気分・ストレス

人前で恥ずかしい失敗をした後、どう立て直す?「思ったほど見られていない」研究でわかったこと

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劇場のスポットライト
Photo: Blondinrikard Fröberg from Göteborg, Sweden / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

会議で言い間違えた。人前で転んだ。名前を呼び間違えた。そんな場面が、夜になっても頭の中で何度も再生されることがあります。研究では、失敗した本人は「みんなに見られた」「ひどく思われた」と、実際より大きく見積もりやすいことが、複数の実験で示されています。立て直しの第一歩は、その見積もりのずれを知ることです。

3行でわかる

  1. 人は、自分の見た目や言動が周りに気づかれる度合いを、実際より大きく見積もる。これは「スポットライト効果」と呼ばれ、5つの実験で確かめられた。
  2. 失敗した本人は、周りから実際より厳しく評価されると予想していた。4つの研究で、本人が失敗そのものに意識を集中しすぎることが原因の一つとされた。
  3. 恥ずかしさを見せることは、むしろ「信頼できる人」という印象につながっていた。立て直しは、見積もりを直し、自分に友だちと同じ言葉をかけることから始められる。

01 悩みの正体人前の失敗が頭から離れないのはなぜ?

失敗した本人にとって、その出来事は何より強く記憶に残るからです。その強い体験を基準に「周りも同じくらい気にしているはず」と考えてしまうことが、研究で示されています。

自分の失敗は、自分にとっては一日の中で一番大きな出来事です。でも、周りの人にとっては、たくさんある出来事の一つにすぎません。

研究者は、この見え方の差を「スポットライト効果」と呼びました。自分にだけスポットライトが当たっているように感じる心のくせです。人は自分の体験を出発点にして、他人の見方を想像します。ところが、そこからの調整が足りないため、注目されている度合いを大きく見積もってしまうと考えられています。

嫌な出来事を何度も考えてしまうこと自体は、誰にでも起きます。考えが止まらない夜の対処は、反芻から抜け出す方法の記事でもまとめています。

02 科学的にわかっていること失敗した自分は、本当に厳しく見られている?

本人が思うほどは見られておらず、本人が思うほど厳しくも評価されていませんでした。同じ研究グループの3本の論文と、別の研究者による追加の研究が、この傾向を示しています。

本人の思いこみ研究でわかったこと
みんなに気づかれた気づいた人の数を多く見積もっていた [1]
ひどい人だと思われた実際の評価は予想より厳しくなかった [2]
見ている人は容赦しない見ている側は、本人の立場を想像して大目に見ていた [3]
恥ずかしがると印象が悪い恥ずかしさを見せた人は信頼されやすかった [4]

Gilovichら(2000)[1]

気恥ずかしい柄、または好ましい柄のTシャツを着て部屋に入った人は、柄を覚えている人の数を実際より多く見積もった。グループで話し合う実験でも、参加者は自分の良い発言・悪い発言が周りの印象にどれだけ残ったかを大きく見積もっていた。

対象: 5つの実験 / 限界: 短い実験の場面での結果で、職場や長い付き合いの相手でも同じ程度かはわからない。大規模な追試の結果は、この記事では確認できなかった。

Savitskyら(2001)[2]

人前での失敗を想像した人、実際に人前で問題が解けなかった人、恥ずかしい形で紹介された人は、いずれも周りから実際より厳しく評価されると予想していた。原因の一つは、本人が失敗そのものに意識を集中しすぎて、周りの人が状況も考えて判断することを想像できないことだった。

対象: 4つの研究 / 限界: 1回きりの場面での評価を調べたもので、同じ失敗をくり返した場合については扱っていない。

Epleyら(2002)[3]

見ている人は、相手の立場に立ちやすい場面では、失敗をその人の性格のせいにする判断をゆるめていた。ところが失敗した本人は、この「大目に見る」働きを考えに入れず、厳しく判断されると見積もっていた。

対象: 実験研究 / 限界: 見ている人が本人の状況を想像しにくい場面(初対面で事情を知らない等)では、評価がもっと厳しくなる可能性がある。

Feinbergら(2012)[4]

恥ずかしさを表した人は、別の感情を見せた人や無表情の人より、思いやりがあると評価された。見ている人は、その人をより信頼し、仲良くなりたいと答えた。

対象: 5つの研究 / 限界: 実験の場面での評価で、深刻な失敗でも同じように働くかはわからない。

Learyら(2007)[5]

自分を思いやる傾向(セルフ・コンパッション)が低い人は、気まずい場面での自分の様子を録画で見たとき、見ている人の評価より低く採点していた。自分を思いやる見方を促された人は、出来事への自分の責任を認めつつも、つらい感情に押しつぶされにくかった。

対象: 5つの研究 / 限界: 自分を思いやる見方をどのくらい続ければ効果が残るかは示されていない。

別の研究者による実験でも、人から評価される緊張が高い条件ほど、スポットライト効果が強く、自分の出来を低く見ていました[6]。緊張している場面ほど「見られている」感覚は大きくなりやすい、ということです。

03 今日からできる小さな一歩恥ずかしい失敗の後、まず何をすればいい?

