アスパラを食べるとおしっこがにおうのはなぜ? 気づく人と気づかない人がいる理由を研究で調べた

アスパラガスを食べたあと、トイレでいつもと違うにおいに気づいて驚いたことはありませんか。これは病気ではなく、昔から知られている現象です。においのもとは、アスパラにしかない硫黄を含む成分です。そして研究では、においを「作る量」と「嗅ぎ分ける鼻」の両方に個人差があることがわかってきました。
3行でわかる
- においのもとは、アスパラにしかない「アスパラガス酸」という硫黄の成分と考えられています。体の中で分解され、メタンチオールなど硫黄のにおいの成分がおしっこに出ます。
- においに気づかないのは、鼻の「におい受容体」の遺伝子の違いが関わっていました。においを作る量の少ない人も、38人の実験で1割弱いました。
- においは食べてまもなく強まり、半分に減るまで4.7〜7.2時間という推定です。食べた本数が多いほど強くなりました。
01 悩みの正体アスパラでおしっこがにおうのはなぜ?
アスパラを食べるとおしっこがにおうのは、アスパラだけにある硫黄の成分が体の中で分解され、においの強い硫黄の化合物として尿に出るためと考えられています。
においは「煮たキャベツのよう」「硫黄のよう」と表現されます。18世紀にはベンジャミン・フランクリンも書き残しているほど、昔から知られた現象です。
ペギウらのレビュー(2019年)によると、アスパラには「アスパラガス酸」という硫黄を含む成分があります。ほかの野菜には見られない、アスパラ特有の成分です。これがにおいのもとの最有力候補とされています。
尿からは、メタンチオールやジメチルスルフィドなど、硫黄のにおいの成分が見つかっています。これまでの研究で報告された候補は29種類にのぼります。ただ、1つの成分ではなく、いくつかが混ざったにおいだと考えられています。アスパラガス酸からこれらの成分ができる道すじも、案は出ていますが、まだ確かめられていません。
02 科学的にわかっていることにおいに気づかない人がいるのはなぜ?
においに気づかない理由は2つあります。においの成分をあまり作らない人と、その成分を嗅ぎ分けにくい鼻を持つ人がいるためです。嗅ぎにくさは、におい受容体の遺伝子の違いと結びついていました。
| 調べ方 | 「気づかない」人の割合 |
|---|---|
| アンケートで質問(アメリカ6,909人) | 男性58.0%、女性61.5% [2] |
| 2つの尿を嗅ぎ比べる試験(31人) | 嗅ぎ分けられない人 6.4% [1] |
| 同じ試験で、においを作る量を判定(37人) | 他人が嗅いでもわからない尿の人 8.1% [1] |
Pelchat ML ほか(2011)[1]
大人38人が、焼いたアスパラ125gを食べた日とパンを食べた日の尿を集めました。食べて2時間後の尿を、ほかの参加者がどちらがアスパラのあとか嗅ぎ比べました。37人中3人(8.1%)は、においの成分を嗅ぎ取れるほど作っていませんでした。31人中2人(6.4%)は、においを嗅ぎ分けられませんでした。両方に当てはまる人は1人でした。
遺伝子: 嗅ぎ分ける力は、におい受容体の遺伝子「OR2M7」の近くにある違い(rs4481887)と関係していました。白人の参加者では、嗅ぎ分ける力の違いの約3分の1がこれで説明されました。においを作る量とは関係しませんでした。 / 限界: 人数が少なく、ふだんアスパラをどれくらい食べるかは調べていません。
Markt SC ほか(2016)[2]
ヨーロッパ系のアメリカ人6,909人に「アスパラを食べたあと、尿に強い独特のにおいがする」かを尋ねました。「強くそう思う」以外の人を「気づかない」と数えると、全体の60.3%でした。遺伝子を調べると、1番染色体のにおい受容体の遺伝子が集まる場所で、871か所の違いが関係していました。
対象: 平均年齢は75〜78歳の看護師・医療職のグループ。 / 限界: 自己申告で、においを作れない人と嗅げない人を区別できていません。ヨーロッパ系以外の人にも当てはまるかは不明だと著者らは書いています。
Lison M ほか(1980)[3]
イスラエルで、薄めた尿のにおいを嗅ぐ試験をしました。自分の尿でにおいに気づく人は、アスパラを食べたほかの誰の尿でも、においを嗅ぎ取れました。307人のうち10%は、かなり薄めてもにおいに気づく「敏感な人」でした。
注意: この研究は「においは誰でも作っている」と結論しましたが、のちの研究[1]では、においを作る量が少ない人も見つかっています。
アンケートと嗅ぎ比べで割合が10倍近く違うのは、調べ方の違いが大きいためです。アンケートでは「気にしたことがない」人も「気づかない」に入ります。嗅ぎ比べの試験では、ふだん気にしない人でも、比べれば多くの人が嗅ぎ分けられました。
03 今日からできる小さな一歩アスパラのにおいは何時間で消える?
