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風邪をひくと食べものの味がしないのはなぜ? 鼻づまりとにおいの研究でわかった仕組み

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おわんに入ったみそ汁
Photo: Douglas Perkins / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

風邪をひくと、好きなものを食べても味がぼんやりする。舌がおかしくなったのかと不安になりますが、原因の多くは鼻にあります。食べものの風味の大部分は、口から鼻の奥へ抜けるにおいで感じているからです。風邪の研究では、鼻づまりが強い人ほどにおいの感度が落ちていました。

3行でわかる

  1. 「味」と感じているものの多くは、口の中から鼻の奥へ抜けるにおいです。においは食べものの風味を大きく左右しています。
  2. 風邪のウイルスを鼻に入れた実験では、風邪をひいた人はにおいの感度が落ち、その落ち方は鼻づまりの強さと関係していました。
  3. 甘い・しょっぱいなど舌で感じる味は残ります。多くは一時的で、鼻の症状が引くころに戻っていきます。

01 悩みの正体食べものの「味」は、舌だけで感じている?

舌だけではありません。舌で感じるのは甘い・しょっぱい・すっぱい・苦い・うま味です。いちごらしさやカレーらしさといった風味の多くは、鼻で感じるにおいです。

においには、2つの通り道があります。1つは、鼻から吸いこむにおいです。もう1つは、食べものをかんだり飲みこんだりしたときに、口の奥から鼻の奥へ上がっていくにおいです。こちらを「口中香(こうちゅうこう)」と呼びます。

口中香は口の中で感じているように思えるので、私たちは「味」だと受け取ります。においの研究者は、においが食べものや飲みものの風味を大きく決めていると説明しています [1]。

においを感じる場所は、鼻の奥の天井近くにあります。風邪で鼻の中がはれたり、鼻水がたまったりすると、においの分子がそこまで届きにくくなります。だから、舌は元気でも「味がしない」と感じるのです。

02 科学的にわかっていること風邪のとき、においはどれくらい落ちる?

風邪のウイルスを鼻に入れた実験では、風邪をひいた人だけにおいの感度が落ちました。落ち方は鼻づまりの強さと関係し、鼻水の量とは関係していませんでした。

Akerlundら(1995)[2]

学生のボランティアの鼻に、風邪のウイルス(コロナウイルス229E)を入れる実験です。入れる前と4日後に、においをどれだけ薄くても感じられるかを測りました。風邪をひいた9人は、ひかなかった人よりにおいの感度が落ちていました。感度の落ち方は鼻づまりの強さと関係し、鼻水の量とは関係していませんでした。

対象: 学生のボランティア(風邪をひいたのは9人) / 限界: 人数が少なく、使ったウイルスは1種類です。

Hummelら(1998)、Dotyらの総説(2001)より [1]

自然に風邪をひいた36人を、発症から2・4・6・35日目に調べた研究です。風邪の間は鼻の通りが悪くなり、においの感度とにおいの強さの感じ方が落ちていました。においの成績は、発症から数日たって鼻水がねばってくる時期に、回復に向かっていました。鼻づまりとは別に、風邪そのものがにおいの神経に影響している可能性も示されています。

対象: 男女18人ずつ / 限界: 総説での紹介をもとにしており、原著の数値は確認できていません。

鼻クリップで鼻の奥への通り道をふさぐと研究の結果
ステビアの「おいしさ・苦さ」の評価差はなかった(34人) [4]
ステビアへの脳の反応においや快さに関わる場所で小さくなった [4]
砂糖水の「口の中に広がる感じ」弱まり、脳の反応も小さくなった(34人) [5]

Koら(2026)[4]

健康な大人34人に、鼻クリップをつけた状態とつけない状態でステビア(甘味料)を味わってもらい、脳の反応を調べました。鼻クリップをつけると、においを処理する場所や、快さに関わる場所の反応が小さくなりました。ただ、本人が答えたおいしさや苦さの評価には差がありませんでした。著者らは、口から鼻へ抜ける経路は、本人が気づかないところで味の処理に関わっていると考えています。

対象: 平均25歳の34人 / 限界: 研究費の一部は甘味料の会社から出ています。風邪の人を調べた研究ではありません。

Huartら(2020)[3]

新型コロナの人10人、風邪の人10人、健康な人10人のにおいと味を、検査キットで比べました。結果から、新型コロナでにおいが消える仕組みは、風邪とはちがう可能性が示されました。風邪では鼻水や鼻づまりと一緒ににおいが落ちることが多い一方、新型コロナでは鼻の症状がないままにおいが消えることが多いと説明されています。

対象: 年齢と性別をそろえた30人 / 限界: 1グループ10人の小さな研究です。

03 今日からできる小さな一歩風邪で味がしないとき、どう食べればいい?

