辛いものを食べて口が痛いときは? 水・牛乳・炭酸、どれが効くかを研究で調べた

辛いものを食べて、口の中が燃えるように痛い。水をがぶ飲みしても、なかなか治まらない。そんなときは、牛乳を一口ふくむのが研究ではいちばん効きました。72人に辛いトマトジュースを飲んでもらった実験で、牛乳は飲んで10秒後には痛みを約半分にしていました。手元に牛乳がなくても、甘い飲み物や冷たい水で和らげられます。
3行でわかる
- 辛さの痛みは味ではなく、熱い物でやけどしそうなときに働くセンサーが、カプサイシンという成分で反応して起きます。
- 72人の実験では、どの飲み物も何も飲まないより痛みを減らしました。水より効いたのは牛乳(普通・低脂肪とも)と甘いフルーツ飲料だけでした。
- 冷たい飲み物ほど効き、炭酸は効きにくい結果でした。何もしなくても痛みは2分ほどでかなり弱まります。
01 悩みの正体辛いものを食べると、なぜ口が痛くなる?
唐辛子の辛さは、カプサイシンが「熱い・痛い」を感じる神経のセンサーを動かすからです。舌は本当にやけどしたわけではありませんが、脳には熱い痛みとして届きます。
唐辛子の辛さのもとは、カプサイシンという成分です。カテリナらの研究(1997年)は、この成分が反応する神経のセンサーを見つけました。同じセンサーは、やけどしそうなほどの熱でも動きます。だから辛いものは「熱い」「ヒリヒリ痛い」と感じるのです。
カプサイシンは水に溶けにくい性質があります。このため「水を飲んでも流れない」「油や牛乳の脂肪が効く」と昔から言われてきました。では、実際に飲み物で比べるとどうなるのでしょうか。
02 科学的にわかっていること辛さの痛みには、どの飲み物が効く?
辛さの痛みには、牛乳と甘い飲み物が水よりよく効きました。牛乳は脂肪の量に関係なく効き、冷たいほど効きます。炭酸は効きにくい結果でした。
| 飲み物 | 水と比べた結果(ノルデンら2019) |
|---|---|
| 普通の牛乳・低脂肪乳 | 水よりよく効いた(2つに差なし) |
| 甘いフルーツ飲料 | 水よりよく効いた |
| コーラ・炭酸水・ノンアルコールビール | 水と同じくらい(炭酸は全体に効きにくい) |
| 何も飲まない | 水を飲んだときより痛みが強かった |
Nolden AA, Lenart G, Hayes JE(2019)[1]
辛いトマトジュース30mLを飲んだ直後に、7種類の飲み物を40mLずつ飲んで、痛みを10秒ごとに2分間つけてもらいました。どの飲み物も、何も飲まないより痛みを減らしました。水より効いたのは、普通の牛乳、低脂肪乳、甘いフルーツ飲料の3つです。牛乳は飲んで10秒後に痛みを約半分にしていました。
対象: アメリカの大学で集めた20〜45歳の72人(女性42人、男性30人)。 / 限界: 辛い物も飲み物で、ご飯やヨーグルトなどの食べ物は調べていません。お酒入りのビールも調べていません。
Nolden AAら(2019)[1]
「脂肪が多いほど効く」という予想は外れました。脂肪3.25%超の普通の牛乳と、0.5%未満の低脂肪乳で、効き目に差はありませんでした。著者らは、脂肪よりも牛乳のたんぱく質(カゼイン)が効いているのかもしれないと考えています。
補足: 仕組みはまだ確かめられていません。炭酸の入った3種類は、冷たくても効きにくい傾向でした。
Nasrawi CW, Pangborn RM(1990)[2]
口をすすぐ液を比べた古い実験でも、すすぐと辛さは減りました。5℃の冷たい液は20℃の液より効きました。10%の砂糖水(20℃)と冷たい牛乳(5℃)は同じくらい効き、5%のアルコール液は水と変わりませんでした。砂糖を加えた牛乳では、脂肪0%と10%で差はありませんでした。
対象: 唐辛子をよく食べる人と食べない人。 / 限界: カプサイシンを溶かした液を使った実験で、ふだんの料理とは条件が違います。
Nolden AA, Hayes JE(2017)、Siebert Eら(2022)[3][4]
唐辛子をあまり食べない人ほど、同じ辛さを強く感じていました。辛いものをよく食べる人は、神経が慣れて痛みを感じにくくなるとレビューは説明しています。
限界: よく食べる人と食べない人を比べた研究が中心で、「食べ続ければ慣れる」と確かめた実験ではありません。
03 今日からできる小さな一歩辛くて口が痛いとき、まず何をする?