アスパラを食べたあとのにおいは、食べてまもなく強まり、数時間かけて薄れます。半分に減るまでの時間は、4.7時間と7.2時間という推定があります。食べた本数が多いほど強くなりました。
Ramamoorthy A ほか(2018)・Facius A ほか(2019)[4][5]
学会の参加者などに、くじで決めた本数(0〜15本)のアスパラを食べてもらい、尿のにおいを自分で記録してもらいました。87人の分析では、においの強さが半分になるまで4.7時間でした。別の会社の42人を加えた139人の分析では、においのもとが吸収される速さは半減期25分と推定され、半分に減るまで7.2時間でした。
限界: においの強さは本人の申告です。年齢が高い人ほど、においが強く長く続く傾向がありました(腎臓の働きの変化が関係すると著者らは推測しています)。
においは「アスパラのせい」と知っておく
アスパラを食べた日のにおいは、昔から知られる反応です。研究では、食べて2時間後の尿ではっきり嗅ぎ分けられました。
所要 0分
気になる日は本数を控えめに
試験では、食べた本数が多いほどにおいが強くなりました。大事な予定の前は量を減らすのが手です。
所要 0分
半日ほどで薄れるのを待つ
半分に減るまで約5〜7時間という推定です。翌日には、かなり薄れている計算になります。
所要 数時間
04 続けるためのコツアスパラのにおいで気をつけることは?
アスパラを食べたあとのにおいは、それだけなら心配のいらない反応です。ただし、アスパラを食べていないのにおしっこのにおいが変わる、痛みや熱がある、といった場合は医療機関に相談してください。
- においに気づかなくても普通: 気づかない人は珍しくなく、アンケートでは半数を超えました。鼻の働きが全体に弱いわけでもありません。38人の実験では、バラのにおいの感度はみな正常でした。
- アスパラを避ける理由にはならない: 研究者は、においを作れない・嗅げないことで困る病気は知られていないと書いています。
- 食べもののにおいの悩みは他にも: ニンニクの口臭はりんご・牛乳が効くかを調べた記事、玉ねぎで涙が出る理由は玉ねぎの涙の記事もどうぞ。
05よくある質問
アスパラを食べておしっこがにおうのは病気?
アスパラを食べたあとのにおいは、アスパラ特有の硫黄の成分によるもので、昔から知られる反応です。病気のサインではありません。ただ、アスパラを食べていないのににおいが続く、痛みや熱があるときは、医療機関に相談してください。
アスパラを食べてもにおわないのはおかしい?
おかしくありません。6,909人のアンケートでは6割が「強いにおいに気づかない」と答えました。においの成分を嗅ぎ分けにくい人(31人中2人)と、成分をあまり作らない人(37人中3人)がいることが、嗅ぎ比べの実験でわかっています。
アスパラのにおいは何時間続く?
においは食べてまもなく強まり、半分に減るまでの時間は4.7時間(87人の分析)と7.2時間(139人の分析)という推定があります。食べた本数が多いほど強く、年齢が高い人ほど長く続く傾向がありました。
出典
- Pelchat ML, Bykowski C, Duke FF, Reed DR (2011). Excretion and perception of a characteristic odor in urine after asparagus ingestion: a psychophysical and genetic study. Chemical Senses, 36(1), 9-17. https://doi.org/10.1093/chemse/bjq081
- Markt SC, Nuttall E, Turman C, et al. (2016). Sniffing out significant “Pee values”: genome wide association study of asparagus anosmia. BMJ, 355, i6071. https://doi.org/10.1136/bmj.i6071
- Lison M, Blondheim SH, Melmed RN (1980). A polymorphism of the ability to smell urinary metabolites of asparagus. British Medical Journal, 281(6256), 1676-1678. https://doi.org/10.1136/bmj.281.6256.1676
- Ramamoorthy A, Sadler BM, van Hasselt JGC, et al. (2018). Crowdsourced Asparagus Urinary Odor Population Kinetics. CPT: Pharmacometrics & Systems Pharmacology, 7(1), 34-41. https://doi.org/10.1002/psp4.12264
- Facius A, Atkinson LA, Hanna K, et al. (2019). What Can Be Learned From Crowdsourced Population Asparagus Urinary Odor Kinetics? CPT: Pharmacometrics & Systems Pharmacology, 8(6), 407-414. https://doi.org/10.1002/psp4.12401
- Pegiou E, Mumm R, Acharya P, de Vos RCH, Hall RD (2019). Green and White Asparagus (Asparagus officinalis): A Source of Developmental, Chemical and Urinary Intrigue. Metabolites, 10(1), 17. https://doi.org/10.3390/metabo10010017