「自分の見積もりは大きすぎるかもしれない」と知ることから始めます。次に、見ていた人の立場から出来事を眺め直し、必要なら短く一言添えて終わりにします。

1

「覚えている人は、自分が思うより少ない」と言葉にする

頭の中で場面が再生されたら、「これはスポットライト効果かもしれない」と心の中で名前をつけます。気持ちに名前をつけるだけで落ち着きやすいことも研究されています(気持ちを言葉にする研究の記事)。

所要 10秒

2

見ていた人の一日を想像してみる

あの場にいた人も、そのあとは自分の仕事や予定に戻っていったはずだ、と想像してみます。研究では、見ている人は状況や事情も考えて判断していました。「あの人は今、何を考えているだろう」と1分だけ想像します。

所要 1分

3

友だちが同じ失敗をしたら、何と声をかけるか書く

紙かスマホのメモに、友だちへの言葉として書き、それを自分宛てに読み直します。自分を思いやる見方は、責任から逃げることではありません。責任を認めたうえで、つらさを小さくする方法です。

所要 3分

4

迷惑をかけた相手がいるなら、一言だけ添える

「さっきは失礼しました」と短く伝えれば十分なことが多いです。研究では、恥ずかしさを見せた人は、信頼を下げるより、むしろ信頼されやすくなっていました。

所要 1分

04 続けるためのコツ次に人前に出るのが怖くなったら、どうする?

緊張が高いほど「見られている」感覚は強まるとわかっています。次の場面の前に、その感覚自体が大きめに出るものだと思い出しておくと、気持ちを立て直しやすくなります。

05よくある質問

人前での失敗を、周りの人は覚えている?

本人が思うほどは覚えていないことが多いと考えられています。目立つTシャツを着て部屋に入る実験では、着た本人は、柄に気づいた人の数を実際より多く見積もっていました。

失敗した後、恥ずかしそうにしていると印象は悪くなる?

悪くなるとは限りません。5つの研究では、恥ずかしさを表した人は、別の感情を見せた人や無表情の人より、思いやりがあり信頼できる人だと見られていました。

恥ずかしい記憶を何度も思い出してしまうのはなぜ?

失敗した本人は、その出来事に意識が集中しやすいためです。研究では、この集中が、周りの人が状況を考えて大目に見てくれることを想像しにくくさせていました。

恥ずかしさで眠れない夜はどうすればいい?

「友だちが同じ失敗をしたら、自分はどう思うか」を考えてみる方法があります。自分を思いやる見方を促された人は、出来事の責任を認めつつも、つらい感情に押しつぶされにくかったと報告されています。

出典

  1. Gilovich, T., Medvec, V. H., & Savitsky, K. (2000). The spotlight effect in social judgment: An egocentric bias in estimates of the salience of one's own actions and appearance. Journal of Personality and Social Psychology, 78(2), 211-222. https://doi.org/10.1037/0022-3514.78.2.211
  2. Savitsky, K., Epley, N., & Gilovich, T. (2001). Do others judge us as harshly as we think? Overestimating the impact of our failures, shortcomings, and mishaps. Journal of Personality and Social Psychology, 81(1), 44-56. https://doi.org/10.1037/0022-3514.81.1.44
  3. Epley, N., Savitsky, K., & Gilovich, T. (2002). Empathy neglect: Reconciling the spotlight effect and the correspondence bias. Journal of Personality and Social Psychology, 83(2), 300-312. https://doi.org/10.1037/0022-3514.83.2.300
  4. Feinberg, M., Willer, R., & Keltner, D. (2012). Flustered and faithful: Embarrassment as a signal of prosociality. Journal of Personality and Social Psychology, 102(1), 81-97. https://doi.org/10.1037/a0025403
  5. Leary, M. R., Tate, E. B., Adams, C. E., Allen, A. B., & Hancock, J. (2007). Self-compassion and reactions to unpleasant self-relevant events: The implications of treating oneself kindly. Journal of Personality and Social Psychology, 92(5), 887-904. https://doi.org/10.1037/0022-3514.92.5.887
  6. Brown, M. A., & Stopa, L. (2007). The spotlight effect and the illusion of transparency in social anxiety. Journal of Anxiety Disorders, 21(6), 804-819. https://doi.org/10.1016/j.janxdis.2006.11.006