辛くて口が痛いときは、冷たい牛乳を一口ふくんで、口の中に行き渡らせてから飲みます。牛乳がなければ甘い飲み物か冷たい水にして、炭酸は避けます。
牛乳を一口ふくむ
実験では40mL、大さじ3杯ほどでした。低脂肪乳でもかまいません。冷蔵庫から出したての冷たいものが向いています。
所要 10秒
牛乳がなければ、甘い飲み物か冷たい水
甘いジュースは牛乳に近い効き目でした。水なら、ぬるいものより冷たいものを選びます。
所要 10秒
炭酸やお酒に頼らない
コーラや炭酸水は水と同じくらいでした。アルコールの入った液も、水より効きませんでした。
所要 0分
2分ほど待つ
実験では、辛いジュースの痛みは2分のあいだに下がり続け、「弱い」をやや上回る程度になりました。痛みは長くは続かないと知っておくと、慌てずにすみます。
所要 2分
04 続けるためのコツ次から辛さで困らないためには?
次に辛い料理を食べるときは、牛乳か甘い飲み物を先にそばに置いておくと安心です。痛みが長引く、腫れる、息苦しいときは、医療機関に相談してください。
- 飲み物を先に用意する: 辛い料理を頼むときは、牛乳や甘い飲み物を一緒に頼んでおきます。調べた実験はどれも、痛くなってから飲む方法でした。
- 辛さは少しずつ上げる: よく食べる人ほど辛さを弱く感じていました。いきなり激辛に挑むより、一段ずつ上げるほうが楽です。
- 女性はやや強く感じやすい: 実験では、女性のほうが同じ辛さをやや強くつけていました。ただ、飲み物で痛みが減る割合は、炭酸水を除いて男女で差がありませんでした。
05よくある質問
辛いときに水を飲むと、かえって辛くなる?
研究では、水を飲んでも何も飲まないよりは痛みが減りました。かえって辛くなることはありませんでした。ただし、牛乳や甘い飲み物のほうが水よりよく効きます。水を飲むなら、ぬるいものより冷たいものが向いています。
辛さを消すなら、低脂肪乳より普通の牛乳がいい?
72人の実験では、普通の牛乳と低脂肪乳の効き目に差はありませんでした。1990年の実験でも、砂糖を加えた脂肪0%と10%の牛乳で差はありませんでした。家にある牛乳で大丈夫です。
ご飯やパン、ヨーグルトは辛さに効く?
今回調べた実験は飲み物だけを比べたもので、ご飯やパン、ヨーグルト、アイスは調べていません。著者らも、食べ物でどれが一番かは言えないとしています。
出典
- Nolden AA, Lenart G, Hayes JE (2019). Putting out the fire – Efficacy of common beverages in reducing oral burn from capsaicin. Physiology & Behavior, 208, 112557. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6620146/
- Nasrawi CW, Pangborn RM (1990). Temporal effectiveness of mouth-rinsing on capsaicin mouth-burn. Physiology & Behavior, 47(4), 617-623. https://doi.org/10.1016/0031-9384(90)90067-e
- Nolden AA, Hayes JE (2017). Perceptual and affective responses to sampled capsaicin differ by reported intake. Food Quality and Preference, 55, 26-34. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5383096/
- Siebert E, Lee SY, Prescott MP (2022). Chili pepper preference development and its impact on dietary intake: A narrative review. Frontiers in Nutrition, 9, 1039207. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9795841/
- Caterina MJ, Schumacher MA, Tominaga M, Rosen TA, Levine JD, Julius D (1997). The capsaicin receptor: a heat-activated ion channel in the pain pathway. Nature, 389, 816-824. https://doi.org/10.1038/39807


