ」「遠さ」「自信のなさ」「誘惑」のどれが大きいかを見ます[6]。

所要 10分

3

原因ごとに対策を1つずつ当てる

嫌さが大きいなら先に5分だけ動く、遠さが大きいならいつ・どこでやるかまで書いたToDoのように、原因に合わせて選びます。

所要 5分

4

伴走してくれる人か仕組みを1つ用意する

支援の有無で大きな差はありませんでしたが[2]、1回のアドバイスだけの人からは「続けて支えてほしい」という声が出ていました[1]。週1回の進み具合を友人に伝える、リマインダーを入れるなど、続けて見てもらう形をつくります。

所要 5分

04 続けるためのコツプログラムを途中でやめてしまったら?

途中でやめる人は珍しくありません。試験でも8割以上を終えた人は3人に1人ほどでした。やめた所から再開すればよく、最初からやり直す必要はありません。

05よくある質問

先延ばしのコツを試しても効かないのは、意志が弱いからですか?

そうとは限りません。2209人の大学生の試験では、1回だけフィードバックとアドバイスを受けても、2か月後の先延ばしは受けなかった人と変わりませんでした。参加者からは、続けて支えてくれるものがないと、アドバイスを行動に移すのが難しいという声が出ていました。

先延ばしのプログラムは、どれくらいの期間で効果が出ますか?

研究で使われたプログラムは、週1回ほどのペースで4〜12週間かけて進めるものでした。403人の大学生の試験では、4週間のプログラムのあとに先延ばしが減り、その効果は6か月後も続いていました。数日で変わるものではなく、数週間かけて取り組むものと考えるのが現実的です。

人に見てもらわないと効果はないのですか?

150人を対象にした試験では、セラピストの支援がある形と、ない形のどちらも待機していた人より先延ばしが減り、2つの間に統計的な差は見られませんでした。別の試験では、人の代わりにデジタルのコーチが伴走しても効果は劣りませんでした。ただ、どの試験でも途中でやめる人が多く、続ける仕組みは大切です。

出典

  1. Åsberg, K., Löf, M., & Bendtsen, M. (2024). Effects of a single session low-threshold digital intervention for procrastination behaviors among university students (Focus): Findings from a randomized controlled trial. Internet Interventions, 36, 100741. https://doi.org/10.1016/j.invent.2024.100741
  2. Rozental, A., Forsell, E., Svensson, A., Andersson, G., & Carlbring, P. (2015). Internet-based cognitive-behavior therapy for procrastination: A randomized controlled trial. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 83(4), 808-824. https://doi.org/10.1037/ccp0000023
  3. Amarnath, A., Ozmen, S., van Klaveren, C., van Straten, A., Pei, J., de Wit, L., Raabe, R. E., Cuijpers, P., & Struijs, S. Y. (2025). Effectiveness of a guided internet-based intervention in reducing procrastination among university students: A randomized controlled trial. Internet Interventions, 42, 100878. https://doi.org/10.1016/j.invent.2025.100878
  4. Mutter, A., Küchler, A.-M., Idrees, A. R., Kählke, F., Terhorst, Y., & Baumeister, H. (2023). StudiCare procrastination: Randomized controlled non-inferiority trial of a persuasive design-optimized internet- and mobile-based intervention with digital coach targeting procrastination in college students. BMC Psychology, 11, 273. https://doi.org/10.1186/s40359-023-01312-1
  5. Johansson, F., Rozental, A., Edlund, K., Côté, P., Sundberg, T., Onell, C., Rudman, A., & Skillgate, E. (2023). Associations between procrastination and subsequent health outcomes among university students in Sweden. JAMA Network Open, 6(1), e2249346. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2022.49346
  6. Steel, P. (2007). The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review of quintessential self-regulatory failure. Psychological Bulletin, 133(1), 65-94. https://doi.org/10.1037/0033-2909.133.1.65