舌で感じる味は残っているので、甘さ・塩気・酸味など、においに頼らない手がかりで食べやすくします。においがしない間は、傷んだ食べものに気づきにくい点に注意します。

1

舌で感じる味を手がかりにする

甘い・しょっぱい・すっぱいは舌で感じる味です。梅干しやみそ汁のように、舌で感じる味がはっきりしたものを選ぶのも1つの方法です。塩分のとりすぎには気をつけます。

所要 いつもの食事のまま

2

期限は目で確かめる

においは、傷んだ食べものやガスもれ、煙に気づく警報の役目もしています [1]。においがしない間は、牛乳や作りおきの期限をラベルで確かめます。

所要 10秒

3

鼻の症状と一緒に変化を見る

風邪では、鼻づまりが強いほどにおいの感度が落ちていました [2]。鼻の通りがよくなってきたら、においも戻ってくるかを確かめます。

所要 1日1回、気づいたとき

04 続けるためのコツ味やにおいが戻らないときは、どうする?

風邪のあとのにおいの低下は、多くが一時的です。ただし、風邪が治ってもにおいが戻らないときや、鼻がつまっていないのに急ににおいが消えたときは、医療機関に相談しましょう。

05よくある質問

風邪で味がしないのは、どれくらいで戻る?

風邪の人36人を調べた研究では、においの感度は鼻の症状が強い時期に落ち、発症から数日たって鼻水がねばってくる時期に、回復に向かっていました。多くは一時的です。ただし、年をとってからの風邪のあとに、においが戻りにくい例も報告されています。

風邪の味覚障害と、コロナのにおいの消え方はちがう?

ちがうと考えられています。風邪では鼻づまりや鼻水と一緒ににおいが落ちることが多いのに対し、新型コロナでは鼻がつまっていないのに、においだけが急に消えることが多いと報告されています。におい・味の検査で両者を比べた研究でも、仕組みがちがう可能性が示されました。

鼻をつまむと、甘さも感じなくなる?

甘さそのものは舌で感じるので、消えはしません。34人に鼻クリップをつけてもらった実験では、ステビアのおいしさや苦さの評価に差はありませんでした。一方で、砂糖水では「口の中に広がる感じ」が弱まり、脳の反応も小さくなっていました。

においがしないとき、気をつけることは?

においは、傷んだ食べもの、ガスもれ、煙に気づくための警報の役目もしています。においがしない間は、食べものの期限を目で確かめる、ガス機器の火の消し忘れに気をつけるなど、においに頼らない確認をしましょう。

出典

  1. Doty RL, Mishra A (2001). Olfaction and its alteration by nasal obstruction, rhinitis, and rhinosinusitis. The Laryngoscope, 111(3), 409-423. https://doi.org/10.1097/00005537-200103000-00008
  2. Akerlund A, Bende M, Murphy C (1995). Olfactory threshold and nasal mucosal changes in experimentally induced common cold. Acta Oto-Laryngologica, 115(1), 88-92. https://doi.org/10.3109/00016489509133353
  3. Huart C, Philpott C, Konstantinidis I, et al. (2020). Comparison of COVID-19 and common cold chemosensory dysfunction. Rhinology, 58(6), 623-625. https://doi.org/10.4193/Rhin20.251
  4. Ko HK, Shi J, Eidenberger T, Shi W, McCabe C (2026). The Neural and Perceptual Effects of Stevia During Retronasal Occlusion. European Journal of Neuroscience, 63(7), e70469. https://doi.org/10.1111/ejn.70469
  5. Ko HK, Shi J, Eidenberger T, Shi W, McCabe C (2025). Retro nasal blockade reduces the neural processing of sucrose in the human brain. IBRO Neuroscience Reports, 19, 886-893. https://doi.org/10.1016/j.ibneur.2025.10.020